余ったグラニュー糖の使い方について解説していきます。
グラニュー糖は、サトウキビやテンサイなどの原料からつくられる砂糖です。製造方法の分類では、分蜜糖(下記参照)に該当し、その中のザラメ糖に属します。ザラメ糖は結晶が大きく、糖度が99%以上あるのが特徴です。グラニュー糖以外には、白ザラ糖や中ザラ糖がザラメ糖に該当します。
グラニュー糖の粒径は0.2〜0.7mmと、ザラメ糖の中では最も結晶が小さいです。グラニュー糖に含まれる水分は0.01〜0.02%と少ないため、サラサラとしています。
グラニュー糖の「グラニュー」は、英語の「granulated(粒状の、粗い)」に由来します。日本では砂糖というと白砂糖(上白糖)が一般的ですが、世界的にはグラニュー糖を指すことが多いです。
<製造方法による砂糖の分類>
分蜜糖
原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。さらに分蜜糖はザラメ糖や車糖、加工糖などに細分化されます。
含蜜糖
原料の絞り汁(糖汁)から、不要な成分や不純物を大まかに除去し、そのまま加熱・濃縮して固化させた砂糖のことを指します。黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、パームシュガーなどが含蜜糖に分類されます。
グラニュー糖の100gあたりのカロリー(熱量)は、387kcalです。ちなみに、上白糖(白砂糖)のカロリーは384kcal、白ごはん100gのカロリーは168kcalです。
グラニュー糖は無機質(ミネラル)などを含む糖蜜を除いてつくられるため、ミネラル類はほとんど含まれていません。
またグラニュー糖のGI値は110であり、高GI値食品に分類されます。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
グラニュー糖の糖度は上述したように99%以上です。クセのないすっきりとした甘さを感じます。
砂糖の「糖度」とは、砂糖の甘みとなる「ショ糖」成分の割合のことです。糖度が高いほどショ糖が多く含まれ純度が高いということになります。
ちなみに糖度は94〜96%程度です。グラニュー糖と比較してコクのある甘みです。
糖度で見るとグラニュー糖のほうが高いので、「グラニュー糖のほうが甘いんだな」と思う方も多いと思いますが、実際に食べてみると上白糖のほうが甘いと感じる方が多いです。(個人差はあります)
これは、糖の再結晶化を防ぐために、ビスコと呼ばれる糖液を添加していたり、グラニュー糖と比較して上白糖のほうが以外の成分を微量に含むためであると考えられます。ショ糖以外の成分も刺激になってコクのある甘みとなります。
グラニュー糖は大さじ1杯で12g、小さじ1杯で4gです。1カップ(200ml/200cc)では180gとなります。
グラニュー糖は結晶が大きめな砂糖なので、上白糖(白砂糖)と比較すると重くなります。上白糖の重さは、大さじ1=9g、小さじ1=3g、1カップ=110gです。
まずはグラニュー糖の一般的な使い方を紹介します。
グラニュー糖は上述したようにスッキリとしたストレートな甘さが特徴で、クッキーやケーキといったお菓子作りに使われることが多いです。製菓用に粒子を細かくした製菓用のグラニュー糖も販売されています。
グラニュー糖を使うことで素材の味を邪魔することなく甘みを加えることができます。
上白糖をお菓子作りに使うことももちろんできますが、グラニュー糖を使用したときと仕上がりに違いがでます。例えばクッキーの場合はグラニュー糖を使うとサクッとした食感になり、上白糖を使うとしっとりとした食感に仕上がります。好みに合わせて使い分けると良いでしょう。
ただし、上白糖はグラニュー糖よりも焦げやすい性質があるため注意が必要です。また、マカロンなど繊細な焼き菓子はグラニュー糖を使わないと上手くいかないこともあります。
グラニュー糖は、パン作りにおいても一般的に使用される砂糖の一つです。パン生地にグラニュー糖を加えることで、パンの風味が豊かになり、色もよく焼きあがります。また、グラニュー糖はパン生地に水分を保持する効果もあり、パンをよりもちもちと仕上げる効果もあります。
グラニュー糖を使用したパン作りでは、レシピによって使用量が異なりますが、通常は小麦粉の量に対して5%〜15%程度が目安とされています。
上白糖を使ってパンを作ることもできますが、上述したようにグラニュー糖よりも甘味を強く感じやすいため同じ量を使うと甘くなりすぎることがあります。また、上白糖はグラニュー糖に比べて水分を保持しづらいため、多量に使うとパンが乾燥しやすくなることがあります。
グラニュー糖はジャム作りにも適した砂糖です。ジャムを作るときにグラニュー糖を使うと、果物の自然な甘味を邪魔することなく美味しいジャムを作ることができます。
グラニュー糖は、砂糖の中でも比較的粒子が細かいため加熱中に溶けやすく、果物の液体を吸いやすい特徴があります。また、グラニュー糖を使うことで、ジャムの色や風味が良くなります。
ただし、グラニュー糖は白砂糖であるため、色の濃いジャムを作る場合はブラウンシュガーや黒糖などの色の濃い砂糖を使うこともあります。
上白糖を使ってジャムを作ることもできますが、グラニュー糖を使ったほうがスッキリとした甘みに仕上がるため基本的にジャムを作るときのレシピにはグラニュー糖と記載されていることが多いです。
メレンゲやホイップクリームを泡立てる際に、グラニュー糖を使用するとよく泡立ちます。
グラニュー糖は水分量が少なく、粒が細かく溶けやすいためです。また、砂糖全般に卵白のたんぱく質の水分を抱え込み泡を安定させる作用があることから、しっかりとした泡をつくることができます。
そのため、生クリームを使用する際は上白糖よりもグラニュー糖を使うことが多いです。
グラニュー糖はコーヒーや紅茶などに甘みを加えたいときにもよく使われます。カフェなどではよくホットコーヒーや紅茶にスティックシュガーが使われますが、スティックシュガーの中身は一般的にグラニュー糖です。
グラニュー糖を使うことでコーヒーや紅茶そのものの風味を損ねることなくスッキリとした甘みを加えることができ、コーヒーや紅茶などの苦味が苦手な方でも飲みやすくなります。
とにかく甘くしないと飲めないという方は上白糖を入れるのが良いですが、風味を邪魔したくない方はグラニュー糖を使うのが良いでしょう。ちなみに、コーヒー専用の甘味料として製造された「コーヒーシュガー」もあります。
上記で紹介したように、グラニュー糖は主にお菓子作りやコーヒーなどの飲み物に甘みを加えたいときに使われることが多いです。そのためお菓子作りをするためにグラニュー糖を購入したけど、頻繁に作るわけではないから余ってしまって困ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
グラニュー糖は一般的に家庭で使われることが多い上白糖と同様に使うことができます。
日本で作られる煮物といえば、醤油やみりん、砂糖で味付けをすることが多いですよね。一般的には上白糖が使われますが、グラニュー糖を使って煮物を作ることももちろんできます。
ただし、上述したようにグラニュー糖は上白糖と比較してスッキリとした甘みなので上白糖を使って作った煮物と比較するとコクが足りず物足りなさを感じることがありますが、さっぱりめに仕上げたい場合はあえてグラニュー糖を使うのもありでしょう。
卵焼きは甘めが良いという方は、卵焼きに上白糖を加えて作るのが一般的ですが、余ったグラニュー糖を使って作ることもできますよ。
グラニュー糖を使って卵焼きを作ると、まるで焼き菓子のようなストレートな甘みを感じる卵焼きに仕上がります。また、上白糖よりも焦げ目がつきにくいため卵の鮮やかな黄色が残りやすく、見た目も綺麗です。
ホットケーキミックスを使ってホットケーキを作る場合は調味料を加えることはほとんどありませんが、薄力粉などを使ってホットケーキを作る場合は上白糖を加えて作ることもあります。この場合の上白糖をグラニュー糖にしても問題ありません。
上述したように上白糖と比較してや黄色がつきにくいため、やや薄い焼き色が付く程度に仕上がります。甘さはさっぱりとした甘さで、上白糖よりも水分量が少ないため表面はサクッとした食感で歯切れがよくなるのもグラニュー糖を使ったホットケーキの特徴です。
上白糖を使った王道のホットケーキとは若干仕上がりが異なりますが、十分美味しいホットケーキを作ることができます。
余っているグラニュー糖を使えば屋台などで販売されている、いちごやぶどうなどのフルーツ飴を手軽に作ることができます。
まず、鍋にグラニュー糖と水(4:1の割合)を入れ、ゴムペラなどでよく混ぜ合わせて溶かしていきます。グラニュー糖が溶けたら弱火で150度になるまで煮詰めます(10分〜15分程)。一度火にかけたら混ぜないようにするのがフルーツ飴を上手に作るポイントです。混ぜてしまうと飴が結晶化してしまいます。
150度になるまで煮詰めたら、串に指したいちごなどのフルーツをくぐらせて完成です。二度づけはしないようにしましょう。一度くぐらせたらすぐに固まるので、二度づけしてしまうと失敗してしまいます。
漬物は一般的に塩を揉み込み、浸透圧によって野菜から水分を抜くことが多いですが、塩と同様に砂糖の浸透圧を利用して漬物を作ることも可能です。
砂糖を使用した漬物には例えば、福神漬や甘酢らっきょうなどがあります。上白糖の代わりにグラニュー糖を使えば食材そのものの風味を引き出すのにも役立ちます。
<塩や砂糖を使うと水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。
マリネは玉ねぎなどの野菜や肉、魚をマリネ液に浸して作る料理のことです。例えばサーモンのマリネを作る場合に、サーモンに塩と砂糖を揉み込むことで上記で紹介した漬物と同じように、サーモンから水分を出して保存製を高めることができます。
また、野菜や肉、魚を漬けるマリネ液にもあえてグラニュー糖を使うことで、素材の風味を活かすことができます。
フランベは、お酒やリキュールなどを火にかけて炎を上げ、それを調理に利用する料理技法です。フランス語で「炎」を意味します。例えばステーキの仕上げなどに使われることが多く、料理に風味を与えたり視覚的な演出を楽しむことができます。
フランベには必ず砂糖を使うというわけではありませんが、グラニュー糖を加えることで料理にカラメリゼの風味や甘みを加えることができます。
グラニュー糖は、カクテルやモヒートなどのカクテルの材料として使用することもできます。カクテルに使う場合は溶かしてシロップにしてから使うと良いです。
グラニュー糖を使うことで、すっきりとした甘みを加えることができます。
たくさんグラニュー糖が余っていてできるだけ早めに消費したい場合などに最適な、グラニュー糖を主原料に作れるお菓子を紹介します。
メレンゲは、卵白と砂糖を混ぜ合わせて泡立てたもので、軽い口当たりとモチモチとした食感が特徴的です。
アイスクリームやシフォンケーキなどの材料として使われることもありますが、オーブンで焼けば小麦粉なしでもサクサクのメレンゲクッキーを作ることができます。
卵の黄身だけを使うレシピでは卵白が無駄になってしまうこともありますが、グラニュー糖を加えて泡立てるだけで簡単に作れるので、卵白を無駄にしたくないときにもおすすめです。
実はマシュマロもグラニュー糖を使って作ることができるお菓子の一つです。
まず、バットにコーンスターチを入れた後、卵など丸いものを使ってくぼみを作っておきます。
その後、卵白とグラニュー糖を混ぜ合わせてメレンゲを作ります。メレンゲを作ったら、鍋にグラニュー糖を水をいれてグラニュー糖が完全に溶けるまで弱火で加熱します。グラニュー糖が溶けたらゼラチンを加えて溶けるまで混ぜ合わせ、ゼラチン液を作ります。
ゼラチン液が完成したら、作っておいたメレンゲに少しづ加えていき、泡立て器でとろっとするまで泡立てます。泡立てたら、バッドに入れておいたコンスターチのくぼみの部分に、スープンなどを使って流し込んでいきます。流し込んだら、冷蔵庫で15分ほど冷やします。冷やしたら、ひっくり返して全体にコーンスターチをまぶし、軽くコンスターチを払い落としたらマシュマロの完成です。
グラニュー糖などの砂糖には賞味期限が記載されていません(一部例外あり)。これは、グラニュー糖などの砂糖は長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められているためです。
そのため、余ってしまったグラニュー糖もきちんと保存しておけば煮物に使うなど様々な用途で使えるので便利です。
グラニュー糖などの砂糖類は湿気に弱いため、開封後は特に密閉できる容器に入れて保存するのがおすすめです。開封後のグラニュー糖は常温で3ヵ月〜6ヵ月程保存可能です。
密閉できる容器に入れたら、高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存しましょう。
ちなみに開封前のグラニュー糖も袋ごと保存袋などに入れて保存したほうが良いです。砂糖を入れている袋には空気の逃げ道になるよう袋に小さな穴が開いていて、完全密封されていないためそのまま保存しておくと湿度の影響を受けることがあります。
「開封後は冷蔵庫や冷凍庫に入れたほうが良いのではないか」と思う方も多いと思いますが、冷蔵庫は湿度が高いため結露が発生してグラニュー糖が湿気を含んでしまうことがあります。これにより糖が固まってしまいます。冷凍庫も解凍する際に温度差で結露ができてしまい、水分が入り込み痛む原因となります。
また、冷蔵庫や冷凍庫には様々な食材が入っています。他の食材のニオイがグラニュー糖に移ってしまうと風味も悪くなってしまうので冷蔵庫や冷凍庫での保存は避けたほうが良いです。
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