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ビストロとバルの違いとは?店の雰囲気・メニュー・語源を比較

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ビストロとバルの違いとは?店の雰囲気・メニュー・語源を比較

ビストロとバルの違いについて詳しく解説していきます。

ビストロとバルの違い①日本語での違い

ビストロ

日本で「ビストロ」といった場合は、漠然とヨーロッパ風のレストランを指します。価格帯もお店によって様々で、料理内容もフランス料理やイタリア料理などさまざまです。中にはアメリカ料理やインド料理を提供しているお店もあるなど、日本には様々なジャンルのビストロが存在します。

料理がメインの飲食店なので、子供から大人まで様々な年齢層の人が利用します。ドレスコードや入店年齢制限は設けられていない所がほとんどです。

バル

一方、日本で「バル」といった場合、酒場、お酒を提供する飲食店を指します。お酒に合うおつまみや〆料理を提供していることが多いため、食事の単価は安い傾向があります。ビストロのようにしっかりとした料理が提供されることは少ないです。日本で「バル」といった場合、「バー」よりもカジュアルなことが多いです。

お酒がメインな飲食店なので、大人の利用が多いです。日本のバルは、肉バルや魚バル、野菜バル、串揚げバルのように、食事のコンセプトを設けている所や、和酒バル、ワインバルのようにある種のお酒をメインに取り扱っている所が多いです。

食事やお酒以外に、ジェラートを専門に扱うジェラテリアバルや軽食を専門に扱うカフェバルといったお店もあります。

ビストロとバルの違い②本来の意味の違い

ビストロ

ビストロ

「ビストロ(bistro)」は元々フランス語で、「小さなレストラン」という意味です。フランスの家庭料理が低価格で提供されるカジュアルなレストランで、ワインなども提供されます。日本ではフランス料理自体が高級なのでビストロ=高級フレンチと思っているかもしれませんが、フランスにおける「ビストロ」はファミリーレストランのような存在です。

ビストロ(bistro)の語源には諸説あります。ナポレオン戦争後の1815年に、パリを占領したロシア軍がコーヒーを飲みに店を訪れた際に使用した、ロシア語で「早く」を意味する「bee-stra(ブィストロ)」に由来する説がありますが、これを証明するものがないので一部の言語学者によっては否定されています。

さらには、「宿屋」を意味する19世紀の言葉「bistro」に由来する説や、フランスのポワトゥー地方の方言で「小さな羊飼い、召使い」を意味する「bistraud」に由来する説、「安いお酒」を意味する「bistouille」に由来説などもあります。

「bistro」は「bistrot」と表記することもあります。

バル

バル

一方、「バル(bar)」は元々スペイン語(イタリア語では「バール」)で、軽食を提供するレストランを指します。日本語では「喫茶店」が最も近いと思われます。南ヨーロッパにおける「バル」でもお酒は提供されますが、メインはお酒ではなく、サンドイッチやコーヒー、アイスクリームなどお店によって違います。喫茶店としてだけでなく、バスや電車のチケットや宝くじ、タバコなどの販売を行っているお店もあります。

ヨーロッパでの本来の意味では「ビストロ」と「バル」はかなり近い形態であることがわかります。

バル(bar)という言葉は、一般的には棒状のものを指します。お酒や食事を提供するための障壁やカウンターの棒を指してバルと呼ばれるといわれています。棒という意味での「bar」の語源にも諸説あり、古フランス語の「barre」やラテン語の「barra」、ガリア語の「barros」などに由来するといわれていますが、定かではありません。

ビストロとバルの違い③アメリカでの意味

ビストロ

アメリカでの「ビストロ」の使われ方は、本来のフランス語の意味に近いです。フランス風の料理を提供するカジュアルなレストランを指します。

アメリカのビストロでもドレスコードや入店年齢制限は設けられていないことがほとんどです。本場のビストロと同様にカジュアルにフランス料理を楽しむことができます。

バル

スペイン語「バル」・イタリア語「バール」はどちらも綴りは「bar」で、英語では「バー」となります。つまり、アメリカでの「バル」は「バー」であり、酒場を意味し、日本での使われ方と同じです。

お酒がメインなので大人の客がメインです。ドレスコードはありませんが、入店年齢制限を設けてあるお店が多く、入店には身分証の提示が必要になります。アメリカの法定飲酒可能年齢は日本とは異なりほとんどの州で21歳以上(一部の州では19歳以上)となっています。ただしバーが食事も提供しているような場所であれば、未成年でも入店可能な場合もあります。

ビストロとバルの違い④定番メニュー

ビストロの定番メニュー

フランス料理を提供する「ビストロ」での定番料理をご紹介します。

エスカルゴ

エスカルゴ

食用カタツムリ。前菜として食べられる。

ビスク

ビスク

クリームベースのスープ。主にロブスターやカニなどの甲殻類をベースに作られる。

ラタトゥイユ

ラタトゥイユ

夏野菜の煮込み料理。フランス南部のプロヴァンス地方ニースの郷土料理。

キッシュ

キッシュ

生クリームと卵を使って作るフランスのアンザス=ロレーヌ地方の郷土料理。

フォアグラ

フォアグラ

ガチョウやアヒルの肥大した肝臓。フランスではクリスマスや祝い事などに食べる伝統料理のひとつ。

ポトフ

ポトフ

肉や野菜の煮込み料理。フランスの家庭料理の一つとされている。

グラタン

グラタン

フランスドーフィネ地方発祥といわれるフランスの郷土料理。「オーブンなどで料理の表面を焦がすように調理する」という調理法を意味し、グラタン・コンプレやグラタン・レジェ、グラタン・ラピットなど様々な種類がある。

ブルギニョン

ブルギニョン

牛肉の煮込み料理。フランス東部のブルゴーニュ地方の郷土料理。日本のビーフシチューの原型といわれている。

プティサレ

豚肉を塩漬けにした生ベーコン、または煮込み料理。

ステークフリッツ

ステークフリッツ

ステーキとフライドポテトを組み合わせた料理。

パテ

パテ

肉や魚などをペースト状、ムース状に練り上げたフランス料理。

クリームブリュレ

クリームブリュレ

フランス語で「焦がしたクリーム」を意味するカスタードプリンに似たデザート。

タルトタタン

タルトタタン

フランス発祥の焼き菓子。

タルトタタンに関してはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

バルの定番メニュー

ここではイタリアの「バル(バール)」で提供される定番メニューをご紹介します。

コーヒー類

コーヒー

イタリアで「cafe(カフェ)」というと、一般的にコーヒーのことを指す。イタリアには様々な種類が存在する。

【イタリアのバルで提供されているコーヒー例】

エスプレッソ(espresso)、カッフェ・マッキアート(caffe macchiato)、ラッテ・マキアート(Latte Macchiato)、カプチーノ(cappucino)、カフェラテ(caffelatte)、カフェ・アメリカーノ(Caffè Americano)、リストレット(ristoretto)、ドッピオ(doppio)、デカフェインナート(Decaffeinato)、 カッフェ・コン・パンナ(Caffè con panna)

パニーノ(パニーニ)

パニーノ

かたいパンで具材をパンで挟むイタリアのサンドイッチ。

トラメッツィーノ

トラメッツィーノ

食パンなど柔らかいパンで具材を挟むサンドイッチ。

ピッツェッタ

ピッツェッタ

四角いピザ、またはピザパンのような小さいサイズのピザ。オーブンに生地を広げて焼き、切り売りされる。

コルネット

コルネット

イタリア版のクロワッサン。中にクリームやジャムなどが入ったものも。イタリア人が朝食に食べる。

ジェラート

ジェラート

イタリア語で「凍った」という意味の氷菓。発祥はイタリア中部のフィレンツェといわれている。

ビストロやバルに似た飲食店

最後に、ビストロやバルに似た形態の飲食店をご紹介します。

トラットリア

トラットリア

トラットリア(trattoria)とは、気軽に入れる大衆向きの小さなイタリア料理店のことを指します。フランスの「ビストロ」によく似た飲食店です。

本場イタリアでは、トラットリアといえば家族経営のカジュアルなレストランのことを指し、伝統的な郷土料理などを提供しています。イタリアのトスカーナ地域の伝統的なトラットリアでは、料理は質素ですが量が多く、ほとんどが地元のレシピに沿って作られています。近年では、トラットリアよりも格式が高い「リストランテ」のような装いになっているレストランも多く、アットホームな雰囲気の場所は少なくなっているそうです。

トラットリアでは特にドレスコードは設けられておらず、カジュアルにイタリア料理を楽しむことができます。コース料理ではなく、前菜や主食などを単品で注文します。

オステリアとは

オステリア

オステリア(osteria)は元々ワインバーを意味していましたが、近年ではワインと軽食を提供する大衆的なお店のことを指します。日本の居酒屋に近い雰囲気のお店です。

お店によって提供している物や雰囲気ががらりと変わるのが特徴的で、飲み物のみを提供しているお店や男性客のみを対象としたお店、地方の音楽を店内で演奏するお店など様々な形態があります。

オステリアで提供されている食事は、トラットリアと比べてメニュー数が少ない傾向が強いです。地元の名物料理が提供されることがほとんどで、値段も良心的なお店が多いです。中には高級なオステリアもあるので、事前の確認が必要です。

一般的にはオステリアよりもトラットリアの方が格が高いとされています。また客層にも違いがあり、トラットリアは家族連れが多い一方で、オステリアはお酒を中心に提供するお店であることから大人の客が多いイメージです。ただしこれもお店の雰囲気や提供内容によって差があります。トラットリアもオステリアも、ドレスコードは基本的に無く、カジュアルな服装で入店できることがほとんどです。

タベルナとは

食べるな

タベルナまたはタヴェルナ(taverna)はイタリア語で食堂や居酒屋のことを指します。日本でいう居酒屋やバル、飲み屋のようなお店です。またギリシャではギリシャ料理を提供する飲食店を指します。タヴェルナはイタリアよりもギリシャで多く見かけます。

上述したオステリア(Osteria)との明確な違いはありません。どちらでもお酒や簡単な食事が提供されます。家族連れよりも大人の客が多いです。

タベルナと似た単語にタベルネッタ(Tavernetta)という言葉がありますが、タベルネッタはレクレーションルームやナイトクラブ、個人宅の部屋などの意味合いをもつ言葉です。

イタリアの飲食店には上記の他にエノテカやピッツェリア、スパゲッテリア、パスティッチェリアなどがあります。これらの違いについてはこちらの記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

ブラッスリー

ブラッスリー

ブラッスリー(Brasserie)はビアホール(ビールと軽い食事を提供する飲食店)やビール製造所を指します。イタリアンでいうバールやタベルナと同じようなイメージの飲食店です。

ブラッスリーではお酒をメインで提供しており、ビールを飲むお店といったイメージです。お酒に合うような簡単な料理も提供されます。

レストランやビストロなどとの違いは明確ではありませんが、レストランより庶民的、ビストロよりもさらにカジュアルな飲食店といった立ち位置にあるのがブラッスリーです。また、カフェよりも上の格式、カフェやレストランと同じ格式といった見方もあります。

カタカナではブラスリーやブラスリと表記することもあります。