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オクラは生のまま食べられる?下処理と食べ方を紹介

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オクラは生のまま食べられる?下処理と食べ方を紹介

オクラは茹でてから食べることが多い野菜ですが、生食はできないのかと疑問に思ったことはありませんか?本記事ではオクラは生で食べられるのか、生食するメリットや生食するときの下処理方法などを解説します。

オクラは生で食べられる?

オクラは一度茹でてから食べることが多い野菜ですが、生で食べることはできないのかと疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。オクラは生で食べることができるのか、解説していきます。

生食できる

オクラは生食できる野菜です。

野菜には、加熱を推奨されているものもあります。例えば、たけのこやほうれん草はアクが強く、さらに結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害するといわれているシュウ酸とよばれる成分が含まれているため茹でてアク抜きをすることが必須となります。

オクラの場合は、シュウ酸のように人体に害を与える成分は含まれていないため生食しても問題ありません。

生食するなら旬の時期がおすすめ

オクラは通年スーパーなどで販売されている野菜ではありますが、旬の時期は7月〜8月の夏です。

オクラが出回る旬の時期は、柔らかいため加熱しなくても美味しく食べることができます。オクラに限らず旬の時期の野菜は最も風味や味がよく、栄養価も高いため生食には旬の時期をおすすめします。

そもそも旬って?

一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。

オクラを生食するメリット

オクラを生食するメリットは下記の通りです。

食感

オクラを生食することで、茹でたオクラとは異なるシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。ズッキーニに限らず野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。

オクラを生食するときの歯ごたえは、しっかりと咀嚼することが満足感に繋がり、満腹感を長続きさせるため、ダイエット中の方にもおすすめです。

風味

オクラを生食すると、茹でた状態のオクラよりもしっかりとしたオクラ特有の風味が出ます。

野菜にはそれぞれがもつ香気成分による青臭さや風味があります。青臭さや野菜がもつ特有の風味が苦手な方もいますが、新鮮な野菜そのものの味が好きという方も多いです。

青臭さや野菜の風味が苦手な方は茹でたほうが食べやすくなりますが、オクラそのものの青臭さや風味を楽しみたい方は生で食べることをおすすめします。

栄養素を無駄にしない

オクラにはビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素が含まれています。また、高温で加熱することによって栄養素の一部が破壊されてしまうこともあります。

そのため、オクラに限らず野菜の栄養素を最も無駄にしない食べ方が生食とされています。せっかく食べるのだから栄養素を無駄なく摂取したいという方も多いでしょう。

オクラに含まれている栄養素については後述しますので、そちらを参考にしてください。

オクラを生食するときの注意点

オクラは生食できる野菜であるということはおわかりいただけたかと思いますが、オクラを生食するときにはいくつか注意点があります。

鮮度の高いものを選ぶ

野菜を生食するときは、やはり鮮度が大事です。傷みはじめているものは味や風味が悪くなっているため美味しく食べることができませんし、細菌が分布している可能性があり下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。

新鮮なオクラの特徴は下記です。

  • 青々としている

  • ヘタの切り口がみずみずしい

  • しっかりと太っているもの(ただし太すぎるものは苦みが強く味が落ちているためNG)

  • ガクにとげがある

  • びっしりと産毛で覆われているもの

  • すじが白いもの

  • 角がはっきりしたもの

よく洗う

オクラを流水でしっかり洗う

じゃがいもなどの根菜とは異なり、オクラは直接土に面して育っているわけではないのでそこまで汚れているようにはみえませんが、生野菜には土壌に由来する細菌が必ずついているといっても過言ではありません。細菌の全てが食中毒に繋がるわけではありませんが、ボツリヌス菌やサルモネラ菌など食中毒の原因となる細菌もあります。

オクラに限らず、野菜を生食する場合はしっかりと洗って細菌を落としておくことが大切です。洗って汚れを落とすことは、農薬を落とすことにも繋がります。

農薬が心配な方はこちらがおすすめ

生食する際に残留農薬が気になる方は、ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。

ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬の多くは酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。

ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水に野菜を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。

食べすぎない

オクラには水溶性食物繊維であるペクチンが多く含まれています。本来、水溶性食物繊維は腸内の有害物質が体内に吸収されるのを防ぎ、素早く便として体外へ排泄してくれます。また、食べた時の血糖値の上昇速度を緩やかにしてくれます。また、コレステロールを吸着し排出することで血中コレステロール濃度を低下させるなどの効果があります。

しかし、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢の可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。

出典:

1日6本〜7本が目安

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

オクラは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合わせて120gを目指すとよいでしょう。緑黄色野菜には、人参やほうれん草、かぼちゃ、トマト、ピーマンなどがあります。他の緑黄色野菜も摂ることを考えると、オクラの1日の摂取量は50gあたりが妥当といえます。

オクラの1本の重さはだいたい7〜8gであるため、本数で言うと6〜7本が1日の摂取目安量となります。

出典:健康日本21 第二次(厚生労働省)

生のオクラを美味しく食べるための下処理

オクラを生食するときの下処理の方法を紹介します。

オクラを洗う

オクラをネットに入れたまま洗うことで産毛が取りやすくなる

まず、オクラをしっかりと流水で洗います。

上述したように見た目は綺麗に見えても土由来の細菌がいたり、外気に触れることによって目に見えないチリ汚れなどがついていることがあるので綺麗に洗うことが大切です。

板ずりをする

オクラを板ずりして産毛を取り除く

オクラを水洗いしたら、塩をふりかけて板ずりをしてオクラの表面の産毛を取っていきます。

板ずりは、洗ったオクラをまな板の上に置き、塩をふったら手のひらで軽く押さえながら前後に転がすだけです。板ずりをすることで産毛を綺麗に取ることができるので、口辺りがよくなります。

板ずりをしたら流水で塩を洗い流したら完了です。板ずりのときに使った塩には汚れなども多く含まれているため必ず水でさっと流してから使いましょう。

ガクをとる

オクラのガクを包丁を使って削ぎ落とす

板ずりをしたら、オクラのヘタの下の部分にあるガクをとります。ガクは、包丁を入れて皮を剥くように動かすと簡単にとることができます。

オクラのガクはそのまま食べても問題ありませんが、筋っぽく固いので口当たりが悪くなります。生で食べるときには特にとることをおすすめします。

生のオクラの美味しい食べ方

生のオクラのおすすめの食べ方を紹介します。

和え物

オクラを使った夏野菜の塩昆布和え

オクラは茹でてから和え物に使うことが多いですが、生のまま和え物にしても美味しく食べることができます。生の状態で和え物にすることでシャキシャキとした食感が出るので食べごたえ抜群の一品に。

納豆や酢の物など普段食べているものにカットした生の状態のオクラを加えても美味しく食べることができるのでおすすめです。

オクラを使った夏野菜の塩昆布和えのレシピはこちら

サラダ

野菜の生食といえばやはりサラダですよね。生のオクラは他の野菜と一緒にサラダにして食べるとしっかりと栄養を摂取することができるのでおすすめです。

オクラに含まれているβカロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβカロテンの吸収率を上げてくれるのは油です。そのため、サラダにしてドレッシングをかけて食べると栄養価が高くなります。

スムージー

オクラは生のままスムージーにすることもできます。

本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作りますが、現代では作り方も多様化してきており、原料となる野菜や果物を冷凍せずに生のまま氷や水と一緒にミキサーに入れて撹拌したり、氷を入れずに撹拌して作ることもあります。

オクラの青臭さが気になる方はバナナなど甘みのある果物などと一緒にスムージーにすると飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。オクラ特有のねばりでどろっとした飲みごたえのあるスムージーになります。

生のオクラの栄養素・成分

オクラには様々なビタミンやミネラルが含まれています。ビタミンB1はピーマンの3倍ほど含まれており、疲労回復などが期待できます。また、オクラの独特なネバネバは、ペクチンなどの食物繊維です。食物繊維は腸内環境を整えてくれる効果があるので、しっかりと摂取したい栄養素のひとつです。

β-カロテン

β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高くなっています。

β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。

ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあるため健康に保ちます。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。

カルシウム

体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。
そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。

残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、ごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。

食物繊維

ネバネバに含まれるのは水溶性食物繊維は主にペクチンです。

ペクチンにはコレステロール値を下げる効果があります。体内で胆汁酸やコレステロールが吸収されるのを防ぎます。コレステロール値が下がることで、動脈硬化や高血圧の予防ができます。ペクチンはコレステロールだけでなく糖分の吸収を抑制する働きもあるので、血糖値の上昇も抑え、糖尿病予防も期待できます。
さらに、食物繊維には腸内環境を整え便秘予防にもなります。

オクラ全体の食物繊維は不溶性食物繊維の方が多いです。不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。

便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。

生のオクラの正しい保存方法

上述したようにオクラを生食するときには、鮮度が大切です。ここではオクラの鮮度を保つことができる正しい保存方法を紹介します。

冷蔵保存

オクラは高い温度に弱いため常温保存はおすすめしません。すぐに食べる場合は冷蔵で保存しましょう。ただしオクラは傷みやすいため、冷蔵で保存した場合はできるだけ早く食べるようにしましょう。

生のまま丸ごと(3〜4日)

オクラが乾燥しないようにキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れてから冷蔵方法する

オクラを生のまま丸ごと冷蔵保存する場合は、オクラが乾燥しないように、数本まとめてキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。

板ずりをして産毛を取ってから保存したほうが、料理する時にすぐ使えて便利です。

なお生のまま丸ごと冷蔵庫で保存する場合は、3〜4日程度しか日持ちしませんのですぐに使い切る必要があります。

瓶に水(1週間)

オクラのヘタの部分を水につけて冷蔵方法すると鮮度をキープしやすい

水に浸けて保存すると、オクラの乾燥を防ぎながら保存することができます。

ビンに少量の水(オクラの先が浸かるくらい)を入れ、産毛を取ったオクラを下向き(ヘタの部分が下になるように)入れます。ビニールもしくはラップをかけ輪ゴムで止め、冷蔵室で保存します。

この方法で冷蔵保存した場合、1週間ほど日持ちします。保存中は2日に1回ほど水を入れ替えます。ですがなるべく早めに食べ切ることを推奨します。

冷凍保存

オクラを生のまままるごと冷凍保存する

実はオクラは冷凍保存するのが◎。保存期間が1ヶ月と長くなるだけでなく、冷蔵しても食感と味が生のオクラとそこまで変わらないので、美味しく食べることができます。

丸ごと生のまま冷凍するときは、まず産毛を取り除きます。その後水洗いをして、水けを拭いてから冷凍用チャック付きビニール袋に入れて冷凍します。オクラが重ならないように一列に並べて保存すると、使いたい分だけ取り出せるので便利です。

生のまま丸ごと冷凍したオクラは、自然解凍もしくは電子レンジを使って解凍します。1〜2分ほど室温で解凍すれば、包丁で簡単に切ることができます。オクラは半解凍状態だとヌメリが出にくいため、ベタつくことなく包丁で切ることができます。