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広東麺とは?発祥はどこ?由来や読み方、味、カロリーを解説

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広東麺とは?発祥はどこ?由来や読み方、味、カロリーを解説

広東麺は中華料理店などで食べることができるラーメンの一種です。名前から中国発祥だと思われがちですが、実は日本発祥の食べ物です。本記事では広東麺の発祥や由来、カロリーなど詳しく解説します。

広東麺とは

広東麺の由来

広東麺とは、中華麺にお肉や野菜にとろみをつけたとろとろの餡(あん)をかけた麺料理です。

名前の由来となっているのは中国南部にある広東省(かんとんしょう)であるといわれています。「こうとうめん」とも読めますが、由来から考えると正しくは「かんとんめん」であることがわかります。

広東麺の名前の由来となっているのは中国の広東省であるため、中国発祥の料理であると多くの人が思っていると思いますが、名前の由来は広東省であっても発祥は広東省ではありません。

広東麺の発祥

広東麺は実は日本発祥の食べ物です。広東で食べられているのは餡がかかっていない一般的なラーメンで、日本人が餡をかけて独自にアレンジしたものが広東麺です。

実は日本には「台湾ラーメン」や「天津飯」など日本発祥でありながら中国の地名がついている料理が沢山あります。日本で初めて中華料理屋ができたのは明治元年といわれており、日本国内で中国料理が広まったときに片栗粉を入れてとろみを付ける調理方法が考案され、天津飯などのご飯物や麺料理に応用されはじめたことがきっかけで広東麺も誕生したのではないかと言われています。

広東麺の詳しい発祥の時期などは不明ですが、台湾ラーメンや天津飯と同じように中華料理を元にして生まれた料理であるため中国の地名がつけられたと考えられます。

広東麺の餡は八宝菜に似ているが...

広東麺の上に乗っている餡(あん)は「八宝菜(はっぽうさい)」ととても良く似ています。八宝菜は国南部の広東省、香港で食べられている広東料理で、別名「五目うま煮」といいます。「八宝菜」の「八」や「五目うま煮」の「五目」は「八種類」や「五種類」という意味ではなく「多くの」という意味です。八宝菜もお肉や野菜にとろみをつけた料理なので、「八宝菜が上に乗っている麺料理」と表現されるのもうなずけます。

広東麺の味や具材は?

広東麺

広東麺の味は醤油が多い

ラーメンといえば醤油や塩、味噌、とんこつなど様々な味がありますが、広東麺の味はどうでしょうか。広東麺は具だくさんで餡がかかっているという点はどの店舗も共通していますが、味は店舗によって異なります。

一般的には醤油ベース、塩ベースのものが多く、まれに味噌ベースのお店もあります。そもそも広東料理のベースとなるのは醤油で、スープが鶏がらや野菜であることが多いことから、広東麺も比率的には醤油ベースで作られていることが多いようです。

広東麺は自宅でも作ることができるので、あまり味噌ベース広東麺を食べてみたい!という方やアレンジを楽しみたい方は、自宅で作ってみるのがおすすめです。広東麺の作り方については後述しますのでそちらを参考にしってください。

広東麺は餡がからんだたっぷり具材が特徴

広東麺といえば、とろりとした餡だけではなくたっぷりの具材も大きな特徴です。

具材は店舗によって異なりますが、豚バラ肉などの肉類、白菜や絹さや、人参、たけのこなどの野菜類、しいたけやきくらげなどのきのこ類、エビやイカなどの魚介類です。中華丼のように茹でたうずらの卵がはいっていることもできます。

具だくさんなので栄養も沢山とれますし、食べごたえも抜群です。

酢をかけて食べるのも◎

広東麺はそのまま食べてももちろん美味しいのですが、酢をかけて食べても美味しいです。酢は中華料理との相性がとてもよい調味料で、例えば餃子は酢醤油で食べたり、通な人は酢と胡椒で食べる人もいます。

酢をかけることで食材の旨味が引き立ちますし、塩分などの調味料がまろやかになります。そして何より油っこさが軽減されてさっぱりとするので食べやすくなります。

かけるお酢は一般的に調理に使われることが多い穀物酢でも良いのですが、栄養価の高い黒酢もおすすめです。黒酢をかけることで酸味だけでは無く深い味わいも楽しめます。

広東麺のカロリー

広東麺のカロリーは、具材によって異なりますが一人前880gとするとだいたい660kcal〜700kcal程です。糖質量はおよそ70g前後です。広東麺に入っている具材や調味料によってカロリーは異なります。

例えば、豚バラや人参、白菜、しいたけ、むきえび、きくらげを具材にして広東麺を作る場合の内訳は下記の通りです。

  • 中華麺(1玉)…299kcal

  • 豚バラ肉(50g)…83kcal

  • 白菜(80g)…10kcal

  • 人参(30g)…9kcal

  • しいたけ(30g)…8kcal

  • むきえび(50g)…41kcal

  • きくらげ…(50g)…6kcal

  • オイスターソース(19g)…20kcal

  • 鶏ガラスープの素(2.5g)…5kcal

  • 醤油(12g)…9kcal

  • 料理酒(15g)…3kcal

  • 片栗粉(3g)…10kcal

  • ごま油(8g)…1kcal

野菜たっぷりで健康的に思える広東麺ですが、一般的な醤油ラーメンや塩ラーメンと同じく高カロリーの料理です。また人参など高糖質の食材を多く使えば、糖質量も多くなるためダイエット中の方は注意が必要です。

ただし具材や調味料は上述しているようにお店によって異なるので、カロリーや糖質量の多い野菜や脂質の多い卵や肉類を多く使っていることもあります。

ダイエット中の方は自宅で作り、カロリーが高く脂質量が多い豚肉を除いたり、糖質量の低い野菜を具材にして作ると良いでしょう。

出典:文部科学省食品成分データーベース

広東麺はどこで食べられる?

レストラン

広東麺は中華料理屋で食べることができます。ただし、中華料理屋であれば必ずあるというわけではないので、店舗に確認してみてください。

東京や横浜、仙台、大阪など全国に広東麺の美味しいお店があります。例えば関東では中央区にある「燕慶園 (エンケイエン)」や港区にある「希須林 青山 (キスリン)」の広東麺が人気なようです。関西では、「千勝亭」の広東麺がおすすめです。

上述したように店舗によって具材や味が異なるので、食べ比べてみるのも良いですね。

また、バーミヤン、王将などのチェーン店でも広東麺を食べることができます。チェーン店でも本格的な中華料理のお店と同じように美味しい広東麺を食べることができますよ。

インスタント・カップ麺

さらに最近ではインスタント麺も販売されています。例えば冷凍食品の製造・販売を行っているテーブルマークでは「広東拉麺」という商品名で即席麺を販売しています。テーブルマークの「広東拉麺」は醤油ベースで、その他にも「広東白湯麺」という商品名で白湯ベースの広東麺も販売されています。

インスタント麺はスーパーで購入することができますが、店舗によって取り扱っていない場合があります。近くに購入できる場所がない場合は、Amazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。

広東麺の一般的な作り方

広東麺

自宅で作れる広東麺(醤油ベース)の一般的なレシピを紹介します。

材料(一人分)

  • 中華麺…1玉

  • お湯…適量

具材・あんかけ

  • 豚こま…100g

  • 白菜…80g

  • 人参…30g

  • しいたけ…1個

  • むきえび…50g

  • きくらげ(乾燥)…50g

  • 生姜(みじん切り)…一かけ分

  • ごま油…適量

  • お湯…100ml

  • オイスターソース…大さじ1

  • 料理酒…大さじ1

  • 醤油…小さじ2

  • 鶏ガラスープの素…小さじ1

  • 水溶き片栗粉…大さじ1

  • ごま油…小さじ2

スープ

  • 熱湯…400ml

  • 鶏ガラスープの素…小さじ2

作り方

具材の野菜をそれぞれ切り、きくらげは水につけて戻しておきます。

  1. フライパンにごま油をひき、熱したら生姜を炒める。
  2. 生姜の香りがたったら、豚肉を炒める。
  3. 豚肉に火が通ったら野菜・エビを加えてさらに炒める。
  4. お湯100mlとオイスターソース、料理酒、醤油、鶏ガラスープの素を入れてひと煮立ちさせる。
  5. ひと煮立ちしたら、水溶き片栗粉を入れてとろみがついたら火を止める。
  6. お湯を沸騰させた鍋に中華麺を入れて、好みの硬さになるまで茹でる。
  7. 茹でた麺を水切りする。
  8. 器に熱湯と鶏ガラスープの素を入れる。
  9. 器に茹でた麺を入れて、とろみをつけた具材を乗せる。

まずは、具材を炒めてとろみをつけて餡かけを作ります。ごま油を引いたフライパンを熱して生姜を香りがたつまで炒めたら、豚肉、野菜、エビなどの具材を炒めます。具材を炒めたら、お湯と調味料、水溶き片栗粉をいれてとろみをつけたら、あんかけの完成です。あんかけが完成したら、麺を茹でて水気を切っておきます。熱湯と鶏ガラスープの素を入れた器に麺を入れて、あんかけをかけたら広東麺の完成です。

広東麺と合う付け合せ・献立

広東麺は自宅で作ることもできますが、献立となると何と合わせたら良いか迷いますよね。ここからは広東麺に合う料理を紹介しますので、ぜひ献立の参考にしてください。

餃子

広東麺と合う付け合せ①餃子

中華料理といえば餃子も定番ですよね。厳密にいえば広東麺も主食、餃子も主食なので献立のバランスは悪いように思えますが、ラーメン屋にもラーメンと餃子セットは必ずといっていいほどある定番の組み合わせです。これは日本人は餃子を副菜としている人が多いためであると考えられます。

おかしな組み合わせではないとはいえ、たっぷりの油で焼く焼き餃子と高カロリーの広東麺を組み合わせることに抵抗がある方は水餃子がおすすめです。

水餃子は餃子を茹でて作るので、油を沢山使う焼き餃子と比較してカロリーを抑えることができます。

Filyの餃子のレシピはこちら
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。

春雨サラダ

広東麺と合う付け合せ②春雨サラダ

春雨サラダとは、春雨をメインにきゅうりや人参、ハムなどを和えて作るサラダのことをいいます。春雨サラダをごま油ベースのドレッシングをかけて中華風にすると広東麺との相性バツグンの副菜になります。

春雨は茹でると100gあたり70kcal程になり、さらに食物繊維が含まれているため腹持ちも良くダイエット中の方にもおすすめです。

ちなみに春雨には大別して「国内春雨」と「緑豆春雨」があり、総称で「春雨」といっています。「国内春雨」はじゃがいもやさつまいものでんぷんを混ぜ合わせたものを原料に作られていて、「緑豆春雨」は中国産の春雨で、緑豆やえんどう豆のでんぷんを原料として作られています。

Filyの春雨サラダのレシピはこちら

冷奴

広東麺と合う付け合せ③冷奴

さっぱり食べられる冷奴も広東麺の副菜としてぴったりの一品です。豆腐はタンパク質やイソフラボンなども豊富に含まれているので栄養価が高い点も◎

冷奴は醤油をかけて食べるのが定番ですが、様々なアレンジも楽しめます。例えば冷奴を広東麺と合わせるのであれば、ザーサイやラー油などを合わせて中華風の冷奴にするのがおすすめです。

冷奴には絹豆腐が使われることが多いですが、おぼろ豆腐などを使っても良いでしょう。

広東麺と似た麺料理

五目そば(五目ラーメン)

広東麺と似た麺料理である五目そば

五目そばは、中華麺にお肉や野菜などの具材にとろみをつけた餡がかかった麺料理です。

「五目」は「五種類」という意味ではなく「沢山」という意味で使われているため、五目そばの具材=5種類というわけではありません。また、「そば」は「中華そば」のことであり、そば粉で作られた「そば」ではなく「ラーメン」のことです。「五目ラーメン」「五目あんかけラーメン」ともいわれます。

五目そばと広東麺は、中華麺にお肉や野菜などの具材にとろみをつけた餡がかかっているという点で共通しており、実は広東麺と五目そばには明確な定義がありません。中華料理店では、それぞれ独自の解釈で「広東麺」または「五目そば」と名前をつけています。

「広東麺」と「五目そば」の両方がメニューにあるお店では、広東麺が醤油ベースのスープ、五目そばが塩ベースのスープであることが多いようです。

サンマーメン

広東麺と似た麺料理であるサンマーメン

サンマーメンも、中華麺にお肉やもやしなどの野菜にとろみをつけた餡がかかっている麺料理です。

サンマーメンの発祥の地は神奈川県横浜市で、神奈川県のご当地ラーメンとして有名です。名前に「サンマ」と入っていることから魚のサンマが入っていると思われがちですが、具材は広東麺と同じくお肉や野菜です。

サンマーメンは漢字で「生碼麺」と書きます。由来は諸説ありますが、「生碼」は「生きのよい具材」の意味があり、「生きの良い具材を乗せる麺」から「サンマーメン」といわれるようになったといわれています。

五目そばと広東麺は、中華麺にお肉や野菜などの具材にとろみをつけた餡がかかっているという点で共通していますが、広東麺と異なる点はお肉を細切りにしている点や具材はもやしが中心であることです。

サンマーメンの原型は「肉そば」だといわれており、横浜中華街の中華料理店で働いていた見習いが余った食材で作ったものがサンマーメンであるといわれています。そのため広東麺と比較すると具材が細かく切られ値段も安いことが多いです。

出典:かながわサンマー麺の会

あんかけ焼きそば

広東麺と似た麺料理であるあんかけ焼きそば

あんかけ焼きそばは、油で焼きつけるようにして炒めた中華麺、または油で揚げた中華麺の上にお肉や野菜などにとろみをつけた餡をかけた麺料理です。

「かた焼きそば」ともいいます。

あんかけ焼きそばの発祥の地は北海道の小樽市といわれています。小樽市にある中華料理店で誕生した「五目あんかけやきそば」から広まり、全国で食べられるようになりました。

中華麺にお肉や野菜などにとろみをつけた餡をかけているという点で広東麺と共通していますが、あんかけ焼きそばは焼きそばであり、ラーメンではないためスープはありません。

タンメン

広東麺と似た麺料理であるタンメン

タンメンも中国発祥の料理と見せかけでじつは日本発祥の麺料理の一つです。

戦後満州から帰国した料理人が現地の家庭料理の味を再現して作ったのがタンメンで、そこから広まったと言われています。「タンメン」の由来は、中国で骨や肉を煮詰めて作っただし汁のことを「湯(タン)」と呼んでいたためです。中国の定義でいうとスープ入りの麺料理はすべて「タンメン」ということになってしまいますが、日本では炒めた野菜に塩味のスープを加えた麺料理を「タンメン」といっています。

一般的に味は塩ベースであることや、塩ベースのスープで炒めた野菜を煮込み麺にかけている点が広東麺とは異なる点です。

ちゃんぽん

広東麺と似た麺料理であるちゃんぽん

ちゃんぽんは長崎発祥の麺料理です。

ちゃんぽんは豚骨と鶏ガラベースに作られたスープに茹でた麺をいれ、さらに豚肉、はんぺん(紅白かまぼこ)、キャベツ、ネギ、モヤシ、イカ、エビ、アサリなどを炒めたものを乗せてたべます。

「ちゃんぽん」の由来は、中国語で「簡単なご飯」を意味する「喰飯(シャンポン)」がなまったという説や
、ポルトガル語で「混ぜる・混合する」という意味の「ちゃんぽん」がなまったという説など諸説あります。

ちゃんぽんは豚骨と鶏ガラスープがベースで作られている点で広東麺とは味わいがだいぶ違います。また、ちゃんぽんはもちもちとした太い麺で作られる事が多く、麺の食感も異なります。

天津麺

広東麺と似た麺料理である天津麺

天津麺も日本発祥の麺料理です。

天津飯はかに玉を中華麺の上に乗せて食べるラーメンの一種です。いつ頃から誰が作り食べられるようになったのかは諸説ある様ですが、ハッキリとはしていません。

天津飯と広東麺は具材にとろみをつけているという点では共通していますが、大きな違いは、やはり具材です。天津飯の具材はかに玉です。