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長ネギの青い部分は食べられる?捨てる?活用法とレシピを紹介

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長ネギの青い部分は食べられる?捨てる?活用法とレシピを紹介

長ネギの青い部分は臭み消しとして使われることが多いですが、白い部分と同じように薬味としてや炒めるなど調理をして食べることができることをご存知でしょうか。本記事では長ネギの青い部分について詳しく解説します。

長ネギの青い部分は食べられる

長ネギを調理するときは青い部分と白い部分を切り離し、白い部分だけを使っているという方は多いのではないでしょうか。長ネギの青い部分は食べることができます。

青い部分と白い部分はどちらも葉

長ネギは青い部分が「葉」、白い部分は土に埋まっているため「根」と認識している方が多いかと思います。実は、長ネギの青い部分と白い部分はどちらも「葉」です。

長ネギの青い部分は太陽に当たって育つため葉緑体が生成されて緑色になりますが、白い部分は土寄せをして日光に当たらないようにするため葉緑体が生成されず白いままになります。

普段料理に使われる事が多い白い部分と同じく青い部分も葉なので、食べても問題がないのです。

ネバネバしているのはフルクタン

長ネギの青い部分には白いネバネバとした粘質物がついています。長ネギを洗ったりしたときにぬるぬるするのもフルクタンが水に溶けるためです。

食材の多くは腐敗が進むとネバネバしたりぬるぬるしてくることがあるので、長ネギの青い部分のネバネバとした粘質物や洗ったときにぬるぬるした触感があると「腐敗しているのではないか」「食べられないのでは」と思う方も多いと思いますが、フルクタンは人体に害がある成分ではないので食べても問題ありません

フルクタンは、複合多糖類の食物繊維の1つです。フルクタンには免疫細胞を活性化する働きがあるため、免疫力を高める効果が期待できます。さらに血糖値の上昇を抑えると言われています。

生の薬味としても加熱調理しても

長ネギがもつ刺激臭には、肉や魚の臭いをマスキングして臭いを気にならなくする効果があるため肉や魚を煮込むときに、臭み消しとして使われることが多いです。角煮を作ったりラーメンのスープを作るときに一緒に長ネギの青い部分が一緒に煮込まれているのも、臭み消しとしてです。

長ネギの活用法としては臭み消しが一般的ですが、刻んで薬味として生で食べたり、炒めものにするなど加熱調理して食べることもできます。

長ネギの青い部分を料理に使うメリット

長ネギの青い部分

長ネギの青い部分を料理に使うメリットとしては、下記の3つがあげられます。

栄養価が高い

長ネギの青い部分にはフルクタンと呼ばれる食物繊維の一種が多く含まれていることを紹介しましたが、その他にも様々な栄養素が含まれています。

長ネギの青い部分に多く含まれている栄養素は下記の通りです。

  • フルクタン

  • 硫化アリル

  • β−カロテン

硫化アリルは長ネギのツンとした香りや辛みとなる成分です。硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があり、食べると血がサラサラになるといわれています。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防するといわれています。また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があるといわれています。

β-カロテンは、皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあり、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ事で免疫力をアップし病気にかかりにくくなります。また抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。亜鉛が補酵素に入ると、β-カロテンがレチナールへ、さらにレチナールにナイアシンが結合することで体内に作用します。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。

調味料が絡みやすい

上述したように長ネギの青い部分にはフルクタンが含まれていて、ねばねばとしているため調味料とよく絡むというメリットがあります。細かく刻むことでよりねばねばが強くなるため、ねぎみそを作りたいときなど他の調味料を絡めたいときにぴったりです。

炒めものにするときなども、しっかりと調味料が絡むためネギの旨味を生かした美味しい料理に仕上げることができます。

彩りが鮮やか

長ネギの青い部分は、上述したように日光に当たることで葉緑体が生成されます。葉緑体の中に「葉緑素(クロロフィル)」と呼ばれる緑色の色素があり、その色素は太陽光に含まれる赤色光と青色光を吸収するため残った緑色光は吸収されずに反射され、人の目には鮮やかな緑色が映ります。

長ネギの青い部分の鮮やかな色は、加熱をしても失われにくいため料理に加えることで彩りを添えてくれるメリットもあります。

長ネギの青い部分が捨てられる理由

長ネギの青い部分は食べられるのにも関わらず、白い部分のように調理に使われることは少なく捨てられてしまうことが多いです。長ネギの青い部分が捨てる人が多い理由としては下記の3つがあげられます。

香りや辛味が強い

長ネギの青い部分は白い部分と比較して臭みや辛みが強いため、食べにくい・美味しくないと感じる人が多いです。これは長ネギの青い部分に長ネギの臭いや辛みの原因となる硫化アリルが多く含まれるためです。

硫化アリルのツンとした刺激臭は肉や魚の臭み消しとして有効であるものの、口臭や体臭の原因にもなります。また、青い部分には青臭さもあります。さらに辛みが強いため辛みが苦手な方や小さなお子様にとっては白い部分と比較して、長ネギの青い部分は非常に食べにくい味であるといえます。

繊維質で固い

長ネギの青い部分はキャベツなどの柔らかい葉とは異なり、繊維質がたっぷりと含まれているため固いのが特徴です。これは根菜の皮が固いのと同じ理由です。根菜の皮も繊維がたっぷりと含まれているため、固さがあり食べにくく火が通りにくくなってしまうため皮を厚めにむいて使うことが多いです。

繊維質で固い長ネギの青い部分は口当たりが悪く、上述したように臭みや辛みが強く味も美味しくないと感じる人が多いため捨てられてしまうことが多いのです。

土汚れや農薬の心配

表面上は綺麗で汚れていないように見えても、青い部分の付け根の部分には土や泥が入り込んでしまっていることがあります。また、常に土から出ている部分であるという点で外気に触れて目に見えない汚れもついているという衛生面上の心配から青い部分は捨てるという方もいます。

また、残留農薬の懸念点から捨てるという人もいます。日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、やはり余計なものは口に入れたくないですよね。

長ネギの青い部分の下ごしらえ・栄養を守るポイント

しっかり洗う

長ネギの青い部分の付け根には土汚れや泥汚れがついていることが多いです。土が泥がついている場合、土や堆肥(たいひ)に含まれる細菌がついている恐れがあります。食中毒といえば生肉や生魚などを食べることによって起こることが多いですが、実は土や堆肥にもボツリヌス菌などの食中毒の原因となる細菌が分布している可能性があります。加熱をすることで死滅する菌もありますが、加熱をしても死滅しにくい菌もいるため、調理をする際にはしっかりと土汚れを落としておいたほうが良いです。

長ネギの青い部分を洗うときは、青い部分の付け根を優しく開いて流水で汚れを洗い流していきます。

残留農薬が気になる方は、ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。

ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬の多くは酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。

ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水に野菜を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。

切り方

長ねぎの青い部分は縦切りやみじん切り、角切りがおすすめ

長ネギの青い部分のおすすめの切り方はみじん切りや角切り、縦切りです。

みじん切りにするときは、まず長ネギの青い部分の繊維に沿って縦に切れ目を入れます。切れ目を入れたら広がらないように手で押さえながら端から切っていきます。縦の切れ目を多く入れるとより細かいみじん切りにすることができます。

角切りにするときは、繊維に沿って縦に切った後に端から四角く切っていきます。

みじん切りや角切りは薬味として使いたいときにおすすめです。

縦切りは、青い部分を繊維にそってざく切りにしていきます。縦切りは炒め物にするときなどにおすすめの切り方です。

臭み・辛みを軽減させる

縦切りにした長ねぎの青い部分を空気にさらして臭みや辛味を取る

上述したように長ネギの青い部分は、ツンとした臭いや辛みが最も強い部位です。そのため、少しでも食べやすくするためには、臭み・辛みを軽減する下処理を行ったほうが良いです。

長ネギの臭みや辛みの元になっている硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、カットしてからしばらく空気にさらしておくだけでも臭みや辛みは軽減されます。

また、硫化アリルは水溶性であるため水にひたしておいても臭みや辛みを軽減することができます。しかし、水溶性の硫化アリルが流出するということは、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうということです。そのため、長時間水にさらしてしまわないように注意しましょう。

そもそも臭みや辛みとなる硫化アリルも体に良い成分なので、そのままでも食べられるという方は臭みや辛みを抜く下処理はしなくて大丈夫です。臭み・辛み取りをするということは、栄養価を下げてしまうということですので、そのまま食べるのが理想的です。

ビタミンB1を含む食材と一緒に

ねぎの仲間などユリ科の植物に含まれる硫黄化合物である硫化アリルは、様々な種類がありますが、代表的なのがアリシンです。

アリシンはビタミンB1と結合して、糖質からエネルギーを作るビタミンB1の働きを持続させます。そのため、疲労回復などの効果が期待されます。

ビタミンB1が特に豊富な食品は豚肉です。レシピ「豚こまのねぎ塩炒め」は栄養面で大変優れているといえます。また、納豆にもビタミンB1が含まれており、納豆に小口切りしたネギを入れるのも理にかなっています。

長ネギの青い部分におすすめの調理法

長ネギの青い部分の栄養素を無駄にせずに摂取するためには、やはり薬味にするなど生食するのがおすすめですが、やはり生食では食べにくいというのも事実です。

長ネギの青い部分に含まれているフルクタンは、加熱することで一部がフルクトース(果糖)に変わることがわかっています。そのため加熱する前と加熱後の糖質量は変わらないものの、加熱をしたほうが圧倒的に甘くなるため、加熱調理をしたほうが長ねぎが苦手な方や小さなお子様でも食べやすくなります。

おすすめの調理法を紹介しますのでぜひ参考にしてください。

炒めもの

長ねぎの青い部分は青臭さがありますが、青臭さの原因である3-ヘキセノールと呼ばれる成分は揮発性が高い成分であるため、加熱をすることで食べやすくなります。

また、長ネギの青い部分に多く含まれているβ-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップ。これは細胞内で溶解して、吸収されやすくなるからです。そのため、長ねぎの青い部分を食べるときは加熱料理をすると良いでしょう。

さらにβ−カロテンは脂溶性なので野菜炒めなど油を使うことで吸収率が6倍にもなることがわかっています。長ネギを調理するときは、油を使って他の食材と一緒に炒めものにするのがおすすめです。

たまご焼き・チヂミ

長ネギの青い部分は、香りが強く辛みも強いため料理にパンチを与えてくれます。そのため卵焼きやチヂミの材料として加えるのもおすすめです。長ネギの青い部分の香りや辛みはたまごやチヂミの生地のほのかな甘味とよく合います。

また、たまご焼きもチヂミも油を使って作る料理なので、β−カロテンも効率的に摂取することができます。さらに綺麗な緑色は料理の彩りにもなり見た目もよくなるメリットもあります。

鍋物

長ネギはすき焼きや水炊きなど鍋物の材料としても欠かせませんが、青い部分も鍋にいれて食べることができます。特にすき焼きに入れると、フルクタンがフルクトースに変わるため甘みをプラスしてくれますし、長ネギの旨味も加わるためおすすめです。

鍋物のようにしっかりと煮込む料理であれば、長ネギの青い部分もしっかりと柔らかくなり食べやすくなります。

スープ

生では繊維質で固く食べにくい青ネギの青い部分は、しっかり加熱することで柔らかくなります。また、フルクタンがとろとろとして口当たりもよくなるメリットもあります。

また、茹でるとビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も流出してしまいますが、スープなどの汁物であれば汁ごといただけるので、栄養素を無駄にすることもありません。

味噌ダレ

フルクタンが多く含まれている長ネギの青い部分はみじん切りにすると調味料とよく絡みます。そのため細かく刻んで味噌ダレにするのもおすすめです。

長ネギの青い部分は味噌ダレにすることで、ネギのうまみも引き出されて大変美味しくなります。味噌ダレは冷奴に乗せて食べたり、肉料理などの味付けに使うこともできます。

ネギ油

長ネギの青い部分は白い部分と一緒に刻んで低温の油で熱して「ネギ油」にすることができます。

ネギ油とは、簡単に言えば油にネギの香りをつけたもので調味料として使うと、ごま油のように料理にネギの風味を加えることができます。例えばチャーハンや炒めものに使ったり、ラーメンにかけて食べるなど幅広い用途があります。

長ネギの青い部分の保存方法

最後に青ネギの青い部分の保存方法を紹介します。正しく保存しておけば、より長く美味しく食べることができます。長ねぎの正しい保存方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

常温保存

長ねぎをキッチンペーパーで包んで保存する


長めにカットしてねぎの根元を切り落とし、緑色の部分と白い部分に切り分け、白い部分は2等分にカットします。全体を3等分するようなイメージです。乾燥を防ぐために緑色と白い部分をそれぞれ別に湿らせたキッチンペーパーで包み、その上からラップをします。冷蔵保存時もなるべく立てて保存することで、鮮度を保つことができます。

長ねぎの匂いが気になる場合は、冷蔵用保存袋に入れてから保存するのも◎。

この方法で冷蔵保存した長ねぎは2〜3週間ほど日持ちします。

冷凍保存

長ねぎを長めにカットして保存

長ねぎの根元を切り落とし、緑と白い部分に切り分け、白い部分はさらに2等分にします。ラップで包み冷凍用保存袋に入れ冷凍室で保存します。

冷蔵庫の急速冷凍機能を使っての冷凍や金属トレイの上にのせて冷凍で旨みを凝縮して短時間で冷凍することが可能です。