コンフィとコンフィチュールの違いについて解説します。
コンフィ(confit)とは、保存のために、あらゆる食材を低温の油や砂糖水でじっくり煮詰める調理法(と、その調理法で作られた料理名)を指します。一般的には、低温の油でじっくり調理された肉料理を指します。揚げ物の対となる調理法・料理です。
コンフィチュール(confiture)とは、保存のために砂糖で低温調理された果物を指します。ジャム(jam)とほぼ同義です。
「コンフィ」と「コンフィチュール」はどちらもフランス語で、語源は「コンフィル(confire)」というフランス語です。
「コンフィル(confire)」は「保存する」という意味の動詞です。英訳すると「preserve(プリザーブ)」です。
まず、「コンフィル」から「コンフィ(confit)」という言葉が生まれました。元々は「コンフィルされたもの」という意味の、過去分詞です(英語でいうところの「do」に対する「done」)。つまり、「コンフィ」は元々「保存されたもの。保存用に調理された料理」という意味の名詞でした。
「コンフィル」は調理用語ではありませんでしたが、「コンフィ」は調理用語として定着し、その後「保存用に、低温でじっくり調理する」という動詞としても使われるようになりました。
さらに、「コンフィ(confit)」に、「〜すること、もの」を意味する接尾辞「ure」が付いて、「コンフィチュール(confiture)」という言葉が生まれました。「コンフィチュール(confiture)」は直訳すると「コンフィされた料理」という意味です。
コンフィル(confire)→コンフィ(confit)→コンフィチュール(confiture)と言葉が変化してきたのがわかります。
「コンフィ」も「コンフィチュール」も意味的にはどちらも「低温でじっくり調理する」「低温でじっくり調理された料理」なのですが、現代においては「コンフィ」は肉料理、「コンフィチュール」はジャムの意で使われます。「コンフィ」と「コンフィチュール」がなぜこのように使い分けされるようになったかは不明です。
コンフィ(confit)は、油や砂糖などで食品を低温で調理することを指します。また、「ガチョウのコンフィ(仏語:confit d'oie)」など料理名として使われることもあります。
コンフィの特徴として、低温調理が挙げられます。低温調理とは、揚げる、焼く、蒸すなどの調理法と比較して低温で長時間加熱する調理法を指します。揚げ物は160〜230℃などの高温で調理されますが、コンフィは油であれば90℃前後など低温で調理し、時にはもっと低い温度で調理されることもあります。
コンフィは主に南西フランスで用いられる調理法です。コンフィの魅力(詳しくは後述します)の一つに、保存性の高さがありますが、近年ではじゃがいものコンフィのように、油や脂肪で低温で長時間じっくり調理するが、保存要素をもたないという意味で使われることも多いです。
コンフィが人気な理由はいくつかあり、保存性の高さや食品の風味アップなどが挙げられます。
肉類であれば油で、果物であれば砂糖で調理し、密封して冷暗所で保管すれば数ヶ月間〜数年保存することができます。また、再度加熱することでさらに保存期間を延ばすことも可能です。
また、食品を低温でじっくりと加熱することで、食品の水分や旨みを残して美味しく調理することができます。例えば、肉や魚を低温調理することで、肉や魚に含まれるタンパク質の変性を抑えることができ、高温で調理するよりも柔らかい食感に仕上げることができます。
コンフィ(confit)は、フランス語で「保存する」を意味する「confire(コンフィレ)」を語源とします。
コンフィは最も古い食品の保存方法で、元々は肉を長期保存するために使われていた調理法といわれています。伝統的にはガチョウやアヒルなどの水鳥や豚肉の保存にコンフィが用いられてきました。
オリーブが豊富で安価だったプロヴァンス地域ではオリーブオイルが使われているのに対し、「コンフィの国」とよばれるフランスのオクシタニア地域では、ガチョウの脂肪を調理に使用してきました。オクシタン地域の中でも、地方によって使用される肉類が異なります。ベアルン地方やバスク地方では、ガチョウのコンフィが使われることが多く、地方の定番料理であるカスレ(豆料理)やガルビュール(シチュー)などとともに提供されます。サントンジュ地方とブラントーム地方では、鴨のコンフィが使用されることが多く、じゃがいもとトリュフを添えて食べられています。
コンフィチュール(confiture)は、砂糖やシロップで果物を煮詰めた料理の総称です。
ジャムはコンフィチュールの一種です。コンフィチュールには、その他にもマーマレード(柑橘系類の果実を原料にしているジャム類)やペースト、砂糖漬けなども含まれます。
コンフィチュールの中でもジャムが最も一般的なことから、コンフィチュール=ジャムの意で使われることもあります。ただし、コンフィチュールは果物の保存を主目的にしていることから、果物の形状を残し、さらっとした仕上がりのものが多いです。一方、一般的なジャムは果物の形状を残さず、ゼリー状になるまで煮詰めとろみのある仕上がりにしています。
似たものにコンポートがありますが、コンフィチュールやジャムとは少し違い、果物の形が崩れないようにシロップで煮たものを指します。コンポートで使用する砂糖の量は少なめです。
コンフィチュール(confiture)の語源は、コンフィと同様にフランス語で「保存する」を意味する「confire(コンフィレ)」だといわれています。
「confit」に「〜するもの」という意味を持つフランス語の接尾語 「ure」が付いた単語です。
コンフィチュールに使用される主な果物として、いちごやオレンジ、ブルーベリー、りんご、桃、キウイなどがあります。
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