なすを加熱調理してみたら固かったという経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事では、なすを柔らかくする方法を紹介します。
なすは人参やじゃがいもなどの根菜と比較すると火は通りやすいですが、意外と皮がしっかりとしていて実も肉厚なので食べてみたら固かったという経験がある方も多いと思います。
特に収穫が遅れて大きく成長しすぎてしまっていたり、肥料不足だったりすると皮が固いので火が通りにくく、加熱しても固くなってしまいやすいです。
なすを柔らかくする方法を紹介します。
なすは皮ごと食べられる野菜です。皮にもポリフェノールなど身体にとって良い成分が含まれているので皮ごと調理をするほうが栄養面的には◎ですが、皮を剥いたほうが火は通りやすくなるので柔らかくすることができます。特に収穫遅れなどで皮が固くなってしまっている場合は、口当たりも悪くなるので気になる場合は剥いて調理すると良いでしょう。
なすの皮はピーラーを使えば簡単に剥くことができます。焼きなすにするのであれば、焼いてから冷水につけて皮を剥いても良いです。
食べにくいとはいっても栄養は無駄にしたくない場合は、等間隔に皮を剥いて縞目(しまめ)にするのがおすすめです。縞目に皮を剥くと見た目も華やかになります。等間隔に皮を剥く場合は包丁を使って剥くこともできますが、ピーラーを使うと簡単にできますよ。
なすに限らず野菜の食感となるのは繊維です。繊維を噛むことでシャキシャキとした食感になります。繊維は加熱をすると柔らかくはなりますが、柔らかくしたい場合は予め繊維をカットして加熱するのが良いです。
繊維を断ち切っておくことで、味も染み込みやすくなるので煮物料理には特におすすめです。
冷凍すると解凍するときに繊維が壊れて柔らかくなるので、柔らかく仕上げたい場合は予め冷凍しておくのもありです。ただし、なすの水分が凍って解凍されるときに出てきてしまいます。水っぽくなってしまったり水分と一緒になすの風味となる成分も出て味が悪りやすいデメリットもあります。冷凍したなすを使う場合は解凍せずにそのまま加熱するようにしましょう。
なすのカット方法は様々ありますが、どんなカット方法にするにせよ厚さは均等に揃えることが大切です。厚さが均等になっていないと、加熱ムラができてしまいます。
加熱ムラができてしまうと、薄くカットされているなすは火が通っているのに厚くカットされているなすは火が通っていなくて固いという状態になってしまいます。固いなすに合わせて薄いなすを加熱してしまうと、反対に柔らかくなりすぎて煮崩れしてしまうので注意しましょう。
柔らかくしたいのであれば大きさは一口大にするなど、小さめにしたほうが火が通って柔らかくなります。
皮を剥かずに使いたい場合や、2等分にカットして使いたい場合などは隠し包丁を入れると良いです。
隠し包丁とは、火を通りやすくしたり味を染み込みやすくするために食材の見えないところに切り込みを入れることをいいます。大根を煮物にするときなどにもよく使われます。
なすも隠し包丁を入れることで火が通りやすくなり柔らかくなります。
なすに隠し包丁を入れるときは、皮目に5㎜幅くらいの切れ目を斜めに入れたら、なすの向きを変えてさらに格子状になるように切れ目を入れていくと良いです。
煮物や炒め物にするなすが固くなってしまうのを防ぎたい場合は、レンジを使って下茹でしておくと良いです。レンジで予め加熱してから、炒める・煮る工程に入れば、簡単に柔らかく仕上げることができます。
鍋で下茹でするのも良いのですが、それでは水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがあります。また茹でることでなすの色素が落ちて色が悪くなってしまいます。さらに水っぽくなってしまってしまうのでレンジで下茹でがおすすめです。
レンジで下茹でする方法は、ヘタのあたりに切り込みを入れて丸ごとラップに包んで加熱するだけです。加熱時間の目安はなす1本(100g)につき600wで2分程です。なすの大きさやレンジのワット数によっても異なるので様子を見ながら加熱しましょう。
なすに塩をふると、なすから水分が抜けて柔らかくなります。そのため、なすを柔かく仕上げたい場合は予め塩をふって水分を出してから、煮たり炒めたりするのも一つの手です。
塩をふって柔らかくする場合は、カットしたあとに断面に塩を適量ふります。塩をふってしばらく置いておくと水分が出てくるので、キッチンペーパーなどで水分を拭き取ってから加熱調理していきます。
塩をふりすぎたり長い時間置きすぎてしまうと、水分が出すぎてしなしなになって食感が損なわれてしまうので注意しましょう。
また、塩を振ったなすは洗って塩を落とす必要はありませんが、軽く塩味がついているので味付けをするときは調味料の分量に注意しましょう。
上述したようになすを柔らかく仕上げたい場合は、繊維を断つようにカットするのが良いです。繊維をカットできる切り方は下記の通りです。
輪切りは、その名の通り輪(円)の形になるように切る方法です。輪切りは繊維を断ち切るように切るので、なすを柔らかく仕上げることができます。
なすを輪切りにするときは、まな板の上に人参を横向きに置き、端から一定の厚さに切っていきます。厚さは料理や好みに合わせて調節します。煮物にするときは薄くしすぎると煮崩れしてしまうので、厚めに切るのが良いです。炒めものなどサッと火を通すときは薄めが良いでしょう。
半月切りは輪切りと比較して面積が狭くなるため、より火が通りやすくなり柔らかく仕上げることができます。
半月切りにするときは、まずなすを縦半分に切ります。縦半分に切ったら、まな板の上に切り口を下にして横向きに置いて一定の厚さに切っていきます。
味噌汁にいれるなすを柔らかくしたいときや、炒めものをするときにおすすめです。
乱切りも繊維を断ち切ることができるので、柔らかく仕上げることができます。また、面積が広いので味がしっかりと染み込むメリットもあります。
輪切りや半月切りなどと比較すると、火が通るのに時間がかかりますが、しっかり煮込むことで柔らかくなるので、カレーや煮物にするときなどにおすすめです。
乱切りにするときは、なすをまな板の上に横向きに置きます。横向きに置いたら、なすの先から斜め45度に包丁を入れてカットします。カットしたら、なすを回して断面を上にし、再び斜め45度に包丁を入れて切ります。この工程を繰り返して一定の大きさに揃えてカットしていきます。
乱切りをすると形は不揃いになりますが、厚さは必ず揃えましょう。
続いて、なすを柔らかくする焼き方を紹介します。
なすは水分量が多い野菜です。加熱をする際に水分が蒸発するのと同時に油を吸います。そのため、柔らかくしたい場合は、油を多めにひいておくと柔らかくジューシーな食感に。
ただし、油を吸いすぎてしまうとべちょっとしてしまいますし、カロリーも高くなってしまいます。油の吸いすぎを防ぎたい場合は予め塩をふっておくか、塩水につけておくと油の吸いすぎを防ぐことができます。
オーブンやグリルを使ってじっくりと焼いていくのも一つの手です。一気に加熱するのではなく、じっくりと加熱していくことで、中までしっかりと柔らかくなります。
また、フライパンで焼くのとは異なる香ばしさがプラスされます。フライパンで焼くのとは異なり油をたくさん使うわけではないので、カロリーを抑えたいときにもおすすめです。
オーブンやグリルで焼いたなすは、そのままでも十分美味しく食べることができます。
蒸してから焼いたり煮る方法もあります。
蒸すのであれば鍋で茹でるのとは異なり、水溶性の栄養素の流出を抑えながらしっかりと柔らかくすることができます。
「蒸す」といえば蒸し器がないとできないと思う方も多いと思いますが、フライパンのみでOKです。はじめにフライパンになすが半分かぶる程度の水を入れたら蓋をして中火で加熱していきます。蒸気が出てきたら弱火にして水分がなくなるまで加熱して完了です。
その後焼色がつくまで焼いたら、蒸し焼きになりますし、煮物にすることもできます。便利なのでぜひ覚えておくと良いでしょう。
最後に固いなすの特徴を紹介します。状態の悪いものはスーパーなど店頭に並ぶことは少ないですが、家庭菜園でなすを育てている場合は特に注意して選ぶようにしましょう。
上述したようになすの皮が固くなってしまう原因として考えられるのは、生育中の水・肥料不足です。
なすは水分を90%以上含む野菜で、他の野菜と比較して水分を多く必要とします。水やりが少ないのはもちろんのこと、雨量が少なかったり乾燥していると水分不足になって皮が固くなってしまいます。水分不足になると皮がマットになってツヤがない状態になります。
新鮮で柔らかいなすは皮にハリがあってツヤツヤなので、皮の状態を見るようにしましょう。
なすの表面に茶色い傷が入っているのは、栽培中に幹や枝になすの実が擦れてしまったり、出荷時に実が傷ついてしまったことが原因です。人間でいうかさぶたができてしまっている状態です。
また、お尻の部分だけが茶色くなっていることもあります。これは、なすが子孫を残そうと種を守るために実を固くする自然作用による傷です。
どちらの場合も皮が固くなっている状態です。腐敗しているわけではないので食べることはできますが、このようななすが販売されている場合は買わないようにしましょう。
万が一購入後に傷がついてしまったり、保存期間が長いせいで固くなってしまったら皮は剥いて調理すると良いでしょう。
収穫が遅れてしまうことも皮が固くなる原因になります。
なすは、大きいほうが可食部が多くなるので得をした気分になりますが、食べてみると皮が固くて口当たりが悪いことが多いです。上述したように成長すると子孫を残そうと実を固くするためです。
スーパーなどで購入する際も、他のなすを比較して明らかに大きいものは選ばないほうが無難です。
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