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じゃがいもと馬鈴薯の違いとは?男爵・メークインとの違いは?

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じゃがいもと馬鈴薯の違いとは?男爵・メークインとの違いは?

じゃがいもと馬鈴薯(ばれいしょ)は同じものを指します。馬鈴薯という言葉は中国から伝わったという説が有力です。今回は、じゃがいもと馬鈴薯の名前の由来や、馬鈴薯の様々な品種、保存方法などをご紹介します。

じゃがいもと馬鈴薯の違いは?

じゃがいも=馬鈴薯

じゃがいもと馬鈴薯に違いはなく、じゃがいもの別名が馬鈴薯(ばれいしょ)です。

じゃがいも(馬鈴薯)は、慶長3年(1598年)にオランダ船によりジャワ方面から長崎に伝えられたといわれてます。当初は日本人の嗜好に合わずあまり普及しなかったそうです。

馬鈴薯の由来

馬鈴薯は、中国の言葉というのが有力な説です。江戸時代の植物学者であった小野蘭山が、中国の文献を読んだ際に、馬鈴薯(マメ科のホドイモ)を中国名だと勘違いし命名したといわれてます。

馬鈴薯という名前は、馬の首につける鈴に形が似ていたことから名付けられたといわれてます。

じゃがいもの由来

「じゃがいも」という名前の由来ですが、ジャワ島の商業港ジャカトラ(現在のバタビア)が訛ってジャガタライモとなり、さらにジャガイモと呼ばれるようになったといわれています。

馬鈴薯の旬・主な生産地

北海道産は秋が旬、その他の地域は春が旬

全国で採れるじゃがいもの内、約8割が北海道で生産されています。2019年の北海道のじゃがいもの収穫量は1,890,000トンでした。

一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。

北海道では、春に植えて夏過ぎに収穫されるため、北海道産のじゃがいもの旬は秋ごろです。

北海道以外の土地では、冬に植えて夏前に収穫されるため、旬は春ごろとなります。

保存がきくので旬以外も美味しい

じゃがいもは長期保存が可能な野菜の一つです。そのため、旬以外の時期でも美味しくいただくことができます。

常温保存でも秋や冬の時期は3ヶ月ほど日持ちしますし、冷蔵では6ヶ月保存することができます。

新じゃがいもの旬は春〜初夏

一般的に、春から初夏にかけて収穫され出回るものを新じゃがといいます。収穫されてすぐに出荷されるため皮が薄く、水分量が多いのが特徴です。

新じゃがの主な生産地は鹿児島県や長崎県などです。

馬鈴薯の種類(品種)

男爵いも

男爵いもは、日本で最も収穫量が多い品種です。丸くややゴツゴツした形をしており、芽の部分のくぼみが深いのが特徴です。

馬鈴薯の中でもでんぷんの量が多いといわれており、ホクホクとした食感が楽しめますが、煮崩れしやすいというデメリットがあります。また、早生種で環境適応性が高く、収穫後の貯蔵性も高い品種として知られています。

マッシュポテトや粉吹きいも、ポテトサラダ、コロッケなどに適しています。

メークイン(メークイーン)

長卵形の独特な形をなしており、表皮がすべすべしていて、芽が少なくくぼみが浅いじゃがいもです。果肉の色は淡い黄色で、きめ細かいのが特徴です。

煮崩れしにくいため、スープや炒めもの、煮物などに適しています。

キタアカリ

男爵いもに見た目がよく似ていて、芽の部分がほんのりと赤いじゃがいもです。果肉は明るい黄色で、ホクホク感のあるじゃがいもです。別名「栗じゃが」ともよばれます。

キタアカリはビタミンC含量が多く、貯蔵後は甘みが増すといわれています。

じゃがバターやフライドポテト、サラダなどに適しています。

インカのめざめ

鮮やかな黄色の果肉で比較的小ぶりのじゃがいもです。栗やナッツに似た風味を持っており、別名「アンデスの栗ジャガ」ともよばれます。

シチューやカレー、肉じゃがなどの煮物や揚げ物に適しています。

後代品種は「インカのひとみ」です。

インカのひとみ

小さめの長楕円形をなしたじゃがいもです。表皮の色は淡い赤色で、果肉は黄色く加熱調理をするとより色の濃い橙黄色になります。

味や食感はインカのめざめによく似ていて、煮崩れしにくいのが特徴です。

シチューやカレー、肉じゃがなどに適しており、また変色しにくいため揚げ物にも適しています。

ホッカイコガネ

長楕円体で、果肉は淡い黄色をなしています。

煮崩れしにくい品種で、男爵いもとメークインの中間くらいの食感があります。

ホッカイコガネは、フライドポテトに最適な品種です。また、煮崩れが少ないため煮物などにも向いています。

十勝コガネ

楕円形で、芽が少なく浅いのが特徴です。果肉の色は淡い黄色で、調理後の黒変やフライ時の褐変が少ない品種です。

煮崩れしにくい品種で、フライドポテトなどの揚げ物に適しています。

とうや

球形〜長球形で比較的サイズが大きい品種です。果肉は黄色で、なめらかな食感が特徴的です。

煮崩れが少ないので、煮物や炒めものに向いています。

サッシー

フランスから導入された品種です。見た目は男爵いもに似ていますが、表皮の色が男爵いもよりも薄く、黄色みが強いのが特徴です。強いうまみがあり、栗に似た風味がします。

フライドポテトに適しており、上げると皮はパリパリと香ばしく、中はホクホクになります。

シンシア

シンシアもサッシーと同様にフランスから導入された品種です。卵形で芽が浅く、果肉が淡黄色をなしています。

煮崩れしにくく、また煮た後に黒くなりにくいため、シチューやカレーなどの煮物やコロッケなどに適してします。

還元糖が高めなので、揚げ物には適していません。

アンデスレッド

男爵いものように丸くゴツゴツしたじゃがいもです。表皮は薄く赤い色をしています。さつまいものような甘みがあり、ホクホクとした食感がします。

「アンデス赤」や「レッドアンデス」ともよばれます。

ポテトサラダやコロッケ、ジャーマンポテトなどに適しています。

シャドークイーン

メークインと同じように長卵形をなしており、皮も果肉も紫色な品種です。紫色は、アントシアニンという色素によるもので、加熱しても果肉の紫色がしっかりと残ります。

やや煮崩れしやすいため、ポタージュスープやポテトサラダなどに適しています。

シェリー

長楕円形で、さつまいものように表皮が赤いのが特徴です。芽が浅くツルッとしています。果肉の色は淡い黄色です。

煮崩れしにくいため、シチューやカレーなどの煮込み料理に適した品種です。

スタールビー

やや縦長で扁球形をなしている形は男爵いもに似ていますが、男爵いもよりも芽が浅いのが特徴です。皮の色と芽は赤く、果肉はやや黄色です。

比較的に新しい品種で、調理後の黒変は比較的少ないといわれています。食感や煮崩れ具合は男爵いも並みで、ポテトサラダやフライドポテトなどに適しています。

レッドムーン

楕円形で赤い表皮に黄色の果肉が特徴的な品種です。形が似ていることから「紅メークイン」や「レッドメークイン」、「紅じゃがいも」などともよばれています。

煮崩れや黒変しにくい品種で、シチューやカレーなどに適しています。また、ポタージュスープにもおすすめです。

ノーザンルビー

形や大きさがメークインと似ている品種です。アントシアニンを含み、皮は赤、果肉はピンクをなしてしまいます。

加熱しても果肉の色が落ちないので、ピンク色のポテトチップスやポタージュなどに適しています。

下栗芋

長野県飯田市の高地で栽培される小ぶりのじゃがいもで、赤と白があります。7センチ以上のものは稀です。

加熱しても硬さがあり、煮物や味噌和えなどに適しています。

美味しい馬鈴薯の選び方

新鮮なじゃがいもには下記の特徴があります。

  • 凸凹が少なくなめらかな形のもの

  • 重みがありふっくらと丸いもの

購入するときはわかりませんが、切ったときに表面がみずみずしく、スが入っていないものが新鮮です。

芽が出ているものや凸凹しているもの、皮に傷や斑点があるものは古いため、このようなじゃがいもは避けましょう。

馬鈴薯の保存方法

常温保存で3ヶ月

じゃがいもは最も保存しやすい野菜の一つといわれており、常温での保存で秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は保存が可能です。

じゃがいもは水分が多い野菜ですが、貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存がおすすめです。

ダンボールや紙袋に入れ保存します。じゃがいもはそこまで乾燥に弱いわけではありませんので、一つずつ新聞紙やキッチンペーパー等で包む必要はありません。

りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存するのが大切です。

冷蔵保存で6ヶ月

前述した通り基本的には常温保存がおすすめなじゃがいもですが、下記の場合は冷蔵保存がおすすめです。

  • 夏場に1ヶ月よりも長く保存したい(夏も安心して保存したい)

  • 冬場であっても3ヶ月より長く保存したい

  • カットしたじゃがいもを保存したい

じゃがいもは正しく冷蔵すれば半年ほど保存することができます。また、じゃがいもは低温保存すると、収穫直後では少なかった糖分(0.1〜0.5%)が、増加(0.5〜2.5%)します。

じゃがいもを丸ごと保存する場合は一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締め、野菜室に入れます。カットしたじゃがいもは水に付けて保存します。傷みが早いため、2〜3日以内に食べるようにしましょう。茹でたじゃがいもはさらに傷みが早いため、極力その日のうちに消費するようにしましょう。

冷凍保存で1ヶ月

長期保存のためにする冷凍ですが、じゃがいもの場合は常温や冷蔵の方が長く保存できてしまいます。じゃがいもは丸ごと保存したり、生のまま保存すると、解凍後ブヨブヨになってしまい美味しくありません。下茹でしてマッシュしたりカットしたものを保存するには冷凍がおすすめです。色々な調理にすぐに使えるので便利です。

皮を剥いてひと口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。ポリ袋に入れる前に金属トレイに乗せて急速冷凍すると、食感が損なわれにくくなります。ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。

冷凍マッシュポテトは前日に冷蔵庫に移して自然解凍か、電子レンジで加熱して解凍します。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。ポテトサラダやポタージュ、コロッケなどに使えます。

新じゃがは常温で1週間〜10日

新じゃがは、普通のじゃがいもと比べて水分が多く含まれていることから、普通のじゃがいもよりも賞味期限が短いといわれています。

普通のじゃがいもと同様に、常温での保存が基本です。直射日光や高温多湿を避けて保存します。

常温で保存した場合、1週間〜10日間ほどの保存が可能です。しかし上述したように、新じゃがは水分が多いため、なるべく早めに使い切ることをおすすめします。

馬鈴薯のおすすめレシピ

じゃがいもと玉ねぎの豚汁

じゃがいもと玉ねぎが入った豚汁のレシピです。具材たっぷりなので満足度が高く、身体が温まる一品です。

じゃがいもと玉ねぎの豚汁のレシピはこちら

じゃがいもの煮ころがし

じゃがいもと調味料を鍋で煮るだけの簡単レシピです。もう一品ほしい時にどうぞ。

じゃがいもの煮ころがしのレシピはこちら

じゃがいもとベーコンの揚げない春巻き

じゃがいもとベーコンで作る揚げない春巻きです。揚げずにオリーブオイルで焼き上げた春巻きです。メインディッシュやおつまみとしてお楽しみください。

じゃがいもとベーコンの揚げない春巻きのレシピはこちら