肉じゃがなどの煮物料理を作るときにじゃがいもが煮崩れしてしまうとガッカリしてしまいますよね。本記事ではじゃがいもが煮崩れする原因や煮崩れしないじゃがいもの茹で方、煮崩れしないじゃがいもの品種などを詳しく解説します。
じゃがいもを使って煮物を作るときなどに、煮崩れしてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
じゃがいもの煮崩れには主にデンプンとペクチンの2つの成分が関与していると考えられます(たんぱく質も影響していると言われています)。
じゃがいもにはデンプンが豊富に含まれています。デンプンは炭水化物の一種で、加熱して水を加えることで糊化(「こか」と読みます。デンプンが水を吸ってのり状になること)して膨らむ性質があります。それにより細胞同士の結びつきが弱まり、煮崩れしてしまいます。
じゃがいもは沸騰させたお湯から茹でるよりも、水から茹でた方が煮崩れしにくいです。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると、火の通り方にムラができて外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いなど加熱ムラが生まれ、内側まで火が通る頃には外側がボロボロになってしまいます。そのため水からじっくりと時間をかけて茹でるほうが外側から内側まで均一に火が通るため煮崩れしにくくなります。
じゃがいもを茹でる前に水にさらして下ごしらえをしておくことでも、煮崩れを防ぐことができます。
これはじゃがいもを水にさらすことで、細胞膜のペクチン(食物繊維の一種)が水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のデンプンの吸水を防ぐことができるためです。カレーや煮物などにじゃがいもを使う場合は、この性質を利用することで形をキープしたまま調理することが可能になります。
また、じゃがいもを水にさらすことで煮崩れの原因になるデンプンそのものを少しばかり取り除くこともできます。デンプン自体は水には溶けませんが、水にさらすことで水の中に沈みます。デンプンは水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。
上記で「水から茹でる」という方法を紹介しましたが、水にさらしてからも水から茹でたほうがより煮崩れしにくくなります。
じゃがいもを電子レンジで加熱をすれば、時間をかけて茹でるのとは異なり煮崩れする心配がありません。また、鍋で茹でる場合は沸騰してから10~15分程度の時間がかかるのに対して、電子レンジであればじゃがいも1個(皮つき、約150g)につき600Wで3分程度で済むため時短にもなります。さらに、水を使わずに加熱することでじゃがいもに含まれているビタミンCなどの水溶性のビタミンの流出を最小限に抑えることが可能です。
しかし、電子レンジで加熱をすることにはデメリットもあります。例えば、じゃがいもは元々水分量の少ない野菜であるため電子レンジで加熱すると、茹でたり蒸したときと比べてパサパサになりやすいです。そのため、ホクホクのじゃがいもに仕上げたい場合は加熱時間が重要になります。
じゃがいもを煮込み料理に使うときは、大きめに切って火力は強くしすぎないのもポイントです。
じゃがいもは中まで火が通るまでに時間がかかるので、他の具材よりも大きめに切っておくと煮崩れしにくくなります。ひと手間かかりますが、面取りをしておくとより効果的です。面取りとは、野菜の角を薄く削ぎ取ることをいいます。面取りをしておくことで、じゃがいもの表面積が大きくなるため火の通りが均一になり煮崩れしにくくなる他、味がしみこみやすくなる利点もあります。
煮込むときの火力は強くしすぎないようにしましょう。火力が強すぎてしまうと煮込んでいる最中にじゃがいもや他の具材がお湯の中に舞ってしまい、ぶつかり合うことで煮崩れしてしまいます。弱すぎても火が通るのに時間がかかり煮崩れしやすくなってしまいます。そのためじゃがいもの煮崩れを防ぐためには火加減が重要です。
煮込み料理を作る際に、時短目的で圧力鍋を使うこともあるかと思いますが、圧力鍋は圧力をかけることで一気に加熱するため特にじゃがいもは煮崩れしやすくなります。そのためじゃがいもは大きめに切ったり別の鍋で茹でて後から加えるなどの工夫をすると良いです。
煮物などを作る際には、梅干しをいれると煮崩れを防止することができます。
じゃがいもの煮崩れの原因となっているペクチンは、酸性になると分解されにくくなる性質があります。pH(ペーハー)という酸性とアルカリ性のレベルを表す水素イオン指数で表すと、ペクチンがもっとも分解されにくくなるのはpH4のときです。そのため酸性成分のクエン酸が含まれている調味料や食品をいれることで、じゃがいもの煮崩れ防止に繋がります。例えば梅干しや酢、レモンなどが効果的です。
カレーや煮物など長く加熱する料理では、予め下茹でしておくと加熱時間が短くてもしっかり中まで火が通るため、煮崩れを防止することができます。
下茹でをする場合は後から他の食材と一緒に加熱することを考慮し、短めにしましょう。下茹での段階で加熱しすぎてしまうと煮崩れしてしまいます。
下茹での方法には、沸騰したお湯にカットしたじゃがいもを入れて20分程放置しておく方法もあります。こうすることで、柔らかくなったペクチンが結合するため表面はしっかり、中はホクホクのじゃがいもに仕上げることができ、カレーや煮物に使っても煮崩れしにくくなります。
適度に煮崩れしたじゃがいもも美味しいですが、ドロドロになってしまうのは防ぎたいものです。
肉じゃがを作る際は上記でも紹介した方法が煮崩れ防止に効果があります。
水でさらす
大きめにカットして火力に注意する
大きめにカットし面取りをしておく、火が通りやすくなるだけではなく味が染み込みやすくなるのでなお良いでしょう。煮込むときには落し蓋をすると、鍋の中で具材が踊ってぶつかり合うのを防ぐことができます。
肉じゃがを作る際には、基本的に具材を炒めてから水と調味料を入れて煮込みます。どうせ煮込むのになぜ炒める必要があるのか疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。あらかじめ炒めておくことでじゃがいもが油でコーティングされるために煮崩れを防ぐ効果があります。
カレーやシチューを作るときのじゃがいもが煮崩れてしまうと、舌触りがザラザラになってしまいますし食べごたえもなくなってがっかりしてしまいますよね。
カレーやシチューを作るときも肉じゃがと同じように大きめにカットして水にさらしておいたり、火力に気を付ける方法で煮崩れ防止に効果があります。また、煮込む前に炒めて油でコーティングしておくのも効果的です。
カレーやシチューの場合は肉じゃがなどの煮物料理とは異なり、じゃがいも自体に味を染み込ませなくてもルーと一緒に食べることでしっかりとカレーやシチューの味を楽しむことができるため、予めじゃがいもを別の鍋で水から茹でておいたりレンジで加熱しておき、ルーを溶かした後にじゃがいもを加えるという方法でも良いです。
おでんの場合は、水から茹でておくことで煮崩れを防止することができます。
茹でる際は皮を剥かずにまるごと茹でて大丈夫です。皮ごと茹でたじゃがいもは、茹でた後に包丁やピーラーを使わなくても手で簡単に剥くことができます。茹でたじゃがいもの皮を剥いたら、おでんの中に入れて加熱していきます。
上述したように火力が強すぎると、具材が踊ってしまい煮崩れの原因となります。おでんの場合は「煮込む」というよりはじゃがいもを入れたら「温める」イメージです。
じゃがいもを煮込み料理にしたときに煮崩れしてしまうとがっかりしてしまいますが、リメイクして美味しく食べるという手段もあります。
例えば肉じゃがをコロッケにしたり、ピザ生地に乗せて焼けば和風ピザにもなります。カレーやシチューに入れてドロドロになってしまったじゃがいもはポテトグラタンにするのも良いでしょう。
一口に「じゃがいも」といっても様々な品種があり、それぞれ異なる特徴をもちます。例えば一般的にスーパーなどで販売されていることが多いのは「メークイン」や「男爵」です。
一般的に煮崩れしにくく、煮物料理を作るときに使われることが多いのはメークインです。
メークインは、俵(たわら)のような楕円形のじゃがいもで、表面は芽のくぼみが浅く凹凸が少ないためつるつるとしています。
メークインが煮崩れしにくいのは、デンプンの含有量が少ないためです。上述したように、デンプンが水分を吸って糊化して膨らむことで細胞同士の結びつきが弱まり煮崩れしてしまうため、デンプンの含有量が少ない方が煮崩れしにくくなります。
メークインの他にデンプンの含有量が少なく煮崩れしにくい品種には、
とうや
インカのめざめ
インカのひとみ
ノーザンルビー
などがあります。
これらの煮崩れしにくい品種を使う場合も、水に浸したり水から茹でることでより煮崩れしにくくなります。
メークインと比較して煮崩れしやすいのは男爵です。
男爵は、球形で表面は芽のくぼみが深く凹凸が多いのが特徴です。形や表面の凹凸を見れば目視でメークインと男爵を判別することができますので、特徴を覚えておくと良いでしょう。
男爵はメークインとは反対にデンプンの含有量が多いです。そのため煮崩れしやすいため煮物には向かず、蒸して食べたり揚げ物にして食べるのに適しています。
男爵の他にデンプンの含有量が多く煮崩れしやすい品種には、
キタアカリ
アンデスレッド
ベニアカリ
などがあります。
デンプンの多いじゃがいもを使って煮物やカレーを作れないというわけではありません。男爵やキタアカリなどのデンプンを多く含む品種は、ホクホクとしたじゃがいもの特徴がでます。例えば煮崩れしてドロドロになった肉じゃがのほうが好みの方や、ルーに具材が溶け込んだトロっとした感じが好きという方におすすめです。
デンプン量の少ないメークインなどの品種とデンプンの含有量が多い男爵などの品種の中間が、
十勝こがね
シンシア
北海道こがね
などです。
どちらかというと煮崩れしにくいため煮物料理にも使うことができますが、メークインなどよりもデンプンを多く含むためじゃがいもらしいホクホクとした食感も楽しむことができます。
じゃがいもには様々な品種があるので、それぞれの特徴を理解しておくと料理をによって使い分けることができるため非常に便利です。
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