麻婆豆腐に使う香辛料はどのような種類があるでしょうか。この記事では、麻婆豆腐作りに使われる香辛料に着目して、定番のものから隠し味まで様々な調味料を紹介します。
香辛料とはいわゆる「ハーブ」や「スパイス」と呼ばれる調味料の一種で、植物から採取され、調理の際に香りや辛味、色を出したり、臭みを消したりする効果を持ちます。
麻婆豆腐作りでは、花椒や鷹の爪などの辛味を加えるスパイスが使われることが多くなっています。
花椒(ホアジャオ)は、中国原産のミカン科サンショウ属の低木になる、しびれるような辛さとさわやかな香りが特徴的なスパイスで、主に四川料理で使われます。日本では四川山椒と呼ばれることもあります。
四川式の麻婆豆腐では必須のスパイスですが、日本で一般的なレシピの多くでは使われることは少なく、隠し味として使われることがあります。
ホールのままで売られていることもあれば、粗挽きまたは粉状に挽かれて売られていることもあり、近年では日本のスーパーで見かけることもあります。
山椒(サンショウ)は、日本原産のミカン科サンショウ属の低木になる小さな果実を乾燥させたスパイスです。
花椒とは同じサンショウ属の木になる実から造られますが、花椒は熟した実を乾燥させて果皮のみを使用するのに対し、山椒は熟す前の果皮を粉末にして作られているため、さわやかな香りが特徴で、花椒のしびれるような辛味に比べると辛味はマイルドです。
日本ではメジャーなスパイスであり、麻婆豆腐を作る際、花椒の代わりとして使われることがあります。
トウガラシの一種である鷹の爪は、麻婆豆腐を作る際、香味野菜と一緒に炒めて使うことで辛味を加える役割を果たします。輪切りにした赤く丸い鷹の爪は見た目でもよいアクセントになります。
たくさん入れると辛くなりすぎてしまうので、使うのは1本にしましょう。
七味唐辛子は辛味を足すトッピングでは定番ですね。辛いだけでなく、風味もプラスでき、味に深みも出ます。好みに合わせて一味唐辛子に変えてみるのも良いでしょう。
一味唐辛子は最初の香味野菜を炒めるタイミングで加えることで、麻婆豆腐にしっかりとした辛味を加えることができます。
柚子胡椒は、麻婆豆腐にピリッとした爽やかな味わいに加えることができるトッピングとして人気を集めています。豆板醤を使わない和風麻婆豆腐のレシピにも使われています。
塩・コショウはひき肉の下味として加えることが多い手軽に塩味を足すことができます。場合によってはすぐに塩辛くなってしまうので、少しずつ加えるようにしましょう。他の調味料を加えた方が塩味と一緒に旨味を追加できます。
麻婆豆腐を作る場合、日本料理の味付けの定番である醤油が良く使われます。定番は「濃口醤油」です。ごはんとの相性が良いバランスの取れた味に仕上がります。
さっぱりめに仕上げたい場合は「淡口醤油」がおすすめで、こってりとした濃厚なテイストに仕上げたければ「再仕込醤油」や「溜醤油」がおすすめです。
麻婆豆腐のレシピにも大体入っている鶏がらスープを加えることで、コクも足しつつ味を濃くすることができます。鶏がらスープを入れた分、水分が多くなってさらさらとしてしまうので、水溶き片栗粉も追加してとろみもつけましょう。
鶏がらの量が多いと味が濃くなってしまうので、調整しながら加えましょう。
豆板醤は中華料理では定番の中国発祥の発酵調味料の1つです。主な原料はそら豆と唐辛子で、ピリッと辛く、しょっぱいテイストが特徴です。麻婆豆腐などの中国の四川料理はもちろん、韓国料理でもよく使われる調味料です。
旨味もたっぷりで、豆板醤・甜麺醤・豆鼓醬の3つがあればいつもの料理が本格的な中華料理に近づきます。
中華料理に欠かせない調味料の甜麺醤は、小麦粉、塩、麹などから造られるコクのある甘口の味噌です。日本の味噌は米や大豆を原料としますが、甜麺醤には米や大豆が使われていないため、独特の味わいです。
麻婆豆腐に使うことでコクを加え、本格的な味に仕上げることができます。
豆鼓醤(トウチジャン)も中国発祥の調味料の1つで、蒸した大豆を塩漬けにし、発酵させて干した「豆豉」に砂糖や醤油、油などを加え使いやすくペースト状にしたものです。日本の食品でいえば八丁味噌に近いテイストと言われます。
少し濃いめのしょっぱさと独特の旨みがあり、中華料理に風味やコクを出すために使われます。
韓国料理によく使われるコチュジャンは、豆板醤の代わりに麻婆豆腐作りで使われることがあります。豆板醤と同じ唐辛子を原料とする調味料ですが、コチュジャンはお米やもち米などを原料としています。そのため、炒めると焦げやすい特徴があります。
強い辛みがありますが、お米由来の甘みも感じられるテイストです。
牡蠣のうまみたっぷりのオイスターソースを使うことで麻婆豆腐にコク深い旨味を足すことができます。中華料理などの様々な料理のレシピにも使われることが多く、冷蔵庫にある方も多いでしょう。
精進料理が普及している台湾では、牡蠣の代わりにシイタケを原料として製造した、精進オイスターソースというものもあります。
紹興酒は、深いコクと独特の風味、ほんのりとした甘さが楽しめる中国発祥のお酒です。中華料理店で料理と一緒に飲むイメージを持っている方が多いでしょう。
紹興酒は中華料理でコクを加えるために使われることが多く、麻婆豆腐の本格的なレシピでも紹興酒が使われています。
日本で多く作られる麻婆豆腐のレシピでは料理酒が使われることが多くなっています。コクや旨味をプラスし、お肉を柔らかくする効果があります。
いわゆる日本酒から造られる料理酒以外では料理用の赤ワイン・白ワインがありますが、ワインが麻婆豆腐作りで使われることはほとんどありません。
長ネギとは、ネギの中でも細長くのびて主に白い葉鞘の部分を食べるねぎを指し、「根深ネギ」「白ネギ」と呼ばれることもあります。これに対し、緑の葉の部分を中心に食べるねぎを「青ネギ(葉ネギ)」と呼びます。
長ネギは麻婆豆腐作りでの香味野菜の定番で、みじん切りにしたものをニンニクや生姜と一緒に炒めて使われたり、最後に入れてふわっと香りを加える薬味として使われたりしています。
辛味や甘みが特徴的な長ネギですが、こってりとした麻婆豆腐を爽やかにしてくれ、食感の違いも生み出してくれます。
タマネギは長ネギの代わりとして使われることがあります。生では辛味が強いため、最初に香味野菜と一緒に炒めて使われます。タマネギならではの甘みが出るので、お子様向けの麻婆豆腐にもおすすめです。
一方、タマネギの甘みでスパイシーさが少し弱まるので、辛めの麻婆豆腐が好みという方は香辛料を多めに加えると良いかもしれません。
にんにくは麻婆豆腐に使う香味野菜の定番で、香り以外にも様々な効果を発揮してくれます。うまみ成分のグルタミン酸が豊富で、お肉の旨味を引き出してくれるほか、お肉の臭み消しの役割も果たしてくれます。
後から味変として加える場合、チューブタイプのすりおろしを使うと便利です。
生姜も麻婆豆腐に使う香味野菜の定番で、すっきりとした香り以外にも様々な効果を発揮してくれます。麻婆豆腐にコクを加え、にんにくと一緒にお肉の臭み消しの役割も果たしてくれます。体が温まる効果もうれしいポイント。
こちらもチューブタイプのすりおろしを使うと簡単です。
トッピングの定番の青ネギは、麻婆豆腐の彩りを良くし、シャキシャキとした歯ごたえも楽しめます。青ネギの少しピリッとする爽やかな風味が麻婆豆腐の美味しさをより一層引き立てます。
青ネギは他にも様々な料理のトッピングとして使えるので、冷蔵庫にストックしておくと便利です。甘みがあって風味が良い九条ネギを使うのもおすすめです。
葉にんにくは成長途中のにんにくの葉で、隠し味というよりも本格的な四川風の麻婆豆腐作りで使われることの多い具材です。やわらかい食感で、にんにくのような強い臭いはなく甘めなので、麻婆豆腐の味わいが豊かになります。
日本ではなかなか手に入りにくいため、ニラやにんにくの芽で代用されることも多いです。
砂糖はプロの料理人の麻婆豆腐のレシピでも隠し味として加えられることもあり、麻婆豆腐に使っても違和感のある調味料ではありません。
近年では羅漢果(らかんか)などから造られる低カロリーないし0カロリーの砂糖もあるので、糖質が気になる方はそちらを使ってみても良いでしょう。
みりんは砂糖の代わりに使われることがあり、甘みとコク・旨味を加える目的で使われます。料理酒と同じ日本酒ベースの調味料で、和食づくりに欠かせない調味料です。煮物では料理に照りを出すためにも使われます。
みりんにはもち米・米麹などを原料とするアルコール度数14度の「本みりん」と、ブドウ糖や水あめなどの糖類や香料で作られるアルコール度数1度未満の「みりん風調味料」があります。
料理酒と同じアルコールの効果による味の染み込みやお肉などの臭い消し、煮くずれを防ぎたい場合には「本みりん」を使うのがおすすめで、加熱を必要としないドレッシングや和え物には、アルコールがほとんど含まれていない「みりん風調味料」を使うのがオススメです。
香味油を麻婆豆腐に軽く回しかけて香りづけするだけで、香り豊かな麻婆豆腐になります。特に中華料理と相性の良いごま油は、サラダ油の代わりに香味野菜や豆板醤を炒めるのに使われることもあります。
ごま油以外には花椒油やねぎ油、マー油などもおすすめです。
ラー油も中華料理によく使われる調味料で、ごま油などの植物油に唐辛子を加えて造られる香味油です。辛みと香ばしさを手軽に加えることができ、辛いもの好きな方に好まれています。
お酢を入れることで辛さがマイルドになり、辛みを抑えることができます。隠し味にも使われることがあり、違和感なく溶け込んでくれます。中華料理には黒酢がとても相性が良くおすすめですが、黒酢がない場合は他のお酢でも大丈夫です。
ただし、入れすぎる味のバランスがおかしくなってしまうので注意しましょう。
ピーナッツバターはピーナッツから造られる甘いペースト状の食品です。中華料理では「花生醤」として、様々な料理のタレの材料に用いられます。バターという名前ですが、牛乳などの乳製品は全く使われていません。
麻婆豆腐に用いることでコクを出すことができ、甘みも隠し味になります。
大きなものを買うとなかなか使い道がなく、寒い時期には固まってしまいがちな蜂蜜ですが、麻婆豆腐に甘みを加える隠し味として使われます。
優しい甘みが特徴的で、コク深さもプラスできます。お子さんが食べる麻婆豆腐に加えるのもおすすめです。
カエデ科の木の樹木を煮詰めて造られるメープルシロップは、砂糖や蜂蜜に比べると甘さはやや控えめで、隠し味として使うのはもちろん、麻婆豆腐が辛いけど甘くしすぎたくはないという方におすすめです。
ちなみに、スーパーなどで見かける「ケーキシロップ」や「パンケーキシロップ」は、カエデの樹液由来ではないシロップをベースに、メープルシロップを配合するなどしてメープルシロップ風に調製したものです。
様々な旨味が凝縮された焼き肉のたれも隠し味におすすめです。何となく味が決まらないときに少し入れるだけでぐっと味がまとまることもあります。入れすぎてしまうと味のバランスがおかしくなってしまったり、濃くなりすぎたりするので要注意です。
保育園や幼稚園で出る麻婆豆腐はケチャップが使われていることが多く、一般の家庭でも、お子さん向けにおすすめです。ケチャップの甘酸っぱさが辛味を抑えてくれます。
ただし、洋風な風味が麻婆豆腐の味に大きな影響を与えてしまうため、美味しいものの麻婆豆腐とは少し違う味になってしまうともいわれます。
豆鼓醤や甜麺醤の代わりに使われることが多いのが八丁味噌です。愛知県岡崎市を中心に生産されている味噌の一種で、大豆を原料として作られています。
大豆のうまみが凝縮された独特のコクや渋みがあり、好き嫌いの分かれる味噌でもあります。
意外かもしれませんが、様々なスパイスが使われているカレー粉を少し混ぜるだけで麻婆豆腐が奥行きのある味わいになるのでおすすめです。ただし、入れすぎると味がおかしなことになってしまうので気を付けましょう。
甘酒は原料の酒粕や米麹由来のコクをプラスすることができ、隠し味としておすすめです。優しい甘みの甘酒を入れることで麻婆豆腐の辛さを和らげることができるので、麻婆豆腐が辛い場合にもおすすめです。甘酒を入れた分、水分が多くなってさらさらとしてしまうので、水溶き片栗粉も追加してとろみも足しましょう。
甘酒にわずかに含まれるアルコール分は加熱によって飛んでしまいますが、お子さんも食べる場合はアルコールが含まれていない、米麴が原料となっている甘酒を選ぶと安心です。
少し意外な組み合わせに思えるかもしれませんが、イチゴジャムには甘みはもちろん、旨味や酸味も程よく含まれているので、麻婆豆腐をコク深い味わいにできます。
ただし、味の主張が強い分少し入れるだけでも味のバランスが変わってしまうので、小さじで少しずつ加えるのがおすすめです。
いつもの味に飽きたらアレンジまたはリメイクもおすすめで、作りすぎて余っている場合にもおすすめです。
マッシュ状にしたジャガイモやおからなどと麻婆豆腐を混ぜ、衣をつけて揚げることで簡単にコロッケが作れます。いつもよりもスパイシーで食べ応えのあるコロッケになります。
麻婆豆腐を耐熱皿に移し、パンやチーズをのせてオーブンで焼くだけでパングラタンに早変わりします。いつもの麻婆豆腐が少しおしゃれな一品に早変わりです。量が少ない場合はトマトやホールトマト缶を加えるのもおすすめです。
麻婆豆腐を卵で包み、オムレツにすることで卵の柔らかい甘みに包んで辛みが誤魔化せます。ただし、ゆるめの麻婆豆腐では卵に包むのが少々難しいので、フライパンで水溶き片栗粉を加えて再加熱するか、別の料理にリメイクしましょう。
牛乳をたくさん入れてクリーム煮にすることで辛味を大幅に抑え、ミルキーな味わいに仕上げてしまうのも手です。生クリームを使えばよりコク深い味わいになります。
買ってから時間が経ってしまって発酵が進んだ酸っぱいキムチが冷蔵庫にありませんか。酸っぱくなったキムチは辛味の強い麻婆豆腐と相性が良く、キムチ麻婆豆腐にすることで、辛さを抑えたアレンジレシピにすることができます。
同じ味噌を使った味噌ラーメンの上にのせてラーメンの味変として食べられることもあります。ラーメンのスープと合わせることで辛さが薄まるのでおすすめです。
豆腐は水分を多く含んでいるので、事前に水分を抜く「水切り」をしっかり行わないと豆腐の水分が出て料理の味が薄まり、イマイチ味が決まらない原因になってしまいます。また、豆腐の内側に含まれている水分が適度に抜けることで崩れにくくなり、味がしっかりと染み込みます。
また、豆腐を入れてから麻婆豆腐を仕上げるまでにはそれほど時間がないため、 豆腐の芯が冷たいままになってしまうのも回避できるので、しっかり水切りをするのが麻婆豆腐を美味しくつくるコツです。
料理前に20分程度ザルに出しておくだけでもある程度水分が抜けます。より美味しく仕上げたいという方はキッチンペーパーに包んで重しをのせて冷蔵庫に置いておく、塩水に漬けておく、湯通しする、電子レンジで軽く温めるといった方法もあります。
麻婆豆腐を作る際、いきなりひき肉を炒めるのではなく、ネギやにんにく、生姜などの香味野菜を油で炒め、油に香りをしっかり移しましょう。
味を辛めに仕上げたい人はここで赤唐辛子や鷹の爪を炒めるのがおすすめですが、赤唐辛子は焦げやすいので炒める際に注意が必要です。
生姜やにんにくのなどの香りを引き出した後、ひき肉を炒めます。ひき肉の色が変わった段階で火を止めるのではなく、ひき肉は炒め続けた状態で調味料などを加えることで、ひき肉の内側から油分が出てコクをプラスできます。
豆板醤などの調味料と一緒に炒めることで調味料の風味も引き立ち、ひき肉の臭みも取れます。
調味料を入れて炒めた後、豆腐を入れて煮込みますが、豆腐を入れた後は強火のままグツグツと煮込むのではなく、中火程度に落として煮込みましょう。
強火のままだと豆腐から水分が出て水っぽい仕上がりになり、豆腐も硬くなってしまいます。一方、弱火だと豆腐にしっかり火が通らないために味がしみ込まず、全体の水分もうまく蒸発しないため、水っぽくなってしまいます。
水溶き片栗粉などでとろみを加えて弱火で1~2分煮込んだ後は、サラダ油かゴマ油などの香味油をさっと回し入れ、強火でさっと加熱しましょう。強火で加熱することで片栗粉にしっかり火が通り、しっかりとしたとろみがつき、時間が経ってもサラサラになりにくくなります。
油を加えることで香ばしさが出ることに加え、豆腐に染み込んだ味を油が閉じ込めてくれるので、豆腐の内側の水分とともに味が抜けてしまうことを防いでくれます。また、艶のあるとても美味しそうな見た目になります。
万能ねぎや花椒(山椒)を入れる方は火を止めたタイミングで入れましょう。
麻婆豆腐のレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
しいたけとニラを加えた麻婆豆腐です。
麻婆豆腐のレシピはこちら
辛い料理が苦手な方やお子様も美味しくいただけます。
麻婆豆腐(甘め)のレシピはこちら
アボカドは使い方がワンパターンになりがち。いつものアボカド料理に飽きたら試してほしい一品です。
アボカド麻婆豆腐のレシピはこちら
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