ごぼうは繊維質で固い野菜であるためシャキシャキとした食感を楽しめますが、高齢者や小さなお子様が食べる場合などできるだけ柔らかいほうが食べやすいですよね。本記事ではごぼうを柔らかくする方法を詳しく解説します。
ごぼうに限らず、野菜の繊維は歯ごたえをよくする一方で固さを感じる原因になります。そのため、繊維を断ち切るようにカットしておくことで、柔らかくすることができます。
繊維を断ち切っておくことで、火の通りが早くなったり味が染み込みやすくなるというメリットもあります。
ごぼうは、細めのささがきにすると歯ざわりがよくなり柔らかく感じます。飲食店などでも料理を上品に仕上げたいときによく使われている切り方です。
ささがきは、まずごぼうの表面に包丁で切り込みを入れます。切れ目を多めに入れておくと出来上がり細いささがきに仕上がりやすいです。切り込みを入れたら、片手でごぼうを持って鉛筆をけずるように包丁を動かしてささがきにしていきます。
ピーラーを使うと包丁よりも簡単にささがきにすることができますし、厚さが均等になりやすいです。
乱切りは食材を不規則な形に切る切り方のことです。乱切りにすることで表面積が大きくなるため、火の通りがよくなり、味が染み込みやすくなるため煮物料理にするときなどによく使われる切り方です。
ごぼうを乱切りにする場合は、ごぼうをまな板の上に置き、回転させながら斜めに切っていきます。大きく斜めに切っていくことで、繊維が断ち切られ柔らかくなります。
ごぼうを調理する際には斜め切りもよく使われます。
斜め切りにするときは、まな板の上に置いたごぼうを端から繊維を断つように斜めに切っていきます。薄く斜め切りにすれば、より食べやすくなります。
斜め切りにしたごぼうを重ねて棒状に切れば、簡単に千切りにすることもできます。千切りにすることで、ごぼうのシャキシャキ感を残しつつも歯切れがよく、食感も柔らかくなります。
根菜は皮に繊維が集中しており、皮ごと調理をすると長く加熱しても繊維が残ってしまうため皮をむいたほうが柔らかくなります。
ただ、ごぼうの場合は大根などと比較して皮は薄いため、大根などのように厚くむく必要はありません。むくというよりは、包丁の背などを使って多少白い部分が見える程度にこそげるのが良いです。「こそげる」とは「素材の表面の不要な部分をごく薄くこすり落とす」という意味で、例えば魚の鱗(うろこ)を落とすことをいいます。
ごぼうの皮には抗酸化作用のあるポリフェノールや食物繊維なども含まれているため、皮をむかないほうが栄養面ではメリットがありますが、少しでも柔らかくしたい場合や白く仕上げたい場合は厚めに皮をむいても良いでしょう。
きんぴらごぼうにするときなど炒める場合はカットしてそのまま調理をすることができますが、炒めるだけでは火が通りにくいため固く仕上がりやすいため、柔らかく仕上げたい場合は、一度茹でておくと良いです。
ごぼうを茹でるときは水から茹でます。
ごぼうに限らず根菜は、水からじっくりと加熱することで繊維が膨らみ柔らかくなります。沸騰させたお湯で茹でてしまうと加熱ムラができて外側だけ柔らかく中心部は固いままになってしまうことがあります。
カットしたごぼうを茹でる場合の加熱時間は、水が沸騰してから弱火で5分〜10分程度です。
ごぼうをカットせず丸ごと茹でることもできますが、ごぼうは細く切れば切るほど火の通りが早くなるため茹で時間が短くなります。
ごぼうを茹でるときは、ごぼうが水面から出るか出ないかぐらいの量が良いです。たっぷり水をいれて茹でたほうが柔らかくなる気がしますが、煮崩れしてしまうことがあるのでひたひたぐらいがちょうど良いです。
ごぼうは酢水で茹でることがありますが、これはごぼうの変色を防ぎ白く仕上げるためであり、柔らかくするためではありません。酢水で茹でると反対に柔らかくならなくなってしまうので、柔らかく仕上げたい場合は水で茹でましょう。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。そのため、酢水で茹でると柔らかくなりにくくなります。
柔らかくしたい場合は水で茹でるのが良いでしょう。反対にサラダにするときなど、シャキシャキとした食感を楽しみたい場合は酢水で茹でるのがおすすめです。
ちなみに、肉や魚の場合は酢を使ってpHが低くすることで筋繊維の間に水分が入り込む隙間ができるため保水性が高まり、さらにたんぱく質分解酵素の働きが活発になり筋繊維の結束が弱まるため柔らかく仕上げることができます。
出典:野菜・果実のペクチン質に関する調理科学的研究(J-stage)
ごぼうはレンジを使って柔らかくすることもできます。ごぼうのポリフェノールを酸化させ変色させる原因となる酸化酵素は熱によって失活することがわかっており、電子レンジで加熱することで水溶性の栄養素を流出させることなく変色を防ぐことができます。
ごぼうをレンジで加熱するときは、料理に合わせてごぼうをカットしておきます。上述したように繊維を断ち切るようにカットしておくと、より柔らかくなります。
ごぼうにはアクがあります。アクとは苦味やエグみ、臭みの原因となり料理の味を落とす成分の総称です。
アクがある野菜はアク抜きをしてから調理をすることが多いですが、ごぼうの場合はアク抜きをせずに食べても問題ありません。なぜなら、ごぼうのアクになる成分はポリフェノールであり人体に有害な物質ではないためです。ポリフェノールは抗酸化作用などむしろ人体にとって良い影響をもたらす成分です。
例えばほうれん草やたけのこのアクになるのはシュウ酸と呼ばれる成分です。シュウ酸は苦味やエグみを感じさせるだけではなく、カルシウムと結合しシュウ酸カルシウムとなり結石の原因になるなど人体に害があるためアク抜きをしてから食べる必要があります。
ごぼうのアクは害があるものではないのですし、栄養面でいえばアク抜きはしないほうが良いですが、苦味やエグみを軽減したい場合は水または酢水にさらしてアク抜きをしても良いです。
ごぼうをカットしたら、耐熱皿に乗せて水大さじ2杯程を回しかけます。水を回しかけたら、ふんわりとラップをかけて加熱します。
加熱時間はカットの仕方やレンジのワット数にもよりますが、斜め切りのごぼうを600Wで加熱する場合は2分半程です。
ごぼうを叩いて繊維を壊して柔らかくする方法もあります。
叩いて柔らかくする場合は、すりこぎや包丁の背でごぼうを叩いてからカットしていきます。
この方法は、たたきごぼうを作るときによく使われます。ごぼうを叩くことで繊維が壊れ柔らかくなるだけではなく、味が染み込みやすくなるメリットもあります。
ごぼうの太さは品種によっても異なりますが、ごぼうは太くなればなるほど、柔らかくなります。これは、大きく成長することでごぼうの繊維と繊維の間が広くなるためであるといわれています。
一般的にスーパーなどで販売されているごぼうは「滝野川ごぼう」という品種です。直径は10円玉程で、基本的には太すぎるものよりも、ほど良い太さのものが質が良いとされています。これは、大きく成長しすぎることで亀裂が入り空洞ができて中がスカスカになってしまうためです。このような状態を「スが入る」といい、空洞の周りはモロモロしていて口に残ったりするため食感が悪くなってしまいます。そのため太すぎるごぼうは基本的には避けるべきとされていますが、空洞部分を削ぎ落として使うことで食感の悪さを軽減し柔らかく仕上げることができます。
しかし、スが入る理由は成長のしすぎだけではありません。水分不足でスが入ることもあります。この場合は単に鮮度が落ちている状態なので、表面にハリがなかったり切り口が乾燥しているものは選ばないようにしましょう。
一般的にスーパーなどで販売されているごぼうは、春播き(10月〜11月どり)のもので、晩秋〜冬に旬を迎えます。新ごぼうとは、春播きしたごぼうを冬までまたずに早どりしたごぼうのことをいいます。別名「春ごぼう」や「夏ごぼう」とも呼ばれ、春から初夏にかけて市場に出回ります。
早く収穫しているぶん一般的なごぼうよりも短く、肉質が柔らかいのが特徴です。アクも少ないためサラダなど生食するのに適しています。
一口にごぼうといっても様々な品種があります。上述したように一般的に販売されているごぼうは「滝野川ごぼう」という品種です。ごぼうといえば滝野川ごぼうを指し、現在市場に出回っているごぼうの9割が滝野川ごぼうの派生品種です。一般的に販売されているごぼうは固いですが、柔らかい品種もあります。
大浦ごぼうは、匝瑳市大浦地区で生産されているごぼうの品種です。一般的に販売されているごぼうの直径が10円玉程であるのに対して、大浦ごぼうは直径30cmと太いのが特徴です。
大浦ごぼうは肉質が粗く空洞があり、一般的に販売されているごぼうよりも柔らかいのが特徴です。ごぼう特有の繊維があまり感じられず、歯切れがよいため子どもやお年寄りでも食べやすい品種です。空洞があることから味がしみこみやすく、煮物にするのに適しています。空洞を利用して肉詰めにすることも多いです。
堀川ごぼうは、春に撒いた滝野川ごぼうを6月に一度収穫した後、斜めにさして再び育て冬に収穫したものです。一般的に販売されている滝野川ごぼうとの違いは栽培方法で、直径6cm〜9cmと太いのが特徴です。
堀川ごぼうは繊維が柔らかいのが特徴で、肉質は軟らかく独自の芳香をもちます。六浦ごぼうと同じく中には空洞ができていて、味が染み込みやすく煮物にするのに使われることが多いです。
固いごぼうのおすすめ調理法はポタージュにすることです。また、切り方は、みじん切りやささがきがおすすめです。
米粉と豆乳を使ったポタージュです。
このレシピでは小麦粉の代わりに米粉を、牛乳の代わりに豆乳(無調整)を使用しています。
豆乳は米粉としっかり混ぜ合わせてから加えましょう。また、豆乳は焦げやすいので混ぜながら火にかけましょう。
ごぼうポタージュのレシピはこちら
しょうがの香りがアクセントになり、食欲をそそるひと品です。ご飯のお供にぜひ。
大豆の発酵食品である味噌には、たんぱく質が多く含まれています。
汁けがとぶまでしっかり炒めて、味を染み込ませましょう。
とり味噌のレシピはこちら
和のイメージが強いごぼうですが、洋風レシピでも美味しくいただけます。
ごぼうとあさりの洋風煮のレシピはこちら
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