1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 上白糖と三温糖の違い。原料・カロリー・使い道を比較

上白糖と三温糖の違い。原料・カロリー・使い道を比較

公開日

更新日

上白糖と三温糖の違い。原料・カロリー・使い道を比較

料理やお菓子作りでよく使われる上白糖や三温糖。これらの砂糖にはどのような違いがあるかご存知ですか?「三温糖は茶褐色だから健康」と思ってる方も多いと思いますが、実は上白糖と三温糖のカロリーや栄養素はほぼ同じです。今回は上白糖と三温糖の共通点と違いについて詳しく解説していきます。

上白糖と三温糖の共通点

原料

上白糖三温糖はどちらも、サトウキビまたはテンサイから作られています。

サトウキビは、イネ科の多年性植物です。茎だけで高さが3mにもなり、茎には竹のように節があります。高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。日本国内で、年間約18.6万トン*のサトウキビが生産されています。

テンサイは見た目は大根に似ていますが、植物学上ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。紅白の2種類があり、砂糖の原料として使用されるのは白色のほうです。甜菜は温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。日本の主な生産地は北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています。

*2009年の国内原料における砂糖生産量

成分・カロリー・重さもほぼ同じ

三温糖は茶色い色をしているため、上白糖よりも栄養価が高いと思われがちですが、実際は上白糖と三温糖の栄養価はほぼ同じです。

<上白糖(可食部100gあたり)>

エネルギー・・・384kcal

水分・・・0.8g

たんぱく質・・・0g

脂質・・・0g

炭水化物・・・99.2g

無機質(ミネラル類)

  カリウム・・・2mg

  カルシウム・・・1mg

  鉄・・・Tr

食物繊維総量・・・0g


<三温糖(可食部100gあたり)>

エネルギー・・・382kcal

水分・・・1.2g

たんぱく質・・・Tr

脂質・・・0g

炭水化物・・・98.7g

無機質(ミネラル類)

  カリウム・・・13mg

  カルシウム・・・6mg

  鉄・・・0.1mg

食物繊維総量・・・0g


※「Tr」とは、微量含まれるという意味

食品成分表からわかるように、確かに三温糖の方が、ミネラル類(カリウム、カルシウム、鉄)を多く含みますが、全体を占める割合はごくわずかです。摂取できる無機質(ミネラル)の量は微々たるものなので、「三温糖はミネラルが豊富」とはいいきれません。

また、血糖値の上昇度合いを示すGI値は、上白糖で109、三温糖で108とこちらも大差はありません。いずれも高GI値食品に分類されます。ちなみに他の砂糖のGI値は、グラニュー糖は110、黒砂糖は99、てんさい糖は65です。GI値で見ると、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。

上白糖と三温糖の重さは大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gです。

GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。

上白糖と三温糖の違い

製法

製法による分類では、上白糖、三温糖ともに分蜜糖に該当します。分蜜糖とは、原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。

白下糖から得られる結晶をさらに精製したものが上白糖(白砂糖)です。

そして、上白糖をつくる際に得られる糖蜜から作られるのが三温糖です。三温糖という名前は、「糖蜜を三度煮詰めてつくる」という工程に由来しています。三温糖を作る際の加熱によって黄褐色に色付き、カラメル成分が形成されるため、カラメル色になっています。三温糖の色は、原料の本来の色というわけではありません。

甘さ

実際に上白糖と三温糖の糖度(甘さの強さ)を比べると、上白糖の方が糖度は高いです。これは上白糖が生成された砂糖であるためと考えられます。

しかし、食べてみると上白糖よりも三温糖のほうが甘いと感じる人が多いです。これは三温糖に含まれる不純物質(ミネラル分、アミノ酸、有機酸など)の影響であると考えられます。特に、三温糖に含まれるミネラル分やアミノ酸は、味覚に影響する成分であり、甘みやコクを強調する効果があるため、上白糖よりも甘さが強く感じる要因であると考えられます。

使い分け

上白糖はクセがない淡白な甘みが特徴的です。そのため、料理全般や菓子、パン、飲み物などに幅広く使うことができます。ただし、上白糖は加熱により焦げやすいため注意が必要です。

三温糖は上白糖よりも甘みが強くカラメルの風味が感じられるのが特徴です。上白糖と同様に様々な使い方ができますが、コクが出て奥深い味になるため特に煮物や佃煮などの和食に適しています

コーヒーなどに入れると、やさしいカラメル風味を味わうことが可能です。

コクや風味の良さを重要視する場合は、三温糖を使うと良いでしょう。

価格

地域や店舗によって価格は異なりますが、一般的には上白糖は1袋200円〜230円で販売されているのに対して、三温糖は1袋200円〜300円と上白糖よりも若干高い値段で販売されていることが多いです。

これは上白糖が精製された白い結晶で、比較的簡単に作られる一方、三温糖は糖蜜を加熱・濃縮して作られるため、製造コストが高くなるためであると考えられます。

どっちが体にいいのはどっち?

三温糖は茶褐色をなしていることや、上白糖よりも値段が高い傾向にあることから、「上白糖よりも体に良い」と思っている方が多いようです。しかし、栄養的に上白糖と三温糖はほぼ同じです。

三温糖の色が茶色なのは、未精製の砂糖だからではなく、製造過程で煮詰められることによるものです。そのため、てんさい糖やきび砂糖、黒糖のようにミネラル類が豊富なわけではありません。

また、カロリーや栄養素、そして血糖値の上昇度合いを示すGI値も上白糖とほぼ同じです。

白砂糖と三温糖はお互いに代用可能?

代用可能

上白糖と三温糖はお互いに代用することができます。ただし、どちらも料理に甘みを加えるという点では共通していますが、味や色、食感に違いが出ることがあります。

例えば、三温糖は上白糖に比べて風味やコクがあり、独特の味わいがあるため、上白糖で代用するとさっぱりとした味わいになる一方でコクが失われることがあります。そのため使い方や料理の種類によって、どちらを使用するか選ぶことが大切です。

白砂糖と三温糖混ぜて使うことはできる?

白砂糖と三温糖を混ぜて使うこともできます。

上白糖と三温糖を混ぜる場合の割合は使用する料理や好みによって異なりますが、一般的には1:1の割合で混ぜることが多いです。濃厚な味わいやコクを出したいときは三温糖を多めにすると良いでしょう。

砂糖の正しい保存方法

砂糖全般には賞味期限が設けられていません。食品表示法に基づき、砂糖は長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められています。

砂糖は吸湿しやすい性質をもつため、密閉容器に入れ、なるべく冷暗所で保存することをおすすめします。砂糖が固まってしまったら、砂糖の表面に霧を吹いて密閉しておくと◎。

砂糖の保存におすすめの保存容器はこちら。シリコーンゴムのパッキンが付いているので、しっかりと密封し、湿気や乾燥を防いでくれます。すり切り板付き、小さじ付きで簡単に軽量が可能。白・グレー・黒の3色展開となっています。


長期間保存してる砂糖も基本的には使用可能ですが、砂糖の状態を見て使用できるか否かを判断しましょう。湿気て溶け出していたり、部分的に変色している場合は、使用を避けるべきです。

出典:農林水産省