もやしが青や緑に変色してしまう原因や食べられるのかどうかを詳しく解説します。
もやしが青・緑に変色する原因は下記の通りです。
もやしが緑色に変色する原因としては、葉緑体が大きく関係していると考えられます。
葉緑体とは植物が日光にあたることで生成される物質で、葉緑体の中にクロロフィルと呼ばれる緑色の色素が含まれているため、植物は緑色になります。
もやしは通常、水耕栽培されており、日光には当てず蛍光灯の元で育ちます。日光に当たって育つ植物と比較すると葉緑体はそれほど多く生成されませんが、この光の照射時間が長いと葉緑体が多く生成されて緑色になることがあります。特に元々葉緑素の多い緑豆もやしは、葉緑体ができやすいです。
緑豆もやしの場合は、先端の豆の部分が緑色になることがありますが、これも葉緑体の色です。緑豆もやしは時間が経つにつれて豆の部分が乳灰白色→黄色→緑色と変化していくことがわかっています。
まれに茹でたり炒めるなどの加熱調理をすることで、緑や青に変色したように見えることがあります。これは、葉緑体が生成されていたため加熱したことで色が顕著にあらわれたのだと考えられます。
出典:緑豆によるもやしの鮮度保持期間におよぼす貯蔵温度、貯蔵中の変温の影響(J-stage)
加熱したことで青や紫に変色してしまうこともまれにあります。
これはもやしに含まれる紫色の色素「アントシアニン(ポリフェノール)」がアルミニウムに反応したことが原因であると考えられます。
しかし、実際にはもやしに含まれるアントシアニンの量はごくわずかであり、アルミニウムとの反応が起こることは非常にまれな現象です。
アントシアニンは、植物に広く存在する色素であり、紫色や赤色の花や果物に見られることが多いです。もやしにも微量ながら含まれているため、加熱などの処理でアルミニウムと反応する可能性がゼロではありませんが、実際に変色が起こることは非常に少ないでしょう。
出典:もやしの変色について(日本植物生理学会)
もやしが青・緑に変色してしまう原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて食べても問題ないのか解説していきます。
緑色や青色に変色してしまったもやしは、腐敗しているわけではないので食べることができます。
例えば、じゃがいもの場合は葉緑体が増えて緑色に変色していると、ソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く生成されているサインなので注意が必要です。一方もやしの場合は、葉緑体が生成されていても天然毒素が多く含まれているといったことはありません。問題なく食べることができます。
青色に変色してしまった場合も、見た目は毒々しいですがアントシアニンによる変色なので、食べても問題ありません。アントシアニンは抗酸化作用があり、人体に害を及ぼす成分ではありません。
緑豆もやしの場合は、保存期間が長いと頭の部分が緑色に変色してくる傾向にあります。腐敗していなければ問題なく食べることができますが、鮮度が落ちてしまうと腐敗してしまうので早めに食べきるのが無難です。
傷み始めているようであれば、雑菌が増殖している可能性が高いので「水洗い不要」の記載があってもしっかりと流水で洗い流してから加熱をして食べましょう。
万が一、異臭がしたり溶け出している部分があるなど腐敗のサインが見られる場合は残念ですが破棄してください。腐敗したもやしを食べてしまうと食中毒を引き起こしてしまうことがあります。
一見腐っているように見えても食べれる状態であることもあります。ここからは、緑・青以外の腐っていると思われがちな変色を紹介します。
もやしのひげとは、もやしの根本についているひょろっとした部分を指します。
ひげの部分だけが茶色く変色してしまっている場合は、腐敗しているわけではないので食べても問題ありません。ただ、鮮度が落ちている状態といえます。そのため、ひげが茶色く変色してしまっている場合は腐敗してしまわないうちに早めに食べきることが大切です。
ちなみにもやしのひげは食べることができます。栄養がたっぷりつまっているのでそのまま食べるのが望ましいですが変色している場合など気になる場合はカットして調理をしても良いでしょう。栄養を無駄にしないためには新鮮なうちにカットせずに食べるのがベストです。
「もやし」と一口にいっても様々な種類があります。一般的にスーパーで販売されていることが多いのは「緑豆もやし」と「豆もやし」です。
豆もやし大豆を発芽させたもので、先端に大きな豆がついているのが特徴です。豆もやしの場合は豆の部分が黒っぽく変色してくることがありますが、先っぽだけが黒く変色しているのみで、異臭や溶けている部分があるなど腐敗のサインが見られなければ食べても大丈夫です。
先っぽが黒いだけではなく腐敗のサインが見られる場合は破棄してください。ただし、腐敗まで進んでいなくても鮮度が落ちている状態なので、早めに食べきるようにしましょう。
緑色や青色に変色していても食べることはできますが、もやしは非常に傷むのが早くすぐに腐敗してしまうので注意が必要です。下記のような特徴が見られる場合は腐敗しているので破棄しましょう。
腐ったもやしの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に黒・茶・透明に変色している
水分が多く出ている
出てきている水分が茶色や黒色
溶けだしている
白いふわふわとしたほこりのようなものがついているときは白カビ、黒いすすのような斑点がついているときは黒カビが生えています。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす原因になるためカビが生えている場合は一部のみであっても破棄しましょう。
もやしが変色する原因は腐敗だけではありませんが、全体的に変色してしまっている場合も腐敗と考えて破棄するようにしてください。また、もやしは水分量が多い野菜なので、保存中に水分が出てくることはよくあります。あまりにも大量に出てきてしまっている場合や、出てきている水分が茶色や黒色に変色している場合も腐敗しているので食べることはできません。
見るからに溶け出している場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったもやしの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味。
生ゴミ臭。
カビ臭い。
もやしは、特有の土っぽい臭いはあるもののそこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
もやしに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったもやしの触感は下記の通りです。
簡単に潰れるぐらい柔らかい
ぬるぬるしている
糸を引いている
新鮮なもやしは張りがありシャキっとしていますが、腐敗すると簡単に潰れてしまうぐらい柔らかくなってしまいます。また、ぬめりが出ていたり糸を引いている場合も腐敗しています。ぬめりが出たり糸を引くようになってしまうのは、雑菌が増殖していることが原因と考えて良いでしょう。食べてしまうと腹痛や嘔吐といった症状が出てしまうことがあるので、残念ですが破棄してください。
当たり前ですが、新鮮なもやしを購入する方が、より長く美味しく保存することができます。新鮮なもやしには下記のような特徴があります。
透明感があり色が白くて太い
ひげ根が変色しておらず短いもの
長さが短め
ピンとしていて弾力がある
袋に水が溜まっていない
ひげ根が濃い茶色に変色していたり、ひげ根が長すぎるもやしは避けましょう。
もやしは鮮度が落ちてしまうと一部が茶色く変色したり黒く変色してしまいます。腐敗していなければ食べられるものの、新鮮なもやしと比較すると味も食感も劣ります。
もやしを長く美味しく食べるためには、購入後正しく保存することが大切です。ここからはもやしの正しい保存方法を紹介します。
もやしをすぐに使う場合は冷蔵保存がおすすめです。生のまま保存する方法が一番手軽ですが、あまり日持ちはしないのですぐに食べる必要があります。加熱すれば保存期間が少し長くなります。
購入後、もやしを袋から取り出し、ポリ袋に入れます。軽く口を閉じてチルド室で保存します。開封して使いかけのもやしもポリ袋に入れて保存しましょう。
もやしを購入したままの袋で保存するのは避けましょう。もやしは水分を多く含む(95%)野菜なので、袋に入れたままだと蒸れてすぐに傷んでしまいます。傷んでしまうと芽や根の部分が茶色く変色してしまいますし、ぬめりが出て、臭いがきつくなります。
未開封であっても、包装のまま保存せず、ポリ袋や保存袋などに入れて保存するのがおすすめです。
ポリ袋に入れて保存すれば、2〜3日ほど保存することが可能です。水洗いをしてから調理しましょう。
熱湯をかけてから冷蔵保存するという方法もあります。生のまま保存するともやしの水分が出やすいですが、加熱してから保存することで水分が出にくくなります。また、調理時間を短縮することもできます。
水洗いして水けを切ったもやしをザルに入れ、上から熱湯をまわしかけます。もやしが冷めたらキッチンペーパーで水けを切り、保存容器に入れます。蓋をしてチルド室で保存すれば、約1週間ほど保存することができます。
水や熱湯で茹でるという方法よりも、熱湯をかける方が、栄養素の流出を抑えることができます。熱湯を使用するので、やけどには十分注意してください。
水につけて冷蔵保存する方法が、冷蔵保存の中では一番長持ちします。水に浸ければ、シャキシャキ感を保って7〜10日ほど保存することが可能です。
保存容器にもやしを入れ、もやしがひたひたに浸かるくらいの水を入れ蓋をし冷蔵庫へ。チルド室では水が凍ってしまう可能性もあるので注意してください。水は2日おきに取り替えるようにしましょう。
長持ちはする一方で、もやしに含まれている水溶性のビタミンやカリウムなどが流出してしまうというデメリットも。もやしの栄養を効率よく摂取したい場合は、水に浸ける以外の方法で保存することをおすすめします。
冷蔵ではあまり日持ちしないもやしも、冷凍することで約1ヶ月ほど保存することができます。
生のもやしと比べると食感は落ちてしまいますが、味が染み込みやすくなりますので、炒め物やスープなどの加熱料理に使うのがおすすめです。冷凍後のもやしは、袋の上から軽くもむだけでほぐせるので、使いたい分だけ取り出すことが可能です。
もやしを水洗いし水けを切り、さらにキッチンペーパーを使って水分をしっかり取ります。水分が残っていると霜となってしまい味が悪くなってしまうためです。水けが取れたら、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。密封し冷凍庫へ。
冷蔵庫の急速冷凍機能を使うと、短時間で冷凍することができるのでおすすめです。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にもやしが入った保存袋を置いて冷凍すると◎。
生のまま冷凍したもやしは、凍ったままスープや炒め物などに入れて調理することができます。解凍してしまうと、水っぽくなってしまうのでNG。
冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。ブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。
もやしをさっと水洗いします。ザルに入れて上から熱湯をまわしかけます。粗熱が取れたらキッチンペーパーを使って水けをしっかりと取り、冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。こちらも急速冷凍機能もしくは金属トレイを使って冷凍すると◎。旨みがぎゅっと閉じ込められます。
冷凍する前に茹でてあるので、調理時間が短縮されるのも◎。
その他にも天日干しやオーブンで加熱してもやしの水分を飛ばしてから乾燥保存したり、醤油や塩に漬けてから保存することも可能です。もやしの保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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