穂先が紫色に変色しているアスパラガスを見たことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではアスパラガスが紫色に変色する原因や対処法などを詳しく解説します。
アスパラガスは鮮やかな黄緑色をしていますが、穂先が紫色に変色しているアスパラガスを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
アスパラガスの穂先が紫色に変色するのは、ポリフェノールの含有量が増えたためです。
ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みとなる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。紫色に変色する原因となるのは「アントシアニン」と呼ばれるポリフェノールの一種です。
アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。
紫色の色素であるアントシアニンには紫外線を吸収する作用があり、日光に当たることで紫外線によって植物のDNAが傷つけられるのを防ぐために生成されることがあります。
そのため、露地栽培のアスパラガスは特に紫色に変色することが多いです。
露地栽培とはハウス栽培ではなく屋外で栽培する方法のことをいいます。旬の時期に出回っている野菜の多くは露地栽培されたもので、自然に近い状態で栽培しているため状態がよく味が良いものが多いです。
穂先が紫色に変色しているアスパラガスは露地栽培で日光に当たって育った証でもあります。
一般的に販売されているアスパラガスは緑色をしていますが、一口にアスパラガスといっても様々な品種があり、元々紫色をしている品種もあります。
紫色のアスパラガスは「パープルアスパラガス」といわれます。パープルアスパラガスは全体的に鮮やかな紫色をしていて、これは紫色の色素であるアントシアニンが多く含まれているためです。
穂先だけではなく全体的に鮮やかな紫色をしているのが大きな特徴です。
紫色に変色しているアスパラガスは食べることができるのでしょうか。詳しく解説します。
紫色に変色したアスパラガスはそのまま食べて問題ありません。
紫色に変色する原因となっているアントシアニンには抗酸化作用があり、人体に害がある成分ではありません。アントシアニンは元々苦味や渋みを感じさせる成分なので、野菜の種類によってはアントシアニンの含有量が増えることによって苦味が出たり食感が悪くなることもあるのですが、アスパラガスの場合は味や食感に特に大きな変化を感じることなく食べることができます。
ちなみに元々紫色の紫アスパラガスは一般的に販売されているアスパラガスよりも柔らかく、糖度が高いので甘みもあります。
アスパラガスは生食できる野菜ですが、生のままでは固いためサラダにする場合なども下茹でしてから使うことが多いです。アントシアニンは水溶性の成分であるため、茹でることで緑色に戻ります。
上述したように紫アスパラガスは緑色のアスパラガスと比較して柔らかく生でも食べやすいです。水にさらすことでも緑色に戻るので、生のまま食べたい場合は水にさらすだけでOKです。
ただし、茹でたり水にさらすことで色は緑色に戻ってもビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがあります。長時間茹で過ぎたり、水にさらしすぎないように注意しましょう。
穂先が紫色に変色したアスパラガスは腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴があるアスパラガスは食べることができませんので破棄しましょう。
腐ったアスパラガスの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に黒・茶色に変色している
溶け出している
アスパラガスにフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している箇所がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。
アスパラガスは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒くなっていたり茶色くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗がすすむと水分が出てきたり溶け出している箇所があることもあります。このような場合は破棄しましょう。
腐ったアスパラガスの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。
アスパラガスに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったアスパラガスの触感の特徴は下記の通りです。
柔らかい
ぬめりがある
アスパラガスを触ったときにグニュッとした感触があったり完全に張りがなくなっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なアスパラガスには切り口から水分が出てくることがありますが、ぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ているアスパラは破棄しましょう。
アスパラガスは正しく保存できていないと鮮度が落ちて、茶色っぽく変色したり全体的に黒っぽく変色してしまうこともあります。アスパラガスを購入したら正しく保存しましょう。
正しく保存することはより長く美味しく食べることにも繋がります。
アスパラガスは高温と乾燥に弱いため、常温保存はNGです。すぐに食べる場合でも冷蔵保存しましょう。
アスパラガスはキッチンペーパーとポリ袋に包んで冷蔵保存すれば、2〜3日保存が可能です。
アスパラガスをキッチンペーパーで数本ずつ包み(1本ずつ入れてもOK)、根元を下にしてポリ袋に入れ、口を軽く閉じます。カップなどに入れて(ドアポケットに入れてもOK)、穂先を上にして、冷蔵室へ。
アスパラガスは低温を好むので野菜室には入れないようにしましょう。キッチンペーパーの代わりに新聞紙でもOK。
濡らしたキッチンペーパーで水分を補えば、もっと長く冷蔵保存が可能です。
根元を5mmくらい切り、濡らしたキッチンペーパーを巻きます。ポリ袋に入れてコップなどに立てて冷蔵室へ。ひと手間を加えるだけで10〜12日間は保存することができます。1週間ほど経っても元の状態とあまり変わりません。ぜひお試しください。キッチンペーパーは毎日取り替えるのがおすすめです。
その他にも湿った砂の中で保存する方法もありますが、一般家庭では現実的ではありませんし、保存期間が2日ほどしかないので、おすすめしません。
茹でたアスパラガスを冷蔵で保存したい場合は冷水に浸けます。下茹でしたアスパラガスは傷みが早いので、この方法でも2〜3日が限界です。なるべく早く使い切るようにしましょう。
アスパラガスを美味しく長持ちさせるには硬めに塩茹でしてから冷凍するのがポイントです。アスパラガスを冷凍する場合の保存期間の目安は約1ヶ月です。
硬めに塩茹でしてキッチンペーパーで水けをしっかりとり、そのまま冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、冷凍室へ。金属トレイの上に乗せて冷凍室に入れると急速冷凍が可能です。切らずに冷凍しても凍ったまま包丁で切ることができます。切ったらそのまま調理に使えます。
黒くなった根元は5mmほど切りましょう。皮が硬いものは根元から1/3くらいピーラーでむきます。
サラダなどで使う場合は前日のうちに冷蔵に移して自然解凍を。前述した通り、冷凍したアスパラガスは食感が柔らかいのでサラダには向きません。
硬めに塩茹でしキッチンペーパーで水けをとったら、ぶつ切りや斜め切りにしてから冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れるのも◎。これだと凍ったまま、炒め物やスープ、パスタの具など調理に使えるのでとても便利です。
その他にも天日干しやオーブンで水分を飛ばしてから保存する乾燥保存や、醤油や味噌に漬けて保存する漬け保存も可能です。アスパラの正しい保存方法はこちらの記事を参考にしてください。
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