とうもろこしって変色する？色別に原因と対処法を解説

とうもろこしは色々な色に変色することがある

新鮮なとうもろこしは、ひげは白、皮は緑色、実は黄色をしています。しかし、様々なことが原因で変色してしまうことがあります。変色する主な原因は下記の通りです。

• カビ：白・黒・赤

• 生理現象：黒

• 酸化：赤

• 天然色素：赤・茶色

• 遺伝子：白

• 完熟：茶

• 腐敗：茶色・黒

• 品種：紫・黒・緑・赤・橙色

変色していると腐ってしまったのではないかと驚く方も多いかと思いますが、腐敗のみが変色の原因というわけではありません。とうもろこしが変色してしまう原因を知っておくと、食べることができるのかそうでないのか判断しやすくなります。

とうもろこしが変色する原因

皮や実が白・黒・赤はカビ

とうもろこしが変色している場合、その変色の原因はカビである可能性があります。

とうもろこしの皮や実に白いフワフワとしたほこりのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が集まり黒く変色しているように見える場合は黒カビが生えています。また、とうもろこしには赤カビが生えることもあります。この場合は食べられないので破棄してください。

じゃがいもなどの固い野菜で表面のみにカビが生えている場合、カビが生えている箇所を取り除けば食べられます。しかし、「カビ」と一口に言っても様々な種類があり、とうもろこしには死亡例もあるアフラトキシン類などのカビ毒を発生させるカビが生えることもあります。

かび毒は加熱しても危険なので、注意しましょう。

出典：

• かびとかび毒についての基礎的な情報（農林水産省）

• いろいろなかび毒（農林水産省）

粒の付け根が黒はブラックレイヤー

とうもろこしの粒を茎から外してみると、付け根の部分が黒く変色していることがあります。これはブラックレイヤーとよばれる生理現象によるものです。腐敗しているわけではないので食べることができます。

とうもろこしは完熟すると、粒の付け根の部分の細胞が変色し黒い層を作ります。これをブラックレイヤーといいます。ブラックレイヤーの形成初期がとうもろこしを収穫するのに適した時期といわれています。

ただし、粒全体が黒く変色している場合や形が崩れている場合は腐敗しているので注意しましょう。

芯が赤・茶色は天然色素

とうもこしの芯が赤や茶色に変色して見えることがあります。一見傷んでいるように見えますが、これはとうもろこしが元々もつ天然色素によるものです。そのため、食べても大丈夫です。

野菜にはさまざまな天然の色素が含まれています。例えばぶどうにはアントシアニンと呼ばれる紫色の色素が多く含まれているため紫色をしています。

とうもろこしには、「ゼアキサンチン」と呼ばれるカロチノイド系の黄色や赤色の色素が含まれています。通常は色素が表面に現れることはないのですが、生育環境や加熱することが原因で表面上に現れ赤や茶色に見えることがあります。

通常のとうもろこしにも含まれている成分ですので、食べても人体に害はありません。

酸化が原因の場合も

保存していたとうもろこしの芯や粒が赤や茶色に変色するのは、酸化が原因であると考えられます。この場合も腐敗しているわけではないので食べることができます。

とうもろこしに限らず、収穫してから時間が経つと野菜に含まれているポリフェノールなどが空気中の酸素にふれて酸化し、変色してしまうことはよくあります。例えば、カットしたりんごが変色してしまうのも酸化が原因です。

腐敗のサインが見られなければ食べることはできますが、鮮度は落ちている状態です。早めに食べきるようにしましょう。

白い粒が混じっているのは遺伝子

一般的にスーパーなどで販売されているとうもろこしの粒は黄色ですが、皮を剥いたときに白い粒が混ざっていることがあります。白く変色していると心配になりますが、これは遺伝子によるものなので問題ありません。

とうもろこしには大別して黄色い粒を作る系統と白い粒を作る系統があります。

黄色は優性形質、白色は劣勢形質であるため交配すると白い遺伝子は形に現れにくく、通常は黄色い粒のとうもろこしができます。しかし、白い粒を作る性質ももっているため白色の粒も作られることがあります。この場合、優性形質の黄色の粒と劣性形質である白色の粒がつくられる比率は、3対1になるように遺伝の法則で決まっています。

ただし、上述したように白いフワフワとしたほこりのようなものがついている場合は、白カビです。注意しましょう。

ひげが茶色は完熟のサイン

とうもろこしのひげが茶色く変色しているのは、完熟しているサインです。ひげが薄緑色でさらさらしているとうもろこしは未熟な状態で収穫されたものです。

ひげが茶色く変色しているとうもろこしは、一見鮮度が落ちているように見えますが、美味しく食べられる状態です。スーパーなどで購入するときはひげが濃い茶色をしているものを選ぶと良いです。

ちなみに、とうもろこしのヒゲには、むくみ解消効果があるといわれるカリウムが豊富に含まれています。最新の研究では花粉症などのアレルギー症状にも効果があるといわれています。ヒゲを乾燥させて煎じてコーン茶として飲むのがおすすめです。

全体的に黒・茶色は腐敗

上記で紹介したように、変色の原因は腐敗だけではありません。変色していても食べられることもありますが、全体的に黒や茶色に変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いです。

腐敗したとうもろこしは、当たり前ですが食べることはできません。腐敗している食材には細菌が繁殖していることがあり、細菌の種類によっては下痢や嘔吐などの症状が現れることもあります。

美味しく食べることはできませんし、加熱しても死滅しない細菌もあるため破棄しましょう。

カラフルな品種もある

一般的にスーパーなどで販売されているとうもろこしは黄色をしていますが、とうもろこしには様々な色の品種があります。

代表的なのは白い品種の「ピュワホワイト」や、白・黄色・紫が混ざった品種「ウッディーコーン」、白と黄色が混ざった品種「バイカラーコーン」、紫色の品種「紫とうもろこし」です。

その他にも品種改良により様々な色のとうもろこしがあり、近年では紫や青、ピンク、緑、黄色のレインボーカラーの「グラスジェムコーン」も話題になっています。

とうもろこしの変色を防ぐ方法

生理現象・天然色素・完熟による変色は防げない

ブラックレイヤーやとうもろこしがもつ天然色素、完熟することによって実やひげの色が変色してしまうのは残念ながら防ぐことはできません。

上記で紹介したように、腐敗しているわけではありませんし問題なく食べることができるのでそのまま調理をしてたべましょう。見た目の悪さが気になる場合は、変色している部分をカットして取り除くと良いです。

カビ・酸化・腐敗による変色は正しく保存すれば防げる

カビが生えたり酸化や腐敗によって変色してしまうのは、正しく保存しておくことで防ぐことができます。そもそも、とうもろこしは、「お湯を沸かしてから畑に採りに行け」といわれるほど、鮮度が落ちやすいです。変色だけではなく、1日経つと栄養価や甘みが半減するといわれています。購入後（収穫後）はすぐに食べるか、食べきれない場合は正しい方法で保存することが重要です。

それでは、とうもろこしの正しい保存方法を紹介します。

とうもろこしの正しい保存方法

とうもろこしの鮮度を保って正しく保存する保存をご紹介します。とうもろこしは熱に弱いため常温での保存はNG。すぐに食べるなら冷蔵、長期保存したい場合は冷凍や乾燥での保存がおすすめです。

なお、下記でご紹介しているとうもろこしの保存方法の詳細はこちらの記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。

冷蔵保存

とうもろこしは夏に旬を迎える野菜ですが、実は熱に弱いため常温保存は適していません。したがって、高温・乾燥状態での保存は避け、冷蔵庫で低温で保存するのがポイントです。

購入後すぐに食べる場合のみ常温保存も可能ですが、できるだけすぐに調理するようにしましょう。

生のまま（2〜3日）

購入したとうもろこしをすぐ食べる場合は、生のまま冷蔵庫で保存します。とうもろこしを生のまま冷蔵保存する場合の保存期間の目安は2〜3日です。

水分が蒸発しないように皮付きのまま保存しますが、まず始めに土などで汚れている皮を取り除き、ヒゲを切り落とします。ヒゲは調理バサミで切り取るとまな板いらずで楽です。ラップでとうもろこし全体を包み、冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて（軸を下にして）保存しましょう。

横に倒して保存してしまうと、立ち上がろうと上に曲がってしまいます。またこの際に糖をエネルギーに使ってしまうため、甘みが低下してしまいます。

茹でて（1週間）

2〜3日以内に食べきれない場合は、下茹でしてから冷蔵保存します。茹でてから冷蔵保存する場合の保存期間の目安は1週間です。

とうもろこしの皮を剥き実を水洗いします。茹でて粗熱が取れたらラップでとうもろこし全体を包み、冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。

また、とうもろこしを茹でる際にでる茹で汁は調理には使わず捨てることをおすすめします。栽培時や輸入時に使用される農薬が残っている可能性があるためです。

冷凍保存

とうもろこしは収穫直後から栄養価や甘みが急速に落ちてしまうので、長期保存したい場合は冷凍保存をしましょう。

冷凍する場合は、生のまま冷凍、下茹でして冷凍、ペースト状にして冷凍する方法がありますので、それぞれを詳しくご紹介していきます。

生のまま（2ヶ月）

とうもろこしを生のまま冷凍保存する場合の保存期間の目安は2ヶ月です。皮を剥いてから保存するのも可能ですが、皮を剥いた状態だと味が落ちやすいので、皮付きのまま冷凍保存することをおすすめします。

汚れている外側の皮を数枚取り除き、ヒゲを調理バサミで切り落とします。ラップでとうもろこし全体を包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

皮付きのまま冷凍したとうもろこしは、解凍時に皮を剥いたらすぐに調理しましょう（味が落ちやすいため）。生のまま保存すると、解凍時に食感が損なわれてしまうので、コーンスープなど食感が気にならない料理に使用するとよいでしょう。

生のまま冷凍したとうもろこしを丸ごと食べる場合は、電子レンジ600Wで6〜8分ほど加熱するか、水から茹でて食べます。調理に使用する場合はラップをしたまま電子レンジで（600W）で1〜4分ほど加熱してから皮を剥き（皮付きの場合）、お好みの大きさに切って使います。また、凍ったまま調理するのも◎。

茹でて（1ヶ月）

とうもろこしを茹でてから冷凍すると、調理時に使い勝手がよく便利です。生のまま冷凍するよりも保存期間が短くなってしまいますが、解凍してもとうもろこしのシャキッとした食感が損なわれにくいため、サラダや炒めもの、炊き込みご飯として食べると美味しくいただけます。

とうもろこしの皮を剥き、ヒゲを調理バサミで切り落とします。熱湯で固めに茹でたら粗熱を取ります。茹でたとうもろこしは輪切りにして保存します。

茹でて実を外して冷凍も◎

実を外して保存してもOK。実を外した状態で保存すると、調理したい時に簡単に使えて便利です。

実を外す方法は上記でご紹介したように、先に縦2列分ほどの実を取り除いた後に、その列から親指の腹で削ぐようにすると実を綺麗に取ることができます。冷凍用保存袋に入れ空気を抜いてからジッパーを閉め、冷凍庫で保存します。実を外して冷凍する場合は実同士がくっつきやすいので、使用する前に袋を振って実をほぐしましょう。

解凍する際は、自然解凍（前日に冷蔵庫に移し一晩置く）したり、流水解凍します。電子レンジで加熱したり、熱湯で解凍することも可能で、凍ったまま調理に使用するのもOKです。

ペースト状にするのも◎（1ヶ月）

とうもろこしをペースト状にしてから冷凍するのもおすすめです。ペースト状にして冷凍したとうもろこしの保存期間の目安は1ヶ月です。

茹でたとうもろこしをフードプロセッサーやミキサーなどで撹拌してペースト状にします。冷凍用保存袋に入れる時は、なるべく均一に、薄い平らに入れます。必要な分だけ手で折って取り出せるので便利です。

凍ったままの状態でミルクに溶かしてコーンスープが簡単に作れます。他にはクリームシチューやコロッケ、パン、離乳食にもおすすめです。

乾燥保存

とうもろこしを乾燥させてから保存する方法もあります。乾燥とうもろこしはかなり長い間保存することができ、最長で半年も保存することが可能です。乾燥した後は密閉容器に入れ常温または冷蔵で保存するようにしましょう。

天日干し（常温・冷蔵で半年）

とうもろこしはまるごと天日干しします。皮を剥きますが、剥ぎ取るのではなく、バナナの皮を剥くように上から下（軸の方）に向かって剥いていきます。軸の方に集まった皮を紐のようにして使い、物干し竿などに括り付けます。雨などが当たらないような軒下やベランダで2〜4週間ほど干します。雨天時は一度室内に取り込むようにしましょう。

天日干ししたとうもろこしはそのまま食べることもできますし、水やお湯に戻してスープの具材などとして食べることもできます。お湯で戻せば時短になりますが若干食感が劣るので、水で戻すのがおすすめです。

変色以外の注意すべきとうもろこしの特徴

腐敗したとうもろこしのサインは変色だけではありません。下記のような特徴があるとうもろこしは腐っている可能性が高いので、食べずに捨てるようにしましょう。

• 全体的に痩せていて軽い（実がスカスカになっている）

• とうもろこしのヒゲが少ない、乾燥している

• ぬめりがある

• 酸っぱい臭いがする

• 粘り気のある食感がする

• ぐにょぐにょしている

新鮮なとうもろこしの選び方

当たり前ですが、新鮮なとうもろこしの方が保存期間が長くなります。新鮮なとうもろこしには下記のような特徴があります。

• 皮がついたままのもの

• 外側の皮（オニ皮）がみずみずしく濃い緑のもの

• 全体がふっくらしてるもの

• 先端部分が凸凹していないもの

• 先端のヒゲが多くしっかりとしていて濃い茶色のもの

• 切り口が黄色く変色していないもの

とうもろこしのヒゲ1本はとうもろこしの実1粒とつながっているため、ヒゲが多いものほど粒がぎっしりと詰まっています。もしもとうもろこしの皮がついていない状態で販売されている場合は、粒がそろっていて指で押して少しへこむくらいのものを選ぶと良いです。