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コンフィの意味とは?肉・魚・果物の料理?作り方・食べ方は?

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コンフィの意味とは?肉・魚・果物の料理?作り方・食べ方は?

フランス料理「コンフィ」について解説していきます。

コンフィってどんな料理

コンフィとは

コンフィ(confit)は、フランス料理の調理法です。油や砂糖などで食品を低温で調理することを指します。また、「ガチョウのコンフィ(仏語:confit d'oie)」など料理名として使われることもあります。

コンフィの特徴として、低温調理が挙げられます。低温調理とは、揚げる、焼く、蒸すなどの調理法と比較して低温で長時間加熱する調理法を指します。揚げ物は160〜230℃などの高温で調理されますが、コンフィは油であれば90℃前後など低温で調理し、時にはもっと低い温度で調理されることもあります。

コンフィは主に南西フランスで用いられる調理法です。コンフィの魅力(詳しくは後述します)の一つに、保存性の高さがありますが、近年ではじゃがいものコンフィのように、油や脂肪で低温で長時間じっくり調理するが、保存要素をもたないという意味で使われることも多いです。

※肉や魚、野菜、果物などの食材を油や酒、砂糖などに浸して調理した食品の総称です。

魅力(人気な理由)

コンフィが人気な理由はいくつかあり、保存性の高さ食品の風味アップなどが挙げられます。

肉類であれば油で、果物であれば砂糖で調理し、密封して冷暗所で保管すれば数ヶ月間〜数年保存することができます。また、再度加熱することでさらに保存期間を延ばすことも可能です。

油や砂糖で調理した食品の保存性が高まる理由ですが、上述の通り、コンフィは低温で調理するのが重要になります。低温の油でじっくり煮た後にそのまま冷暗所で保管することで、脂肪分が冷えて固まり、食材に脂肪の膜が張って食品が傷みにくくなるのです。また、砂糖漬けによる浸透圧の関係で、食品内の水分が外に出て、食品が傷みにくくなり保存性が高まります。

コンフィが人気な理由には、食品のうまみアップも挙げられます。食品を低温でじっくりと加熱することで、食品の水分や旨みを残して美味しく調理することができます。例えば、肉や魚を低温調理することで、肉や魚に含まれるタンパク質の変性を抑えることができ、高温で調理するよりも柔らかい食感に仕上げることができます。

コンフィの歴史や語源

歴史

コンフィは最も古い食品の保存方法で、元々は肉を長期保存するために使われていた調理法といわれています。伝統的にはガチョウやアヒルなどの水鳥や豚肉の保存にコンフィが用いられてきました。

オリーブが豊富で安価だったプロヴァンス地域ではオリーブオイルが使われているのに対し、「コンフィの国」とよばれるフランスのオクシタニア地域では、ガチョウの脂肪を調理に使用してきました。オクシタン地域の中でも、地方によって使用される肉類が異なります。ベアルン地方やバスク地方では、ガチョウのコンフィが使われることが多く、地方の定番料理であるカスレ(豆料理)やガルビュール(シチュー)などとともに提供されます。サントンジュ地方とブラントーム地方では、鴨のコンフィが使用されることが多く、じゃがいもとトリュフを添えて食べられています。

※水鳥以外の肉もコンフィにされることが多いですが、真のコンフィとはよべません。実際にフランスでは「コンフィ」というと鴨とガチョウのコンフィのみを指し、その他の肉のコンフィは「アンコンフィ(en confit)」といいます。例えば、ガチョウの脂肪で調理する鶏肉は「プーレ アン コンフィ(poulet en confit)」といいます。

コンフィはフランス語

コンフィ(confit)は、フランス語で「保存する」を意味する「confire(コンフィレ)」を語源とします。

さらにさかのぼると、confire(コンフィレ)の語源はラテン語で、「準備する、作る、生産する、行う」を意味する「conficere(コンフィケレ)」だといわれています。

コンフィの具材の種類

上述の通り、「コンフィ」といえば本来鴨とガチョウを使用したものを指していましたが、近年では様々な食材が使用されるようになりました。ここでは、コンフィの具材の種類をご紹介します。

コンフィの具材の肉

歴史的には水鳥や豚肉を使用していましたが、近年では様々な種類のお肉を使用します。

鶏肉を使用することが多く見受けられます。手羽先やむね、砂肝、レバーなど様々な部位のコンフィがあります。また、牛肉(むね、肩ロースなど)やラム肉を使うこともあります。

肉類のコンフィが人気な理由は、上記でも解説しましたが、低温調理によって柔らかくジューシーに仕上がるためです。

魚介

コンフィの具材の魚介

肉だけでなく、魚介類を使用することも多いです。人気な具材にはサーモンや牡蠣、サンマ、マグロ、ししゃも、白身魚などがあります。

野菜

コンフィの具材の野菜

コンフィは元々は肉類や果物を長期保存するための調理法でしたが、現在では野菜のコンフィも美味しく食べることができます。

代表的な具材には、じゃがいも、トマト、そら豆、ナス、ズッキーニ、にんにくなどがありますが、基本的にはどんな野菜でもコンフィにして楽しむことが可能です。

ただし野菜は肉類や魚介類と比較して水分を多く含むものが多いため、肉類などと比べるとあまり日持ちしません。

果物・お菓子

コンフィの具材の果物

本場フランスでは果物を砂糖に漬けて長期保存します。代表的な果物にはレモンやオレンジ、さくらんぼ、いちご、パイナップルなどがあります。

果物の芯まで砂糖を染み込ませる必要があるため、果物のサイズが大きいほど調理に長い時間を要します。さくらんぼやいちごのような元々が小さい果物はまるごとコンフィにされますが、メロンなど大きい果物を丸ごとコンフィにするのは珍しく、大きい果物のコンフィには高値がつく傾向があります。さくらんぼのコンフィはよくケーキのデコレーションとして使用されます。

また、果実だけでなく皮の部分もコンフィにすることもあります。代表的なのはオレンジの皮(オレンジピール)です。

フランス生まれのお菓子「オランジェット」は、砂糖漬けにしたオレンジを溶かしたチョコレートで包みますが、オランジェットで使用しているオレンジは水と砂糖を鍋で沸騰させて煮詰めて作るため、コンフィされたものではありません。

【ドライフルーツとコンフィの違い】

ドライフルーツは、文字通りフルーツを乾燥させて作ります。乾燥させることで果物本来の甘みが引き立つため、砂糖が使われてないことが多いですが、そもそも甘みが少ない果物や、保存性を高めたい場合に砂糖が使われます。

コンフィの作り方・食べ方

基本的なコンフィの作り方をご紹介します。具材は上記でご紹介したような肉や魚、野菜などお好みの食材を使用します。使用する食材によって分量や時間などが異なりますので調整してください。

レシピ・食べ方【肉・魚介類】

レシピ

  1. 食材に塩とハーブ(ローズマリー、ローリエ、タイムなど)をまぶして保存袋に入れ、冷蔵庫で3時間〜半日ほど置いておく。
  2. 鍋に油または脂(※1)をたっぷり入れ、70〜90℃の低温に保ちながら 1. を数時間煮込む。
  3. 煮込んだらそのまま放置して冷まし、保存容器に移し入れ冷暗所または冷蔵庫で保存する。

※1 肉類をコンフィにする場合は、食材と同じ油・脂(鴨脂やラードなど)を使用するのが基本ですが、調達が難しい場合はオリーブオイルでOKです。上質なオリーブオイルを使用するのがおすすめです。

【炊飯器でコンフィを作る方法】

炊飯器を使えばより短時間で手軽にコンフィを作ることができます。上記のレシピ手順1.を行った後、食材が浸るくらいの油または脂を加え再度密封し、70℃前後のお湯を入れた炊飯器の中に袋ごと入れます。保温スイッチを入れて3時間ほどおけば完成です。

食べ方

肉や魚のコンフィは、食べる直前にフライパンやオーブンで加熱し、表面をパリッと焼き上げます。塩とハーブで下味がついているため、加熱後はそのまま食べることができます。別でソースを添えても◎。

日持ち

肉や魚のコンフィは、冷蔵保存で約1ヶ月ほど日持ちします。冷暗所での保存も可能ですが、温度が変わりやすく、また室温が高いと傷んでしまう可能性があるので、温度が一定に保たれる冷蔵庫での保存がおすすめです。

レシピ・食べ方【野菜】

レシピ

  1. 野菜を食べやすい大きさにカットする。
  2. 70〜90℃のオリーブオイルで数時間煮込む。
  3. 煮込んだら冷まして保存容器に移し入れ、冷暗所または冷蔵庫で保存する。

食べ方

野菜のコンフィはそのまま食べたり、炒めものにして食べます。下味はついていないため、物足りなければ塩や醤油などを加えて食べましょう。

日持ち

野菜のコンフィも肉・魚と同様に冷蔵保存で1ヶ月ほど保存することが可能です。ただし、肉や魚と比べて水分が多いため、なるべく早く食べきることをおすすめします。

レシピ・食べ方【果物】

レシピ

  1. 水洗いし丁寧に汚れや農薬を落とす。キッチンペーパーで水分を拭き取る。小さい果物は丸ごとのままでOK。大きい果物は皮ごと輪切りにする。
  2. 水と砂糖を鍋に加え70〜90℃に温度を保ちながら、果物を1時間ほど煮込む。
  3. 煮込んで粗熱が取れたら保存容器に移し入れ、冷暗所または冷蔵庫で保存する。

食べ方

果物のコンフィはそのまま食べると甘みが強いです。パウンドケーキなどの生地に混ぜたり、ケーキの上のトッピングとして使うなど、お菓子作りで使用されることが多いです。また、紅茶に入れてフルーツティーとして楽しんだり、コーヒーのお供として食べることもあります。

日持ち

果物のコンフィは冷蔵保存で1ヶ月、状態によっては数ヶ月日持ちします。煮沸消毒した密封容器で保存するとより長く保存することが可能です。

コンフィと似た調理法・料理

コンフィと似た料理法にソテーやグリル、ローストなどがあります。コンフィとこれらの調理法との違いを解説していきます。

※コンフィを作るときの調理法の名前は???

ソテー

コンフィと似た調理法のソテー

ソテー(仏語:sauté)は、平らなフライパンに少量の油を引いて、比較的高温・短時間で加熱する調理法です。

調理時間を短縮するために、食材は小さくカットされることが多いです。ヘラを使ったり、フライパンを揺すって具材を素早く動かすのが調理法の特徴です。ソテー専用のフライパンは、具材が熱せられる面積が最大になるように底が平らでかつ広く設計されています。また、水分がすぐに蒸発するように縁は低くなっており、揺する時に具材がこぼれないように直角に作られています。

ソテーには澄ましバターやオリーブオイル、菜種油、ひまわり油が使われることが多いですが、他の油を使用することも可能です。

グリル

コンフィと似た調理法のグリル

グリル(英語:grill)は、日本語でいう直火焼きのことを指します。文字通り、鍋や油などを使わず火で直接食材の表面を加熱する調理法です。火と食材の間に網などを使う場合は網焼きとよばれます。

焼き鳥や焼き魚、ケバブなどの料理はグリルによって作られます。串にさしたり、網に並べて加熱します。直火焼きでは、加熱温度が250℃を超えることも多いです。例えば肉をグリルするとメイラード反応という化学反応が生じ、香ばしい風味が出ます。

火の燃料の違いによって炭火焼き、ガス火焼き、バーナー焼き、電気焼きなどと呼びわけることもありますが、基本的にこれらはすべてグリルに分類される調理法といえます。

ロースト・ロティ

コンフィと似た調理法のロースト

ローストは英語(roast)、ロティは仏語(rôtir)で、同じ調理法を指します。オーブンや窯などを使って加熱する調理法です。高温で食材に火を通します。

フランス料理としては豚肉や鴨肉、子羊の肉が使われることが多く、表面はカリッと、中はジューシーな仕上がりになります。フランスでは肉を焼くスキルが高い料理人を「ロティスール」と呼びます。

グラタンやラザニア、ピザ、ローストビーフ、クッキー、パンなどは、ロースト(ロティ)することによって完成します。

ポワレ

コンフィと似た調理法のポワレ

ポワレ(仏語:poêlé)はフランス料理における調理法の一つです。本来の意味としては、蒸し焼き、または表面をカリッと焼き上げる調理法を指します。近年ではソテー(sauté)とほぼ同義で使われるようになっています。

現在では魚料理のポワレが馴染み深いですが、元々は肉料理の調理法として用いられていました。調理中に具材から出る脂や汁を具材にかけ回すこと(アロゼといいます)で火を通します。

魚のポワレは、魚の切り身に塩コショウで下味をつけた後、フライパンにオリーブオイルをひき、表面をカリッと焼いた後、皿にソースとともに盛り付けます。ポワレによく使用される魚には、スズキやタイなどの白身魚や鮭、マスなどがあります。

ポワレとよく混同される調理法にムニエルがありますが、これら2つは全く異なる調理法です。ムニエルでは小麦粉などの粉類をまぶしますが、ポワレでは粉類は使用しません。

ミキュイ(低温調理)

コンフィと似た調理法のミキュイ

ミキュイ(仏語:mie cuit)は、フランス料理の調理法の一つです。「半分火が通った、半生」を意味し、文字通り半生の状態に仕上げるのが特徴です。フレンチレストランでは「サーモンのミキュイ」などがよく提供されています。

半生でも食べられる、つまり生食可能な食材のみ使用可能です。代表的な食材にはサーモン(刺身用)があります。完全に火を通さないと食べられないような食材はミキュイには適していないので注意が必要です。

コンフィは漬け込む調理法である一方で、ミキュイは半生に調理する調理法ですが、ミキュイもコンフィも低温で調理するのが共通点です。

マリネ

コンフィと似た調理法のマリネ

マリネとは、肉や魚、野菜などを漬け汁に浸す調理法またはその料理名を指します。フランスではマリナード(marinade)、英語圏ではマリネード(marinade)とよばれます。

マリネに使用する食材にはサーモンやニシン、タコ、エビ、貝柱などの魚介類や生ハム、ベーコン、豚肉、鶏肉などの肉類、玉ねぎやパプリカ、トマト、ズッキーニ、カリフラワーなどの野菜類があります。マリネ液(マリナード)には酢やレモン汁、ワイン、香辛料、その他調味料を使用します。

マリネは非加熱の状態で食べるものと、加熱して食べるものに分けられます。例えば魚介類や野菜のマリネは非加熱の状態で食べることが多い(野菜は下茹ですることがある)ですが、鶏肉などの肉類のマリネは生食は不可なので、マリネにした後に火を通してから食べます。

アヒージョ

コンフィと似た調理法のアヒージョ

アヒージョはスペイン料理の一種です。代表的な小皿料理(タパス)で、オリーブオイルとにんにくで具材を煮込みます。具材には主にエビや牡蠣、タラ、イワシなど魚介類が用いられることが多いですが、他にはマッシュルームやエスカルゴ、チキン、野菜などもアヒージョの具材として使われます。具材はそのまま食べ、具材を煮たオリーブオイルはバゲットやチュロスなどに浸して食べます。

アヒージョはスペイン語で「小さなにんにく」という意味があります。日本では料理自体をアヒージョと呼びますが、本場スペインでは「(食材名)アル アヒージョ(al ajillo)」と呼びます。

コンフィとアヒージョの違いですが、第一にコンフィは調理法、アヒージョは料理名です。それ以外には調理温度と時間が異なります。コンフィは低温(70〜90℃)で調理する一方で、アヒージョはより高温で調理します。コンフィでは具材を数時間かけて煮込みますが、アヒージョは短時間で作ることが可能です。

リエット

コンフィと似た調理法のリエット

リエット(仏語:rillettes)はフランスの肉料理です。パテに似た料理で、豚のバラ肉や肩肉を細かく切って塩をふり、ラードの中で弱火でじっくりと加熱して作られます。加熱後は脂肪分がペースト状になるまで冷やし、食べる際は室温に戻してからパンなどに塗って食べます。

リエットに使われる代表的な食材には、豚肉以外に鴨やガチョウ、うさぎなどの肉類やいわし、鮭、マグロなどの魚類があります。

コンフィとリエットの違いは、第一にコンフィは調理法、リエットは料理名です。それ以外では食べ方が異なります。コンフィもリエットも低温で調理するという点は共通していますが、煮た後にそのままの状態で保存するのがコンフィ、煮た食材を脂と一緒にすりつぶすのがリエットです。また、コンフィは主に食材を食べるのに対し、リエットは食材と脂を一緒に食べます。

※コンフィチュール

コンフィと似た調理法のコンフィチュール

コンフィチュール(仏語:confiture)はフランス語で、保存するために砂糖漬けした果物の総称です。英語のジャム(jam)と同義で使われます。コンフィチュール(ジャム類)にはジャムやマーマレード、ペーストなど様々なバリエーションがあります。

コンフィチュールの語源はフランス語の「confire」で、「保存された」という意味があります。

コンフィチュールに使用される主な果物として、いちごやオレンジ、ブルーベリー、りんご、桃、キウイなどがあります。

コンフィとコンフィチュールの違いですが、コンフィは肉や魚、野菜、果物などの食材を油や酒、砂糖などに浸して調理する調理法または料理名であるのに対し、コンフィチュールは果物を砂糖で煮詰めた保存食そのものを指します。

コンフィチュールとよく混同されるものにジャムやコンポートがあります。これらはすべて果物を砂糖で煮詰めて作りますが、違いは仕上がりの形状にあります。コンフィチュールは果物の形状を残しさらっとしたもの、ジャムは果物の形状が残らずゼリー状になるまで煮詰めとろみのある仕上がりにしたものを指します。コンポートはこれらとは少し違い、果物の形が崩れないようにシロップで煮たものを指します。コンフィチュールとジャムとの違いは砂糖の使用量で、コンポートで使用する砂糖の量は少ないです。