長ネギがねばねばしていて気になったことがある方は多いのではないでしょうか。腐敗しているのではないかと心配になってしまいますよね。本記事では長ネギがねばねばしている原因などを詳しく解説します。
長ネギがネバネバするのは「フルクタン」とよばれる複合多糖類の食物繊維の一種によるものです。
フルクタンは特に長ネギの青い部分に多く含まれており、カットすると中にゼリー状の物質になってついているのが目に見えます。
長ネギの白い部分は表面が乾燥しているとねばねばとはしませんが、白い部分にもフルクタンが含まれているため洗うなど水に濡らすとぬるぬるしたり、ねばねばとした感触になることがあります。
食材の多くは腐敗するとねばねばしたり、ぬるぬるすることがあるため、長ネギがねばねばしていると「腐敗しているのでは」「食べられないのでは」と心配になる方も多いようですが、腐敗しているわけではないので食べることができます。
長ネギには上述したように、元からねばねばする成分が含まれているので、ねばねばしているからといって必ずしも腐敗しているとは言えません。しかし、異臭がしたり溶け出しているなど腐敗のサインが見られる場合は腐敗によってねばりが出てきている可能性が高いです。
当たり前ですが腐敗している場合は食べることはできませんので、破棄しましょう。
腐敗した長ネギの特徴は後述しますので、そちらを参考にしてください。
長ネギがねばねばする原因物質「フルクタン」について、紹介します。
フルクタンは食物繊維の一種です。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、フルクタンは水溶性食物繊維に該当します。
水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性(ねんちゅうせい)を高めます。粘稠性とは粘り気のことです。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるといわれています。
さらにフルクタンには「マクロファージ」や「IgA」「ナチュラルキラー細胞」といった人間がもつ免疫細胞を活性化させる働きがあります。そのため、ウイルスや細菌が人体に入りにくくなり、入ってきてしまったとしても免疫細胞がやっつけてくれるので、風邪などのウイルスや細菌による病気の予防に繋がるといわれています。
野菜に含まれている栄養素の中には、加熱をすることで一部が破壊されてしまうことがありますが、フルクタンは熱に強い成分なので、加熱をしても失われないという特徴があります。そのため焼いたり炒めたりしても、フルクタンの効能は失われることがないという嬉しいメリットがあります。
ただし、加熱には強いですが水溶性の成分なので水につけたり茹でたりすると流出してしまいます。長ネギは臭いや辛みが強いため、水にさらすなどの下処理をすることがありますが、長時間水にひたしてしまうのはもったいないです。長ネギの臭みや辛みの元になる硫化アリルと呼ばれる成分は揮発性が高く熱に弱い性質があるので、下処理はカットしてから空気にさらしたりレンジで加熱すると良いです。空気にさらしたりレンジで加熱するのであれば、フルクタンが失われてしまうことはありません。
フルクタンは複合多糖類なので、加熱するとその一部が甘味成分「フルクトース」に変化し甘みになる特徴があります。生の状態では辛くて食べにくい人も多いと思いますが、加熱をすれば甘くなって食べやすくなります。
ちなみに、長ネギは冬に特にフルクタンの含有量が増えて甘みが強くなります。これは、長ネギが凍ってしまわないように糖分を蓄えるためです。冬の寒い季節に甘みが増すのは大根など冬に旬を迎える野菜に多く起こる現象です。
また、フルクタンが多く含まれている長ネギの青い部分は生の状態だと筋が多く口当たりが悪いため食べにくいですが、しっかり加熱するとフルクタンがとろとろになり、口当たりがよくなるため食べやすくなります。
長ネギがねばねばしていているのが気になってしまう方も多いと思いますが、上述したように長ネギがネバネバするのはフルクタンによるもので、腐敗が原因ではありません。
フルクタンには様々な効能があり、むしろねばねばしているほうが栄養価が高いといえるので防ぐ必要はないといえます。
長ネギを購入したときにゼリー状の物質がついていたり、濡らしたときにぬるぬるした感触があった場合は、栄養がたっぷりつまった新鮮な長ネギである証拠です。
ねばねばする原因であるフルクタンは水溶性の成分であるため、水洗いをすれば落とすことができます。フルクタンは「洗剤の味がする」と感じる人もいるので、どうしても気になる場合は水洗いをして落としてから調理をすると良いです。
しかし、フルクタンを落としてしまうとやはり栄養価は下がってしまいます。「洗剤の味がする」ともいわれますが、「フルクタン=洗剤の味」は科学的根拠のないもので、フルクタンを落とさなくても美味しく食べることができます。
腐敗によるねばねばやぬめりは、長ネギを正しく保存することで防ぐことができます。長ネギに限らず、食材は正しく保存することで鮮度を保ち、より長く美味しく食べることができますし、栄養価を下げることもありません。
ついつい何も考えずに冷蔵庫に放り込んだり、そのまま常温保存してしまうことも多いと思いますが、長ネギを購入したら正しく保存方法で保存しましょう。
長ネギの正しい保存方法については後述しますのでそちらを参考にしてください。
長ねぎの風味や辛味が好きな方は、細かく刻んで薬味に使うのがおすすめです。特にフルクタンが多く含まれている青い部分は臭いがきつく辛みが強いため捨てられてしまうことが多いですが、青い部分を薬味にすることでシャキッとした食感を楽しむことができます。
特に長ネギの青い部分には、β−カロテンやビタミンC、カルシウムなども豊富に含まれていて栄養価が高いのでそのまま薬味として使うと栄養素をたっぷり摂取することができます。
長ネギは細かく刻むとねばりが強くでます。長ネギのネバネバは調味料によく絡むので、ネギみそやねぎ塩ダレにして使うのも良いです。
味噌ダレやねぎ塩ダレにすることで、ネギのうまみも引き出されて大変美味しくなります。味噌ダレやねぎ塩ダレは冷奴に乗せて食べたり、肉料理などの味付けに使うなど幅広く使うことができるので、余らせてしまいがちな長ネギの用途も広がります。
フルクタンはしっかり加熱することで甘くなり、さらに柔らかくなります。また、とろとろとして口当たりもよくなるため、鍋やスープなどじっくり加熱する料理にするのもおすすめです。
長ネギはすき焼きや水炊きなど鍋料理にもぴったりの野菜です。
また、長ネギは茹でるとビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も流出してしまいますが、スープなどの汁物であれば汁ごといただけるので、栄養素を無駄にすることもありません。
新鮮な長ネギのねばねばやぬめりはフルクタンによるものですが、下記のような特徴がある長ネギは腐敗しています。食べることはできませんので、破棄しましょう。
腐敗した長ねぎの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
溶け出している
全体的に変色している
茶色い汁が出ている
長ねぎの表面にフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している箇所がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、長ねぎは柔らかい野菜ですので中まで侵食してしまいやすいです。カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあります。カビの胞子は目に見えないほど小さいので、中まで侵食していないように見えても破棄するのが無難です。
長ねぎは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に茶色くなっていたり黒くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。溶け出している箇所があったり、茶色い汁が出ているなどの異変が見られることもあるので、このような場合は破棄しましょう。
腐った長ねぎの臭いや味の特徴は下記の通りです。
鼻をつくような酸っぱい臭い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。
長ねぎに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので鼻をつくような酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
長ねぎは腐敗すると臭いがきつくなることで知られています。明らかに普段は感じない異臭や飲み込めないほど変な味がする場合は破棄しましょう。
腐ったねぎの触感の特徴は下記の通りです。
ぐにょぐにょしている
糸を引いている
長ねぎが柔らかくなってぐにょぐにょしてしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。表面に異変がなくても、中から腐っていくこともあるので明らかに普段とは違う柔らかさを感じる場合は破棄しましょう。
また、切り口から糸を引いたりネバネバしてしまっている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮な長ねぎにもある程度のぬめりや粘りはありますが、腐敗が原因でねばりが出ることもあるので臭いや溶け出している箇所がないかなどしっかり確認することが大切です。
最後に長ネギの正しい保存方法を紹介します。正しく保存しておくことで腐敗による粘りやぬめりを防ぐことができます。
長ねぎは、保存環境や野菜の状態にも寄りますが、常温で1週間ほど保存が可能です。長ねぎの最適温度は0〜2℃なので、夏場は常温保存するのは避けましょう。
ちなみに、泥が付いていると乾燥を防ぐことができるため比較的長持ちします。
泥付きのまま新聞紙で包み、紙袋や空き箱などに入れて立てて冷暗所で保存します。長ねぎだけに限らず野菜全般にいえることですが、野菜が育った環境で保存することが鮮度を保つポイントです。横にして保存すると、余計なストレスがかかって鮮度が落ちてしまうことがあります。
室温が高くなりやすい時期や、使いかけの長ねぎなどは冷蔵庫で保存します。
購入時のポリ袋のまま保存すると蒸れてしまうので、袋から出して保存するようにしましょう。
長ねぎの根元を切り落とし、緑色の部分と白い部分に切り分け、白い部分は2等分にカットします。全体を3等分するようなイメージです。乾燥を防ぐために緑色と白い部分をそれぞれ別に湿らせたキッチンペーパーで包み、その上からラップをします。冷蔵保存時もなるべく立てて保存することで、鮮度を保つことができます。
長ねぎの匂いが気になる場合は、冷蔵用保存袋に入れてから保存するのも◎。
この方法で冷蔵保存した長ねぎは2〜3週間ほど日持ちします。
料理に合わせてカットしてから冷蔵保存すれば、調理時間が短縮されます。
長ねぎの根元を切り落とし、緑と白の部分に分け、それぞれを料理に合わせてカット(斜め切り、小口切り、みじん切りなど)し、冷蔵用保存袋か保存容器に入れて保存します。保存容器に入れる場合は、容器の底にキッチンペーパーを敷いて傷むのを防ぎます。
カットした長ねぎは傷みが早いので、4〜5日を目安に食べ切るようにしましょう。
長ねぎを水につけてから保存する方法もあります。水を入れることで長ねぎの鮮度が保ちやすくなります。
長ねぎの根元を切り落とし、保存瓶に立てて入れられる長さにカットし保存瓶に入れます。保存瓶の底から2cmほどの高さまで水を注いで蓋をし冷蔵保存します。
この方法で冷蔵保存すれば約10日ほど日持ちします。3日に1度の頻度で水を取り替えるようにしましょう。水につけると長持ちしますが、切り口の断面からビタミンCや硫化アリルなどの栄養成分が溶出してしまうというデメリットも。栄養を効率よく摂取したい方は、別の方法で保存することをおすすめします。
冷蔵よりも長く保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。長ねぎの冷凍保存の期間は、約1ヶ月ほどが目安です。
冷凍する場合も、冷蔵保存と同様に緑と白の部分を切り分けて保存するのがポイント。緑色の部分は冷凍することで細胞が壊れるため、食感がよくなり食べやすくなります。
味噌汁の具材などに◎。凍ったまま調理に使用することができます。緑色の部分は汁物などの臭み取りにも使えます。
長ねぎの根元を切り落とし、緑と白い部分に切り分け、白い部分はさらに2等分にします。ラップで包み冷凍用保存袋に入れ冷凍室で保存します。
冷蔵庫の急速冷凍機能を使っての冷凍や金属トレイの上にのせて冷凍で旨みを凝縮して短時間で冷凍することが可能です。
料理に合わせてカットしておけば、すぐに調理に使えて便利です。
小口切り(厚さ1cmほどが◎)や斜め切りなど、料理に合わせてカットします。小分けにしてラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
細かくカットしすぎてしまうと、有効成分のアリシンが飛んでしまったり、筋が残って口当たりが悪くなってしまうので、厚めに切るのがポイントです。
長ねぎを調理しておけば、解凍後すぐに食べることができます。
例えばねぎみそは、おにぎりや油揚げなどに塗って食べることができるのでおすすめです。長ネギ1/2本をみじん切りし、しょうが(すりおろし)小さじ1、削り節1袋(3g)、みそ大さじ4と合わせてよく混ぜ、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れて冷凍します。
菜箸で折り目をつけて冷凍すれば、解凍時に折り目でポキっと折り、使いたい量だけを取り出すことができます。
その他にも天日干しやオーブンなどで水分を飛ばして乾燥保存したり、オリーブオイルや酢につけて漬け保存することもできます。長ねぎの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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