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氷砂糖のロックとクリスタルの違いは?製造方法や使い方を詳しく解説

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氷砂糖のロックとクリスタルの違いは?製造方法や使い方を詳しく解説

氷砂糖には「ロック」と「クリスタル」があります。岩のような形の氷砂糖がロック、結晶のように十六面体をなしているのがクリスタルです。これらの氷砂糖の原料は同じですが、製造方法や使い方が異なりますので、詳しく解説します。

そもそも氷砂糖とは?普通の砂糖との違いは?

氷砂糖は、その名の通り、見た目が氷に似ている砂糖です。氷糖(ひょうとう)ともいいます。

氷砂糖は、あらゆる砂糖の中で最も結晶が大きく、ショ糖純度が99.9%と最も高いのが特徴です。氷砂糖はアクが少なく、まろやかで淡白な甘味がします。

大きさや形が不定形の氷砂糖を「ロック」、大きさが均一で結晶のように形が整っている氷砂糖を「クリスタル」と区別します。ロックの方がクリスタルよりも粒が大きいです。ちなみに英語では、ロックを「rock sugar」、クリスタルを「crystal sugar」といいます。

「ロック」と「クリスタル」の定義

ロック

「ロック」を辞書で調べると、岩、岩石という意味があります。

つまり、岩のようにごつごつとした形の氷砂糖がロックタイプです。

ロックタイプの氷砂糖は、大きさや形が不揃いなのが特徴です。クリスタルタイプの氷砂糖よりも粒が大きいです。

クリスタル

「クリスタル」を辞書で調べると、水晶、結晶という意味があります。

つまり、結晶の形(十六面体)をした氷砂糖がクリスタルタイプです。

ロックタイプとは違い、大きさと形がほぼ同じに整っているのが特徴です。ロックタイプの氷砂糖よりも粒が小さいです。

氷砂糖のロックとクリスタルの違い

原料は同じ

ロックもクリスタルも、氷砂糖はグラニュー糖白ザラ糖を原料にしてつくられます。グラニュー糖と白ザラ糖は、サトウキビもしくはテンサイを原料としてつくられます。

サトウキビは、イネ科の多年性植物です。茎だけで高さが3mにもなり、茎には竹のように節があります。高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。日本国内で、年間約18.6万トン*のサトウキビが生産されています。

テンサイは見た目は大根に似ていますが、植物学上ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。紅白の2種類があり、砂糖の原料として使用されるのは白色のほうです。甜菜は温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。日本の主な生産地は北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています。

氷砂糖に限らず砂糖全般に言えることですが、砂糖全般には賞味期限が設けられていません。食品表示法に基づき、砂糖は長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められています。

あらゆる砂糖の中でも、氷砂糖は特に長期保存に適しているといわれていますが、開封後はなるべく早く使い切る方がいいでしょう。

*2009年の国内原料における砂糖生産量

形が違うので使い方が違う

氷砂糖は基本的に果実酒の製造時に使われることが多いです。ロックタイプ、クリスタルタイプともに果実酒にお使いいただけますが、一般的に表面積が大きいロックタイプの方が早く溶けるといわれています。

また、ロックタイプ、クリスタルタイプともに他の砂糖よりも長期保存に優れ持ち運びやすいという点から、登山や災害時などの非常食としても用いられます。

結晶が大きいため、基本的には料理やお菓子作りには向いていませんが、すき焼きやジャム作りなどにはおすすめです。

製法も違う

氷砂糖は分蜜糖に該当します。分蜜糖とは、原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。

ロックタイプとクリスタルタイプの氷砂糖は、製造方法が異なります。メーカーによっても製造方法は異なりますが、ここでは一般的な製造方法をご紹介します。

ロックタイプもクリスタルタイプも、グラニュー糖や白ザラ糖を溶かした糖液が原料となります。グラニュー糖もしくは白ザラ糖を水に溶かして糖液をつくります。この時、糖液をブリックス(甘味度の単位)70〜72度程度まで濃縮させます。

糖液を結晶にするまでの過程が、ロックとクリスタルでは異なります。

ロック

ロックをつくる際は、糖液を浅い容器に入れ、種糖(たねとう)とよばれる5〜6mm程度の小さな純結晶を加え、45〜70℃に加温した結晶室に約2週間おき、ゆっくりと結晶を大きく成長させます。最後に結晶と液を分け、乾燥し砕いて製品となります。

クリスタル

クリスタルの作り方は、小さな結晶を種糖として回転式ドラムに入れ、50℃に保温した糖液中で回転させ、3〜4日間かけて徐々に結晶を大きくします。

氷砂糖が出来た後に得られる液は氷糖蜜とよばれ、かき氷の蜜や、蜜豆として用いられます。

ロックタイプの氷砂糖と比べて大量生産しやすいため、市場にはクリスタルタイプの氷砂糖が多く出回っています。

成分・カロリーは同じ

ロックもクリスタルも、成分とカロリーは同じです。

100gあたりのカロリー(エネルギー)は394kcalです。白ごはん100gあたりが168kcalなので、氷砂糖はカロリーが高いということがわかります。

氷砂糖のGI値は110であり、高GI値食品に分類されます。他の砂糖のGI値は、グラニュー糖は110、黒砂糖は99、てんさい糖は65です。GI値で見ると、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。

ミネラル成分を含む糖蜜を除いてつくられる砂糖なので、ミネラルなどの栄養はほとんど含まれていません。

<氷砂糖(可食部100gあたり)>

エネルギー・・・394kcal

水分・・・Tr

たんぱく質・・・0g

脂質・・・0g

炭水化物・・・100.0g

無機質(ミネラル)

  ナトリウム・・・Tr

  カリウム・・・Tr

  カルシウム・・・Tr

  マグネシウム・・・Tr

  鉄・・・0.1mg

  亜鉛・・・Tr

食物繊維総量・・・0mg


※100gあたり

※Trは微量という意味