市販の天ぷら粉を使わなくても、米粉があれば簡単に天ぷらを作ることができます。米粉にはグルテンが含まれないため、サクサクに揚げることが可能です。天ぷらを美味しく揚げるコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
天ぷら粉は、天ぷらを揚げる際に使われる粉です。
市販されている天ぷら粉の主な原材料は小麦粉(薄力粉)、卵粉、でん粉です。添加物としてベーキングパウダーや着色料、乳化剤を使用します。卵粉とは、全卵、卵黄、もしくは卵白を粉末化したもので、卵の風味をプラスし口当たりを良くするために用いられます。
元々天ぷらの衣には小麦粉と水のみが使われていましたが、サクサクの天ぷらが簡単に自宅で揚げられるように、製品開発の過程で上記のような材料が追加されました。
天ぷらはグルテンを多く含むと衣に粘りが出てしまい、仕上がりがベチャっとなってしまいます。天ぷら粉は小麦粉と比較してグルテンが出にくいため、カリッと揚げることができます。
天ぷら粉には、グルテンの発生を抑制する作用があるでん粉が配合されているため、カリっとした仕上がりになります。また、ベーキングパウダーを加えることでさらに軽い食感に揚がります。
天ぷら粉は、天ぷら以外の揚げ物(から揚げ、かき揚げなど)やお好み焼き、お菓子などにも使用できます。また、天ぷら粉に唐辛子や青のりなどの調味料を加えて、風味豊かな天ぷら粉を作ることもできます。
天ぷら粉はスーパーなどで購入することができます。小麦粉やたこ焼き粉、お好み焼粉などが陳列されている粉類のコーナーに置いてあります。
天ぷら粉を製造している代表的なメーカーには日清製粉や昭和産業、桜井食品、NIPPN(ニップン)などがあります。
昨今では有機の小麦粉を使用した天ぷら粉や、薄力粉の代わりに米粉を使用したグルテンフリーの天ぷら粉を販売しているメーカーも多いです。
天ぷらの衣を作る際は冷水を使うのがポイントです。冷水とは文字通り冷えた水で、冷蔵庫で冷やした水か、常温の水に氷を加えて温度を下げた水です。
衣の温度が上がるとグルテンが生成されやすくなる(=仕上がりがベチョベチョになる)ため、温度を上げないために冷水を使います。
天ぷらは水分が蒸発する前に衣がしっかり固まってしまうと水蒸気が衣の外へ抜け出しにくくなり、べちょっとした仕上がりになりやすいです。
そのため、水より沸点が低く蒸発しやすいアルコールを多く含む日本酒や焼酎などのお酒を加えることで、衣の水分の蒸発を促進し、サクサクに上がります。小麦粉を使っている場合でも、アルコールがグルテンを押し広げながら蒸発してくれるので、べちょっとしにくいです。
アルコールは蒸発してしまうので、お子様でも食べることができます。ただし、お酒の風味が残ってしまうことがあります。また、日本酒など糖質を多く含むお酒を使うと焦げやすいので注意しましょう。
衣に加える水の代わりに炭酸水を加えても良いです。炭酸水に含まれる気泡(炭酸)が油の熱によって衣から抜ける際に水蒸気も一緒に逃がすことができるため、サクサクに上がります。ただし、炭酸だと油に入れたときに跳ねることがあるので注意が必要です。
衣は天ぷらを揚げる直前に作るのがおすすめです。早めに作ってしまうと、時間の経過とともにグルテンが発生し、サクサクに仕上がりにくくなるためです。
また、衣を作る際は全体を混ぜすぎないように注意しましょう。かき混ぜすぎると、小麦粉のグルテンが出て粘り、衣がはがれやすくなるためです。粉類と水類がサクッと混ざる程度でOKで粉のダマができて問題ありません。
一般的に揚げ油として使われるサラダ油などは、空気に触れることで油が酸化してしまい劣化してしまいます。劣化してしまった油を揚げ油として使うと具材の風味が損なわれるだけではなく、べちょっとしてしまいやすいです。
オリーブオイルは「オレイン酸」と呼ばれる一価不飽和脂肪酸が主成分で、酸化しにくい性質があります。そのため、酸化しやすいサラダ油などを使って揚げるのと比較して、サクサクとした食感に揚がります。
また、油の量と温度も重要です。油が少なすぎると焦げやすく、多すぎると温度が上がらず火が通るのに時間がかかってべちょっとしてしまうので注意しましょう。さらに一度にたくさんの具材を入れてしまうと、油の温度が下がり、ベチャッとした仕上がりになってしまうので、少量ずつ揚げるのもポイントです。
ちなみに揚げ油は使用後すぐにかすを取り除き、容器に戻しておくと油の傷みが少なくすみます。
市販されている天ぷら粉を使えば簡単に天ぷらを揚げることができますが、わざわざ天ぷら粉を購入しなくても、自宅で簡単に衣を作ることができます。
お米で作られる米粉を天ぷらの衣として使うこともできます。米粉は小麦粉のようにグルテンを生成しないため、サクッと揚げることができます。また、米粉は油の吸収率が低いので、時間が経ってもベチョっとなりにくいのも特徴です。
米粉で天ぷらの衣を作る際は、米粉100g、水180〜200ml、卵1個を用意します。全卵をボウルに溶き、米粉と水を加えて溶いていきます。必要な水分量は米粉の種類によって異なるので、様子を見ながら少しずつ加えるようにしてください。
また、卵の代わりにマヨネーズを使用するのもおすすめです。その場合は米粉100gに対してマヨネーズ大さじ2、水150mlで作ります。
天ぷらの衣は卵を使用せずに作ることもできるので、その場合は米粉と水のみをボウルに溶いて使用します。
米粉100gに対して水180〜200mlが目安です。米粉の種類によって必要な水分量が異なるので、様子を見ながら少しずつ足していきましょう。また、上述の通り水の代わりに炭酸水やお酒を使って揚げるのもおすすめです。
天ぷらの衣は、米粉以外の粉で作ることもできます。
一般的に広く使われているのが薄力粉です。薄力粉のグルテン含有量は6.5〜8%と、小麦粉の中では一番少ないです。
天ぷら粉は薄力粉と冷水、卵で作るのが定番です。2〜3人分の天ぷらを作る場合、小麦粉1カップ、全卵1/2〜1個、冷水200mlです。また、天ぷらの衣は卵を使用せず薄力粉と冷水のみで作ることもできます。薄力粉よりも水の分量がやや多い程度の割合で混ぜるといいです。さらに、ベーキングパウダーを加えることで炭酸ガスが発生しサクッと揚げることが可能になります。小麦粉(薄力粉)100gに対してベーキングパウダー5gが目安量です。
小麦粉には薄力粉以外に中力粉や強力粉があります。薄力粉・中力粉・強力粉の主な違いは小麦たんぱく(グルテン)の含有量です。中力粉は8~9%、強力粉は11.5~13.5%となります。グルテンの含有量が少ないほど粘りが出にくく、多いほど粘りと弾力が強くなります。
薄力粉・中力粉・強力粉はどれも小麦粉なので、お互いに代用できるといえばできます。ただし天ぷらの衣として中力粉や強力粉を使用すると、サクサクではなくベチャっと揚がってしまいます。中力粉や強力粉で薄力粉を代用する場合は、グルテンの量を減らせばいいので、片栗粉やコーンスターチなどを混ぜることで出来上がりの食感がよくなります。割合としては中力粉または強力粉と片栗粉やコーンスターチを1:1で混ぜ、水を加えて粘りを出します。
薄力粉・中力粉・強力粉の違いや使い分け方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
片栗粉を使って天ぷらの衣を作ることもできます。片栗粉も米粉と同じようにグルテンを生成せずまた油の吸収率が低いため、サクサクに揚がるだけでなく、冷めてもベチョベチョになりにくいです。
片栗粉で天ぷらの衣を作る場合は、片栗粉100gを水100mlで溶きます。片栗粉と水のみで作ると、竜田揚げに近いような軽めの食感に仕上がるので、卵1個またはマヨネーズを大さじ2程度入れて作るのも◎。
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