皮や中身が青くなっているじゃがいもは、天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれているため注意が必要です。本記事では青くなってしまったじゃがいもの対処法などを詳しく解説します。
じゃがいもが青く変色してしまう原因や食べられるのかどうかを解説します。
じゃがいもが青く変色してしまう原因は、日光などの光に当たって葉緑体が生成されたためです。
葉緑体とは、植物が光合成を行う細胞小器官です。葉緑体の中には「クロロフィル」と呼ばれる緑色の色素になる成分が含まれているため、日光の光に当たって葉緑体が生成されたじゃがいもは青緑っぽい色に変色してしまいます。
ちなみに葉緑体は日光だけではなく、蛍光灯などの光でも生成されることがわかっています。
じゃがいもの皮が青く変色している場合は、その部分に天然毒素である「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
ソラニンやチャコニンやじゃがいもが日光などの光に当たることで生成されることがわかっています。そのため、日光に当たり葉緑体が生成され青(緑)になっているじゃがいもはソラニンやチャコニンが多く含まれているということになります。葉緑体が蛍光灯の光でも生成されるように、ソラニンやチャコニンも蛍光灯の光で増えてしまいます。
ソラニンやチャコニンが多く含まれているじゃがいもの青い部分は、そのまま食べてしまうと下痢や嘔吐、めまいなどの中毒症状が出ることがあるので、注意が必要です。
見た目に色の変化が見られなくても、皮を剥いたら青くなっているということもあります。この場合もソラニンやチャコニンが多く含まれているということです。中が青く変色している場合も、一部のみであれば取り除けば食べることができます。
ただし、じゃがいもの表面を含め中まで全体が青く変色してしまっている場合は、有毒物質が大量に含まれている恐れがありますので、食べずに廃棄しましょう。
青色に変色しているじゃがいもの対処法を紹介します。
じゃゃがいもの皮が青く変色している場合は、上述したように変色した部分に天然毒素である「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
表面の一部や中の一部が青く変色している場合は、変色している部分の皮をしっかり厚めに剥きます。ピーラーで剥く場合は2〜3回剥くと厚めに皮を剥くことができます。
中まで青くなってしまっている場合は、天然毒素がじゃがいも全体に多く含まれていて、中毒症状が起こる可能性もあるので破棄しましょう。
じゃがいもの芽に含まれるソラニンやチャコニンの毒性は加熱しても残ります。加熱調理をすれば大丈夫ということはないので注意してください。
海外ではじゃがいもの加熱調理によってソラニンやチャコニンが減少したとの報告もあります。しかし、ソラニンやチャコニンの濃度が高いじゃがいもを茹でる・煮るなどの加熱調理をすると、毒素が溶け出します。これにより中毒を発症する可能性は低くなりますが、完全に毒性が消えるわけではありません。また、調理前のじゃがいものソラニンやチャコニンの濃度はそれぞれ異なり、毒素の減り方にもばらつきがあります。高温で揚げたり焼いたりしても6割程度の毒素が残ったという実験結果もありますので、加熱をしても毒性は消えないと思っていたほうがよいです。
出典:じゃがいもの加工調理によるソラニン・チャコニンへの影響(農林水産省)
未熟な状態で収穫されたじゃがいもには、特に多くのソラニンやチャコニンが多く含まれていることがあるので避けましょう。
未熟なじゃがいもがソラニンやチャコニンが増えやすい原因として、じゃがいもが日光に当たることがあげられます。未熟な状態で収穫されたじゃがいもは、皮が未発達の状態で日光に当たることにより毒素となるソラニンやチャコニンの増加が早くなるため、成長してから収穫されたじゃがいもよりも多くのソラニンやチャコニンが含まれていることが多いです。
スーパーなどで販売されているじゃがいもは成長してから収穫されていますが、家庭菜園でじゃがいもを育てて食べる場合は、未熟なじゃがいもを収穫して直射日光に当ててしまわないよう十分注意が必要です。
上述したように、蛍光灯の光でも葉緑体が生成されるためです。そのため、店頭に並べられている時間が長く蛍光灯の光に当たってしまったことが原因で、買ったときにはすでに青くなってしまっていることがあります。また、ソラニンやチャコニンも生成されてしまうので、買ってきたばかりのじゃがいもが青い場合も調理をする場合には十分注意しましょう。
収穫されてから時間が経っていることが、変色具合でわかります。スーパーなどでじゃがいもを購入するときは変色していないじゃがいもを選ぶようにしましょう。
万が一買ってきてすぐに青くなっているじゃがいもを発見したら、購入したスーパーに問い合わせてみましょう。返金や返品の対応をしてくれることがあります。
ごぼうなど変色してしまっても、元の色に戻せる野菜もあります。しかし、日光にあたることが原因で葉緑体が増えて変色してしまったじゃがいもの色は残念ながら元の色に戻すことはできません。
一部のみ青くなってしまっている場合は、上述したように青く変色している部分をカットする必要があるので、カットして調理をすれば青色に変色していても料理の見た目が悪くなってしまうこともありません。
青く変色したじゃがいもに天然毒素が含まれていることはおわかりいただけたかと思います。じゃがいもの天然毒素が増える原因は主に日光などの光
傷がついているとソラニンやチャコニンの生成量が増えるといわれています。
スーパーなどで購入する際はできるだけ傷がついていない綺麗な状態のものを選び、保管する際は傷をつけてしまわないように扱いましょう。
じゃがいもは収穫後だいたい3ヶ月は休眠期間にはいるため芽を出したりすることはありません。しかし、休眠期間をすぎると子孫を残そうと成長していくためソラニンやチャコニンを生成し、色が青く変化したり、芽を出してしまいます。
じゃがいもの品種によっては休眠期間が短く3ヶ月よりも前に成長をはじめることもありますし、保存環境によって休眠期間が短くなることもあります。長持ちする野菜だからといって長時間放置していると、知らない間にソラニンやチャコニンが生成されているということもありますので、様子を見ながら使いきるようにしましょう。
ソラニンとチャコニンの中毒症状としては、上述したように吐き気やおう吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどがあげられます。摂取量が多い場合、無気力、衰弱、錯乱などの神経症状や視覚障害など重症になるケースがあります。
濃度が一般的な範囲(2~10mg/100g)であれば健康上の問題はないとされていますが、体重1kgあたり1mg以上摂取すると食中毒症状が出る可能性があり、体重1kgあたり3~6 mg以上摂取すると死に至る可能性があると考えられています。
子どもの場合は、体重あたりのじゃがいもの消費量が多くなるため体重1kgあたり0.42mgで中毒を発症する可能性があるといわれています。実際にじゃがいもを食べたことによる中毒症状がでた子供の事例は多いため、特に注意が必要です。
出典:ソラニンやチャコニンによる健康被害(農林水産省)
じゃがいものソラニンやチャコニンによる中毒症状は、食後 30分〜半日で発症するといわれています。場合によっては数日後に発症する可能性もあるため、万が一食べてしまったときはすぐに症状がでなくても数日は様子を見てください。
万が一青く変色したじゃがいもの皮を処理しないで食べてしまったり、中身が青く変色したじゃがいもを食べて吐き気やおう吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどの中毒症状が出た場合は、ただちに病院を受診しましょう。
ソラニンやチャコニンの毒性は自分で解毒できるものではありません。また、解毒剤もないため症状が重い場合は、胃洗浄などの処置で対処することになることが多いようです。
出典:財団法人 日本中毒情報センター
じゃがいもは、日光を浴びることでソラニンやチャコニンの量が増えて緑色になってしまいます。そのため、家庭菜園をする場合は、じゃがいもに直接日光が当たらないように、しっかりと土寄せをすることが大切です。また、収穫したじゃがいもを長時間太陽の下で放置しておくのも避けましょう。
未成熟のじゃがいもには、ソラニンやチャコニンが多く含まれていますので、十分に大きく育ってから収穫することも重要です。
じゃがいもが青色に変化しやすい季節は特にありませんが、収穫はできるだけ曇りの日に行うのがおすすめです。晴天時に収穫を行う場合は、遮光シートをかけて光が当たるのを防ぎましょう。
じゃがいもは、長期保存ができる野菜です。保存方法によっては半年近く日持ちします。
じゃがいもの保存は常温保存が基本です。低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存がおすすめです。
日光や蛍光灯などの光が当たらないように、新聞紙などをかけて冷暗所で保存します。秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は保存が可能です。
じゃがいもの表面に白い粉の塊のようなものが付いている場合は、カビである可能性が高いです。ただし、カビを除けば、そのじゃがいもを食べることは可能です。
水洗いしてカビをしっかり洗い流し、カビが生えている部分を切って破棄します。他の部分に異常がないことを確認しましょう。
カビが広範囲に広がっていたり、実がブヨブヨしたり、悪臭がする場合は、廃棄しましょう。
腐っているというわけではありませんが、じゃがいもから芽が大量に生えている場合、食べるのは避けるべきです。
じゃがいもの芽やその周辺には、ソラニンやチャコニンが含まれています。上述してきたようにソラニンやチャコニンはそのまま食べると中毒を起こし腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため、調理の際にはきれいに取り除く必要があります。
芽が生えているところは、皮を厚く切って根元から取り除きましょう。
ちなみに、ソラニンはトマトなどにも含まれています。
じゃがいもから茶色い液体が出ている場合は、全体的に腐っている可能性が非常に高いです。
中身に問題がなく、表面のみ茶色い液体がついているのであれば、ビニール袋に入れたまま保管していたなど密閉された状態で保管していたことにより湿気で水滴がつき、じゃがいもについていた泥汚れと合わさって茶色い汁が出ているように見えるということが考えられます。
しかし、じゃがいもの中身から茶色い液体がにじみでているようであれば、腐敗しているので食べるのは避け、すぐに廃棄しましょう。
本来じゃがいもはほぼ無臭に近いです。明らかに異臭がする場合は、細菌が入ってしまい腐敗してしまった状態である可能性が高いため、食べるのはやめて処分しましょう。
一見、異常が見えないように見えるじゃがいもでもレンジで温めたり加熱をすると酸っぱい匂いを感じることがあります。見た目で判別できない場合は、皮を剥きカットしたじゃがいもを一度レンジで温めて匂いを確認しておくと安心です。
じゃがいもがブヨブヨしている場合、じゃがいもの水分が抜けてしまっている状態です。あまりにぶよぶよしていたり、中身がネバネバしているなどの異常が見られる場合は腐敗し始めているので食べずに処分しましょう。
じゃがいもは、芽が出はじめると芋から芽に栄養を送るため柔らかくなってぶよぶよとしてきます。この場合は生理現象であり腐っているわけではないので、食感は悪くなりますがソラニンやチャコニンが含まれている芽を取り除くなど適切な処理をして調理すれば食べても大丈夫です。しかし、腐敗が始まっている可能性もあるので心配な方は処分することをおすすめします。
じゃがいもを食べた時に、苦味やえぐみ、舌のしびれを感じるようであれば、ただちに食べるのをやめましょう。
このような味がするのは、じゃがいもに含まれる「ポテトグリコアルカロイド」という成分が原因といわれています。ポテトグリコアルカロイドは天然毒素の一種で、食べた時に舌がピリピリしたり、苦味などを感じます。酸っぱい味がする場合も腐っている可能性が大なので、食べないようにしましょう。
じゃがいもの正しい保存保存をご紹介します。
じゃがいもは最も保存しやすい野菜の一つです。基本的に冷暗所で常温保存が推奨され、3ヶ月程保存することができます。上述したように、直射日光の当たる場所や蛍光灯が当たる場所など明るい場所はソラニンやチャコニンが生成されやすくなり、変色したり芽を出す原因となりますので避けましょう。
じゃがいもは水分が多い野菜ですが、貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存をおすすめしている次第です。ちなみに、じゃがいもを20℃の環境に1週間ほど放置しておけば、糖化したでんぷんは8割ほど元に戻ります。
じゃがいもはそこまで乾燥に弱いわけではないので、一つずつ新聞紙(またはキッチンペーパー)に包まなくても、長く保存できます。特に数が多いときは面倒なのでまとめて保湿。直射日光が当たらず風通しのよい涼しい場所なら、秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は常温保存が可能です。
ビタミンが多く「大地のりんご」ともいわれるじゃがいもですが、りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存するのが大切!
前述した通り基本的には常温保存がおすすめなじゃがいもですが、下記の場合は冷蔵保存がおすすめです。
夏場に1ヶ月よりも長く保存したい(夏も安心して保存したい)
冬場であっても3ヶ月より長く保存したい
カットしたじゃがいもを保存したい
じゃがいもは正しく冷蔵すれば半年ほど保存することができます。また、じゃがいもは低温保存すると、収穫直後では少なかった糖分(0.1〜0.5%)が、増加(0.5〜2.5%)します。
丸ごとじゃがいもを冷蔵保存する場合は、一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締め、野菜室に入れます。キッチンペーパーに包むことで寒さからじゃがいもを守ることができます。ポリ袋に入れることで乾燥しすぎることを防ぎながら、口は軽く締めることで通気性を保ちます。1週間に1度はキッチンペーパーが湿っていないか確認し、湿っている場合は新しいものに取り替えましょう。野菜室は温度・湿度ともに冷蔵室より高いので、じゃがいもに適しています。冷蔵保存でもりんごを一緒に入れると発芽を抑える効果があります。
切ったじゃがいもは傷みが早く、生のまま放置すると切り口が褐変します。これはポリフェノール物質がポリフェノラーゼなどの酵素によって酸化するためです。また、チロシンがチロシナーゼによってメラニンとなるのも褐色に変わる原因です。
カットしたじゃがいもは常温保存できないので、水に浸けて冷蔵保存します。2〜3日以内に食べるようにしましょう。茹でたじゃいがもはさらに傷みが早いので、極力その日のうちに消費するようにしましょう。
長期保存のためにする冷凍ですが、じゃがいもの場合は常温や冷蔵の方が長く保存できてしまいます。じゃがいもは丸ごと保存したり、生のまま保存すると、解凍後ブヨブヨになってしまい美味しくありません。下茹でしてマッシュしたりカットしたものを保存するには冷凍がおすすめです。色々な調理にすぐに使えるので便利です。
一口大にカットしたじゃがいもを冷凍用ジッパー付きポリ袋にいれて保存することもできますが、マッシュにして保存するのがおすすめです。1ヶ月程保存することができます。
皮を剥いてひと口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。ポリ袋に入れる前に金属トレイに乗せて急速冷凍すると、食感が損なわれにくくなります。ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。
冷凍マッシュポテトは前日に冷蔵庫に移して自然解凍か、電子レンジで加熱して解凍します。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。ポテトサラダやポタージュ、コロッケなどに使えます。
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