冷凍したピーマンを解凍したらふにゃふにゃの食感になってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事ではピーマンを冷凍するとふにゃふにゃになる原因やピーマンをふにゃふにゃにしない解凍方法、冷凍のコツなどを紹介します。
ピーマンに限らず野菜は家庭用冷凍庫でゆっくり冷却されることで氷結晶ができ、これが野菜の組織や繊維を破壊します。野菜のシャキシャキとした食感を形成しているのは繊維です。そのため、氷結晶によって繊維が破壊されてしまうことで冷凍前と比較して食感が悪くなります。
また、冷凍することでピーマンにできた氷結晶が解凍したときに溶けて、空洞ができることもふにゃふにゃっとした食感に感じる原因です。
冷凍するときに食材の水分が凍ってしまうことは避けられませんが、正しく冷凍・解凍することである程度シャキシャキとした食感を残すことができます。
冷凍することで食感が悪くなってしまうなら冷凍しないほうが良いのでは?と思う方も多いと思いますが、冷凍することにもメリットはもちろんあります。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
正しく保存すれば冷蔵でも丸ごとの状態で3週間、カットした状態だと2日〜3日しか日持ちしませんが、冷凍保存であれば1ヵ月日持ちします。特にカットしたピーマンは傷みやすいので長期保存したい場合はやはり冷凍のほうが良いです。
長期保存したい場合はやはり冷凍がおすすめです。
ピーマンといえば苦味があるのが特徴の野菜です。苦味が苦手でピーマンが嫌いという人も多いですよね。
冷凍すればピーマンの水分と一緒に苦味となる成分も流出するので、苦味が軽減されます。一度冷凍したピーマンなら食べられるという小さなお子様も沢山います。
悪くいえばピーマンの味・風味が悪くなるデメリットになりますが、ピーマンの苦味が苦手な方にとっては苦味がマイルドになるので食べやすくなるメリットであるといえるでしょう。
冷凍ピーマンをふにゃふにゃにしないためには、解凍方法が重要です。解凍方法によっては凍っていた水分が一気に流出してふにゃふにゃになったり味が損なわれてしまいます。
冷凍したピーマンを解凍するなら、冷蔵庫に移して自然解凍がおすすめです。低温でゆっくり解凍することで、水分が流出して食感が悪くなったり風味が悪くなってしまうのを最小限に抑えることができます。
時間はかかってしまいますが、前日のうちに冷蔵庫にうつしておくと良いです。
冷凍したピーマンは流水解凍することもできます。
流水解凍とは冷凍した食材を水をためたボウルに入れて、水を流しながら解凍していく方法です。冷凍庫から取り出したら、そのまま水をためたボウルに入れて、水を流すだけです。自然解凍より早く解凍できるので、すぐに使いたいときにおすすめです。
冷凍野菜を直接入れると水っぽくなってしまうので、ジッパー付きポリ袋のまま入れるのがおすすめです。それでも、自然解凍より水が出やすいので食感が損なわれるのを避けたい場合は時間はかかりますが、自然解凍がおすすめです。
冷凍したピーマンを加熱調理するのであれば、凍ったまま使用するのがベストです。
解凍してから使うこともできますが、全解凍してしまうとピーマンの水分が流れ出てしまい食感や味が悪くなってしまいますし、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養も流出してしまいます。
そのため、冷凍したピーマンは解凍せずに直接料理に使うのがおすすめです。
ピーマンの食感や風味を損なわずに上手に冷凍するコツを紹介します。
ピーマンは丸ごと冷凍することもできますが、丸ごと冷凍すると種やわたが変色してしまいやすいです。そのため、冷凍するときは種やわたをとってカットしてから保存すると良いです。
ピーマンの種とわたの取り方はこちらの記事でご紹介してます。ぜひ参考にしてください。
野菜を冷凍するときは、生の状態で冷凍する場合と茹でてから冷凍する場合があります。ピーマンは生のまま冷凍することもできますが、一度茹でてから保存したほうが食感も悪くなりづらいですし、変色しにくくなります。
冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」といいます。ピーマン以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)
炒めてから冷凍することでも、変色したり風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
茹でるとビタミンCなどの水溶性の栄養素が流出してしまいますが、炒めるであれば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができるメリットがあります。また、解凍したらすぐに食べることができるので、時短したいときにもおすすめです。
炒めてから冷凍するときは、2個のピーマンを1cm幅に細切りし、オリーブオイル小さじ1、塩小さじ1/4で炒め、冷ましたものを保存します。
生のまま冷凍する場合もブランチングしてから冷凍する場合も、冷凍用保存袋に入れる前にしっかりと水分を拭き取ることも大切です。
水分がついたまま保存してしまうと余計な水分まで凍ってしまい、水っぽくなってしまいます。キッチンペーパなどで拭き取るようにしましょう。
冷凍用の保存袋に入れたら、しっかりと空気を抜いて密閉しましょう。
しっかりと空気を抜いておくことで、ピーマンが空気にふれることで色が悪くなってしまうのを防ぐことができます。また、冷凍庫の臭いがついてしまうのを防ぎピーマン特有の風味を守れます。
ピーマンに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍ピーマンを美味しく食べるおすすめの調理法を紹介します。冷凍した野菜はどうしても食感や風味が悪くなってしまいがちですが、調理法を工夫することでも美味しく食べることができます。
冷凍したピーマンは、そのまま味噌汁やスープに入れるのがおすすめです。味噌汁やスープなどの汁物であれば、柔らかくなってしまった食感も気になりません。
また、汁物であれば流れ出てしまうビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素もしっかりと摂取することができます。
冷凍したピーマンは解凍せずに炒めものにするのもおすすめです。炒めものにしても食感の悪さも気になりにくいですし、濃いめの味付けにすれば風味の悪さもカバーすることができます。
さらに、ピーマンに含まれているβ−カロテンは油溶性であるため、油を使って炒めることで吸収率が上がるメリットもあります。
冷凍したピーマンは解凍せずにそのままミキサーに入れて撹拌すれば、スムージーを作ることができます。近年はスムージーの作り方も多様化しており、生の状態の野菜や果物をミキサーに入れて作ることも多いですが、本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作ります。
そのため冷凍ピーマンは解凍しなくても、そのままミキサーに入れればスムージーになります。ピーマンの苦味が気になる方はバナナなど甘みのある果物などと一緒にスムージーにすると飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。
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