じゃがいもを切ったら、黒い線や筋が入っていることがあります。何らかの病気であることが多いですが、黒い部分を取り除けば、そのじゃがいもを食べることは可能です。ただ、中には腐っている場合もあるので、腐ったじゃがいもの見分け方も合わせてご紹介します。
じゃがいもを切った時に、じゃがいもの中心部に小円形または不整形に黒く変色していることがあります。変色した部分は水分を失っている状態となり、ゴムのような弾力があります。空洞になっていたり、亀裂が入っていることもあります。切ったじゃがいもを空気にさらしていると、切断面が次第に変色することもあります。
じゃがいもの内部はもともと酸素不足になりやすいのですが、高温状態におかれると呼吸作用が刺激され、さらに酸素不足の状態になってしまいます。これにより細胞は死滅しますが、酵素作用は破壊されることがないため、チロシナーゼが活動してチロシンをメラニン化することにより黒くなってしまいます。
黒色心腐病は、男爵いもや農林1号、ユキシロで発生しやすく、トヨシロやワセシロでは少ないと言われています。
黒色心腐病と同じように、じゃがいもの中心部が茶色く変色してしまっていることがあります。これは「褐色心腐病(かっしょくしんぐされびょう)」という生理障害です。
褐色心腐病の主な原因は水分不足による細胞の枯死です。じゃがいもの栽培中(肥大期)に地温が高くなることにより土壌が乾燥し、それにより水分不足となります。水分不足に陥ると細胞が枯死し、変色してしまいます。
褐色心腐病は、メークインや紅丸などの品種で発生しやすく、男爵いもやトヨシロ、ワセシロなどの品種では少ないと言われています。
じゃがいもを切った時に、輪状に黒く変色していることがあります。これは、じゃがいもやわさびなどによく起こる「輪腐病(わぐされびょう)」という病気です。クラビバクター・ミシガネンシス・セペドニカスという細菌によって引き起こされます。可食部である塊茎(かいけい)だけでなく、茎や葉、根茎に発生します。
輪腐病では、維管束部が腐ります。維管束とは、根から吸い上げられた水分や栄養分が通る道管(どうかん)と、葉で作られた栄養分が通る師管(しかん)が集まって束になっているところを指します。
じゃがいもは双子葉類(最初に生えてくる葉っぱの枚数が2枚の植物)に分類され、双子葉類の維管束は輪のように並んでいるため、輪状に変色するのです。
第二次世界大戦後、アメリカから輸入されたじゃがいもによって、1950〜54年にかけて全国各地で大発生したといわれています。近年では、種芋の厳密な検査を行っているため、発生することは少なくなっています。
じゃがいもの皮や実に、黒い線ではなく斑点のようなものが付いている場合があります。黒い斑点ができていしまう主な理由は下記の通りです。
じゃがいもの皮に、黒い斑点がある場合があります。その主な原因は、そうか病や黒あざ病などの病気や、皮目肥大だと考えられます。
そうか病の原因は、放射菌と言われています。菌を含む土壌が何かしらの理由で混入したり、種芋から持ち込まれて伝染します。
そうか病よりも黒い斑点が濃く出るのが黒あざ病です。黒あざ病の原因は、土壌中の「リゾクトニア菌」というカビによるものだと考えられています。
じゃがいもの皮にぽつぽつとした立体的な黒い斑点がある場合は、皮目肥大という生理障害だと考えられます。土の水分量が多すぎるときに起きる現象です。
じゃがいもを切ってそのまま放置しておくと、切り口が変色します。時間が経つにつれて、ピンク→赤→茶→紫→黒と色が変化していきます。
これは、じゃがいもを切ることによって細胞が破壊され、アミノ酸の一種であるチロシンが空気に触れ、チロシナーゼによって酸化され、褐色のメラニン色素が生成されるためです。また、じゃがいもの中のポリフェノール物質が、ポリフェノラーゼなどの酵素によって酸化されるのも、褐色に変わる原因となります。
切ったじゃがいもを水や薄い食塩水にさらすことで、酸化による変色を防ぐことが可能です。黒く変色してしまった部分もそのまま食べることは可能です。気になる場合は取り除きましょう。
また、茹でた時に生じる水煮黒変と同じように、フェノール化合物と鉄が結合したことにより、暗褐色になったと考えられます。この場合、変色を防ぐ方法はありません。
じゃがいもを茹でたら、じゃがいもの内部が黒くなってしまうことがあります。「水煮黒変」ということもあります。じゃがいもの品種や茹で具合などによって赤や紫っぽく見えることもあります。
これは、フェノール化合物と鉄が結合することにより起こる現象です。じゃがいもにフェノール化合物と鉄分が多く含まれている場合に起こる現象で、加熱することでこれらの成分が結びつき黒く変色します。また、調理器具などから溶け出した鉄も、水煮黒変に加担している場合があります。
じゃがいもに黒い線が入っている場合、そのじゃがいもを食べても問題ないか不安になる方は多いと思います。
じゃがいもに黒い線や筋が入ってしまうのには、上記でご紹介した様々な原因が挙げられますが、基本的には黒い部分をしっかり取り除けば問題なく食べることが可能です。
ただし、じゃがいもが腐っている可能性もあり、その場合は食べずに廃棄することをおすすめします。腐ったじゃがいもの見分け方は次にご紹介します。
前述したような黒い線ではなく、下記のような状態のじゃがいもは腐敗している可能性が高いです。調理せずに破棄するようにしましょう。
じゃがいもの表面に白い粉の塊のようなものが付いている場合は、カビである可能性が高いです。ただし、カビを除けば、そのじゃがいもを食べることは可能です。
水洗いしてカビをしっかり洗い流し、カビが生えている部分を切って破棄します。他の部分に異常がないことを確認しましょう。
カビが広範囲に広がっていたり、実がブヨブヨしたり、悪臭がする場合は、廃棄しましょう。
腐っているというわけではありませんが、じゃがいもから芽が大量に生えている場合、食べるのは避けるべきです。
じゃがいもの芽やその周辺には、有毒物質である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。ソラニンは、水にほとんど不溶で、加熱によっても分解されにくいです。そのまま食べると中毒を起こし、腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため、調理の際にはきれいに取り除く必要があります。
芽が生えているところは、皮を厚く切って根元から取り除きましょう。
ちなみに、ソラニンはトマトなどにも含まれています。
じゃがいもの皮の一部が緑色に変色している場合、その部分には上記でご紹介した有毒物質「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
緑の部分を厚く剥いて料理に使用しましょう。
じゃがいも全体が緑色に変色してしまっている場合は、有毒物質が大量に含まれている恐れがありますので、食べずに廃棄することをおすすめします。
じゃがいもから茶色い液体が出ている場合は、全体的に腐っている可能性が非常に高いです。
中身に問題がなく、表面のみ茶色い液体がついているのであれば、ビニール袋に入れたまま保管していたなど密閉された状態で保管していたことにより湿気で水滴がつき、じゃがいもについていた泥汚れと合わさって茶色い汁が出ているように見えるということが考えられます。
しかし、じゃがいもの中身から茶色い液体がにじみでているようであれば、腐敗しているので食べるのは避け、すぐに廃棄しましょう。
本来じゃがいもはほぼ無臭に近いです。明らかに異臭がする場合は、細菌が入ってしまい腐敗してしまった状態である可能性が高いため、食べるのはやめて処分しましょう。
一見、異常が見えないように見えるじゃがいもでもレンジで温めたり加熱をすると酸っぱい臭いを感じることがあります。見た目で判別できない場合は、皮を剥きカットしたじゃがいもを一度レンジで温めて臭いを確認しておくと安心です。
じゃがいもがブヨブヨしている場合、じゃがいもの水分が抜けてしまっている状態です。あまりにぶよぶよしていたり、中身がネバネバしているなどの異常が見られる場合は腐敗し始めているので食べずに処分しましょう。
じゃがいもは、芽が出始めると芋から芽に栄養を送るため柔らかくなってぶよぶよとしてきます。この場合は生理現象であり腐っているわけではないので、食感は悪くなりますがソラニンやチャコニンが含まれている芽を取り除くなど適切な処理をして調理すれば食べても大丈夫です。しかし、腐敗が始まっている可能性もあるので心配な方は処分することをおすすめします。
じゃがいもを食べた時に、苦味やえぐみ、舌のしびれを感じるようであれば、ただちに食べるのをやめましょう。
このような味がするのは、じゃがいもに含まれる「ポテトグリコアルカロイド」という成分が原因といわれています。ポテトグリコアルカロイドは天然毒素の一種で、食べた時に舌がピリピリしたり、苦味などを感じます。酸っぱい味がする場合も腐っている可能性が大なので、食べないようにしましょう。
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