きゅうりとズッキーニって見た目がとても良く似ていますよね。本記事ではきゅうりとズッキーニの違いを詳しく解説します。
きゅうりとズッキーニはどちらもウリ科の植物です。ウリ科は、キュウリ属・カボチャ属・トウガン属の3つの属性があり、きゅうりとズッキーニは属性が異なります。
きゅうりはウリ科キュウリ属に分類される、蔓性(つるせい)の一年草です。
同じくウリ科キュウリ属に分類される植物には、メロンや白瓜(しろうり)、ツノニガウリなどがあります。
ズッキーニはウリ科カボチャ属に分類される植物です。蔓性ではありません。そのため、別名で「蔓なしカボチャ」といわれることがあります。
ズッキーニは見た目がきゅうりに似ているため、きゅうりの一種だと思われることが多いですが、学名を 「Cucurbita pepo L」といい、ペポカボチャと呼ばれるカボチャの一種です。
ちなみにペポカボチャはハロウィンで実をくり抜いて使われるオレンジ色や黄色のカボチャです。
きゅうりの原産国はインドのヒマラヤ山麓といわれています。
きゅうりにはインドから中国の華南(かなん)に伝播した華南系とシルクロードを経由して中国の華北(かほく)に定着した華北系があり、紀元前10世紀以前に日本へ華南系のきゅうりが伝わりましたが、苦味が強かったためあまり食べられていませんでした。しかし、華北系のきゅうりが伝わった明治以降より華南系と華北系を交雑した品種が生まれ、食べやすくなったことをきっかけに栽培が盛んになり現在日本は世界で最もきゅうりを消費している国です。
ズッキーニの原産国は北アメリカやメキシコといわれています。
ズッキーニの栽培が始まったのはヨーロッパに伝わった16世紀頃です。現在一般的に販売されている細長い形状のものは19世紀後半にイタリアで改良されて誕生し、日本では1980年頃に新野菜として広まり食べられるようになりました。
世界で見ると古い歴史があるズッキーニですが、日本での歴史はきゅうりよりも浅いといえます。
きゅうりの見た目は緑色で、細長く表面につぶつぶがついているのが大きな特徴です。また、きゅうりはカットすると断面に種が見えます。
きゅうりの表面についているぶつぶつは一般的には「イボ」と呼ばれています。ぶつぶつや、イボイボ、トゲトゲなど様々な表現をされますが、厳密に言えばイボの上にトゲがあるという状態で、専門用語では「刺毛(しもう)」といいます。
イボが白い「白イボ系(華北系)」とイボが黒い「黒イボ系(華南系)」のきゅうりがあり、現在スーパーなどで一般的に販売されているのは皮が薄く苦味が少ない白イボ系の品種ですが、イボがない品種もあります。
ズッキーの見た目も緑色をしていて細長い形状をしていますが、ズッキーニはきゅうりと比較して黒く丸っこいのが特徴で、表面にイボはなくつるんとしています。
ズッキーニはカットした断面に種は見えません。ズッキーニは上述したようにカボチャ属の野菜であるため、かぼちゃのように果実の中心部にできます。
きゅうりは独特の青臭さがあります。水分量が95%とみずみずしくシャキシャキした食感が特徴で、ほとんど味がしないと感じる人も多いですが、独特の青臭さから虫っぽい味がすると感じる人もいます。
きゅうりの香気の主な成分はトランス‐2‐シス‐6‐ノナジエナール(菫葉アルデヒド)やトランス‐2‐シス‐6‐ノナジエノール(キュウリアルコール)といわれています。また、きゅうりにはピラジンと呼ばれる成分も含まれており、ピラジンも青臭さの原因であるといわれています。
これらの青臭さの香気成分はきゅうりの組織が破壊されると酵素の働きによって生成されます。
ズッキーニにも特有の青臭さがあり、風味はきゅうりと似ていますが、きゅうりよりも水分量が若干少なく食感はナスに似ています。まさにきゅうりとナスの味わい同時に楽しめる食材といえます。
ちなみに一般的にスーパーなどで販売されている緑色の品種の他にも黄色の品種があります。緑色の品種は青臭さや苦味がありきゅうりの味わいに近いですが、黄色の品種は青臭さや苦味を感じにくいです。
よく似ているきゅうりとズッキーニですが、食べ方にも違いがあります。
きゅうりは生食されることが多い野菜です。
みずみずしくシャキシャキとした食感を楽しむことができるため、サラダにしたり、漬物や浅漬け、酢の物、和え物といった料理に使われることが多いです。また、彩りとして冷やし中華やバンバンジー、ユッケなどに使われることも多くあります。
ちなみに加熱調理して食べることができないというわけではありません。加熱調理をしても美味しく食べることができます。
ズッキーニは加熱調理されることが多い野菜です。
ナスと同様に油との相性が良く、ラタトゥイユなどの煮込み料理や炒めもの、グリルで焼いたり、パスタの具にして食べることが多いです。ナスのように天ぷらにしたり煮浸しにして食べることも可能です。
ちなみにズッキーニも生食できないわけではありません。しかし、きゅうりと比較して皮が固く食べにくさを感じることが多いため、サラダにする場合なども予め焼いてから使うことが多いです。
きゅうりは1本50円〜69円、1袋(3本入り)170円程で販売されています。
一般的なスーパーであれば必ずといっていいほど取り扱いがあり、どこでも手軽に手にいれることができるため食卓に並ぶことが多い野菜の一つであるといえます。
ズッキーニは1本150円〜170円ときゅうりよりも値段が高いです。また、スーパーによっては取り扱いがない場合もあります。これは、きゅうりと比較してズッキーニの需要がそこまで高くないためであると考えられます。
出典:市場統計情報(東京都中央卸売市場)
きゅうり100gあたりに含まれる栄養素・カロリーは下記の通りです。
カロリー…13kcal
たんぱく質…1.0g
脂質…0.1g
炭水化物…3.0g
ナトリウム…1mg
カリウム…200mg
カルシウム…26mg
マグネシウム…15mg
β−カロテン…330μg
食物繊維…1.1g
ズッキーニに含まれる栄養素・カロリーは下記の通りです。
カロリー…16kcal
たんぱく質…1.3g
脂質…0.1g
炭水化物…2.8g
ナトリウム…1mg
カリウム…320mg
カルシウム…24mg
マグネシウム…25mg
β−カロテン…310μg
食物繊維…1.3g
栄養素を比較するとカリウムはきゅうりが200mgで、ズッキーニが320mgと多くなっています。またマグネシウムはきゅうりが15mg、ズッキーニが25mgと多いので、ミネラル類はズッキーニのほうがやや多くなっています。その他の栄養素は大差ありません。
きゅうりとズッキーニの栄養に関しては、下記の記事で詳しくご紹介しています。
きゅうりとズッキーニはお互いに代用することもできますが、上記で紹介したように同じウリ科の植物であっても属性の異なる野菜でそれぞれ異なる特徴があるので、食感などに違いができます。
また、ズッキーニは生食よりも加熱調理をすることが多い野菜です。例えばサラダに入れるきゅうりをズッキーニで代用する場合は一度焼いてから加えると良いでしょう。反対に煮込み料理や炒めものに使うズッキーニをきゅうりで代用する場合は、きゅうりは水分が出てしまいやすいので水分量などを調整する必要があります。
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