三温糖とてんさい糖の違い。甘さ・使い道・栄養素・カロリーを比較

三温糖とてんさい糖の違い①原料

三温糖

三温糖の原料はサトウキビまたはテンサイ（甜菜）です。

サトウキビは、イネ科の多年性植物です。茎だけで高さが3mにもなり、茎には竹のように節があります。高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。日本国内で、年間約18.6万トン*のサトウキビが生産されています。

テンサイは見た目は大根に似ていますが、植物学上ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。紅白の2種類があり、砂糖の原料として使用されるのは白色のほうです。甜菜は温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。日本の主な生産地は北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています。

*2009年の国内原料における砂糖生産量

てんさい糖

てんさい糖の原料はその名の通りテンサイです。

てんさい糖はサトウキビを原料に作られることはなく、北海道のテンサイを100%使用して製造されます。

三温糖とてんさい糖の違い②製造方法

砂糖は製法によって分蜜糖（ぶんみつとう）と含蜜糖（がんみつとう）に大別されます。

分蜜糖は、原料を絞った搾り汁（糖汁）から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖（結晶と糖蜜の混合物）を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。さらに分蜜糖はザラメ糖や車糖、加工糖などに細分化されます。三温糖は分蜜糖に分類されます。

含蜜糖とは、原料の絞り汁（糖汁）から、不要な成分や不純物を大まかに除去し、そのまま加熱・濃縮して固化させた砂糖のことを指します。てんさい糖は含蜜糖に分類されます。

三温糖

三温糖は、サトウキビやテンサイを原料に上白糖をつくる際に得られる糖蜜から作られます。上白糖やグラニュー糖を分離して残った糖蜜を数回カラメル色になるまで加熱したものが三温糖です。

三温糖という名前は、「糖蜜を三度煮詰めてつくる」という工程に由来しています。三温糖が茶色いのは煮詰めたときに黄褐色に色付くためであり、原料そのものの色ではありません。

三温糖の製法についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。

てんさい糖

てんさい糖は原料であるテンサイの搾り汁から不純物を取り除き、搾り汁を煮詰めて作られます。

ただし、近年「てんさい糖」の名称で販売されている砂糖の中には、分蜜糖を製造する際に得られる糖蜜を煮詰めて作られるものもあります。

てんさい糖の製法についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。

三温糖とてんさい糖の違い③見た目

三温糖

三温糖とてんさい糖はどちらも茶色ですが、三温糖のほうが色が濃いです。三温糖の色は糖蜜を煮詰めることでつく色で、原料そのものの色ではありません。

三温糖の形状は小さな粒状で表面には細かい結晶が見られ、やわらかい手触りが特徴です。

てんさい糖

てんさい糖は三温糖と比較して淡い茶色をしています。てんさい糖は三温糖とは異なり、原料そのものの色です。

てんさい糖は小粒で粒の大きさが比較的揃っているのが特徴で、三温糖と比較してサラッとしています。

三温糖とてんさい糖の違い④甘さ

三温糖

三温糖は一般的に家庭で使われている上白糖よりも糖度は低いですが、上白糖と比較すると甘いと感じる方が多いです。これは、三温糖に含まれる不純物質（ミネラル分、アミノ酸、有機酸など）の影響であると考えられます。

てんさい糖との大きな違いは風味です。三温糖は糖蜜を煮詰めているためカラメル風味があるのが特徴です。

てんさい糖

てんさい糖にも独特の風味とコクがあり、素材そのもののまろやかな甘みです。

三温糖と比較するとてんさい糖のほうが糖度は高いのですが、上述したように糖蜜を煮詰めている分風味が強い三温糖のほうが甘いと感じる方が多いようです。

三温糖とてんさい糖の違い⑤栄養素・カロリー

三温糖

三温糖100gのカロリーと栄養素は下記の通りです。

エネルギー…382kcal

• 水分…1.2g

• たんぱく質…Tr

• 脂質…0g

• 炭水化物…98.7g

• カリウム…13mg

• カルシウム…6mg

• 鉄…0.1mg

• 食物繊維総量…0g

※「Tr」とは、微量含まれるという意味

てんさい糖

てんさい糖100gのカロリーと栄養素は下記の通りです。

エネルギー…395kcal

• たんぱく質…0g

• 脂質…0g

• 炭水化物…98.8g

• カルシウム…1.0mg

• カリウム…4.0mg

• マグネシウム…0.3mg

• 鉄…0.18mg

• 食物繊維総量…0g

また、てんさい糖にはオリゴ糖が含まれています。上白糖など他の砂糖にはオリゴ糖は含まれていません。オリゴ糖は、糖質の一種で、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養源となるといわれています。したがって、腸内環境を整える効果が期待できます。

三温糖とてんさい糖の使い分け方

煮物や製菓用などコクを出したいときには三温糖がおすすめ

三温糖は甘味が強く、カラメル風味が感じられるため、煮物や佃煮、菓子などの調理に向いています。煮魚に使うとコクが出て奥深い味が出ます。特に、サバの味噌煮には最適とされています。

ちなみに三温糖に限らず砂糖全般にいえることですが、砂糖は材料への浸透が食塩より遅いため、煮物を作る際は、砂糖を先に加えると良いといわれています。

三温糖よりもまろやかで優しい甘みを出したいときには、てんさい糖を使うと良いでしょう。てんさい糖も一般的に家庭で使われることが多い上白糖と同様に料理全般や菓子、コーヒーなど幅広く使用することが可能です。

どちらが健康にいい？

三温糖とてんさい糖は共にカリウムなどのミネラルが含まれています。含有量でいえば三温糖のほうが多く含まれているので三温糖のほうが健康に良いのではと思う方も多いと思いますが、摂取できる無機質（ミネラル）の量は微々たるものなので「ミネラルが豊富」とはいいきれません。

血糖値の上昇具合を示すGI値でいえば、三温糖のGI値は108で高GI値に該当するのに対しててんさい糖のGI値は65で中GI値に該当します。上白糖（白砂糖）はGI値109、黒砂糖のGI値は99なので、てんさい糖は、あらゆる砂糖の中でもGI値が低いことがわかります。

そのため、血糖値の上昇を抑えたい場合にはてんさい糖を利用するのが良いでしょう。

三温糖とてんさい糖はお互い似代用可能？

三温糖とてんさい糖は、どちらも料理に甘みを与える調味料であるためお互いに代用可能です。

ただし、三温糖とてんさい糖はそれぞれ甘みや風味が異なるため、料理やお菓子の味や食感が若干変わる可能性があります。

上述したように三温糖はより濃厚でコクのある風味があり、てんさい糖は比較的優しい甘さが特徴的です。代用する際には、使用する量やその料理やお菓子の特性に応じて微調整をするとより美味しく仕上げることができます。