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筋トレ「クラムシェル」のやり方と効果を高めるコツを解説

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筋トレ「クラムシェル」のやり方と効果を高めるコツを解説

クラムシェルは、「ながら」運動で主に臀部を鍛えることができるエクササイズです。今回は、クラムシェルのやり方及びコツをご紹介します。

クラムシェルとは

クラムシェルは英語「clamshell」が由来で、「貝殻」を意味します。

トレーニングの種目名で「貝殻」というのは意味不明かもしれませんが、クラムシェルの動作を見るとその意味がわかります。クラムシェルの動作自体が、後述するように、貝が開いたり閉じたりするような動作と酷似していることから、クラムシェルという名前がついたと考えられます(余談ですが、クラムシェルという単語自体は、エクササイズだけではなく、採掘機、IT用語等にも用いられます)。

クラムシェルは、後述するように、コツさえ掴めばとても手軽に実施できるエクササイズです。忙しい方でも、テレビを見たり、本を読んだりしながらできるため、是非とも身につけたい種目です。

クラムシェルの効果・鍛えられる部位

中臀筋:腰痛の予防、ヒップアップ効果

クラムシェルは、後述するように太ももを開閉するエクササイズです。このため、支点となる中臀筋を鍛えることが期待できます。中臀筋は、臀部を形成する筋肉の一つであり、お尻の側面についています。お尻の筋肉で最も大きく、かつ有名な大臀筋よりも内側についている筋肉であり、かつサイズも小さいです。

中臀筋は、股関節の外転動作を司ります。つまり、脚を浮かせた状態の場合において、脚を横や斜め後ろに動かすことに作用します。以上の股関節の外転動作は、実は歩行の際に、身体を安定させる働きがあります。このため、中臀筋が弱いと身体が横に揺れることで歩行のバランスが崩れ、これをトレンデンブルグ跛行と呼びます。トレンデンブルグ跛行、つまり、身体のバランスが崩れながら歩くと、体幹が左右方向に振られることになるため、これにより腰痛の原因になることがあると言われています。つまり、中臀筋を鍛えることで歩行を安定させ、腰痛の予防効果を期待できます。

また、中臀筋は、お尻の上部を支える働きがあります。お尻が垂れ下がった状態とは、お尻の筋肉がお尻全体の重さを支えきれなくなった状態を指します。お尻が垂れ下がると、まずはお尻の下部から垂れ下がり始め、徐々にお尻の上部も垂れ下がることで、最終的にはお尻全体が垂れ下がります。中臀筋は、お尻の中でもやや上側に位置していることから、鍛えることでお尻の垂れ下がりの一部を改善し、これによりヒップアップ効果を期待できます。ただし、根本的なヒップアップ効果を期待するならば、中臀筋に加えて、お尻の大部分を占める大臀筋も鍛えることも効果的です。

梨状筋:腰痛の予防

クラムシェルは、前述したように中臀筋に刺激を入れることができるエクササイズであるため、それに伴って、梨状筋(りじょうきん)にも刺激を入れることができます。梨状筋とは、深層外旋六筋と呼ばれる梨状筋(りじょうきん)、上双子筋(じょうそうしきん)、下双子筋(かそうしきん)、内閉鎖筋(ないへいさきん)、外閉鎖筋(がいへいさきん)大腿方形筋(だいたいほうけいきん)の一つです。深層外旋六筋の中では最も上側に付いており、股関節を外旋させる際に働く筋肉で、基本的には中臀筋の作用と同様になります。

梨状筋は、坐骨神経の圧迫を防ぐ役割があります。坐骨神経とは、腰から脚まで走る末端神経で人体の中で最も太くて長い神経です。坐骨神経は、おそらく「坐骨神経痛」という名前で多くの人が一度は聞いたことがある神経だと思います。坐骨神経痛が発生すると、下半身の様々な部分に電気が走ったような痛みが走ります。坐骨神経痛は、何らかの影響で坐骨神経が圧迫されているため発生する症状であり、梨状筋を鍛えることでこれを防ぐことを期待できます。

内閉鎖筋、外閉鎖筋:腰痛の予防

クラムシェルでは、前述したように、深層外旋六筋の一つである梨状筋に刺激を入れることができます。この他に、クラムシェルでは深層外旋六筋の他部位として、内閉鎖筋及び外閉鎖筋にも刺激を入れることが期待できます。内閉鎖筋及び外閉鎖筋は深層外旋六筋の中ではやや下側に付いている筋肉で、何れの筋肉も股関節の外旋する際に働きます(外閉鎖筋は、股関節が内転する際にも僅かに働きます)。ただ、股関節が外旋するときに積極的に働く筋肉ではなく、むしろそれを補助し、股関節を安定させる働きがあります。股関節が安定することで、股関節自体の痛みを軽減することはもちろんですが、歩行する際の身体のバランスを改善し、腰痛の予防を期待できます。

クラムシェルのやり方

フォーム・角度

  1. 体側が床に着くようにして横になる。このとき、両脚を曲げておく(脚の角度は以下を参照)。
  2. 下側の手は頭を支えるようにし、上側の手は中臀筋あたりに置く。
  3. 中臀筋を支点にして膝を開くように動かす。
  4. ゆっくり元に戻す。
  5. 3から4を繰り返す。

太ももと上体の角度が45〜60度:中臀筋、梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋に刺激が入る。
太ももと上体の角度が60〜80度:中臀筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋(主に内閉鎖筋)に刺激が入る。
太ももと上体の角度が80〜90度:中臀筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋(主に外閉鎖筋)に刺激が入る。
太ももと上体の角度が90〜:中臀筋、外閉鎖筋に刺激が入る。

(深層外旋六筋は、上から順に梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋の順番でついており、角度が大きくなるほど、下側に負荷が移行すると覚えるとわかりやすいです)。

回数

クラムシェルは、20〜25回を3セットを目安に実施しましょう。

クラムシェルは、単独では非常に負荷の小さいトレーニングです。このため、標準的なエクササイズの回数としては多めの20〜25回を3セットを目安に実施しましょう。

クラムシェルは、前述した通り、太ももと上体の角度によって臀部で刺激が入る部分が異なります。このため、複数の角度で実施しても効果的であり、その場合には3セットのいずれも異なる角度で実施しても良く、また、異なる角度ずつで3セット実施したのを1セットとカウントして3セット実施しても良いです。

クラムシェルの効果を高める方法

複数の脚の角度で実施する

クラムシェルは、前述した通り、脚の角度によって特に深層外旋六筋で刺激が入る部位が異なります。1つの脚の角度で実施し続けると、1つの筋肉ばかりが刺激されてしまいます。クラムシェルで鍛えることができる深層外旋六筋はインナーマッスルに分類されるため、筋肉が歪に大きくなるということはありませんが、バランス良く鍛えることに越したことはありません。このため、クラムシェルを実施する場合には太ももと状態の角度を浅くした状態から深くした状態まで幅広く実施することがオススメです。

トレーニングバンドを使う

クラムシェルは、1回1回の動作の負荷は高くありません。それを補うようにして、回数を多くして実施しますが、負荷を高める別の方法としてトレーニングバンドを使うやり方もあります。トレーニングバンドを使う場合には、基本的には膝上にトレーニングバンドを巻いてクラムシェルを実施します。トレーニングバンドの選び方ですが、基本的には、やや負荷の低いものを購入するのがおすすめです。負荷が高すぎると、クラムシェルの場合には脚を開くことが困難になるためであり、少し負荷が小さいと感じるものを選ぶようにしましょう。

中臀筋の動きを意識する

クラムシェルに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、中臀筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での中臀筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。クラムシェルは、中臀筋の他に、梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋にも刺激が入りますが、これらの筋肉はインナーマッスルであるため中々意識し辛いです。このため、やや外側にある中臀筋の動きを意識した方が効果的です。

動作のスピード

クラムシェルに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

クラムシェルに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、クラムシェルでは、脚を下ろすときに息を吸い、脚を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です(クラムシェルは負荷の小さいエクササイズであるため、そこまで神経質になる必要はありませんが)。

クラムシェルと一緒にやるのがおすすめのエクササイズ

ひとつの部位を鍛えたい場合でも、複数の筋トレを実施することで様々な刺激が入り、効率的に筋肉を発達させることができます。下記で紹介する筋肉は、ヒップや脚周りの筋トレに最適です。

ヒップリフト

やり方

  1. 仰向けになった状態で、お尻を上げたら膝の角度が90度になる部分に足を配置する。
  2. 肩甲骨を支点にし、太ももから上半身が一直線になる部分まで上げる。
  3. お尻をゆっくり下げる。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ヒップリフトは、12〜15回を3セット実施するようにしましょう。

ヒップリフトもクラムシェルと同様に、「ながら」でできるエクササイズですが、負荷はクラムシェルよりもやや高めです。このため、一般的なトレーニングで推奨とされている12〜15回を3セット実施するようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで静止する。

  • お尻をゆっくり下げる。

  • お尻を上げる際に息を吐いて、お尻を下げるときに息を吸う。

サイドプランク

やり方

  1. 肘と片脚のみで身体を支えた状態をつくり、もう片方の脚を床に支えた方の足に置く。
  2. 上半身から下半身まで真っ直ぐになることを意識する。
  3. 1から2の状態を維持する。

回数

サイドプランクは、20〜30秒を3セット目標に実施します。

サイドプランクは、自体重を片足、片手で支えるエクササイズであることからエクササイズの強度としてはやや高いです。このため、まずは10秒3セット程度から始めて、最終的には20〜30秒を目安に実施するようにしましょう。負荷が高すぎる場合には片手及び片膝で身体を支えるように実施しても問題ありません。

効果を高めるポイント

  • 上半身から下半身までは真っ直ぐ。

  • できない場合には膝付きで実施する。

  • 身体のコアを意識する。

  • 上半身が腕に覆いかぶさらないようにする。

ワイドスクワット

やり方

  1. 脚幅を肩幅の1.5倍から2倍に設定する。このとき、つま先は外向きにする (ノーマルスクワットのときよりも角度をつけて外向きにする)。
  2. 上体が床と垂直になることを意識しながらしゃがんでいく (このとき、手は床と並行に前に出す)。
  3. 太ももが床と平行の状態になったら、切り返して元に戻る。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施するようにしましょう。

ワイドスクワットは、スクワットに分類されるエクササイズですが、ターゲットとなる脚及び大臀筋が大きいため、そこまで大きい負荷にはなりません。このため、一般的なトレーニングで推奨とされている12〜15回を3セットがおすすめです。

効果を高めるポイント

  • 膝をロックしない(=真っ直ぐに伸ばしきらない)。

  • ボトムポジションを低く設定しすぎない。

  • しゃがむときはゆっくり、立ち上がるときは素早く実施。