ごぼうは加熱調理をして食べることが多いですが、実は生で食べられる野菜であることをご存知でしょうか。本記事ではごぼうの生食について詳しく解説します。
実はごぼうは生食できる野菜です。しかし、ごぼうを生食すると固く、またアク(灰汁)があり苦味やエグみを感じやすく食べにくいといった点から基本的には加熱調理をして食べられます。
ただし、ごぼうのアクとなる成分はポリフェノールであるためアク抜きをせずに食べても体に害があるわけではありません(むしろ体によい)。例えばたけのこやほうれん草のアクとなる成分は、シュウ酸と呼ばれるものです。シュウ酸は苦味やエグみを感じさせるだけではなく、体内のカルシウムと結びつき結石の原因になるなど人体に害があるためアク抜きをして取り除いて食べる必要があります。
一口にごぼうといっても様々な品種がありますが、一般的に販売されているごぼうは「滝野川ごぼう」という品種です。ごぼうといえば滝野川ごぼうを指し、現在市場に出回っているごぼうの9割が滝野川ごぼうの派生品種です。
ごぼうの作方には、早春播き(7月〜9月どり)と春播き(10月〜11月どり)、秋播き(5月〜7月どり)の3型あります。一般的に販売されているごぼうは春播きで晩秋〜冬に旬を迎えます。
新ごぼうとは、春播きしたごぼうを冬までまたずに早どりしたごぼうや、早生品種(早く育つ品種)のごぼうのことで「夏ごぼう」ともいわれます。新ごぼうの旬は6~7月の初夏です。
新ごぼうは一般的なごぼうと比較して、肉質がやわらかくアクが少ないのが特徴で、サラダなど生食をするのに適しています。
近年では生食に適した品種としてサラダ用のごぼうも開発されています。「サラダごぼう」は、その名の通りサラダにして食べるのに適した品種です。肉質が柔らかく皮が薄いのが特徴で、新ごぼうよりさらにアクが少ないのでアク抜きをしなくてもそのまま食べることができます。
私達が食べているのはごぼうの根の部分です。土の中に埋まっている状態で育ち、土から掘り出して収穫しています。近年は綺麗に洗いカットされた状態で販売されていることもありますが、鮮度を保つため泥が付いた状態で販売されていることも多くあります。
そのためごぼうを食べるときはごぼうの表面をしっかりと洗い泥汚れを落とすことが大切です。泥にはボツリヌス菌などの細菌がいることもありますし、食べたときに泥臭さを強く感じてしまいます。泥を落とすことは、泥に含まれる農薬を取り除くことにも繋がりますので綺麗に洗ってから食べましょう。
ごぼうを洗うときは、たわしを使うと良いです。ごぼうの表面には凹凸があり、凹凸部分に泥汚れが入り込んでいるため流水や手でこするだけではなかなか綺麗に落とせませんが、たわしを使うと綺麗に落とすことができます。たわしがない場合は、クシュクシュにしたアルミホイルでも◎
ごぼうは皮のすぐ下にうまみや香りがあるので、あまり強くこすって傷つけてしまわないように注意しましょう。
ちなみに泥汚れを落としてから販売されている洗いごぼうも、汚れが全くついていないというわけではないので、軽く流水で汚れを落としてから使うと良いです。
泥汚れは表面についているので、皮は剥いたほうが良いのでは思う方も多いと思いますが、皮には抗酸化作用のあるポリフェノールが多く含まれています。また、皮付近にはごぼうのうまみや香りがあるので、剥いてしまうと香りや味が損なわれてしまいます。
そのためごぼうの皮は剥くのではなく包丁の背でごぼうの表面を薄くこそぎ落として下処理をしておくのがおすすめです。
ごぼうを洗い、皮をこそぎ落としたらささがきや、千切りなどにします。加熱するのとは異なり固さがあるので、筒切りや短冊切りなどにしてしまうと食べにくくなってしまいます。できるだけ薄く細く、食べやすい大きさにカットすると良いでしょう。
上述したようにごぼうに含まれているポリフェノールは、体に悪い成分ではありませんが苦味やエグみを感じさせるアクになります。そのため、アク抜きをしたほうが食べやすくなります。
ごぼうのアクとなるポリフェノールは、水溶性の成分であるため30秒程水につけておくことでアク抜きをすることができます。ポリフェノールは酸化することで赤くなったり黒くなったりと変色してしまいます。水につけておくことは酸化による変色を防ぐことにも繋がります。
水につけておくだけでもアク抜きをすることができますが、ごぼうの苦味やエグみが苦手な方は1分ほど軽く茹でてアク抜きをすると、より食べやすくなります。ただし、茹ですぎてしまうと食感が損なわれてしまいますし、栄養素も流出してしまうので、茹ですぎないように注意しましょう。
ごぼうの生食には様々なメリットがあります。
ごぼうに限らず、食材を茹でたり炒めるなどの加熱調理をすることで、水溶性の栄養素や熱に弱い栄養素が流出してしまいます。そのため、生食することは食材に含まれている栄養素を無駄なく摂取することができるというメリットがあります。
ごぼうの場合は、アク抜きをするために水につけておくことも多いです。長時間水に浸けてしまうと水溶性の食物繊維やカリウムなどの栄養素が流出してしまいますので、長時間水に浸けてしまわないように注意しましょう。
ごぼうは「土臭い」といわれることも多いですが、土臭さこそがまさに根菜特有の風味であるとも言えます。ごぼうは上述したようにしっかりと洗えば、生食することでごぼう特有の香り高い風味を楽しむことができます。煮込んだり、油で炒めるなど加熱調理をしても美味しいですが、ごぼうそのものの味を堪能するには、やはり生食をするのが一番です。
ごぼうは加熱調理をすると柔らかくなりますが、生食をすると加熱したごぼうと異なるシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
しっかりとした歯ごたえは、満腹中枢を刺激するため少量でも満腹感を得ることができるというメリットもあるため、ダイエット中の方にもおすすめの食べ方です。
ごぼうには特に不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維のどちらも豊富に含まれています。水溶性の食物繊維は茹でたり水につけたりすることで溶け出しますが、生食の場合はそのまま摂取することになります。適量であれば便秘解消などの利点がありますが、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意が必要です。
もともと不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維はどちらも消化をする際に消化器官に負担がかかります。特に消化器官が未熟な小さなお子様やお腹の調子が悪いときなどは、ごぼうを生食することにより消化不良を起こす場合があるので加熱をしてから食べたほうが良いでしょう。
出典:食物繊維の保健効果(J-stage)
ごぼうを生食すると、ごぼう特有の香りや風味を楽しむことができる一方でエグみやくさみが気になってしまう方も多いです。
上述したように一般的に販売されているごぼうは特にエグみやくさみを感じやすいので、生食にはやはり新ごぼうがおすすめです。多少のエグみやくさみが気になっても、アク抜きをすることで食べやすくなります。
ごぼうを生食する際には、新鮮なごぼうを選んで購入することも大切です。
泥や土がついているごぼう=新鮮で良いごぼうというわけではありませんが、土や泥がついているごぼうは乾燥からごぼうを守ることができるため鮮度を保てている状態であると言えます。
特にすぐに使いきれない場合は、泥付きのごぼうを購入したほうが鮮度を保った状態で保存しやすいため、洗いごぼうよりも泥付きのごぼうを選ぶのがおすすめです。
ごぼうは、太すぎず細すぎない程よい太さのものを選ぶのが良いです。具体的な大きさの目安は10円玉程の直径があるものです。
太いほうが可食部が多い良いごぼうのように思いますが、太すぎるものは育ちすぎでスが入っていることがあります。「スが入る」とは中身に空洞が出来てスカスカになってしまうことを言います。スが入ってしまったごぼうは味が落ちていて食感も悪くなっています。反対に細すぎるごぼうは生育不良であることが考えられますので、ごぼうは程よい太さのものを選ぶようにしましょう。
ごぼうは太さが均一で真っ直ぐなものが良品です。
下のほうは太いのに上のほうは細いなど太さが均一でないごぼうや曲がってしまっているごぼうは、生育不良であったり、水分が抜けてしまっている部分がある場合があるので選ばないようにしましょう。
新鮮なごぼうは張りがあって弾力があります。張りがなく弾力のないごぼうは、水分が抜けてしまっている状態で鮮度が落ちています。
新鮮なごぼうに張りと弾力があるのは、ごぼうの繊維が水分をしっかりと蓄えているためです。ごぼうは収穫した後乾燥してしまうと繊維から水分が抜けて張りと弾力がなくなっていきます。表面がしなびて小枝のように見えるごぼうは明らかに水分が抜けてしまっているので避けた方が良いです。
ごぼうの表面はキメが細かく、ひび割れがないものを選ぶと良いです。
キメが粗くひび割れや亀裂が入っているものは、育ちすぎてスが入っていたり、水分が抜けてしまっている可能性があります。新鮮な良いごぼうとは言えませんので、表面の状態をしっかりと確認してから購入するようにしましょう。
ひげ根が少ないごぼうは、土壌の環境が良かったサインであると言われています。土壌環境がよかったごぼうは、しっかりと育っているため栄養素が豊富に含まれ風味も良いものが多いです。
ひげ根が多いごぼうはスが入ってしまっていることもあるので、避けたほうが良いです。
カットして販売されているごぼうは、切り口をチェックすることが大切です。切り口はみずみずしさがあるものを選ぶと良いです。
切り口が乾燥していてみずみずしさがないものは、水分が抜けていて鮮度が落ちています。水分不足のごぼうはスが入っていることもあります。切り口にスが入っているものはもちろんのこと、乾燥しているごぼうは選ばないようにしましょう。
切り口は白っぽく変色していないものを選びましょう。
切り口がピンクや赤に変色していたり、黒い輪や黒い筋が入っているものは、ごぼうに含まれているポリフェノールが酸化してしまっている状態です。腐敗しているわけではありませんが、鮮度が落ちている状態ですので、避けたほうが良いです。
正しく保存しておくことで、鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。ここからは生ごぼうの正しい保存方法を紹介します。
土の中で育つごぼうは乾燥に弱いのが特徴です。保存時に乾燥させてしまうと上記で説明してきたように水分が抜けて柔らかくなったり、スカスカになり食感が悪くなってしまいます。一方で、湿気がこもってしまうとカビが生える可能性も。しっかり乾燥から守りながら、通気性は高めておく必要があります。
ごぼうは意外にも暑さにも弱いのも特徴。最適貯蔵温度は0℃と言われています(ごぼうを日常的に食すのは日本と台湾くらいなため、欧米ではあまり研究が進んでおらず、貯蔵最適湿度はわかっていません)。
そのため、長く保存するには、泥つきのままキッチンペーパーに包んだりと乾燥から守りながら、冷蔵庫に入れるのがベストですが、泥つきのごぼうは常温保存することも可能です。
冬場なら1ヶ月、夏場なら2週間程度保存することができます。
このように丸ごと新聞に包み、ダンボールなどに立てて冷暗所で保存します。新聞紙を包むことで乾燥から守り、かつ湿気を吸ってくれます。
土に入れて保存するとより長くもちます。ごぼうが入る大きさに土を掘り、横にして置き、土をかぶせます。縦に入れるのが理想ですが、あまり深く掘るのは大変なので横向きで保存するのが一般的です。適度に保湿しながら保存することができます。
土が乾燥しすぎていたり、水分を含みすぎていると、ごぼうの傷みが進むので注意してください。気温が上がる夏場はあまりおすすめしませんが、冬場なら2ヶ月ほど保存することが可能です。
ごぼうは冷蔵が最大2ヶ月と最も長く保存することができます。ただし、洗いごぼうは1週間ほどしか保存できないので注意しましょう。
泥つきは冷蔵庫に入る長さに切り、新聞紙に包みポリ袋に入れて、軽く口を閉めて立てて保存します。ごぼうは乾燥に弱いので野菜室で保存しましょう。
洗いごぼうも冷蔵庫に入る長さに切って、ポリ袋に入れて立てて保存します。
洗いごぼうは水につけて保存する方法も。少し手間ですが、上記の方法よりも長く保存することができます。2日に1回は水を取り替えるようにしましょう。水に浸けておくと空気に触れないので、2週間程度は変色しません。特に切ってしまったごぼうは変色しやすいので水に浸けて保存するのがおすすめです。ポリ袋に入れるだけより長く保存できる一方、栄養が流れ出てしまうデメリットもあります。
泥つきでない場合は、ごぼうは冷凍することで長く保存することができます。冷凍したごぼうは泥臭さが消えて、柔らかくなり味が染み込みやすくなります。冷凍することで変色を防ぐこともできます。
長めに切って生のまま冷凍することもできます。泥をしっかり洗い、キッチンペーパーで水けを取り、冷凍用ポリ袋に入れて冷凍庫へ。水に1分ほど浸けると切りやすくなります。長く水に浸けすぎると水溶性の栄養が流れ出てしまうので注意しましょう。金属トレイの上に置いて冷凍すると急速冷凍ができ、食感が悪くなりにくいです。
ささがきなど調理しやすいようにカットしてから生で冷凍するのも◎。和え物やサラダに使うときは前日に冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジ解凍します。加熱調理に使うときは凍ったまま使います。
最後にごぼうのサラダレシピを紹介します。
新ごぼうなら生のまま食べることができますが、通常のごぼうはサラダでいただく際も、さっとゆがくようにしましょう。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
ごぼうをベビーリーフと一緒に黒酢味でさっぱりいただきます。
ごぼうは食物繊維が豊富ですが、ビタミン類が少ないのが特徴です。ベビーリーフはβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンB1・Cが豊富な野菜なので、ごぼうに足りない栄養素を補うことができます。
ごぼうとベビーリーフのサラダのレシピはこちら
ささみとごぼうで作る豆乳マヨネーズサラダです。ごぼうで食べごたえアップ。
粗熱が取れてから鶏ささみを割くと、ぱさつきません。
ごぼうとささみのサラダのレシピはこちら
食物繊維が豊富ごぼうとひじきのダブル使いが◎。歯ごたえを楽しめるひと品です。
ごぼうとひじきのサラダのレシピはこちら
Most Popular
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
のらぼう菜の食べ過ぎは危険?栄養・効能は?アク抜きすればOK?
食品事典
ハンバーグの温め直し。固くならない方法はレンジ・フライパンどっちがおすすめ?
食品事典
ほうれん草から黒い汁が出る原因と対処法。食べても大丈夫?
食品事典
玉ねぎにカビが!食べて大丈夫?色別の種類と対処法も解説
食品事典
変色した長ネギは食べられる?原因と対処法を色別に解説
食品事典
腐ったレタスの見分け方。味やニオイは?原因も解説
食品事典
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
もやしはお弁当に入れると腐る?原因と対処法を解説
食品事典