かぼちゃの皮の下や切り口に白い物体がついていて食べられるのか不安になったことがある方は多いのではないでしょうか。これは、クリスタルと呼ばれる生理現象です。本記事ではかぼちゃにつく白い物体の正体や食べられるのかどうかなどを解説します。
かぼちゃにつく白い物体の正体は下記の通りです。
かぼちゃをカットしたときに切り口についている白い物体の正体はでん粉です。
高温の場所で保存していたり乾燥してしまったことが原因でかぼちゃの糖質やでん粉が結晶化したため、白く見えます。
かぼちゃの皮の下や実の内側部分についている白い物体も同様にでん粉です。皮の下などででん粉が結晶化してしまうのは、生育中に水分が足りなかったことが原因であることが多いです。
かぼちゃのでん粉が結晶化し白く見える現象は「クリスタル症状」といわれます。
一般的にスーパーなどで販売されているかぼちゃの表面は緑色で中はオレンジ色をしていますが、かぼちゃには元々白い色をしている品種もあります。
白いかぼちゃは「白皮栗かぼちゃ(白皮栗南瓜)」といい、「雪化粧南瓜」や「男爵南瓜」といった品種があります。
白いかぼちゃは「まずい」といわれることが多いですが、まずいと感じるのは熟す前に食べてしまっていることが原因であることがほとんどです。
白いかぼちゃは一般的な緑色のかぼちゃと比較して皮が非常に固く、数ヶ月置いて追熟させることでかぼちゃのホクホクとした食感と甘みを楽しめるようになります。
6月〜9月に収穫され、スーパーなどで販売されていることもあるので見かけたらぜひ試してみてください。
かぼちゃの切り口や皮の下などについている白い物体の正体はおわかりいただけたかと思います。続いて、白い物体がついたかぼちゃは食べられるのかどうか解説します。
上述したように、かぼちゃにつく白い物体の正体はでん粉なので、食べても問題ありません。
でん粉とは、植物が光合成をすることによって生成されたブドウ糖から貯蔵物質に変わった炭水化物で、種子・根茎・塊根・球根などの細胞に蓄えられています。
例えば、普段料理でよく使われている片栗粉の原料はじゃがいものでん粉です。じゃがいもを水にさらし沈殿したでん粉を乾燥させて粉状にすると片栗粉になります。
でん粉が結晶化しているかぼちゃを食べても人体に害はないので、そのまま調理をしても大丈夫です。
そのまま調理をしても問題ありませんが、気になる場合はさっと水洗いして流すか、薄くカットして調理をすると良いでしょう。
特に皮の下の白い部分は、青臭さがあったり苦味があることがあります。また、固くて食べにくいと感じる方もいるので、カットして取り除いてから調理をするのがおすすめです。
かぼちゃに白い物体がついていると、白カビが生えたのでは?と思う方が多いでしょう。実際にかぼちゃには白カビが生えることもあるので、でん粉が結晶化しただけなのかどうかしっかり判断する必要があります。
白カビとの見分け方は下記の通りです。
かぼちゃに白いふわふわとしたほこりのような物体がついている場合は、白カビです。でん粉とは異なり、ふわふわとしているのが白カビの特徴です。
白カビは、食品にできるカビで最も身近な種類です。普段は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけるとどんどん増えていきます。 かぼちゃの場合は表面全体はもちろんのこと、水分が溜まりやすいヘタの周りや種・わたの部分にも生えることがあります。
ちなみに、かぼちゃには白カビだけではなく黒カビや青カビが生えることもあります。
白い物体が白カビだった場合、カビ臭さがあることもあります。
カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。
また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。
あきらかに普段とは異なる臭いがする場合は、白カビと判断して良いでしょう。
かぼちゃについている白い物体が白カビだった場合は、残念ですが破棄しましょう。黒カビや青カビの場合も同様です。
カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状が出てしまう可能性があります。小さなお子様が食べる場合や高齢者の方が食べる場合など特に免疫力のない方が食べてしまうと大変危険です。
表面だけなどカビが生えているのが一部である場合、カビが生えている部分を切り落とせば食べられるのでは?と思う方も多いでしょう。
実際、かぼちゃなどの固い根菜は表面だけで中まで侵食していなければ、皮を厚めにカットすれば食べられるという方もいらっしゃいます。しかし、カビの胞子は目に見えないほど小さいので、見えない部分にも侵食してしまっている可能性があります。お風呂に生える頑固なカビを思い出していただけるとわかりやすいでしょう。奥まで根を張ってしまっていると表面を切り落としても、完全には取り除けないのです。
「少し傷んでいても加熱すれば大丈夫でしょ」と考える方も多いかと思いますが、カビの菌は熱湯をかけるなどの加熱処理をしても安全に食べられるということはないので注意しましょう。 実際にはカビの菌も多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。
また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできません。
出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)
かぼちゃがクリスタル症状になったり、カビを生やしてしまわないためには、正しく保存しておくことが大切です。かぼちゃに限らず食材を正しく保存することで鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。
かぼちゃは常温保存が可能な野菜です(ただし丸ごとのみ)。正しく保存すれば、2〜3ヶ月ほど日持ちします。用意するのは新聞紙のみ。とても手軽な保存方法です。
丸ごとのかぼちゃを新聞紙に包みます。ヘタの部分を下にして包むと、かぼちゃの重みで新聞紙をとめることができます(ガムテープなどで貼り付けるとさらに◎)。かぼちゃが大きい場合は新聞紙を数枚使って全体をしっかり覆いましょう。
新聞紙で包んだら風通しのよい冷暗所で保存します。保存時はヘタが上になるようにして置きます。かぼちゃが畑で育っていた環境になるべく近づけてあげることで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横にした状態で保存すると、元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。
常温保存することでゆっくりと追熟が進み甘みが増します。甘みが増すのは、かぼちゃのでんぷんが糖質に変わるため。甘みとともに栄養価も増します。スーパーなどに並んでいるかぼちゃはすでに追熟が進んでいますが、ご家庭で収穫したかぼちゃは、すぐ食べるのではなく数ヶ月ほど追熟させてから食べるようにしましょう。皮の色がオレンジがかってきたら完熟のサインです。
室温が高くなる夏はかぼちゃが傷みやすいので、常温以外の方法で保存することをおすすめします。また、カットしたかぼちゃは一年を通して冷蔵保存するようにしましょう。
カットしたかぼちゃは冷蔵保存がおすすめです。冷蔵かぼちゃは1週間ほど保存することができます。まるごと保存する場合と違って傷みが早いので、なるべく早く食べるようにしましょう。
かぼちゃを適度な大きさにカットし、種とワタを取り除きます(種やワタの部分から傷みやすいため)。切り口にぴったりとラップをかけ包み、ポリ袋に入れて軽く口を閉じてから冷蔵庫で保存します。
皮がかたくて切りづらい場合は、電子レンジで3〜5分ほど加熱すると、カットしやすくなります。やけどに注意してカットしてください。また、加熱する場合は、粗熱がしっかり取れてからラップで包むようにしましょう。
冷蔵保存時に取り除いた種は捨てないで!かぼちゃの種にも豊富な栄養が含まれています。
保存時に取り除いた種を耐熱皿に広げてふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで4〜5分ほど加熱します。種が割れたら中身を取り出し、クッキーやスープの具材として使用します。そのまま食べるのも◎。加熱した種は大変熱くなっているので、やけどに注意してください。
さらに日持ちさせたい場合は冷凍保存がおすすめ。冷凍したかぼちゃは約1ヶ月ほど保存することができます。
かぼちゃは冷凍してもビタミンB類やCの含有量はほぼ変わりません。β−カロテンに関しては含有量がアップするといわれています。
冷凍したかぼちゃは解凍せず凍ったまま調理に使うのが◎。冷凍かぼちゃは食感や味が少々落ちてしまいますが、マッシュして保存すれば美味しさをキープすることが可能です。
一口大や薄いくし形など、お好みの大きさにカットし、まとめてラップで包みます。冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。金属トレイの上にのせ、さらに冷蔵庫の急速冷凍機能を使えば、旨みをぎゅっと閉じ込めて鮮度を保って保存することが可能です。
なるべく薄く、小さくカットすることで、解凍後の火の通りが早くなります。解凍せず凍ったまま調理することで、煮崩れしにくくなります。厚くカットしたかぼちゃは、一度電子レンジで軽く解凍してから調理すると火が通りやすくなります。
加熱してから冷凍すれば、調理の時間が短縮できます。茹でてしまうと解凍時に水っぽくなってしまうため、電子レンジで加熱するのがおすすめです。
一口大にカットしたかぼちゃを耐熱皿にのせ、ふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで2分ほど加熱します。粗熱を取ったら冷凍用保存袋に入れて密封し冷凍室へ。金属トレイ+急速冷凍機能で冷凍するのがおすすめです。
加熱して冷凍したかぼちゃは電子レンジで解凍するか、凍ったまま煮物や汁物などの加熱調理に加えてもOKです。
離乳食やスープ、お菓子作りなどにはマッシュした冷凍かぼちゃがおすすめです。
かぼちゃの皮を剥いて茹で(皮つきのままでも◎)、熱いうちに麺棒で潰します。粗熱が取れたら小分けにしラップで平たく包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。マッシュかぼちゃの冷凍でも金属トレイ+急速冷凍機能を使うと◎。
マッシュしたかぼちゃは前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、すぐに食べたい場合は電子レンジで解凍して、サラダやスープ、コロッケなどの料理や、プリンなどのお菓子に使用するのがおすすめです。
その他には天日干ししたりオーブンで加熱して水分を飛ばしてから保存する乾燥保存などもあります。かぼちゃの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
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