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きゅうりは食べ過ぎるとどうなる?摂取目安量は何本?

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きゅうりは食べ過ぎるとどうなる?摂取目安量は何本?

ポピュラーな夏野菜であるきゅうりですが、食べ過ぎた場合どんな影響があるのでしょうか。下痢や腹痛、気持ち悪くなることはあるのでしょうか?本記事では、きゅうりの大量摂取のリスクについて解説します。

きゅうりを食べ過ぎるリスク

水分

きゅうりは95%が水分です。そのため、きゅうりばかり食べていると水分の摂りすぎでお腹がゆるくなってしまう可能性があります。

これは水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒である「低ナトリウム血症」状態になってしまうためです。めまいや頭痛を引き起こす場合もあります。

出典:MSDマニュアル家庭版『低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低いこと)』

食物繊維

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善や腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。

きゅうりはほとんどが水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維は摂りすぎるとお腹がゆるくなる原因になります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうこともあります。

ちなみに、不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になる場合があります。

出典:

栄養バランス

きゅうりに限った話ではありませんが、同じ食品ばかり食べていると栄養が偏ります。

きゅうりに含まれていない栄養には、例えば、ビタミンDやビタミンB12があります。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDが多い食材には、魚類や卵があります。またビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。

さらに、同じ栄養素であっても複数の食品から摂取するのがよいとされているため、バランスのよい食事を心がける必要があります。

出典:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」

ククルビタシン

きゅうりの苦味成分のひとつであるククルビタシンですが、食中毒の原因になる場合があります。

これはきゅうりのヘタに多く含まれており、抗酸化作用があります。しかし、多く摂取しすぎると食中毒の原因となる可能性があります。

きゅうりを食べた際に激しい苦味を感じたら、吐き出し、食べるのを中止しましょう。

出典:内閣府 食品安全委員会|オーストリア保健・食品安全局(AGES)、「なぜヒョウタンは食べられないのか?」を公表

カロリー・糖質

きゅうりと他の野菜のカロリー・糖質を比較した表

きゅうりは100gあたりエネルギー量(カロリー)は13kcalで、糖質は1.9gです。

きゅうりはほとんどが水分であり、一度に食べる量を考えても太る心配はないでしょう。ただし、味付けなどによってカロリーが高くなることがありますので、調理法には注意しましょう。

ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。

出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)

カリウム

きゅうりはカリウムが豊富な野菜です。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。

日本人は塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

ビタミン類

きゅうりはあまりビタミン類が豊富ではないので、ビタミン過剰症の心配はあまりいりません。

ビタミンAは過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。また、妊婦さんは特に気にかけた方がよく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児に悪影響を及ぼす可能性が高くなることが報告されています。しかし、野菜に含まれるβ-カロテンは必要量のみビタミンAに変換されるので心配いりません。

ビタミンCは大量摂取すると、吐き気、下痢、腹痛などが生じることがありますが、通常の食事でビタミンC過剰症になることは基本的にありません。ビタミン過剰症はサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

きゅうりの1日の摂取目安量

テーブルに並んだきゅうり

きゅうりの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目標量を基準に目安を把握することができます。どの基準も上限量はなく推奨量が設定されているので、それを参考に食べる量を決めるとよいでしょう。

緑黄色野菜を基準にして

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

きゅうりは淡色野菜に分類されるので、他の淡色野菜と合わせて230gほどの摂取を目安にするとよいでしょう。きゅうりは1本あたり約100gなので、1日で食べる淡色野菜がきゅうりだけならば、2本程度ということになります。他の淡色野菜も食べるならば、1日あたり1本程度が妥当といえます。

他の淡色野菜には、タマネギやキャベツ、ダイコン、カリフラワー、レンコン、サツマイモ、レタスなどがあります。ちなみに淡色野菜の中できゅうりのβ-カロテンの量はトップクラスです。

出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)

きゅうりの栄養と効能

きゅうり

きゅうりに含まれる栄養素の特徴を解説します。

β-カロテン

β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。

β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。

変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。

ビタミンC

きゅうりはほとんどが水のイメージですが、実は栄養価は高く、ビタミンCもトマトの1.2倍含まれています。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。

そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。

カリウム

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

食物繊維

食物繊維はなんとキャベツとほぼ同じ量が含まれています。

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。きゅうりにはどちらも含まれていますが、不溶性食物繊維が4倍多いです。

不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。

水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになります。

また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。

シトルリン(アミノ酸)

シトルリンはスイカから発見されたアミノ酸で、ウリ科の植物に多く含まれています。

まずシトルリンには血管拡張作用があるので、運動パフォーマンスを向上させる効果があります。さらには、乳酸やアンモニアなどを素早く除去し、エネルギー生成を促進する働きもあります。この反応に伴って成長ホルモンの分泌を促進したり、筋肉を構成するたんぱく質の分解の抑制や合成の促進などが起こるので、運動をする人はぜひ摂取すべき栄養素です。

また血管拡張作用によって血流が良くなるので、冷えや足のむくみなどにも効果的です。さらにこのシルトリンは保湿成分のひとつであるため、肌のツヤやハリを維持します。血流が改善する効果もあることから新陳代謝を活発にして、肌のターンオーバーも促進できます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス