ししとうの栄養素はβ-カロテンとビタミンCが特に豊富です。β-カロテンは抗酸化作用があり、老化防止が期待できます。ビタミンCには抗酸化作用以外にもコラーゲンの生成やメラニン色素生成の抑制などの働きがあり、美肌効果が期待できます。
ししとうは「ししとうがらし(獅子唐辛子)」の略語です。先端の形が獅子の口に似ていることから、この名前がつきました。
南米原産の唐辛子は辛み種と甘み種に分類され、ししとうは甘み種の唐辛子の仲間です。
実はピーマンも唐辛子の甘み種の仲間です。
6〜8月の夏が旬です。
国内の産地は高知県、千葉県、和歌山県、徳島県、宮崎県などです。国産ししとうの約4割が高知県産です。
京都特産の「伏見甘長(ふしみあまなが)」は10cm程の細長い品種です。同じく京都特産の「万願寺とうがらし」は大型で厚めです。
基本的にししとうがらしは辛くありませんが、水不足(乾燥)や高温などのストレスが加わると辛くなるといわれています。
緑色のししとうは熟れてくると、赤くなり甘みが増し、甘とうがらしと呼ばれます。
ちなみに、とうがらしの辛い部分はほとんどが白いワタの部分で、胎座(たいざ)と呼ばれる箇所です。胎座には辛味成分カプサイシンが多く含まれます。
唐辛子の辛味は水では消えません。辛味の元であるカプサイシンは脂溶性で水には溶けづらく、水を飲むとむしろ口中に辛みを広げてしまいます。
牛乳は胃への刺激を和らげるという説がありますが、辛味自体を消すわけではありません。
辛味を分解するポリフェノールが入っているコーヒーは辛味を和らげる可能性があります。
生レモンなどを酸味があるものをとると、辛味を打ち消す効果があるともいわれています。
食品成分表(可食部100gあたり)
エネルギー 27kcal
水分 91.4g
たんぱく質 1.9g
炭水化物 5.7g
カリウム 340mg
マグネシウム 21mg
ビタミンA(β-カロテン当量) 530μg
ビタミンK 51μg
ビタミンB1 0.07mg
ビタミンB2 0.07mg
ナイアシン 1.4mg
ビタミンB6 0.39mg
ビタミンC 57mg
ししとうの栄養成分はピーマンとほぼ同じです。また、とうがらしの辛味成分であるカプサイシンは発汗作用などがありダイエット効果が期待できますが、ししとうにはほとんど含まれません。
植物性食品のβ-カロテンは体内でビタミンAに変わります。同じく体内でビタミンAに変わる栄養素にはレチノールがあり、レバーなどに特に多く含まれます。β-カロテンはビタミンAとしての作用はレチノールに比べると劣るものの、抗酸化作用という独自の作用をもちます。
抗酸化作用とは体内の活性酸素の働きを抑えることをいい、β-カロテンには老化予防が期待されています。
ししとうにはビタミンCも含まれます。 ビタミンCの主な働きは、
です。 人間の体内にあるたんぱく質の1/3はコラーゲンであり、そのコラーゲンの生成にビタミンCが関与しています。コラーゲンは細胞と細胞をつなげる役割を果たし、皮膚や血管、筋肉、骨を健康な状態に保ちます。 また、ビタミンCの抗酸化作用は、日焼けやシミの原因になるメラニン色素の生成を抑制します。 さらに、ビタミンCの強い抗酸化作用は老化予防に役立つとされています。 ビタミンCは一度に大量に摂取しても余剰分は体外に排泄されてしまうため、毎食適量を摂取するのが大切です。
ししとうにはビタミンPも含まれており、ビタミンCの働きを高めます。
ビタミンCは熱によって壊れやすい性質があります。しかし、ししとうの果皮は固いため、ししとうのビタミンCは熱によって壊れにくいといわれています。全く失われないわけではないので、強火で短時間の調理を心がけましょう。
また、β-カロテンは油と一緒に摂ることで吸収力がアップするので、油を使った加熱調理がおすすめです。
ビタミンCは水溶性なので、煮るときに流れ出てしまいます。出汁は捨てずにししとうと一緒に摂取した方が無駄がありませんが、塩分の摂りすぎには注意しましょう。
ヘタを含めて全体的に鮮やかな緑色
ハリとツヤがあるもの
切り口が変色していない
細長く、小ぶりなもの
ヘタがしっかりしている
選ぶ際は見えませんが、鮮度が落ちたししとうの種は黒くなります。
ししとうに豊富に含まれるビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンになるのをに必要不可欠です。コラーゲンは細胞と細胞をつなげる作用があり美肌効果が期待できます。たんぱく質が豊富に含まれる食材には鶏肉や卵、油揚げなどがあります。
ししとうは身がしっかりしているためビタミンCが加熱によって壊れにくく、かつβ-カロテンとビタミンEは油で調理すると吸収率が上がるので、油を使った炒め物や揚げ物がおすすめです。
ただし、長時間加熱するとビタミンCの損失を招くので、強めの火で短時間で済ませるのがポイント。
ししとうを油を使って調理すると、カサが減り一度に多くを摂れるのもメリットです。
調理する前に包丁や竹串で小さな穴をいくつかあけておくと、加熱したときの破裂を防ぐことができます。
ししとうは丸ごと食べられますが、ヘタの少し上を切り落としましょう。
古くなり黒くなった種は辛い可能性があるので取り除きましょう。
鶏肉はたんぱく質が豊富です。上述しましたが、たんぱく質がコラーゲンになるのに必要なビタミンCです。ししとうにもビタミンCが含まれいてるので、美肌効果が期待できます。コラーゲンは細胞と細胞をつなげる役割をし、美肌効果が期待できます。
チキンとししとうのガーリック炒めのレシピはこちら
ししとうのビタミンCは壊れにくいのですが、水溶性なので煮ると流れ出てしまいます。そこで、汁も一緒にいただくのがおすすめです。ただし、塩分の摂りすぎには注意しましょう。
ししとうのあっさり煮のレシピはこちら
ビタミンCとβ-カロテン、ビタミンEはどれも抗酸化作用があります。これらの栄養素を含む食材を一緒に食べることで、老化防止などの効果がアップします。ビタミンEが豊富に含まれる野菜の一つにかぼちゃがあります。
かぼちゃとししとうの煮物のレシピはこちら
ししとうは痛むのが早いため、常温保存は向きません。冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。ししとうはキッチンペーパーに包んでからラップまたはシッパー付きポリ袋に重ならないようにいれて保存しましょう。
マストではありませんが、コップなどに入れて立てて保存するとより長持ちします。野菜は育ったのと同じ状態で保存することで、より長く美味しく保存することが可能です。元の状態に戻ろうとする余計なエネルギーを消費するのを防げるためです。
冷蔵保存の期間の目安は約1週間です。作り置きの冷蔵保存の期間の目安は2〜3日です。
1週間以上保存したい場合は、冷凍保存しましょう。ヘタも切らずに、そのままジッパー付きポリ袋に重ならないように入れて保存しましょう。ししとうは冷凍しても包丁で切れますし、種ごと食べられるので、カットせずに冷凍保存しましょう。調理するときにヘタだけ切りましょう。
ゆっくり解凍すると水っぽくなってしまうので、冷凍したまま調理しましょう。破裂を防ぐため、冷凍のまま竹串で穴を空けてから調理しましょう。
板木利隆(2008)『からだにおいしい 野菜の便利帳』高橋書店
白鳥早奈英(2009)『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』高橋書店
板木利隆(2016)『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店
名取貴光(2016)『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店
猪俣慶子(2012)『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版
主婦の友社(2011)『野菜まるごと大図鑑―知る!食べる!育てる』
講談社(2013)『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』
吉田企世子(2016)『旬の野菜の栄養事典』エクスナレッジ
池上文雄, 加藤光敏, 河野博, 三浦理代, 山本謙治(2018)『NHK出版 からだのための食材大全』NHK出版
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徳江千代子(2016)『昔ながらの知恵で簡単ストック! 食品保存の便利帳』宝島社
島本美由紀(2015)『ひと目でわかる! 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約!』講談社
島本美由紀(2019)『野菜保存のアイデア帖』パイインターナショナル
沼津りえ(2020)『食材保存大全』主婦の友社
食のスタジオ(2018)『おいしさ長持ち! 食品保存の便利BOOK』西東社
落合敏(2014)『新しい実践栄養学』主婦の友インフォス情報社
足立香代子(2015)『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』西東社
飯田薫子, 寺本あい (2019)『一生役立つ きちんとわかる栄養学』西東社
吉田企世子, 松田早苗(2021)『正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学』高橋書店
白鳥早奈英(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
新出真理(2021)『かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
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