肉じゃがは、お肉とじゃがいもやにんじん、白滝を甘辛く味付けした日本の煮物料理です。家庭によって入れるお肉の種類が異なるため、豚肉か牛肉、鶏肉など何のお肉を入れるか迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。本記事では肉じゃがに入れるお肉について詳しく解説します。
肉じゃがといえば、お肉とじゃがいもやにんじん、白滝を甘辛く味付けした日本の煮物料理で、食卓にもよく並ぶ定番のおかずです。肉じゃがを作るときに何のお肉を使うべきか迷ったことがあるのではないでしょうか。
肉じゃがに使われるお肉の種類に決まりはありませんが、基本的には豚肉か牛肉を使うことが多いです。
肉じゃがの発祥は諸説ありますが、明治時代にイギリスに留学していた海軍大将の東郷平八郎が日本に帰国した際に、留学先で食べたビーフシチューを作らせようとしたところ、ビーフシチューをしらなかった料理長が醤油・みりん・砂糖を使って和風に味つけをして煮たためビーフシチューとは異なる「肉じゃが」が誕生したといわれています。
そのため、肉じゃが発祥の地とされている広島県の呉市の肉じゃがには牛肉が使われており、本来は牛肉を使う食べ物だという意見もあります。
肉じゃがに使われるお肉の種類は地域によっても異なり、東日本は豚肉、西日本は牛肉を使うのが一般的です。
これは、東日本がもともと農耕用の牛のみを飼育し豚肉を中心に食べていたのに対して、西日本が食用の牛を多く飼育し牛肉を中心に食べていたことや、比較的気候変化の少ない西日本に対して東日本の冬は気温が低く、体の保温の為に脂肪を多く含んだ豚肉を重宝していたという食文化の違いが関係していると考えられています。
ただし、西日本の中でも鹿児島県や宮崎県、沖縄は豚肉を使うことが多いようなので東日本だから豚肉、西日本だから牛肉とも一概にはいえません。もちろん好みによっても異なり、家庭の嗜好によって肉の種類や一緒に入れる野菜の種類、味付けも異なる奥深い料理であるといえます。
「北海道は肉じゃがに鶏肉を使う」という噂があるようですが、北海道では東日本と同じく豚肉を使う家庭が多いようです。ちなみに北海道といえばラム肉(羊肉)も有名ですが、北海道の肉じゃがにはラム肉が使われるということも特段ありません。
しかし、鶏肉やラム肉を使って肉じゃがを作ることももちろんできます。いつもとは違った肉じゃがを作ってみたいという方はぜひ挑戦してみてください。
「お肉」と一口に言っても、お肉には様々な部位がありますよね。肉じゃがは肉の種類だけではなく部位によっても味わいが異なります。自分好みの部位を見つけてみましょう。
こま切れ肉は、様々な部位が集められた細切れ肉のことです。旨味が出やすく、値段も安いため最も肉じゃがに使われることが多い部位です。
使われるのは旨みの強いモモや肩(ウデ)の部位です。スーパーによっては肩ロースやロースの切れ端肉が入る場合もあります。牛のこま切れ肉の場合はロースやヒレなどの高価な部分が入っていることもあり、値段的にもかなりお得といえます。
バラ肉は赤身と脂肪が層になった胸と腹の部分で、脂身が多いのが特徴です。
豚バラ肉は脂身が多いため甘みを出すことができ、脂肪の部分は煮込むととろけるような食感になり、旨味もしっかりと出るので肉じゃがにも適しています。ちなみに豚バラ肉は、豚汁などの汁物に使われることも多い部位です。
牛バラ肉は数ある牛肉の中でも最も広い面積を持つ部位で、肩に近い前方部分「肩バラ」と腹部に近い後方部分「ともバラ(三枚肉)」の2種類に分けることができます。
「肩バラ」は、呼吸運動でスジや繊維質が多く肉質はかためですが、しっかりとしたコクが出るため、煮込み料理にするのに適しています。「ともバラ」は、赤身と脂肪が層になっており、「三枚肉」とも呼ばれます。脂身と赤身が合わさっているため甘みがあり、ほどよい噛み応えがあるため肉じゃがなどの煮込み料理はもちろんのこと、しゃぶしゃぶにしたり焼き肉にして食べれることが多い定番の部位です。
ロース肉とは肩から腰の部分にある背肉です。
豚肉の場合は「ロース」と「肩ロース」の2種類が基本です。
豚ロースは赤身と脂身の割合もちょうどよく、キメが細かく柔らかな肉質です。豚ロースの脂は上質でしっかりとした旨味とコクを出すことができるので肉じゃがなどの煮物料理も美味しく作れます。豚ロースはその上質な肉質から、とんかつに使われたりハムなどの加工品にも多く使われている部位です。
豚ロースは赤身と脂身がくっきり分かれていますが、肩ロースは赤身に脂身が網目のように広がり霜降りになっているのが特徴です。ロースよりも柔らかく調理しやすいです。また、旨味もしっかりあって豚肉本来の風位とコクを味わうことができます。
牛肉の場合のロース肉は「肩ロース」「リブロース」「サーロイン」の3種類が基本です。
肉じゃがにも使われる肩ロースは、肩から背中にかけての部分のうち、頭寄りの部位です。比較的よく動かす場所にあるので、やや筋がありほどよい噛みごたえと柔らかな食感を楽しめます。適度に脂がのっており煮込むと甘みと旨味がでます。しゃぶしゃぶやすき焼きに使われることが多い部位です。
ひき肉とは、豚肉や牛肉をすりつぶしたり切ったりして、細かくしたものです。
豚ひき肉は、豚の肩バラ肉やすね肉をすりつぶし細かくしています。牛ひき肉と比較して脂が多いのが特徴で、柔らかくまろやかでコクのある味わいを楽しむことができます。
牛ひき肉は牛もも肉やばら肉、すね肉などを混ぜ合わせてすりつぶし、細かくしています。豚ひき肉と比較して弾力があり、強い甘みがあります。水分が少なく崩れにくいのも特徴で、ハンバーグなどこねて成形する料理にもよく使われます。
ひき肉は豚肉と牛肉どちらも火が通りやすく、調味料も染み込みやすいため肉の旨味がより一層引き立ちます。また、飲み込む力が弱い小さなお子様やお年寄りでも、美味しく食べることができます。
肉団子を使って肉じゃがを作ることもできます。肉団子を使って肉じゃがを作ると、ふんわりとした柔らかい食感に仕上がるので、小さなお子様や高齢者の方でも食べやすいメリットがあります。
手作りの肉団子はもちろんのこと、冷凍で販売されている肉団子を使ってもOKです。冷凍の肉団子は比較的低価格で販売されているため、節約したいときにもおすすめです。
肉じゃがに使うお肉は、「しゃぶしゃぶ用」などできるだけ薄いものを選びましょう。薄いほうが味が染み込みやすく、火の通りが早いため固くなりにくいです。
しっかりとした食べごたえがほしい場合は厚めに切られた肉を使っても良いのですが、固くなってしまわないように注意が必要です。肉は野菜とは異なり、柔らかくしたいからといって長く加熱してしまうと反対に固くなってしまいます。
柔らかく仕上げたい場合は脂身の多いものが適していますが、多すぎてしまうと油っこく仕上がってしまいます。豚肉と牛肉どちらも脂肪の色が白色か乳白色で、赤身と脂身の境目がはっきりしているものが良質とされています。
赤身が多すぎるものは脂質が少ないですし、反対に白い部分が多すぎるものは脂質が多すぎるので赤い部分と白い部分のバランスをしっかりと見て購入することが大切です。
肉を購入するときはドリップが出ていないものを選ぶことも大切です。
ドリップとは、スーパーでパックに入れて販売されているお肉によくみられる赤いサラサラした液体です。血のように見えますが、実は血ではなくお肉の組織液で、たんぱく質やうまみ成分が含まれています。
ドリップが出ているということは、うまみが低下しているということですので、美味しい肉じゃがを作るためにはドリップが出ていないものを選ぶと良いでしょう。
豚肉を使った肉じゃがは牛肉を使った肉じゃがと比較してあっさりとしており、脂身が多いので甘みが出るのが特徴です。さらに牛肉と比較して値段が安いため、お肉をたくさん入れたい!という方や節約をしたいという方にもおすすめです。
牛肉を使った肉じゃがは、牛肉のコクと旨味が出るのが特徴です。すき焼きを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。しっかりとした肉料理として楽しむことができます。
鶏肉を使った肉じゃがは、鶏肉のジューシーな味わいです。煮込むことでしっとりとした上品な口当たりになります。また、鶏肉は豚肉や牛肉と比較して高タンパク質で低カロリーであるため、ダイエット中の方におすすめです。
肉じゃがの肉といえば豚肉や牛肉、鶏肉といった普段よく使う肉が使われる事が多いですが、
ラム肉
牛タン
鴨肉
などを使っても美味しく作ることができます。
ラム肉とは生後1年未満の仔羊の肉です。羊肉はクセがあって食べにくいと言われることが多いですが、ラムはほとんどクセがなく、肉質もやわらかいのでラム肉を使っても美味しい肉じゃがを作ることができます。ちなみに、マトンは生後2〜7年程の羊の肉で、こちらは独特の臭いとクセがあります。
牛タンは牛の舌です。焼き肉では定番の部位ですが、牛タンカレーなどがあるように煮込み料理にも適しているんですよ。牛タンを使うとあっさりとした味わいに仕上げることができます。
鴨肉はその名の通り鴨の肉です。脂質が多いため豚肉や牛肉にはない濃厚な味わいを楽しむことができます。また、豚肉や牛肉の脂の融解温度よりも低いため、冷めても口に入れればとろけます。
お肉の種類によって作り方や味付けを大きく変える必要はありません。ただし、お肉の種類や薄さによって火が通る時間などが異なるため、入れるタイミングを工夫したほうが美味しく仕上げることができるでしょう。
豚バラなどの豚肉で作る場合は、脂身が多く固くなりにくいため煮込む前に野菜と一緒に炒めても大丈夫です。煮込んでいるとき油が浮いてくることが多いので、油が浮いてきたらすくって余分な油を取っておくと油っこくなってしまうことを防ぐことができます。
牛肩ロースなど牛肉で作る場合は、豚肉のように最初に炒めて火を通すとお肉が固くなってボソボソしてしまうことが多いです。炒めずに煮込んでいる途中で加えて、煮込みながらじっくり火を通すと良いです。豚肉と比較してアクが出てきやすいので、アクがでてきたらしっかりとアクをとっておきましょう。
アクとは煮込んでいるときに浮いてくる茶色っぽい泡のことで、熱を加えることで溶けたお肉に含まれているたんぱく質や脂肪などが泡のような形で集まったものです。アクに害はないため取らなくても良いのですが、アクを残しておくことで苦味などの雑味が出てしまうため、とったほうが美味しく仕上がります。
ひき肉は臭みが出やすいので、予めしっかりと炒めて火をとおしておきましょう。また、ひき肉なのでポロポロとしてお箸ではつかみにくいです。じゃがいもなどの野菜も小さめにカットしてスプーンで野菜とひき肉を一緒に食べられるようにしておくと、お肉の旨味を生かすことができます。
お肉は脂肪と硬い筋のような筋繊維でできています。筋繊維は加熱調理をしても残るため、固さを感じる原因となります。
また、お肉に多く含まれているたんぱく質は加熱すると収縮する性質があるため、加熱するとお肉が縮こまって固くなってしまいます。さらに水分の含有量も多いため、水分が蒸発してしまうこともお肉が固くなる原因となります。
このように、お肉は加熱調理をすると固くなる原因がいくつもあります。上述したように火を通しすぎないようにお肉を入れるタイミングを工夫することも大切ですが、その他にもお肉が固くならない方法を紹介します。
お肉は脂肪と筋繊維でできています。筋繊維は加熱してもそのまま残り、固さを感じる原因となるため、繊維を叩いて断ち切っておくことでお肉が柔らかくなります。
お肉専用のハンマーを使えばお肉を全体的に叩くだけで簡単に筋繊維を切ることができます。お肉専用のハンマーをお持ちでない場合は、包丁を使って筋繊維の部分に切り込みを入れます。
パイナップルやキウイフルーツ、メロンなどの果物には、たんぱく質を分解する酵素が含まれており、お肉の繊維やそれを包む膜を部分的に分解しもろくするためお肉を柔らかくすることができます。そのため、果物のすりおろしをお肉に揉み込んで寝かせてから作るのもおすすめです。
たんぱく質を分解するのにかかる時間は果物の種類や熟し加減によって異なりますが、20分〜1時間程です。長時間寝かせすぎると、肉がぼろぼろになってしまうので注意してください。また、果物のすりおろしを揉み込むことで甘みが出るので、通常のレシピよりも砂糖の量は少なめにしましょう。
果物が自宅にない場合は、お肉に予め砂糖や生姜を使って下味をつけておくと良いです。
砂糖はたんぱく質と水分をつなげる働きがあるたため、砂糖を揉み込んでおくことで柔らかくなり口当たりがよくなります。生姜はたんぱく質を柔らかくする働きがあるためお肉が固くなってしまうことを防ぐことができます。
牛肉を使うのであれば、短時間でも旨味が出るため炒めてから長時間煮込むよりも後入れして煮込んだたほうがお肉が固くならず柔らかく仕上げることができます。
牛肉を後入れする場合は、野菜を煮込んだ後に牛肉を入れてほぐし、煮立ったら灰汁を取りのぞいて調味料を入れて煮込みます。豚肉や鶏肉を使う場合は炒めてから煮込んだほうが良いです。
お肉の代わりにウインナーやベーコンを入れると、洋風の肉じゃがになります。ウインナーとベーコンは、どちらもお肉を加工したものなので、しっかりとお肉の旨味を出すことができます。
ウインナーやベーコンで代用した肉じゃがは、お肉の固さがないので食べやすく、小さなお子様にも人気があります。
お肉の代わりにちくわを入れても美味しくできます。ちくわは味が染み込みやすく、しっかりとした歯ごたえもでます。お肉よりも値段が安いので、節約したいときにぴったりです。
お肉を使った肉じゃがにちくわを入れてかさ増しをするという家庭も多いようです。
ツナ缶もお肉の代わりになります。ツナ缶を入れることで魚の旨味が出るため、お肉を入れる肉じゃがとは異なる美味しさです。値段もお肉と比較して安いので、節約にもなりますね。
使うツナ缶は細かく砕かれたフレークタイプよりもブロックタイプのほうが、塊があるためよりお肉に近くなります。
ツナを使うときは、魚の臭みをとるためにしょうがをいれると良いです。
車麩(くるまふ)とは、棒に巻いて焼いた麩をカットしたドーナツ型の焼き麩のことです。調理するとお肉のような食感とボリューム感を楽しめます。車麩は肉の代用品としてよく使われる食材の一つで、肉じゃがを作るときの肉の代用品にもおすすめです。
車麩を使うときは水を張ったボウルに10分ほど浸して戻してから使います。車麩は長時間煮込まなくても柔らかくなりますし、しっかりと味が染み込みます。そのため長時間煮込まなくても大丈夫ですし、固くなってしまう心配もありません。
しっかりとした食べごたえもあるため、肉が入っていなくても物足りなさを感じることなく美味しく食べることができます。
肉の代わりに厚揚げを使って肉じゃがを作ることもできます。厚揚げを使えば、しっかりとした食べごたえがでます。また味も染み込みやすいので、美味しく食べることできますよ。
厚揚げを使うときは、一度湯をかけて油を落としたあとにキッチンペーパーで水気を切り、カットしてから野菜と一緒に煮込みます。
厚揚げは値段も低価格なので節約をしたいときにもおすすめです。
「肉じゃが」といえばその名のとおり、肉が入っているのが定番ではありますが、肉なしでも上記で正気したように旨味があったり食べごたえが出る食材を使えば、十分美味しい肉じゃがを作ることができます。
シンプルに肉じゃがに使われる定番の具材を肉なしで煮込んでも十分美味しい肉じゃがにすることもできます。ダイエット中の方や肉が苦手な方でも肉じゃがの優しい味わいを楽しむことができるので、ぜひ試してみてください。
最後にFilyの肉じゃがのレシピを紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
牛肉を使った、定番の肉じゃがです。てんさい糖を使うことで、まろやかな甘さに仕上がり、コクも増します。
肉じゃがのレシピはこちら
豚バラ肉で作る簡単肉じゃがです。水は使わずに野菜の水分だけで煮るのがポイントです。
簡単肉じゃがのレシピはこちら
鶏肉で作る塩肉じゃがです。肉じゃがはしょうゆベースが王道ですが、塩味も大変おいしくおすすめです。
塩肉じゃがのレシピはこちら
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