僧帽筋は、背中のシルエットを改善し、肩凝りを改善するために非常に重要な筋肉です。今回は、僧帽筋を効果的に鍛えるためのコツ及びその方法についてご紹介します。
僧帽筋は、首の後ろから背中にかけて走る筋肉です。
背中の筋肉というと、広背筋や脊柱起立筋といった筋肉の方が有名ですが、僧帽筋もれっきとした背中の筋肉です。イメージとしては、広背筋は背中の広さ、脊柱起立筋は背中の厚み、僧帽筋は背中の完成度に関係しています(必ずしも、このようにきれいに分類できるわけではなく、主観的要素が含まれています)。この「完成度」という表現はやや抽象的ですが、僧帽筋が発達していると背中の凹凸感が深まり、トレーニングレベルが非常に高いことを伺い知ることが可能です。
僧帽筋を鍛える場合、「背中と一緒に鍛える派閥」と「肩と一緒に鍛える派閥」が存在します。前者は、冒頭で述べた通り、僧帽筋が背中の筋肉であるということを念頭に置いているのに対して、後者は、サイドレイズなどの三角筋を鍛えるエクササイズの一部で僧帽筋が補助的に稼働することを念頭に置いています。どちらが良いというわけではなく、自身がしっくりくる方を選択するようにしましょう(トレーニング上級者ならば、背中を鍛える日と肩を鍛える日を隔日に設定し、両方の日で僧帽筋を鍛えるということも効果的です)。
僧帽筋は、上部、中部、下部に分けられる非常に大きい筋肉です(僧帽筋というと首周りの筋肉というイメージが非常に強いですが、実は背中中部まで走る筋肉です)。僧帽筋は肩甲骨の動きに関係しています。
僧帽筋上部は、僧帽筋の中でも首の横にある部分を指します。一般的に、僧帽筋と言うと、この僧帽筋上部を指すことが多く、僧帽筋上部は首を下に向けるときに働きます。
僧帽筋中部は、肩の後ろから肋骨の上部くらいにある部分を指します。一般的に、背中の上部の筋肉であるため、あまり僧帽筋とは認識されておらず、僧帽筋中部は胸を張るときに働きます。
僧帽筋下部は、肋骨の上部くらいから肋骨の下部までにある部分を指します。僧帽筋中部同様に、一般的に、背中の下部の筋肉であるため、あまり僧帽筋とは認識されておらず、物を引っ張るときに働きます。
肩が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
つまり、筋肉の緊張を解き、血流及びリンパの流れを改善することができれば肩の痛みを改善することが期待できます。ここで、僧帽筋は前述した通り、そもそも首回りの筋肉であることに加えて、肩甲骨周りの動きに影響を与えます。そのため、僧帽筋を鍛えることで首、肩甲骨周りの血流が改善され、肩こり改善が期待できます。
「姿勢が悪い」というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。
一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生していることが多く、姿勢の改善を行うためには、まず猫背の改善を行う必要があります。
僧帽筋を鍛えていない場合、肩甲骨が「巻いた」ような状態になり、これにより「猫背」になりがちです。つまり、僧帽筋を鍛えることで、肩甲骨が「巻いた」ような状態になることを防ぎ、これにより、姿勢が悪化してしまうことを未然に防ぐこと、もしくは改善することを期待できます。
代謝は「活動代謝」「食事誘発性熱産生代謝」「基礎代謝」の3つに分類することができます。
活動代謝は、身体を動かすことでエネルギーを代謝することを指し、筋肉量が多いと活動代謝は改善します。食事誘発性熱産生代謝は、食事を摂取することでエネルギーを代謝することを指し、摂取する食べ物に依存します。基礎代謝は、呼吸したり心臓を動かしたりする際にエネルギーを代謝することを指し、寝ていても座っていても消費されるエネルギーを指します。
僧帽筋を鍛えるということは、この中でも活動代謝、基礎代謝を改善するということを意味します。このため、僧帽筋を鍛えることで効率の良い代謝の改善を期待でき、これにより、ダイエット効果を期待できます。
僧帽筋は、前述したように、背中の完成度を高めるために非常に重要な役割を担っています。一般的に、背中は「厚い」こと、「広い」ことを兼ね備えることで、一般的に男性ならば逞しく見えます。
これに加えて、僧帽筋による凹凸感が出てくると、周りとは少し完成度が異なって見えるようになります。これらは、ボディメイキングの競技を行っている人にとって重要な視点ですが、服を着こなすという点でも重要です。つまり、僧帽筋が発達していると例えば、シャツがよりぴったり着てるように見えたり、襟が僧帽筋上部に乗っているように見えることで、服の着こなした様子がガラッと変わることが期待できます。
トレーニングをする際の手首の状態は、基本的には「掌屈」もしくは「背屈」に分類することができます。
「掌屈」とは、手首が内側に曲がった状態を指します。
「背屈」とは、手首が外側に曲がった状態を指します。
基本的に、背中のトレーニングでは、掌屈を意識して実施します。これは、前述したように、背中のトレーニングで特に握力を使って実施してしまうことを避けるためであり、手首を掌屈することで腕の末端部ではなく、背中を使ってトレーニングを実施しやすくなることが期待できます。ただ、これは、高重量を扱うと中々難しくなってくるテクニックであるため、このためにも、手首が掌屈できる重量で実施することが重要です。
僧帽筋は、前述した通り、上半身の中でも非常に大きい筋肉であることから、エクササイズも高重量を扱える種目が多いです。
これが特に顕著な種目がダンベル/バーベルシュラッグです。この種目は、可動域を意識しないととんでもない重量を扱うことができる一方で、エクササイズ効果は非常に限定的となります。これは、僧帽筋中部を鍛える種目であるロープーリーロウ、Tバーロウ、バーベルベントオーバーロウイング等でも同様のことが言えます。
つまり、僧帽筋は、有効可動域が非常に狭いエクササイズが多いことから、重量をやや軽めに設定して可動域をしっかりと設定することが重要です。
僧帽筋のエクササイズでは、他の部位を鍛えるエクササイズと同様に筋肉を収縮と伸展させることで鍛えます。
僧帽筋を伸展させる動作は、腰を張った状態でダンベル、バーベル、マシンのアタッチメントが背中を引っ張る動作を意識すると、自然と意識することができます。
一方で、僧帽筋を収縮させる動作は、意図的に背中の筋肉を収縮させることを意識しないと実施が難しいです。このため、僧帽筋を鍛える際には特に収縮動作を意識するようにしましょう。一般的によく言われるのが、「肩甲骨を寄せることを意識する」ということです。確かに、僧帽筋は肩甲骨周りの動きに関係しているため肩甲骨を寄せるような動きをすることは効果的ですが、背中のトレーニングをしている際に肩甲骨を寄せることを意識するのは意外と難儀です。むしろ、「肘をしっかり引く」ことを意識すると自然と僧帽筋が収縮した状態を作れるためオススメです。
僧帽筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
そのため、最初は難しいですが、僧帽筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での僧帽筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
こちらも僧帽筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
僧帽筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、僧帽筋が伸展するときに息を吸い、収縮のときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
まず、自分の体重で僧帽筋に負荷をかける自重トレーニングを紹介します。
まず、僧帽筋を鍛える自重トレーニングにプッシュアップがあります。
肩甲骨を動かすことを意識する。
身体を下げるときはゆっくりする。
トップポジションで肘を伸ばし切らないで常に負荷がかかった状態にする。
上半身から下半身までは一直線。
僧帽筋を鍛える自重トレーニングには、ディクラインプッシュアップもあります。
肩甲骨を動かすことを意識する。
身体を下げるときはゆっくりする。
トップポジションで肘を伸ばし切らないで常に負荷がかかった状態にする。
上半身から下半身までは一直線。
さらに、僧帽筋を鍛える自重トレーニングとしてパイクプッシュアップが挙げられます。
肩甲骨を動かすことを意識する。
身体を下げるときはゆっくりする。
次に、ダンベルを使う僧帽筋のトレーニングを紹介します。
まず、僧帽筋を鍛えるダンベルトレーニングに、ダンベルベントオーバーロウイングがあります。
背中が常に張った状態を作る。
目線は正面。
肘を引き切る。
ボトムポジションで僧帽筋の収縮感を意識できるとなお良い。
僧帽筋を鍛えるダンベルトレーニングにはダンベルシュラッグもあります。
姿勢をわざと悪くする。このため、腰に負担がかかりやすくなるため注意する。
僧帽筋を引き切り、収縮感を意識する。
重量の設定を重過ぎないようにする。
さらに、僧帽筋を鍛えるダンベルトレーニングとしてダンベルデッドリフトが挙げられます。
背中の動作で身体を動かすことを意識する (臀部主導にしない)。
教科書的なフォームでは上半身を戻し過ぎない (ただし、高重量を扱い、戻すことを意識して収縮の刺激を大きく入れるというやり方もある。)。
背中を常に張った状態を意識する。
重量の設定を重過ぎないようにする。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
ダンベルの種類としては固定式です。また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
まず、僧帽筋を鍛えるダンベルトレーニングに、チューブシーテッドローイングがあります。
チューブを短めにし、ボトムポジションでテンションがかかった状態にすると負荷を高めることが可能。
肘を引き切る。
背中を張った状態を作る。
エクササイズのバリエーションとして手首を外旋するようにスピネイトしても良い。
https://www.youtube.com/watch?v=CTAeFLD0Xgc
僧帽筋を鍛えるダンベルトレーニングには、チューブシュラッグもあります。これは前述したダンベルシュラッグと同じ動作を、ダンベルではなくチューブで行うトレーニングです。
チューブを短めにし、ボトムポジションでテンションがかかった状態にすると負荷を高めることが可能。
姿勢をわざと悪くする。
おすすめのチューブに、アディダスのパワーチューブ トレーニングが挙げられます。
本製品の特徴は、チューブに対してハンドルがついている点です。基本的に、トレーニングチューブはハンドルがついているものと、ついていないものがあるのですが、本製品は前者です。ハンドルがついているため、チューブを引っ張った際にチューブを把持(しっかり握ること)するのに握力がいらないことから、張力が強い物を扱えます。
本製品は、レベル1、2、3とあり、レベルが上がるにつれて負荷が高くなるのですが、個人的には、レベル1、2で十分です(自分にはこれくらいかなと考えるものよりも、1つレベルが下の物を選ぶのがポイントです)。
本製品の特徴は、本製品を購入するだけで異なる負荷の複数のトレーニングチューブが同梱されている点、ハンドルが複数種類同梱されている点です。
トレーニングチューブは自分のレベルにあった製品を購入するのが難しいという問題があります。そのため、このように複数のトレーニングチューブが入っていれば自分のレベルに合うものがある確率が高く、トレーニングチューブ選びで失敗しにくいです。また、チューブトレーニングをしていく中で、負荷を上げようとしたときに別製品を購入する必要がないというのも大きなメリットです。
本製品の特徴ですが、ハンドルなしのトレーニングチューブで非常にシンプルであり、値段もお手頃であるという点が挙げられます。トレーニングチューブを使い慣れていて、ハンドルは必要ないと考えている方にはおすすめの商品です。
まず僧帽筋を鍛えるマシントレーニングに、ロープーリーロウ(シーテッドロウ)があります。
しっかりと肘を引く。
脚の設定する部分はやや下目にすることで下腹部に引きつけやすくなる。
ボトムポジションで僧帽筋を伸展させることを意識する。
長座体前屈のように実施して、完全伸展させる方法もあるが、腰を痛めやすい。
僧帽筋を鍛えるマシントレーニングには、マシンシュラッグもあります。
姿勢をわざと悪くする。このため、腰に負担がかかりやすくなるため注意する。
トップポジションでしっかりと収縮させる。
重量設定を重過ぎないようにする。
さらに僧帽筋を鍛えるマシントレーニングとして、スミスマシンマシンシュラッグが挙げられます。
姿勢をわざと悪くする。
トップポジションで僧帽筋をしっかりと収縮させる。
重量設定を重過ぎないようにする。
バリエーションとしてスミスマシンのバーが背中側になるように立って実施する方法もある。
片手で反対側の耳に触れ、この状態で頭を横に倒すことで触れている耳の方の僧帽筋上部のストレッチを促します。10〜20秒間3セット実施するようにしましょう。
立った状態で、上体を、物を抱え込むような形を作り、その状態で上体を曲げ、腕を伸ばすことで僧帽筋下部、中部のストレッチを促します。10〜20秒間3セット実施するようにしましょう。
両手の手のひらを組んだ状態で頭の後ろに手を回し、後頭部を押すことで僧帽筋上部のストレッチを促します。肘を締めながら行うとより効果的です。10〜20秒間3セット実施するようにしましょう。
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