ほうれん草がダイエットに向いているのでしょうか?カロリー・糖質だけではなく、ダイエット効果が期待できる栄養素も解説していきます。効果的な食べ方やレシピも紹介します。
生のほうれん草の可食部100gあたりのエネルギー量は18kcalで、糖質は0.3(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。水分は92.4g、たんぱく質は2.2g、炭水化物は3.1g、脂質は0.4g、食物繊維は2.8gです。
茹でたほうれん草の可食部100gあたりのエネルギー量は23kcalで、糖質は0.4gです。水分は91.5g、たんぱく質は2.6g、炭水化物は4.0g、脂質は0.5g、食物繊維は3.6gです。
ほうれん草は90%以上が水分です。
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は、上表の通りです。
よく食卓に並ぶトマトは100gあたりカロリー20kcalで糖質は3.7g、ピーマンは100gあたりカロリー20kcalで糖質は2.8gと低いです。これらに比べても、ほうれん草のカロリー・糖質は低いことがわかります。
じゃがいもの100gあたりのカロリーは59kcalで糖質は8.4gです。かぼちゃはさらに高くなります。ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal・糖質35.6gです。
ほうれん草は野菜の中でも、カロリーと糖質ともに低くダイエットに向いている食材といえます。
食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、便のカサを増やし、適度な水分を保つことで、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。さらに胃腸内をゆっくり移動するので、腹持ちがよくなっています。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉をつくったり、関節の動きをよくしたり働きもあります。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取すると筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、コレステロール値を下げる作用もあります。さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方には積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
β-カロテンはダイエットとは直接的に関係ありませんが、美容には大変重要な栄養素です。β-カロテンには強い抗酸化作用もあるので、肌を健康に保ち、老化を防ぐアンチエイジング作用があります。さらに、β-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚や粘膜、細胞の代謝を促進する働きがあります。さらに皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
鉄は赤血球中のヘモグロビンという成分の材料となります。ヘモグロビンは酸素と結びついて、血液の流れによって肺で酸素を取り込み、全身に酸素を運びます。
また、鉄はミオグロビンという成分の材料となり、筋肉中に存在します。ミオグロビンは血液中から筋肉に酸素を取り込むために働きます。ダイエット中に運動をする人にはとても大切な栄養素です。
ほうれん草自体に含まれるビタミンCには、鉄の吸収を上げる働きと、ヘモグロビンの生成を促す働きが一緒にあります。
ほうれん草はカロリーが低いからといって「主食をすべてほうれん草に置き換える」「食事全体をほうれん草に置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。
実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸は人間にとって栄養素というよりも老廃物です。人体での合成量は微量で、ほとんどが食物から摂取されています。ダイエットに効果的だからといって過剰摂取するのはよくありません。
このシュウ酸は、摂取しすぎると尿路結石症を引き起こす原因になります。といっても相当量摂取しない限りは過剰症にはならず、健康上の問題はあまりないとされています。
シュウ酸が含まれていない野菜は水溶性の栄養素が流出しすぎてしまうのを防ぐために「茹ですぎ注意」ですが、ほうれん草はしっかり茹でるようにしましょう。
他にシュウ酸が多く含まれる食品には、たけのこやチョコレート、バナナなどがあります。
成人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
ほうれん草は緑黄色野菜に分類されます。他の緑黄色野菜も食べることを考慮すると、1日あたり50gくらいが妥当といえます。
ほうれん草に限りませんが、かき揚げや炒め物など油を多く使って調理すれば、その分カロリーは上がってしまいます。カロリー制限ダイエットを行っている間は油の使用量を少なくしましょう。
ただし、ほうれん草に含まれるβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンE・Kは油と一緒に摂ると吸収率がアップするというメリットもあります。糖質制限ダイエットをしている方は良質の油と一緒にほうれん草をいただくようにしましょう。
また、味付けも甘味料を多く使えば、その分カロリーが上がります。甘味料を使う場合は、白砂糖よりGI値(食後の血糖値の上がりやすさを示す数値)が低い、てんさい糖やアガベシロップなどを使うようにしましょう。血糖値が急上昇しないように工夫すると、すぐに空腹を感じなくなり食べ過ぎを防ぐことにつながります。
野菜を日頃から摂る習慣のない人にとっては、グリーンスムージーは大変おすすめです。スムージーで混ぜ合わせる過程で食物繊維が少し壊れるので、消化が苦手な人でも栄養を摂取しやすいのがメリットです。
一方で、食物繊維が壊れる分、そのまま野菜を食べるより血糖値が上がりやすくなります。血糖値が急上昇すると、その後急降下して空腹を感じやすくなります。
また、グリーンスムージーは飲みやすくするために、バナナやキウイなどのフルーツを入れることが多く、その分糖度が高い傾向にあります。そのため、ダイエットの観点でみると、ほうれん草をはじめ野菜全般はスムージーにするより、そのまま食べた方がよいといえます。
バランスよく栄養を摂取するには、五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン類・ミネラル類)を意識し、1食で主食(主にご飯)・主菜(肉・魚・大豆製品など)・副菜(野菜・海藻・きのこなど)を取り入れるのが大切です。
前述したような極端なダイエット方法を実施すると、代謝が落ちダイエットに非効率的なだけではなく、体調を崩してしまう場合もあります。ダイエット中は主食・主菜は抜かずに、ほうれん草を副菜のひとつとして取り入れるのがベストです。
食べ方のコツとしては、先に副菜を食べて、主菜(肉や魚)を食べて、最後に主食(ご飯)を食べることです。そうすることで血糖値がスパイク(急上昇)することが抑えられます。血糖値を急上昇させると急降下し、2時間程で空腹感を覚え過食の原因になります。
ほうれん草に含まれるビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。そのため、肉類や魚介類、豆類などたんぱく質が豊富な食品と一緒にほうれん草を摂ると、いわゆる美肌効果や基礎代謝アップが期待できます。また、たんぱく質はカルシウムの体内吸収率を高める作用もあります。
簡単に作れるほうれん草のおひたしです。ほうれん草を茹でてしょうゆをかけるだけのシンプルな料理です。油も甘味料も使っていない低カロリーなひと皿です。前菜としてどうぞ。
ほうれん草のおひたしのレシピはこちら
ごま油とにんにくが香るほうれん草のナムルのレシピをご紹介します。ほうれん草を茹でて調味料と和えるだけの簡単レシピです。
ほうれん草のナムルのレシピはこちら
たんぱく質がたっぷり摂れるひと品です。スパニッシュオムレツにぴったりなトマトソースも紹介します。トマトに含まれるリコピンには強い抗酸化作用があります。
ほうれん草のスパニッシュオムレツのレシピはこちら
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