トマトは水分量が多くダイエット食品として人気の高い野菜です。しかし、食べ方を注意しなければ、トマトはダイエットに向いていないと言えます。本記事ではトマトがダイエットに不向きといわれる理由を解説していきます。
生の赤色トマトの可食部100gあたりのエネルギー量(カロリー)は19kcalで、糖質は3.7g(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。
水分は94.0g、たんぱく質は0.7g、炭水化物は4.7g、脂質は0.1g、食物繊維は1.0gです。水分が94%も占めている割には糖質が高い野菜です。
黄色トマトは赤色トマトよりもたんぱく質と食物繊維がやや多く、炭水化物が少ないためカロリーは変わりませんが糖質が低くなっています。ミニトマトになると可食部100gあたり30kcal、糖質5.8gです。ミニトマトのほうがカロリー・糖質ともに高いですが、ビタミン・ミネラル類などの他の栄養素も豊富に含まれています。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は、上表の通りです。
葉物野菜のレタスは糖質0.1g、ほうれん草は0.3gとかなり低いです。同じカロリーのピーマンも糖質は2.8gです。
糖質制限ダイエットでは1日あたりの糖質摂取量を70〜130g程に抑えるのが一般的です。この数値を超えないように、トマトの食べる量をコントロールするのが望ましいでしょう。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
糖質制限ダイエットでは炭水化物つまり主食の食べる量を減らします。
ただトマトはごはんよりカロリー・糖質が低いからといえ、主食の代わりとして食べるのに適しません。例えば、カリフラワーなどは「カリフラワーライス」という形で、主食の代用品として食べることができ、ダイエッターに重宝されています。
しかしトマトは主食として食べても満足感が得られずに、結局主食・主菜をしっかり食べて、副菜として長ねぎを食べることになり、カロリーや糖質を抑えることができずダイエットになりません。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal・糖質35.6gです。
トマトのβ-カロテンの含有量は600μg以下ですが、食べる量や回数が多いことから、緑黄色野菜に分類されます。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
一度に「たくさん食べられる」ということはその分栄養を摂れるということなのでメリットでもあるのですが、ダイエットという観点ではデメリットともいえます。主食に比べればカロリーは低いですが、トマトも食べ過ぎれば糖質の摂りすぎになりえますし、他の食品が食べられないので栄養バランスが悪くなることも懸念されます。
トマトは94%が水分です。そのため食べても腹持ちが悪く、すぐにお腹が空いてしまいます。その点を考えると、ダイエットには向いていないと言えます。
トマトはカロリーが低いからといって「主食をすべてトマトに置き換える」「食事全体をトマトに置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
また、トマトは水分が多いので、食べ過ぎると体が冷えたり、下痢になってしまう可能性があるので注意しましょう。
トマトそのものの摂取目安量は定められていませんが、野菜の摂取量という観点で考えることができます。
文部科学省では、大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
前述した通り、トマトは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合わせて120g程を目安にしましょう。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
トマトは加熱することで細胞壁が壊れリコピンがより吸収しやすくなります。また、油で炒めることでリコピンやβ-カロテン、ビタミンEなどの脂溶性の栄養素の吸収をアップさせます。
さらに、トマトと好相性のオリーブオイルにはオレイン酸が含まれ、コレステロール値を下げる働きがあります。トマトに含まれるリコピンにもコレステロール値を下げる働きがあるため相加効果でよりコレステロール値が下がりやすくなるといえます。
しかし、オリーブオイルは100gあたり920kcalと大変高カロリーです。カロリー制限ダイエットを行っている人は摂りすぎないように注意しましょう。また、ビタミンCは熱に弱いため、ビタミンCを摂る目的であれば生食がおすすめです。
加熱したトマトの栄養素については下記の記事で詳しく解説しています。
トマトジュースは生のトマトよりもリコピンが多く含まれています。リコピンの1日の摂取目標量は15〜20mgですが、コップ1杯(200ml)のトマトジュースで目標量を摂れてしまいます。
野菜を食べる習慣がない人にとっては手軽に栄養が摂れるのがメリットなのですが、注意点もあります。まず、市販されているトマトジュースには砂糖を使用されているものがあり、その場合はダイエットに不向きです。
また、トマトジュースに限りませんが、野菜や果物をジュースにしたものは加工の過程で食物繊維を失っている可能性が高く、血糖値が上がりやすいという特徴があると言われています。
参考文献:津川友介(2018)『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』東洋経済新報社
ダイエットにおすすめのトマトの取り入れ方は、食事の前にサラダとして食べることです。ただ、サラダで食べる際のドレッシングのカロリーが高いので、ダイエット中は注意が必要です。
ダイエットでトマトをサラダとして食べるのであれば、なるべくノンオイルの低カロリーなものを選びましょう。ドレッシングに含まれる糖類にも注目しましょう。
そこでサラダに一番おすすめなのは、クセがない(熱に弱いのでサラダにおすすめな)えごま油です。オメガ3が豊富に含まれていてダイエットに効果的です。オメガ3の効能には血液の中性脂肪の合成を抑えコレステロールを減少する働きがあり、最近では、代謝を上げて脂肪の燃焼効率をアップするという研究も進んでいます。また心臓発作予防やうつ予防の効果があると言われています。それに塩をちょっとプラスすれば、おいしくサラダをいただけます。
サラダで食べるのに飽きたら、塩分に気をつけた野菜スープがおすすめです。トマトは味もしっかりしていて満足感が高いです。また水溶性であるビタミンCやカリウムもスープであれば無駄なく摂取できるのでいいでしょう。
スナック菓子やチョコレートなどを食べていた間食をトマトに変えるといいでしょう。やっぱりスナック菓子やチョコレートなどは「少しくらいなら!」と思っても、糖質が高く太りやすいです。トマトならお菓子よりカロリー・糖質が低くて、かつそれなりに食べごたえがあります。
人によっては「間食がトマトなら食べなくてもいいか…」という気持ちになって、1日全体の食べる量を減らすことに繋がることも。
実は、トマトの皮には栄養が多く詰まっています。トマトと言えばの栄養素であるリコピンやβ-カロテンが多く含まれています。正確に言うと、野菜や果物は皮のすぐ下の部分に栄養が詰まっていることが多く、剥いてしまうとその部分も一緒に取れてしまうことから皮ごと食べることが良いとされています。
またトマトの皮には不溶性食物繊維も多く含まれています。食物繊維を摂りたい人は皮ごとしっかり食べるといいでしょう。ただ、皮には農薬や見た目を良くするワックスが付いていることが多いので、無農薬のものを買ったり食べる前にしっかり洗ったりと、皮ごと食べる際は対策が必要です。
トマトの残留農薬について、また洗い方については下記の記事をご覧ください。
トマトの栄養素といえばリコピンですよね。
リコピンの抗酸化作用により血液中の血栓ができにくくなり血流が改善することができると考えられています。血流が改善すれば身体の隅々まで栄養や酸素が行き渡り、代謝がアップし肥満を予防する効果があると期待されています。
また、リコピンには脂肪細胞の増加を防ぐことができるのではないかとも考えられています。リコピンの他にも、トマトにはβ‐カロテンやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用が強い栄養素が含まれています。
ちなみに、トマトは熟すとリコピンの量が増えると言われています。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉を作ったり、関節の動きを良くする働きもあります。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取すると筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、コレステロール値を下げる作用もあります。さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方には積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、特に水溶性食物繊維がダイエットの強い味方です。可食部100gあたりトマトは水溶性食物繊維0.3g、不溶性食物繊維0.7gです。食物繊維には多くの種類がありますが、トマトの水溶性食物繊維は「ペクチン」という食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は、消化管で糖質を取り囲み、糖質の消化・吸収をブロックし、血糖値の上昇を抑えます。また、コレステロールを吸着し排出することで血中コレステロール濃度を低下させます。
さらに、食物繊維が豊富な食品は食べごたえがあり、咀嚼に時間がかかります。たくさん噛むことで満腹中枢が刺激されてすぐにお腹がいっぱいだと感じやすくなります。その結果、食べ過ぎを防ぐことに繋がります。
ただし、トマトは野菜の中でも食物繊維の量が少ない方です。
トマトには酸っぱい成分であるクエン酸が含まれています。
クエン酸には、三大栄養素の代謝経路であるクエン酸回路を活性化させる働きがあるといわれ、クエン酸を摂取することで、クエン酸回路が活性化し代謝の向上にもつながり、ダイエットにも効果的とされています。
ただし、クエン酸のダイエット効果には賛否両論があり、必ずしもダイエット効果があるとは言えなさそうです。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
13-oxo-ODAはトマトから発見された成分で、リノール酸の仲間です。
脂肪燃焼を促進させ中性脂肪の上昇を抑制します。そのため脂肪肝や高脂血症などの脂質代謝異常の改善に有効といわれています。それによって肝臓機能が高くなり、血糖値が下がるため痩せやすくなることが期待できます。
出典:トマトから中性脂肪の燃焼を助ける物質を発見(サイエンスポータル)
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