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ビストロとイタリアンレストランの違い。メニューを比較して解説

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ビストロとイタリアンレストランの違い。メニューを比較して解説

「イタリアンレストラン」と「ビストロ」はよく混同されますが全く異なる内容を指す言葉です。イタリアンレストランは文字通りイタリア料理を提供する飲食店全般を指し、ビストロはフランス料理が低価格で提供されるカジュアルレストランを指します。この記事ではビストロとイタリアンの違いについて、またビストロとイタリアンについてをそれぞれ詳しく解説していきます。

ビストロとイタリアンの違い

「ビストロ」は元々フランス語で、「小さなレストラン」という意味です。フランスの家庭料理が低価格で提供されるカジュアルなレストランで、ワインなども提供されます。日本ではフランス料理自体が高級なのでビストロ=高級フレンチと思っているかもしれませんが、フランスにおける「ビストロ」はファミリーレストランのような存在です。

しかし、日本で「ビストロ」といった場合は、漠然とヨーロッパ風のレストランを指します。価格帯もお店によって様々で、料理内容もフランス料理やイタリア料理などさまざまです。日本での「ビストロ」は意味が広いので、イタリア料理はおろか、アメリカ料理やインド料理を提供する店まで様々です。

一方で「イタリアン(レストラン)」は、文字通りイタリア料理全般を提供する飲食店を指します。

ビストロついて

国によって意味合いが違う?

ビストロは、国によって意味合いが異なります。上述したように、日本で「ビストロ」といった場合、フランス料理だけに限らずイタリア料理やアメリカ料理など幅広いジャンルの飲食店を意味しますが、世界的にはそうではありません。

英語圏で「ビストロ」というと、本来のフランス語の意味に近いです。フランス風の料理を提供するカジュアルなレストランを指します。

世界共通していえるのが、ビストロにはドレスコードや入店年齢制限は設けられていないということです。本場のビストロと同様に日本を含めその他の地域でもカジュアルにフランス料理を楽しむことができます。

ビストロ以外のフランスのレストランについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ビストロの定番メニュー

ここでは、フランス料理を提供する「ビストロ」での定番料理をご紹介します。

エスカルゴ

エスカルゴ

エスカルゴは食用カタツムリです。前菜として食べられます。

キッシュ

キッシュ

キッシュは、生クリームと卵を使って作るフランスのアンザス=ロレーヌ地方の郷土料理です。

ステークフリッツ

ステークフリッツ

ステークフリッツは、ステーキとフライドポテトを組み合わせた料理です。

クリームブリュレ

クリームブリュレ

クリームブリュレは、フランス語で「焦がしたクリーム」を意味するカスタードプリンに似たデザートです。

イタリアンレストランについて

イタリアンレストランにはトラットリアやリストランテ、オステリアなど様々な形態のレストランがあります。

トラットリア

トラットリア

トラットリア(Trattoria)とは、イタリアンレストランの中でも、気軽に入れる大衆向きの小さな飲食店のことを指します。

本場イタリアでは、トラットリアといえば家族経営のカジュアルなレストランのことを指し、伝統的な郷土料理などを提供しています。イタリアのトスカーナ地域の伝統的なトラットリアでは、料理は質素ですが量が多く、ほとんどが地元のレシピに沿って作られています。近年では後ほどご紹介する、トラットリアよりも格式が高い「リストランテ」のような装いになっているレストランも多く、アットホームな雰囲気の場所は少なくなっているそうです。

トラットリアでは特にドレスコードは設けられておらず、カジュアルにイタリア料理を楽しむことができます。コース料理ではなく、前菜や主食などを単品で注文します。

リストランテ

リストランテ

リストランテ(ristorante)は、イタリアンレストランの中で最も高級な飲食店を指します。上記でご紹介したトラットリア(trattoria)よりも格式が高いです。リストランテのサービスはもちろんのこと、店内のインテリアや食器、カトラリーなどの質が高いです。基本的に予約するのがルールとされています。

リストランテではアラカルトではなくコース料理が提供されることがほとんどです。多くのリストランテではワインソムリエが在籍しており、高級なワインを楽しむことができます。料金が高いため富裕層の利用が多く、主に結婚式や誕生日などのお祝い事で利用されます。

ドレスコードが設けられている所が多く、男性はスーツやジャケットを、女性はワンピースやスーツを着用する必要があります。サンダルやハーフパンツ、ダメージジーンズなどカジュアルな服装では入店不可なことがあります。

近年ではドレスコードを設けていなかったり、値段がそこまで高くなかったりと、カジュアルなリストランテも増えています。すべてのリストランテが格式高いというわけではないようです。

オステリア

オステリア

オステリア(Osteria)はイタリア語で、元々ワインバーを意味していましたが、近年ではワインと軽食を提供する大衆的なお店で、日本の居酒屋に近いイメージのお店のことを指します。お店によって提供している物や雰囲気ががらりと変わるのが特徴的で、飲み物のみを提供しているお店や男性客のみを対象としたお店、地方の音楽を店内で演奏するお店など様々な形態があります。

オステリアで提供されている食事は、トラットリアと比べてメニュー数が少ない傾向が強いです。地元の名物料理が提供されることがほとんどで、値段も良心的なお店が多いです。中には高級なオステリアもあるので、事前の確認が必要です。

一般的にはオステリアよりもトラットリアの方が格が高いとされています。また、客層にも違いがあり、トラットリアは家族連れが多い一方で、オステリアは大人の客が多いイメージです。ただしこれもお店の雰囲気や提供内容によって差があります。トラットリアもオステリアも、ドレスコードは基本的に無く、カジュアルな服装で入店できることがほとんどです。

タベルナ(タヴェルナ)

タベルナ(タヴェルナ)

タベルナまたはタヴェルナ(taverna)はイタリア語で食堂や居酒屋のことを指します。日本でいう居酒屋やバル、飲み屋のようなお店です。また、タヴェルナはギリシャでギリシャ料理を提供する飲食店を指します。タヴェルナはイタリアよりもギリシャで多く見かけます。

オステリアとの明確な違いはなく、お酒や簡単な食事が提供されます。家族連れよりも大人の客が多いです。
タベルナと似た単語にタベルネッタ(Tavernetta)という言葉がありますが、タベルネッタはレクレーションルームやナイトクラブ、個人宅の部屋などの意味合いをもつ言葉です。

バール

バール

バール(bar)はイタリア語で喫茶店や酒場を意味します。イタリアだけでなくスペインなどの南ヨーロッパでも同じ意味合いで使われます。

イタリアではカジュアルなカフェの意味合いをもちます。基本的には立ち飲みスタイルの喫茶店で、バリスタが淹れるエスプレッソやカプチーノを飲んだり、朝食を食べたり、仕事帰りにお酒を飲んだりします。喫茶店としての機能だけでなく、バスや電車のチケットや宝くじ、タバコなどを販売しているお店もあります。

バールには様々な形態があり、コーヒー中心のバールを「カフェ・バール」、食事中心のバールを「リストランテ・バール」、アイスクリーム中心のバールを「ジェラテリア・バール」といいます。イタリアで「カフェ」というと、一般的にはお店ではなくエスプレッソのことを指します。

エノテカ(エノテーカ)


エノテカ(エノテーカ)

エノテカ(Enoteca)はイタリア語で直訳すると「ワインを収蔵する場所」という意味がありますが、派生してワインを取り扱う店を意味します。展示されているワインを客がその場で試飲し、気に入った商品を購入できるような場所です。料理の提供は基本的にはありませんが、チーズや生ハムなどのおつまみが提供されることはあります。

お店によってはトラットリアなどと変わらないような料理を提供する場所もありますが、基本的にはワインをメインに扱うお店がほとんどです。

ちなみに日本にもワインを専門に扱う「ENOTECA」というお店があります。全国60店舗以上を展開し、オンラインでも世界のワインを購入することができます。

ピッツェリア

ピッツェリア

ピッツェリア(pizzeria)は主にピザを専門に提供する店舗のことを指します。ピザ以外にサラダやパスタ、ケバブなどを提供しているお店もあります。

多くのピッツェリアはテイクアウトがメインです。事前に電話やインターネットで注文するか、店頭で注文することもできます。店内でピザ職人が焼き、自身で持ち帰るか、配達業者によって指定の住所まで届けてくれます。ちなみに男性のピザ職人はピッツァヨーロ(Pizzaiolo)、女性はピッツァヨーラ(Pizzaiola)といいます。

現在も営業している世界最古のピッツェリアは、イタリア・ナポリにある1738年創業のアンティカ・ピッツェリア・ポルトアルバといわれています。

スパゲッテリア

スパゲッテリア

スパゲッテリア(Spaghetteria)とは、スパゲッティ専門店のことを指します。

スパゲッティを意味する「Spaghetti」と、名詞に付いて場所を意味する接尾辞「eria」が組み合わさった言葉です。

スパゲテリアは、あまりメジャーな店舗形態ではありません。例えば、日本のチェーン店「洋麺屋 五右衛門」がスパゲッテリアに該当します。

パスティッチェリア

パスティッチェリア

パスティッチェリア(Pasticceria)とは、お菓子やケーキを専門に販売しているお店のことを指します。また、ケーキやお菓子そのものを指す言葉でもあります。

イタリア・ミラノに本店を構える老舗カフェ「パスティッチェリア・マルゲージ(Pasticceria Marchesi)」は、200年以上の歴史があり、ミラノで最も古いパスティッチェリアのひとつといわれています。クッキーやケーキ、パイなどを楽しむことができます。

日本にも「パスティッチェリア」という名称を使ったケーキ屋が何箇所かあります。