ダンベルスイングは、ダンベルを上下に振り回すことで全身を鍛えるエクササイズです。今回は、ダンベルスイングのやり方及びコツについてご紹介します。
ダンベルスイングは英語で「dumbbell swing」で、「ダンベルを弧を描くように振る」ことを意味します。ダンベルスイングという名称はその動作を的確に表していて、ダンベルの片方を持ってその遠心力を支えようとすることで全身を鍛えようとするエクササイズです。
ダンベルスイングという名称ではありますが、実施するときにはケトルベル(球に持ち手がついたような重り)を用いて実施してもよく、一般的にダンベルスイングで適用されるのはケトルベルの方が多いです。ただし、自宅やジムでケトルベルがない場合は、ダンベルを用いて実施しても全く問題ありません。
ダンベルスイングでは、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリング、脊柱起立筋、三角筋、僧帽筋を鍛えることができます。
大腿四頭筋は、太ももの前面についている筋肉であり、大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋から構成されている筋肉です。
大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。
ハムストリングスとは、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半膜様筋(はんまくようきん)、半腱様筋(はんけんようきん)という太ももの裏側に位置する筋肉の総称です。
三角筋は肩の筋肉であり、前部、中部、後部からなります。
僧帽筋は、首の後ろから背中にかけて走る筋肉です。
脊柱起立筋は、腸肋筋、最長筋、棘筋からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
お尻が垂れ下がった状態とは、お尻の筋肉がお尻全体の重さを支えきれなくなった状態を指します。お尻が垂れ下がると、まずはお尻の下部から垂れ下がり始め、徐々にお尻の上部も垂れ下がることで、最終的にはお尻全体が垂れ下がります。
大臀筋は、単一の筋肉では身体の中で最も大きい筋肉です(それに伴って、お尻周りの筋肉の中で最も大きい筋肉にあたります)。そのため、ダンベルクリーンで大臀筋を鍛えることでお尻を支える筋肉を強くすることで、お尻の引き締め効果及びヒップアップ効果を期待できます。
また、ダンベルスイングで鍛えることができるハムストリングスを発達させることで、お尻と太ももの境目がはっきりするようになります。ダンベルスイングでは、大臀筋とハムストリングスの両方からアプローチが可能で、お尻の引き締めおよびヒップアップ効果が期待できます。
ダンベルスイングで鍛えることができる僧帽筋、三角筋は、身体の見え方を印象付ける上で非常に重要な役割を果たしています。
まず、僧帽筋は背中の完成度を高めるために非常に重要な役割を担っています。一般的に、背中は「厚い」こと、「広い」ことを兼ね備えることで、男性ならば逞しく見えます。これに加えて、僧帽筋による凹凸感が出てくると、周りとは少し完成度が異なって見えるようになります。
次に、三角筋を鍛えるメリットとして、身体の見栄えを大きく改善可能であることが挙げられます。三角筋は発達していると外見から非常に分かりやすく、特に三角筋前部が発達していると肩全体の大きさが、三角筋中部が発達している逆三角形が、三角筋後部が発達していると背中の凹凸感が際立ちます。
ダンベルスイングで鍛えることできる大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリング、脊柱起立筋、三角筋、僧帽筋はどれも身体の中で占める割合が大きい筋肉です。
大臀筋は、単一の筋肉では身体の中で最も大きい筋肉で、大腿四頭筋は筋群で比較した場合に最も大きい筋肉です。さらに、脊柱起立筋、僧帽筋は単一では背中で最も大きい広背筋には劣るものの、背中のかなりの部分をカバーします。
さらに、三角筋は意外かもしれませんが、それ単独でも比較的大きい部位です。
そのため、ダンベルスイングでこれらの筋肉を鍛えることで効率的な代謝の改善を期待できます。
代謝アップはダイエットや冷え性の改善などに役立ちます。
ダンベルスイングで鍛えることができる大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングは運動を実施する際に積極的に活用される筋肉です。
これらの筋肉は、私たちが久しぶりに運動をすると非常に筋肉痛になりやすいことからわかる通り、下半身を使うほぼ全ての動作において稼働される筋肉です。
また、上腕二頭筋はものを持つ動作、脊柱起立筋は上半身を支える動作で稼働される筋肉です。以上から、ダンベルスイングでは、これらの筋肉を鍛えることで効率的な運動機能の向上を期待できます。
腰痛は、姿勢の乱れで発生することが非常に多いです。
姿勢を正しく保持するために、腹筋及び背筋を鍛えることが有効であることは非常に一般的であり、ダンベルスイングで脊柱起立筋、僧帽筋を鍛えることで姿勢改善を期待できるため、腰痛の予防を期待できます。
さらに、ダンベルスイングで鍛えることができる大腿四頭筋は鍛えることで骨盤を正しい位置にする役割があり、また、大腿四頭筋は体幹を下半身で支える働きがある大臀筋も身体を真っ直ぐ立たせる働きがある筋肉です。
そのため、ダンベルスイングで鍛えることができる、脊柱起立筋、僧帽筋、大腿四頭筋、大臀筋、には姿勢を改善する効果があり、これにより腰痛を予防する働きがあります。
筋トレ初心者のダンベルスイングの目安の重量は3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルスイングは両手でダンベルを支える種目であることから、重量を扱おうと思えば扱うことができます。ただ、重量を扱ってダンベルスイングを実施すると腰にかかる負担が高まるため、やや軽めの重量で実施するのがおすすめです。そのため、筋トレ初心者の方は、3〜5 kg程度の軽い重量でフォームをしっかりと確認しながら実施しましょう。
ダンベルスイングに少し慣れた方のダンベルスイングの目安の重量は5〜10 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ダンベルスイングは慣れてきても、前述した通り重量を扱うと怪我をしやすい種目です。そのため、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では5〜10 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルスイングを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のダンベルスイングの目安の重量は30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルスイングで30 kg以上を正確な可動域の中で扱うことができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、ダンベルスイングにおいて、重量を扱うことは怪我をするリスクが増えるだけでエクササイズ効率が増大するわけではないため、注意しましょう。
筋トレ初心者の場合、ダンベルスイングは12〜15回を3セット実施します。
ダンベルスイングは、重量を扱うと怪我をしやすい種目です。その分、回数をしっかりと設定してエクササイズ強度を高める必要があります。そのため、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
ダンベルスイングに少し慣れた方の場合、ダンベルスイングは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ダンベルスイングに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルスイングと一緒に実施するならばデッドリフト、スクワット、ダンベルクリーンなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
ダンベルスイングは、厳密にはダンベルを上げる位置によってエクササイズの名称が異なります。通常のダンベルスイングではダンベルを上げる位置が正面ですが、「アメリカンダンベル(ケトルベル)スイング」と呼ばれる方法ではダンベルもしくはケトルベルを頭上まであげ切ります。
基本的には、アメリカン方式の方が負荷は高くなりますが、重量物を頭上までもってくると、後ろに引っ張られることで腰などを痛めるリスクが高まります。落下した場合も頭に直撃する可能性があるので注意が必要です。
そのため、通常のダンベルスイングのフォームを身に付けたら、アメリカン方式を実践するようにしましょう。
ダンベルスイングは、重量物を身体から離れた部分で動かすことから、体幹部にしっかりと力を入れていないと重量物に引っ張られてしまうことで怪我をするリスクが高まります。
それを防ぐためには、まず腹筋側を意識する必要があります。腹筋側をしっかりと意識するためには、腹圧をしっかりとかけることを意識する必要があり、そのようにすることで怪我をするリスクを減らすことを期待できます。
ダンベルスイングを実施する上で、怪我をしやすいのが腰です。ダンベルスイングで腰を怪我するメカニズムは、ダンベルを上げる際、もしくは下げる際には上半身が曲がってしまうことで腰に負担がかかるということです。
これを防ぐためには、前述したように、腹筋側を意識するのに加えて、背中側も意識するのが重要です。具体的には、スクワットやデッドリフトを実施する際と同様に、背中をしっかりと張ることを意識することで背中が丸まってしまうことを防ぎ、これにより怪我をするリスクを減らすことが期待できます。
ダンベルスイングでは、前述したように、勢いを使ってダンベルを上げる動作を実施する必要があるため、必然的に通常のエクササイズと比較して腰への負担が大きくなります。
そのため、重量を重めに設定して実施してしまうと、腰にかかる負担が高くなり、怪我のリスクが高まります。さらに、重量を高くしすぎると、可動域が狭くなり、運動効果も低減してしまいます。
そのため、ダンベルスイングを実施する際には、やや軽いと感じる位の重量でしっかりと可動域を設定して実施するようにしましょう。
ダンベルスイングで最も怪我をしやすいのは、ダンベルを勢いを使って腰に上げる部分ですが、ダンベルを下げるときにも注意が必要です。ダンベルを下げる動作を行う場合には、負荷がかかっていないと想定することでそれまでしっかりと意識することができていた腹圧への意識が曖昧になりがちです。
特に、比較的高重量のダンベルを扱っている場合、ダンベルを下げたときに上半身が引っ張られることで腰を痛めるケースが多く発生します。そのため、ダンベルを下げるときにもしっかりと意識を払い、腹圧をしっかりかけるようにしましょう。
ダンベルスイングに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、ダンベルを下げるときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
デッドリフトは、ダンベルスイングの一部の動作を練習するのに適しているためです。
ダンベルスイングでは、ダンベルもしくはケトルベルを下方から正面もしくは頭上まで一気にあげるエクササイズです。そのため、重量物を「下方に下げる」、もしくは「上方に上げる」動作が含まれます。この動作ですが、デッドリフトと酷似しており、デッドリフトを実施することでこの動作をよりうまく実施することが期待できます。
デッドリフトは、まずは5〜8回を3セット実施します。
デッドリフトは、基本的にはパワー種目、つまり、重量を扱う種目とされており、回数よりも重量を増やすことで負荷を与えるエクササイズです。ただし、デッドリフトはダンベルデッドリフト以上にフォームが本当に重要であるため、一般的な筋トレで標準的な回数よりもかなり少ないとされている5〜8回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
上半身を戻しすぎないようにする。
下げすぎないようにする。
重量設定を重過ぎないようにする。
目線は正面。
背中はとにかくずっと張った状態を維持する。
スクワットは、腹圧を高める練習に適したエクササイズであるためです。
ダンベルスイングを実施する上で、最も重要なことが「怪我をしないこと」であり、そのためには腹圧をしっかりと高めて実施する必要があります。特に、バーベルを用いて実施するスクワットでは、怪我をしないためにしっかりと腹圧をかける必要があり、その点、ダンベルスイングと同様であると言え、腹圧をかける練習をすることが期待できます。
スクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
ダンベルクリーンは、ダンベルスイングと同様に全身運動であるためです。
ダンベルクリーンは、クリーン動作であるため、ダンベルスイングとはやや異なるものの基本的には全身運動であり、特徴がよく似たエクササイズです。エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する際には、どちらを先に実施しても問題なく、一緒に実施することで効率的に全身を鍛えることが期待できます。
ダンベルクリーンは10〜12回3セットを実施します。
ダンベルクリーンは、全身でダンベルを引き上げる全身運動であり、多くの回数を実施するエクササイズではありません。そのため、一般的な筋トレにおいて推奨回数とされている回数である12〜15回3セットを実施できる重量設定にしましょう。
下半身の力を使う。
背中を張ったまま実施。
重量設定。
ダンベルを下げる際にも注意する。
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