日本で「トラットリア」という名前の飲食店があります、トラットリアにはどういう意味があるのでしょうか。トラットリア(trattoria)は、イタリア式の飲食店を指し、大衆食堂のような場所でカジュアルにイタリア料理を楽しむことができます。今回はトラットリアの解説、そしてリストランテやオステリア、エノテカなどイタリアの様々な飲食店の特徴を解説していきます。
トラットリアはイタリアの飲食店の一種で、気軽に入れる大衆向きの小さなレストランのことを指します。
トラットリアでは特にドレスコードは設けられておらず、カジュアルにイタリア料理を楽しむことができます。コース料理ではなく、前菜や主食などを単品で注文します。本場イタリアでは、トラットリアといえば家族経営のカジュアルなレストランのことを指し、伝統的な郷土料理などを提供しています。
イタリアのトスカーナ地域の伝統的なトラットリアでは、料理は質素ですが量が多く、ほとんどが地元のレシピに沿って作られています。近年ではより高級な装いをしているレストランも多く、アットホームな雰囲気の場所は少なくなってきています。
トラットリア(trattoria)の語源は、もてなすを意味するイタリア語「trarre」です。「trarre」という単語自体は、ラテン語で引くを意味する「 tractare、trahere」に由来するといわれています。
また、トラットリア(trattoria)という言葉は、ローマ帝国の出張に行く役人のための飲食物の提供を命じる手紙を意味する「littera tractoria」にも関連しているといわれています。
トラットリア(trattoria)の複数形はトラットリー(trattorie)となります。トラットリア(trattoria)は元々イタリア語ですが、英語でもそのまま「trattoria」といいます。
本来トラットリアは大衆向きレストランという意味ですが、日本では高級レストランでも「トラットリア」という言葉をレストラン名に使用しているところがあります。また、本場イタリアでもトラットリアという名称が、高級レストランの名称に用いられることがあります。
トラットリア(trattoria)に似た言葉に「リストランテ」や「オステリア」などがあります。
リストランテ(ristorante)は、イタリア語で高級なイタリア料理店を指します。トラットリア(trattoria)よりも格式が高く、イタリアンレストランの中では最も高級なレストランです。サービスはもちろんのこと、店内のインテリアや食器、カトラリーなどの質が高いです。リストランテでは基本的に予約するのがルールとされています。
コース料理が提供されることがほとんどです。多くのリストランテではワインソムリエが在籍しており、高級なワインを楽しむことができます。料金が高いため富裕層の利用が多く、主に結婚式や誕生日などのお祝い事で利用されます。ドレスコードが設けられている所が多く、男性はスーツやジャケットを、女性はワンピースやスーツを着用する必要があります。サンダルやハーフパンツ、ダメージジーンズなどカジュアルな服装では入店不可なことがありますので注意が必要です。
イタリアではリストランテといわれるレストランでも、ドレスコードを設けていなかったり、値段がそこまで高くなかったりと、カジュアルな店舗も増えています。トラットリアとリストランテの違いは曖昧になってきています。
オステリア(Osteria)はイタリア語で、元々ワインバーを意味していましたが、近年ではワインと軽食を提供する大衆的なお店で、日本の居酒屋に近いイメージのお店のことを指します。お店によって提供している物や雰囲気ががらりと変わるのが特徴的で、飲み物のみを提供しているお店や男性客のみを対象としたお店、地方の音楽を店内で演奏するお店など様々な形態があります。
オステリアで提供されている食事は、トラットリアと比べてメニュー数が少ない傾向にあります。地元の名物料理が提供されることがほとんどで、値段も良心的なお店が多いです。中には高級なオステリアもあるので、事前の確認が必要です。
一般的にはオステリアよりもトラットリアの方が格が高いとされています。また、客層にも違いがあり、トラットリアは家族連れが多い一方で、オステリアは大人の客が多いイメージです。ただしこれもお店の雰囲気や提供内容によって差があります。トラットリアもオステリアも、ドレスコードは基本的に無く、カジュアルな服装で入店できることがほとんどです。
タベルナまたはタヴェルナ(taverna)はイタリア語で食堂や居酒屋のことを指します。日本でいう居酒屋やバル、飲み屋のようなお店です。また、タヴェルナはギリシャでギリシャ料理を提供する飲食店を指します。タヴェルナはイタリアよりもギリシャで多く見かけます。
オステリアとの明確な違いはなく、お酒や簡単な食事が提供されます。家族連れよりも大人の客が多いです。
タベルナと似た単語に「タベルネッタ(tavernetta)」という言葉がありますが、タベルネッタはレクレーションルームやナイトクラブ、個人宅の部屋などの意味合いをもつ言葉です。
バール(bar)はイタリア語で喫茶店や酒場を意味します。イタリアだけでなくスペインなどの南ヨーロッパでも同じ意味合いで使われます。スペイン語では「バル」と発音します。
イタリアではカジュアルなカフェの意味合いをもちます。基本的には立ち飲みスタイルの喫茶店で、バリスタが淹れるエスプレッソやカプチーノを飲んだり、朝食を食べたり、仕事帰りにお酒を飲んだりします。喫茶店としての機能だけでなく、バスや電車のチケットや宝くじ、タバコなどを販売しているお店もあります。
バールには様々な形態があり、コーヒー中心のバールを「カフェ・バール」、食事中心のバールを「リストランテ・バール」、アイスクリーム中心のバールを「ジェラテリア・バール」といいます。イタリアで「カフェ」というと、一般的にはお店ではなくエスプレッソのことを指します。
「バール」は英語圏では「バー」と発音し、喫茶店の意味は消失し、酒場という意味になります。日本語の「バー」もこの意味でのみ使われていますよね。
エノテカ(enoteca)はイタリア語で直訳すると「ワインを収蔵する場所」という意味がありますが、派生してワインを取り扱う店を意味します。展示されているワインを客がその場で試飲し、気に入った商品を購入できるような場所です。料理の提供は基本的にはありませんが、チーズや生ハムなどのおつまみが提供されることはあります。
お店によってはトラットリアなどと変わらないような料理を提供する場所もありますが、基本的にはワインをメインに扱うお店がほとんどです。
ちなみに、日本にもワインを専門に扱う「ENOTECA」というお店があります。全国60店舗以上を展開し、オンラインでも世界のワインを購入することができます。
ピッツェリア(pizzeria)は主にピザを専門に提供する店舗のことを指します。ピザ以外にサラダやパスタ、ケバブなどを提供しているお店もあります。
多くのピッツェリアはテイクアウトがメインです。事前に電話やインターネットで注文するか、店頭で注文することもできます。店内でピザ職人が焼き、自身で持ち帰るか、配達業者によって指定の住所まで届けてくれます。ちなみに、男性のピザ職人はピッツァヨーロ(pizzaiolo)、女性はピッツァヨーラ(pizzaiola)といいます。
現在も営業している世界最古のピッツェリアは、イタリア・ナポリにある1738年創業のアンティカ・ピッツェリア・ポルトアルバといわれています。
スパゲッテリア(spaghetteria)とは、スパゲッティ専門店のことを指します。
スパゲッティを意味する「spaghetti」と、名詞に付いて場所を意味する接尾辞「eria」が組み合わさった言葉です。
スパゲテリアは、あまりメジャーな店舗形態ではありません。例えば、日本のチェーン店「洋麺屋 五右衛門」がスパゲッテリアに該当します。
パスティッチェリア(pasticceria)とは、お菓子やケーキを専門に販売しているお店のことを指します。また、ケーキやお菓子そのものを指す言葉でもあります。
イタリア・ミラノに本店を構える老舗カフェ「パスティッチェリア・マルゲージ(Pasticceria Marchesi)」は、200年以上の歴史があり、ミラノで最も古いパスティッチェリアのひとつといわれています。クッキーやケーキ、パイなどを楽しむことができます。
日本にも「パスティッチェリア」という名称を使ったケーキ屋が何箇所かあります。
次に、フランスのレストランの種類について解説します。
ビストロ(bistro、bistrot)は、フランス料理店を指す言葉です。居酒屋やカフェ、カジュアルレストランなど気軽に利用できるような料理店のことを指し、フランスの家庭料理が良心的な価格で提供されています。
元々はフランス料理を提供する小さな料理店、という意味でしたが、現代ではフランス料理以外の料理を提供するお店もあります。
イタリアにおけるトラットリアに近いです。
日本で「ビストロ」という名前のお店はたくさん存在しますが、高級レストランのような場所でも「ビストロ」と名乗るなど、明確なルールがあるわけではありません。
レストラン(restaurant)は、西洋料理を提供する料理店を意味するフランス語です。元々はリストランテのように、ドレスコードや入店の年齢制限が設けられてるような高級な料理店を指す言葉でした。
日本の「ファミリーレストラン(ファミレス)」は、本来の「レストラン」の定義には該当しないということになります。どちらかというとファミリーレストランは「ビストロ」に近いといえます。
現在は「レストラン」という言葉はフランス語でも(英語でも)、日本語の「レストラン」と同じように、一般的な料理店に対して使われます。
トレトゥール(traiteur)は、フランス語で惣菜屋を意味します。お菓子屋が作る惣菜という意味もあります。テイクアウト専門のお店が多いですが、イートインスペースが設けられた店もあります。
日本の惣菜屋と同じように、様々な料理が販売されています。フランスではサラダや肉料理、魚介類など幅広いジャンルの総菜が店頭に並んでいます。トレトゥールの激戦区では、いかに総菜を美しく陳列して客を惹き付けるかが重要になります。
トレトゥール(traiteur)の語源は「扱う。もてなす」という動詞「traiter」にあります。誰かに何かをもてなすという動作に由来します。
日本にも「トレトゥール」という名称の惣菜屋がいくつかあります。中にはビストロのような飲食店でも「トレトゥール」と名乗るお店もあるようです。ビストロやレストランと同様に、日本では名前付けに明確なルールがありません。
最後に、「トラットリア」を含む日本の料理店をご紹介します。
トラットリア・イタリアは、東京に本社がある株式会社共英企画が運営するイタリア料理店です。文京店、上野店、品川店、目黒店の4店舗を展開しています(2023年3月時点)。また、運営会社が異なりますが、六本木一丁目店と銀座店もあります(2店舗の運営会社は株式会社フーズサービス)。
イタリア料理やコースまたはアラカルトで提供されます。ワインやビールなどのアルコールの提供もあります。
トラットリア タンタボッカ(Trattoria Tanta Bocca)は、株式会社セレソンが運営する料理店です。東京
・渋谷にお店を構え、2008年のオープン以来、肉料理とワインを中心に提供しています。
お店の看板メニューはA5黒毛和牛の炭火焼き。ワインソムリエが選ぶワインとの相性は抜群です。某グルメレビューサイトで高評価を得ています。
トラットリア グランポッカ(Trattoria Gran Bocca)も、株式会社セレソンが運営する料理店です。こちらは東京・千代田区に2014年にオープンしたお店で、様々なイタリア料理をコースまたはアラカルトで提供しています。
トラットリア グランポッカの看板料理はローストビーフです。数量限定となるため、事前予約が推奨されています。
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