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ニラは洗う?洗わない?正しい洗い方。冷蔵・冷凍する前は?

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ニラは洗う?洗わない?正しい洗い方。冷蔵・冷凍する前は?

ニラは洗ってから調理をすべきか否か迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。結論からいうとニラは洗ってから食べるべきです。本記事ではニラを洗うべき理由とニラの洗い方を詳しく解説します。

ニラを洗うべき理由

ニラは里芋やごぼうなどの根菜と異なり、そこまで汚れているわけではないので洗う必要があるのか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。ニラは表面は綺麗に見えますが、きちんと洗ってから食べるべきです。ニラを洗うべき理由は下記の通りです。

土汚れや細菌

ニラはパッと見て綺麗なように見えても、根元に土汚れが入り込んでいることがあります。

土がついている場合、土や堆肥(たいひ)に含まれる細菌がついている恐れがあります。食中毒といえば生肉や生魚などを食べることによって起こることが多いですが、実は土や堆肥にもボツリヌス菌などの食中毒の原因となる細菌が分布している可能性があります。

また、外気に触れて目に見えないほこりなどの汚れもついているのでしっかりと洗ってから食べたほうが衛生面的に安心です。

出典:「食品衛生の窓」(東京福祉保健局)

残留農薬

日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。調理前にニラを洗うことで残留農薬を洗い流すことができます。

日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。

農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、健康に良い影響を与えるかといえばそうではありませんので、できるだけ余計なものが口に入るのは避けたいですよね。

こんなニラは洗う?洗わない?

加熱調理するニラ

ニラは生食するよりも、炒めものにするなど加熱して食べることが多いですよね。加熱すればきちんと洗わなくても問題なく食べられるような気がしますが、加熱調理するニラも洗うべきです。

農薬は加熱をしても残ることがあります。また、細菌の中には加熱をすることで死滅する種類もありますが、例えば土や泥に含まれている可能性があるボツリヌス菌は熱に強い細菌です。加熱をすれば洗っていなくても安全に食べられるというわけではないので、しっかりと洗ってから調理をするほうが安心です。

出典:食品中の残留農薬―残留農薬は調理加工により減少するかー(J-stage)

無農薬・有機のニラ

無能薬や有機のニラであっても、洗ったほうが良いです。

「無農薬野菜を購入すれば良いのではないか」と考える方も多いと思いますが、現状では農薬を使っていないことを証明できる基準や規定は存在しません。また、過去に使った農薬が土壌に残っていることや近隣の畑から農薬が飛んできているということもあるため完全なる「無農薬野菜」を作るのは非常に難しいといわれています。そのため、「特別栽培農産物」と呼ばれる節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培されている野菜はあるものの、完全に農薬を使わずに販売されている野菜はありません。

家庭菜園で農薬を使わずに栽培している場合は、農薬の心配はありませんが、やはり土汚れや虫がついていることも多いですので洗ったほうが良いです。

有機野菜は、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕などの植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことをいいます。農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たしたもののみが「有機野菜」として販売することができます。有機野菜においても、JASが認定している31種類の農薬については使用が認められており、「無農薬」というわけではありません。また、虫がついていることもありますので洗って食べるのが安心です。

出典:

水耕栽培のニラ

ニラは水耕栽培をすることが可能です。水耕栽培とは土を使わず水と液体肥料で植物を育てる方法のことをいいます。

土壌栽培とは異なり土汚れはついていませんし、水耕栽培の場合は室内で行われるため害虫や病気にかかることがなく農薬を使わずに育てられていることがほとんどです。そのためカットされた状態で販売されているニラなどは「洗わずに食べられます」と記載されている商品もありますが、軽く水洗いしてから食べるよう記載されている商品もあります。水洗いするよう記載されている商品は、軽く洗ってから食べるようにしましょう。

自宅で水耕栽培したニラは外気にふれて汚れがついているので、洗ったほうが良いです。

保存する前のニラ

購入してから冷蔵保存や冷凍保存するときのニラは洗ってから保存することもできますが、水気がついたまま保存するのは避けましょう。

特に丸ごと冷蔵保存する場合は水気が残っていると痛む原因になります。また、下茹でしてから冷凍保存する場合も水気をとってから冷凍しないと、余分な水分まで凍ってしまい解凍したときにびちゃびちゃになってしまいます。

ニラの洗い方【ボウルで】

まずは、基本的なニラの洗い方を紹介します。

根元を流水でこすり洗いする

ニラの根元を流水でていねいに洗う

まず、ニラを束ねているゴムやテープを取り外します。

取り外したら、ボウルにためた水にニラの根元部分を入れて流水をあてながらこすり洗いして、汚れを落とします。

特に根元には残留農薬だけではなく土やほこりがついていることが多いので、しっかり洗いましょう。

葉先は振り洗い

ニラの葉先は振り洗いする

根元の汚れを落としたら、葉先をボウルにためた水に入れて振り洗いします。

汚れがついている場合は、優しく手でこすって落としましょう。

葉先は傷つきやすく、傷がついてしまうと風味が落ちたり食感が悪くなるので優しく洗うことが大切です。

ニラの洗い方【袋ごと】

ニラは長細い袋に入れられて販売されていることが多いですが、袋ごと洗うこともできます。

根元の部分を持って水を入れてふる

ニラの袋に水を入れてふって洗う

まず、袋をあけてニラを束ねているゴムやテープを外します。

束ねているゴムやテープを外したら、根元の部分をもって袋の半分くらいまで水を入れます。水を入れたら、水がこぼれないようにふります。

水を捨てて再び水を入れてふる

ニラの袋に入れた水を捨てて再度水を入れて洗う

水を入れて数回ふったら、水を捨てます。水を捨てたら再び水を入れて、ふります。ふる→水を入れ替える→ふるを数回繰り返したら完了です。

葉先は十分きれいになりますが、根元に汚れが残ってしまうことがあるので、最後に根元を流水で洗い流すと良いでしょう。

ニラの洗い方の豆知識

洗ってから切った方が栄養が守れる

ニラはそのままでは長すぎるのでカットしてから調理をするのが基本ですが、切ってから洗ってしまうとカットした断面から水溶性の栄養素が流出してしまうのを防ぐことができます。

ニラにはビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が含まれているので、丸ごと洗ってからカットしたほうが栄養面的に◎

長時間洗うと栄養素が流出するので注意

丸ごと洗っていても、長時間洗ってしまえばやはり水溶性の栄養素は流出してしまいます。

ニラの独特の香りや辛みの元である硫化アリルも水溶性の成分で、長時間洗うことで流出してしまいます。硫化アリルも血液をサラサラにする作用があるなど身体にとって良い成分なので、流出させてしまうのはもったいないですし、ニラの風味も損なわれてしまいます。

時間をかけて洗わないように注意しましょう。

50度のお湯で洗うと食感が復活

ニラがしなしなになってしまった場合は50℃のお湯で洗うと食感が復活する

購入してから時間がたち、しなしなになってしまったニラは、50度のお湯で洗うと汚れを落とせるだけではなくシャキシャキの食感に復活します。

これは「ヒートショック」とよばれるもので、ニラ以外の野菜にも使える方法です。50度のお湯につけることで、閉じていた気孔が開き細胞が水分を吸いみずみずしさを取り戻します。

ただし、古くなり腐敗が始まっているニラはお湯で洗っても復活しませんし、食べることができませんので破棄しましょう。異臭や変色など腐敗のサインが見られず、水分が飛んでしなびているだけの場合はお湯で洗うと良いです。

洗ったニラの保存方法

最後に、洗ったニラの正しい保存方法を紹介します。正しく保存することで鮮度を保ち、栄養素を無駄にすることなくより長持ちさせることができます。ニラを購入したら正しく保存するようにしましょう。

冷蔵保存

ニラは高い温度や乾燥に弱い野菜ですので、基本的に常温保存はおすすめできません。

ニラは購入後すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。購入した際の袋からは取り出して保存するのがポイントです。袋に入れたままだと蒸れてすぐに傷んでしまいます。

丸ごと

ニラを丸ごと冷蔵保存するには水揚げをしたあとに新聞紙で全体を包みポリ袋に入れる

すぐに保存する場合は、そのまま丸ごと冷蔵保存しましょう。丸ごと冷蔵保存する場合、約3〜5日ほど日持ちします。

まず「水揚げ」を行い、根元に水を吸わせます。このとき軽く汚れを洗って落としておくと良いです。水揚げをしたら、キッチンペーパーで水けをしっかり拭き取り、葉先を出した状態で、葉を折らないようにして新聞紙で包みます。ポリ袋に入れて口を軽く閉じるか、ポリ袋を上からかぶせて乾かないようにしましょう。ラップを巻くのも◎。

できれば、冷蔵室に立てて保存するのがおすすめです。ニラが畑で育っていた環境になるべく近づけてあげることで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横にした状態で保存すると、元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。

カットして冷蔵

ニラはカットして水につけて冷蔵すれば約7〜10日ほど日持ちする

カットして冷蔵保存すれば、丸ごと冷蔵するよりも日持ちします。約7〜10日ほど保存することが可能です。

保存容器の長さに合わせてニラをカットし、保存容器に入れ、ニラが漬かる程度の水を入れて蓋をし、冷蔵庫で保存します。3日おきに水を取り替えるようにしてください。

この方法でニラを保存すると、確かに日持ちはしますが、ニラに含まれているビタミンCやアリシン、カリウムなどの栄養素が流れ出てしまうため、栄養価は下がってしまいます。栄養素を効率よく摂りたい場合は、上記でご紹介したように丸ごと保存するか、この後ご紹介する冷凍方法で保存するようにしましょう。

冷凍保存

ニラは冷蔵では長くても1週間ほどしか日持ちしませんが、冷凍で約1ヶ月ほど保存することができます。すぐに使い切れない場合は冷凍保存するようにしましょう。

湯通しして冷凍

ニラを冷凍する際は事前に湯通しをしておくと臭いが軽減される

さっと湯通しをしてから保存します。

ニラを4cmほどの長さに切ってザルに入れ、上から熱湯をかけて湯通しをし冷まします。水けを取ってから小分けにし、ラップで包んで冷凍用保存袋に入れます。冷蔵庫の急速冷凍機能を使う(ない場合は金属トレイの上にのせて急速冷凍)すると◎。

冷凍したニラの解凍方法

冷凍したニラは、作る料理に合わせて異なる方法で解凍するのがおすすめです。

味噌汁やスープなどの汁物に使う場合は、解凍せず凍ったまま使ってOKです。おひたしや炒め物などに使う場合は凍ったままだと水分が出やすいので、使う前日に冷蔵庫に移して自然解凍をし、水けを切って調理に使用します。

ニラは冷蔵保存や冷凍保存の他にも天日干しして乾燥保存したり、醤油や味噌につけて漬け保存することもできます。詳しいニラの保存方法についてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてください。