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かるかん粉とは?原料と用途、代用品、米粉・上新粉との違いを解説

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かるかん粉とは?原料と用途、代用品、米粉・上新粉との違いを解説

かるかん粉とはその名の通り、かるかんを作るときに使われる米粉です。本記事では、かるかん粉の原料や製造方法、成分やカロリーなどを詳しく解説します。

かるかん粉の原料・製造方法

かるかん粉は、うるち米を原料にして作られた米粉の一種です。「軽羹粉」と表記されることもあります。

うるち米とは、半透明で一般的に食べられているお米のことです。有名な品種には「コシヒカリ」や「あきたこまち」などがあります。うるち米と対になるのは、もち米です。もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。

かるかん粉は、うるち米を水に浸した後に水を切り半乾きにし、それを挽いて粗めの粉末にしています。

粉末状にした後、乾燥させたかるかん粉とそのままのかるかん粉があります。

かるかん粉の用途

かるかん粉は、主に「かるかん」や「かるかん饅頭(まんじゅう)」を作るときに使います。

かるかんとはかるかん粉と自然薯(山芋)を材料にして作る蒸しカステラで、鹿児島県の銘菓です。

諸説ありますが、江戸時代後期に藩主島津侯が江戸から帰宅する際に連れ帰った菓子職人によって作られたのがはじまりで、生地を蒸し上げると蒸す前よりも軽くなるため「軽羹(かるかん)」といわれるようになったといわれています。本来は羊羹やういろうなどと同じく細長い形をした和菓子ですが、近年は中に餡(あん)をつつみ饅頭状にした「かるかんまんじゅう(軽羹饅頭)」の方がより一般的になっています。

かるかん粉の販売場所・値段

かるかん粉を取り扱っているスーパーはあまりありません。そのため、購入するのであればAmazonなどの通販を利用するのがおすすめです。

250gで290円〜350円程で購入することができます。

かるかん粉の賞味期限・保存方法

かるかん粉の賞味期限は、製造メーカによって異なりますが短いものは3〜4ヶ月、長いものでは1年程です。ただし、これは未開封である場合や正しく保存されていた場合なので、開封をしたらできるだけ早めに使いきりましょう。

未開封の場合は、直射日光のあたる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で保存します。開封をしたら、密封できる容器に移し替えて保存します。

かるかん粉の成分・カロリー

かるかん粉100gに含まれている成分は、下記の通りです。

  • たんぱく質…6.5g

  • 脂質…0.5g

  • 炭水化物…79.3g

かるかん粉100gのカロリーは、347kcalです。ご飯お茶碗大盛り(200g)で336kcalなので、ご飯大盛りを食べるよりもカロリーが高いということになります。糖質は炭水化物から食物繊維を引いた値ですが、食物繊維はほぼ含まれていないので、糖質量は約79gです。これもご飯大盛り(200g)よりも多い値なので、食べすぎには注意が必要です。

ちなみに、かるかんは1個(50g)あたりのカロリーは約115kcalで糖質約27gです。かるかん粉にやま芋や砂糖を加えて作っているのでカロリーは高く、糖質量も多くなります。かるかんに餡を包んでいるかるかん饅頭はさらにカロリーが高く、糖質量も多くなるため、ダイエット中のおやつには向いていません。

かるかんの作り方・レシピ

本記事ではかるかんの一般的なレシピを紹介します。

材料(14×11×4cmの流し缶で1本分)

  • かるかん粉…100g

  • 大和芋…正味80g

  • 砂糖…160g

  • 水…100ml

作り方

下準備として、蒸し器のお湯は沸騰させて蓋をふきんで包んでおく。蓋をふきんで包んでおくと、水滴がかるかんについてしまうのを防ぐことができます。

  1. 大和芋の皮をむき、すりおろしてボウルに入れる。
  2. グラニュー糖を3回に分けて加え、よく混ぜ合わせる。
  3. 水を3回に分けて加えて、混ぜ合わせる。
  4. 大和芋がなめらかな状態になったら、かるかん粉を一度に加え、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜる。
  5. 流し缶に流し入れる。
  6. 流し缶を蒸し器に入れ、ふたをして強火で45分蒸す。
  7. 火が通ったらそのまま冷やし、型から出して切り分ける。

まず、大和芋の皮をむき正味80gをボウルに入れます。大和芋は、山芋や長芋でも代用可能です。山芋をすりおろしたら、グラニュー糖を3回にわけて加えてよく混ぜます。よく混ざったら、水を3回に別けて加えます。すくったときにスルリと落ちる状態になれば良いので、水の量は様子を見ながら調節してください。山芋がふんわりとなめらかな状態になったら、かるかん粉を一度に加え、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜます。粉っぽさがなくなったら、流し缶に流し入れて蒸し器で強火で45分程度蒸します。竹串を刺してみて生地が竹串につかなかったら、火が通っているサインです。火が通ったら、そのまま冷やし型から取り出し切り分けて完成です。

すりおろした大和芋にグラニュー糖を加えて混ぜたら、ハンドミキサーで角が立つまで泡立てた卵白(1個分)を加えてまぜておくと、よりふんわりとしたかるかんに仕上げることができます。

蒸し器がない場合はレンジで代用して作ることができます。レンジで代用する場合は、すりおろした大和芋にグラニュー糖とかるかん粉を混ぜた生地を内側を水軽くで濡らした耐熱容器に流し入れ、ふんわりとラップをかけて600wのレンジで約2分加熱します。この場合も竹串を通して火が生地がつかなければOKです。火が通ったらラップをかけたまま数分間蒸らして完成です。

かるかん粉の代用品と違い

かるかんミックス粉

かるかんミックス粉は、かるかん粉の代用品になります。かるかんミックス粉を使うと、材料も手順も少なく簡単にかるかんを作ることができます。

かるかんミックス粉は、うるち米ともち米、卵、山芋、砂糖などを原料にして作られた粉です。そのため、かるかんミックス粉を使う場合は山芋をすりおろしたりする必要がありません。

かるかんミックス粉100gあたりのカロリーは372kcalで、糖質量は約87gです。すでに砂糖や山芋が入っているので、かるかん粉よりもカロリーも高く糖質量も多くなります。

上新粉

上新粉(じょうしんこ)はかるかん粉の代用品になります。ただし、上新粉のほうがかるかん粉よりも粒子が細かいため食感に違いが出ます。上新粉で作るかるかんはなめらかに仕上がります。上新粉はかるかん粉に比べると取り扱っているスーパーも多く、手軽に購入できます。

上新粉は、2ロール製法で製粉したものをふるいにかけて粒子の粗いものと細かいものとでわけたもののうち、目の細かいほうが上新粉になります。ちなみに目の粗いほうは「並新粉(なみしんこ)」といいます。

2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いという特徴があります。

上新粉は歯切れがよくしっかりとした歯ごたえを出すことができるため、柏餅や草餅、団子、すあま、ういろうなどの和菓子を作る際に使われることが多いです。また、上新粉は唐揚げなどの揚げ物の衣に使うこともできます。

上新粉100gあたりのカロリーは362kcalで、約77gです。カロリーも糖質量もかるかん粉と大きな差はありません。

米粉

米粉もかるかん粉の代用品としてかるかんを作ることができます。ただし、米粉もかるかん粉より粒子が細かいため食感に違いがでます。米粉で作るかるかんは、よりなめらかに仕上がります。製パン用米粉を使った場合は、グルテンが添加されているので弾力のある食感のかるかんができます。

米粉とは、米を製粉した白い粉の総称です。

米粉は大別してもち米から作られるものとうるち米から作られるものがあり、非常に多くの種類があります。例えば、もち米からなる代表的な米粉は白玉粉で、うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。これらをまとめて「米粉」ということができます。

スーパーなどで「米粉」や「米の粉」として売られているものには「製菓用米粉」とグルテンを添加した「製パン用米粉」の二種類があります。原料はうるち米なので、上新粉と同じですが上新粉とは製法が異なります。一般的には、うるち米から2ロール製法で作られた粉が「上新粉」、うるち米から胴搗き製法で作られた粉がスーパーなどで売られている「米粉」や「米の粉」に分類されます。

胴搗き製法は、精米後にお米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。徐々に細かくしていくので時間はかかりますが、より質の良い粉が得られます。関西地方では古くよりこの製法が主流です。

うるち米を原料とし、胴付き製法で作られる粉には上用粉(じょうようこ)もありますが、「米粉」や「米の粉」として売られているものは、上用粉よりもさらに粒子が細かいのが特徴で、主にクッキーなどを作る際の小麦粉の代用品として使われます。