紫キャベツはアブラナ科アブラナ属の植物でキャベツの一種です。緑色のキャベツとの大きな違いはやはり紫色の見た目です。本記事では紫キャベツがどんな野菜なのか詳しく解説します。
紫キャベツは一般的にスーパーなどで販売されている緑色のキャベツと同じくアブラナ科アブラナ属に分類されるキャベツの一種です。紫色をしているのが大きな特徴で、「赤キャベツ」ともいわれます。
原産地はヨーロッパと言われており、もとは一般的なキャベツとは異なりケールのように葉が結球(丸くならない)タイプでした。日本には江戸時代に伝わったといわれていて、当初は観賞用の植物として楽しまれていましたが、明治頃より食べられるようになりました。
紫キャベツは栽培適正の問題から輸入されたものが販売されていることが多かったのですが、近年では品種改良により日本国内で栽培・出荷されたものも市場に多く出回っています。
令和3年度の日本での紫キャベツの取扱量は約1,815トンで、主な生産地は長野県や愛知県、静岡県です。生産地別の生産量は下記の通りです。
長野県(529トン)
愛知県(496トン)
静岡県(265トン)
一般的に販売されている緑色のキャベツと比較して生産量は少ないものの、春撒き夏採りものと夏撒き冬採りのものがあり、1年中市場に出回っています。1年を通して多く出回るのは7月頃ですが、1年を通して出荷量にそれほど差があるわけではないのであまり旬を感じない野菜です。
そもそも旬って?
一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
紫キャベツの紫色の色素はアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みの成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。
アントシアニンは水溶性であるため、水に溶かして紫色の着色料として使われることもあります。
紫キャベツは鮮やかである一方で、毒々しい色合いなので「着色料で色をつけているのではないか」「体に悪いのではないか」と心配になる方も多いようですが、アントシアニンには抗酸化作用があり体に害がある成分ではありません。
紫キャベツと似た野菜に「トレビス」があります。トレビスの外見は紫キャベツと非常によく似ていますが、紫キャベツはアブラナ科アブラナ属の植物であるのに対して、トレビスはキク科キクニガナ属の植物であるため、別物です。
トレビスは、株元から出る芽を食べるチコリの一種で「赤チコリ」とも言われますが、紫キャベツと同じように結球し、中の柔らかい葉が食用になります。
紫キャベツと比較すると葉が柔らかく、苦味が強いという違いもあります。
紫キャベツと一般的にスーパーで販売されている緑色のキャベツは、どちらもキャベツの一種です。色が異なるのが大きな違いではありますが、他にも違いはあるのでしょうか。
一般的にスーパーなどで販売されている緑色のキャベツは、紫キャベツを比較すると一回り大きいです。また、葉は紫キャベツよりも薄いのが特徴です。
紫キャベツと緑色のキャベツの食感の違いはそれほどありませんが、紫キャベツは苦味成分であるアントシアニン(ポリフェノール)が多く含まれている分、緑色のキャベツと比較して苦味を感じやすいです。
上述したようにアントシアニンは水溶性であるため、小さなお子様が食べる場合など苦味を抑えたい場合はさっと湯通ししてから食べるのが良いでしょう。ただし、アントシアニンが落ちるぶん色合いも変わってしまいます。
紫キャベツと緑色のキャベツはどちらもキャベツの一種なので、様々な栄養が含まれています。紫キャベツと緑色のキャベツの栄養素の違いといえば、やはりポリフェノール(アントシアニン)の含有量です。
紫キャベツに多く含まれているポリフェノールには抗酸化作用があり、体内の老化予防やアンチエイジング効果が期待できます。さらにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。またアントシアニンには、目の網膜にあるロドプシンの再結合の作用があるため、眼精疲労の回復効果もあります。さらに肝臓の働きを活性化する効果も期待できます。
その他にも、ビタミンCは緑色のキャベツと比較して1.6倍、カリウムやビタミンKは1.5倍多く含まれているといわれています。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
三大栄養素とは、炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
それにビタミン類とミネラル類を加えて、五大栄養素といいます。
紫キャベツ100gに含まれている栄養は下記の通りです。
たんぱく質…2.0g
脂質…0.1g
炭水化物…6.7g
ナトリウム…4mg
カリウム…310mg
カルシウム…40mg
マグネシウム…13mg
リン…43mg
鉄…0.5g
亜鉛…0.3mg
銅…0.04mg
マンガン…0.20mg
β-カロテン…36μg
ビタミンE…0.1mg
ビタミンK…29μg
ビタミンB1…0.07g
ビタミンB2…0.03mg
ナイアシン…0.3mg
ビタミンB6…0.19mg
葉酸…58μg
パントテン酸…0.35mg
ビタミンC…68mg
食物繊維…2.8g
紫キャベツの糖質(炭水化物から食物繊維を引いた値)は3.9gです。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
一般的に販売されている緑色のキャベツは、サラダにして生食するのはもちろんのこと炒めものやスープなど様々な調理に使われます。紫キャベツも同様に調理をして食べることができますが、生食されることが圧倒的に多いです。
上述したように紫色の色素であるアントシアニンは水溶性であるため、茹でたりすると溶け出します。紫キャベツの色が悪くなるのはもちろんのこと、溶け出したアントシアニンによって他の野菜や食材なども紫色になってしまい見た目を損ねてしまうことがあります。
そのため、紫キャベツは茹でたり炒めたりするよりも生食がおすすめです。生食であれば熱に弱い栄養素もしっかりと摂取することができるので栄養面的にもメリットがあります。
紫キャベツの色素であるアントシアニンは、酸性の状態になると赤っぽく鮮やかな色合いになります。そのため、サラダにしてドレッシングをかけて食べるのはもちろんのこと、マリネしたりピクルスにするなど酢の物にして食べるのが良いです。
紫キャベツは生食されることが多いため「炒めてはいけない」と認識している方も多いようなのですが、炒めてはいけないことはありません。炒めものにして食べることも、もちろんできます。ただ、やはり色が落ちて紫キャベツの色合いが悪くなったり、他の食材に色が移ってしまうこともあるので、炒めるならサッと炒める程度にすると良いです。
紫キャベツは緑色のキャベツと同じように一般的なスーパーで購入することができます。値段は一玉200〜250円ほどです。ただし、緑色のキャベツと比較すると必ず取り扱いがあるというわけではなく、店舗によっては置いていないこともあります。
近くに取り扱っている店舗がない場合は、Amazonなどのネット通販を利用すると良いでしょう。ネット通販だと500円程と値段は一般的なキャベツと比較して高くなってしまいますが、栄養価が高く料理に彩りを添えてくれるのでおすすめです。
紫キャベツの保存方法はキャベツの保存方法と同じです。今回はキャベツの画像を使ってご紹介しますので、参考にしながら紫キャベツを正しく保存しましょう。キャベツの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
室温が低い秋や冬の時期は、常温での保存も可能です。常温保存の場合、3〜4日ほど日持ちします。秋や冬でも、暖房を使用する場合は常温保存は避け、常温保存以外の方法で保存することをおすすめします。
紫キャベツの鮮度を保って保存するには、紫キャベツの芯を包丁の刃先を使ってくり抜きます。くり抜いた部分に濡らしたティッシュを詰め、紫キャベツ全体を新聞紙で包んで冷暗所で保存します。
芯がついたままの状態だと、収穫後も紫キャベツが成長しようとし、葉の栄養や水分を吸い取ってしまいます。その結果、葉の鮮度や味が落ちてしまいます。
そのため、丸ごと1個や1/2個、1/4個の状態で保存する場合は、芯を取り除いてから保存するようにしましょう。包丁の刃先やヘタ取り専用のスプーンなどを使ってくり抜きます。芯を切り抜いたらティッシュを詰めることで、乾燥するのを防ぐことができます。
紫キャベツの芯が下になるように置くのもポイントです。紫キャベツが栽培されていた時となるべく同じような方向で保存することで、余計なストレスがかからず、旨みが持続します。横にしたり上下逆さにして保存すると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。
紫キャベツを使う時は、外葉から1枚ずつ剥がして使用します。詰めたティッシュは使うごとに交換するようにしましょう。
芯をくり抜く以外に、芯の部分に爪楊枝を刺して保存するという方法もあります。紫キャベツの芯には生長点という部分があり、この生長点を傷つけることで、収穫後の紫キャベツの成長を抑え葉の鮮度が落ちるのを防ぐことができます。
紫キャベツの芯の部分に爪楊枝を3本程度深く刺します。芯から飛び出た部分は、ハサミでカットします。その後は新聞紙やキッチンペーパーなどで包んで保存するようにしましょう。
春や夏などの季節や、秋冬でも暖房器具を使用する場合は冷蔵庫で保存しましょう。丸ごと紫キャベツは2〜3週間ほど、カットした紫キャベツは1週間ほど日持ちします。
芯をくり抜き濡らしたティッシュを詰めて、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れる紫キャベツを丸ごと冷蔵する場合も、常温保存と同様に芯をくり抜いてから保存します。
包丁の刃先を使って芯をくり抜き、くり抜いた部分には濡らしたティッシュを詰めます。その後、紫キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れ軽く口を閉じます。
芯が下になるように冷蔵庫で保存します。芯の部分に詰めたティッシュは、紫キャベツを使うたびに取り替えるようにしましょう。使用していなくても、乾いてきたら取り替えるようにしてください。
この方法で冷蔵保存すれば、2〜3週間ほどは鮮度を保って保存することが可能です。長期保存したい場合は、後ほどご紹介する冷凍保存を行ってください。
カットした紫キャベツや使いかけの紫キャベツは、カット断面を濡らしたキッチンペーパーで覆ってから保存します。
丸ごと紫キャベツと同様に芯を切り落とします。濡らしたキッチンペーパーをカット断面にかぶせます。この時、芯のくり抜いた部分もしっかりと覆うのがポイントです。キッチンペーパーを被せたらポリ袋に入れ、軽く口を閉じて冷蔵庫で保存します。切り口が下になるように置くことで乾燥を防ぎ鮮度を保ちやすくなります。
ただし、カットした紫キャベツは丸ごと紫キャベツよりも鮮度が落ちやすく傷みやすいです。1週間を目安に早めに食べきるようにしましょう。
野菜を長期保存する際は冷凍保存がおすすめですが、紫キャベツの場合は色素が出てしまうため冷凍保存には向いていません。長期保存したい場合はマリネなどの料理を作ってから冷凍するのがおすすめです。
最後に紫キャベツを使ったおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
細かく刻んだ紫キャベツをまろやかな味のコールスローに仕上げました。
紫キャベツのコールスローのレシピはこちら
黒すりごまとごま油がクセになるひと品です。
紫キャベツのマリネのレシピはこちら
黒すりごまとごま油がクセになるひと品です。
無限紫キャベツのレシピはこちら
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