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美味しい芽キャベツの選び方。見た目や触感、旬の時季を解説

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美味しい芽キャベツの選び方。見た目や触感、旬の時季を解説

芽キャベツは高頻度で食卓に並ぶ食材ではないため、購入する際にどんな芽キャベツが新鮮で良い状態なのか判断が難しいですよね。本記事では新鮮で美味しい芽キャベツの選び方を解説します。

新鮮で美味しい芽キャベツの選び方【見た目・触感】

緑色が鮮やかなもの

芽キャベツは、外葉の緑色が鮮やかなものが新鮮である印です。

芽キャベツの内側は黄緑色をしていますが、外葉は色が濃く緑色をしています。これは日光にあたっている部分であるためです。植物は日光に当たることで葉緑体が生成されます。葉緑体の中に「葉緑素(クロロフィル)」と呼ばれる緑色の色素があり、その色素は太陽光に含まれる赤色光と青色光を吸収するため残った緑色光は吸収されずに反射されます。そのため、人の目には鮮やかな緑色が映るのです。

しかし鮮度が落ちてくると葉緑体が分解されはじめ黄色っぽく変色していきます。黄色っぽくなりはじめているものは収穫してから時間が経っている可能性が高いので、選ばないようにしましょう。

大きさや色、形が揃っているもの

芽キャベツは茎から剥がされて、まとめてパック詰めや袋詰にされて販売されていることが多いです。綺麗に丸くなっているものや細長いものなど様々ありますが、できるだけ大きさや色、形が揃っているものを選ぶと良いです。大きさや色、形が揃っているということはきちんと栄養が行き届いている印です。

綺麗に丸くなっているものもあれば縦長のものもありますが、メイン料理の付け合わせなどに使う場合は綺麗に丸くなっているもののほうが見栄えが良いですし、盛り付けやすいです。形は用途に合わせて選ぶと良いでしょう。

巻きが強く固いもの

キャベツと同じように芽キャベツも巻きが強く固いものが良質とされています。軽く触ってみてしっかりとした固さがあるものを選ぶようにしましょう。

柔らかいものは葉がしっかりと巻かれておられ隙間が空いています。また、葉から水分が抜け始めていることもあります。そうなると鮮度は落ちている状態ですので選ばない方が良いです。

重量感がある

芽キャベツはパック詰めや袋詰めにされているので、一つ一つ手にとって重さを確認するのは難しいですが、持ったときにしっかりとした重量感があるものを選ぶと良いです。小さいですが芽キャベツの1つの重さはだいたい15gほどあります。

軽いと葉がしっかりと巻かれていないことも多いので、手にもって重量感があるか確認することも大切です。

芯が綺麗でみずみずしい

芽キャベツの芯を確認することも大切です。芽キャベツの芯は綺麗な白色でみずみずしさがあるものを選びましょう。

キャベツと同じように収穫してから時間が経って鮮度が落ちると芯が茶色っぽくなったり黒っぽくなったりします。これは、芽キャベツに含まれているポリフェノールが酸化したためです。

ポリフェノールが酸化し変色していても腐敗しているわけではないので食べることができますが、鮮度が落ちているということです。味も食感も落ちていることが多いので選ばないほうが良いです。

新鮮で美味しい芽キャベツの選び方【旬・産地】

芽キャベツの旬は冬

芽キャベツは高温と湿気に弱い特徴があり、収穫できる時期は11月中旬から3月までに限られています。そのため一年中市場に出回るキャベツとは異なり、芽キャベツが市場に出回るのは冬が中心です。寒い季節の芽キャベツは糖分を沢山蓄えているため甘みがあって美味しく、一般的に芽キャベツの旬は冬といわれています。

芽キャベツに限らず旬を迎えた野菜は旬でない時期のものに比べ栄養素の含有量が多くなる特徴があります。野菜によっては旬の時期ではないものと比較して約2倍の差がでることもあります。

そもそも旬って?

一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。

芽キャベツの主な生産地と収穫量

令和2年度の日本の芽キャベツの生産量(収穫量)は376トンです。主な生産地は静岡県や山形県、神奈川県で生産地別の収穫量は下記の通りです。

  • 静岡県(351トン)

  • 山形県(5トン)

  • 神奈川県(4トン)

全国に占める割合は静岡県産の芽キャベツが94%、山形県産が1%、神奈川県産が1%なので、国産の芽キャベツはほぼ静岡県産であるといっても過言ではありません。

芽キャベツは上述したように高温と湿気に弱いため「遠州のからっ風」が吹く静岡県は芽キャベツにとっては生育に適した環境なのです。静岡県はお茶の産地としても有名ですが、茶葉の収穫後に芽キャベツを植える農家も多いようです。

出典:令和2年産地域特産野菜生産状況(農林水産省)

芽キャベツの種類

芽キャベツには大別して高くとも0.6m程までしか伸びない小さな品種と、1.2mほどまで伸びる大きな品種の2種類あります。現在日本で栽培されているのは小さな品種で、フリルレタスやサニーレタスなど様々な品種があるレタスなどのようにあまり分化していません。

早生子持

早生子持(わせこもち)は、定植後90日ほどで収穫することができる早生種です。芽キャベツは上述したように熱に弱いですが、耐暑性があるため育てやすく市場にもよく出回っている他、家庭菜園でも育てやすい品種です。1株から90球程収穫することができます。

しっかりとした球形になり、外葉の色はもちろんのこと内葉の色まで鮮やかです。歯ざわりがよく甘みがあるためサラダにしても美味しく食べることができます。

ファミリーセブン

ファミリーセブンも早生子持と同じく早採りすることができる早生種です。茎はやや長く伸びますが、幹が太いので倒れにくいという特徴があり、家庭菜園に最適の品種です。一株から多くて100個程収穫することができます。

テリのある緑色の綺麗な球形になり、形や大きさが揃います。見た目がとても良いので、シチューやスープなどの煮込み料理、グリルなど丸ごと使うのに最適です。

プチヴェール

プチヴェールは芽キャベツとケールを掛け合わせて作られた品種です。苗は芽キャベツと似ていますが、芽キャベツとはことなり結球しないので、一見芽キャベツの仲間には見えません。

プチヴェールは茎に小さな葉がバラの花のような形で付き、この葉が収穫されます。芽キャベツはアクが強く苦味がありますが、プチヴェールは苦味がありません。

生食にも適していて、サラダにして食べれば栄養素を流出させることなくしっかりと摂取することができます。

腐った芽キャベツの特徴

新鮮な芽キャベツは美味しく食べることができますが、腐敗した芽キャベツは残念ながら食べることができません。下記のような特徴がある芽キャベツは破棄しましょう。

見た目

腐敗した芽キャベツの見た目の特徴は下記の通りです。

  • カビが生えている

  • 全体的に変色している

  • 葉が溶け出している

  • 茶色い汁が出ている

芽キャベツの葉や芯にフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している箇所がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。

芽キャベツの葉は変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に茶色くなっていたり黒くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。溶け出している箇所があったり、茶色い汁が出ているなどの異変が見られることもあるので、このような場合は破棄しましょう。

臭い・味

腐った芽キャベツの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい臭い・味

  • 生ゴミのような臭い

  • カビ臭い

酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。

芽キャベツに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐った芽キャベツの触感の特徴は下記の通りです。

  • 柔らかい

  • ぬめりがある

芽キャベツから水分が抜けて芯まで柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮な芽キャベツの表面はぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ている芽キャベツは破棄しましょう。

芽キャベツの栄養素・成分

芽キャベツに含まれている栄養素・成分はキャベツとほぼ同じですが、含有量に大きな違いがあります。芽キャベツに含まれている栄養素はキャベツと比較するとβ-カロテンは約14倍、ビタミンCは約4倍も多く含まれていることがわかっています。芽キャベツはただ小さいだけではなく、栄養素がぎゅっと詰まった野菜なのです。

β-カロテン

β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高くなっています。

β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。

ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあるため健康に保ちます。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。

ビタミンC

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

ビタミンU(キャベジン)

あまり聞き慣れないかと思いますが、ビタミンUというものがあります。しかしこれは「ビタミン様物質」であり、ビタミンのような成分です。別名はキャベジンで、こちらは聞いたことある方が多いのではないでしょうか。

キャベツから発見されたビタミン様物質で、これがブロッコリーにも含まれています。まだ不明な部分があると言われている栄養素ですが、胃酸の分泌抑制や胃粘膜の新陳代謝の促進などの効果があると言われています。

胃潰瘍や胃炎などの回復の効果が認められており、医薬品としても利用されています。

(アリル)イソチオシアネート

アリルイソチオシアネートはイソチオシアネートの一種です。アリルイソチオシアネートはアブラナ科の野菜に含まれています。アブラナ科は、キャベツやブロッコリー、わさびや大根などの野菜が含まれます。アリルイソチオシアネートは辛味成分のひとつで、それが多く含まれるアブラナ科の野菜はツンとする野菜などが多いです。大根をすりおろすことで起きる化学反応でも生じるため、大根おろしは辛味が強くなります。

またアリルイソチオシアネートには、抗酸化作用があります。抗アレルギー効果もあると言われているので、花粉症予防の効果も期待できます。

イソチオシアネートは辛味だけでなく苦味の原因にもなります。これは虫を寄せ付けないためであり、有害なわけではありません。

芽キャベツの正しい保存方法

新鮮な芽キャベツを購入しても正しく保存しないと、すぐに傷んで味も食感も落ちてしまいます。最後に鮮度落とさず長く美味しく食べられる保存方法を紹介しますので参考にしてください。

冷蔵保存

芽キャベツは高温に弱い野菜であるため、常温保存はNG。すぐに食べる場合でも冷蔵庫で保存することをおすすめします。

生のまま丸ごと(2週間)

丸ごと生のままの芽キャベツ

生のまま丸ごと冷蔵する場合は、事前の水洗いは不要で、食べる直前でOK。芽キャベツの生長を止めるために芯の部分に十字に切り込みを入れ、乾燥を防ぐために濡らしたキッチンペーパーで数個ずつ包みます。ポリ袋に入れて口を軽く閉じ野菜室で保存します。

生のまま丸ごと冷蔵保存する場合の保存期間の目安は約2週間です。キッチンペーパーは毎日取り替えましょう。

生のままカットして(3〜4日)

カットした芽キャベツをラップで包み保存袋に入れる

カットした芽キャベツの冷蔵保存する際は、カット断面から乾燥したり傷んだりするので、カット断面にラップをぴったりと密着させ全体をラップで包みます。冷蔵用保存袋に入れて密封し保存します。

カットしてから保存する場合は傷みやすいので、3〜4日を目安に食べ切るようにしましょう。

茹でて(2〜3日)

芽キャベツを茹でてから保存容器に入れる

保存する前に下茹でをしておけば、調理時にすぐに使えて便利です。

芽キャベツの外葉を1〜2枚取り除き、しっかりと水洗いをします。芯の底を少し切り落として芯に十字に切り込みを入れ、塩(適量)を加えた熱湯で3〜5分ほど茹でます。茹で終わったらザルにあげ粗熱を取り、キッチンペーパーでしっかりと水けを拭き取ります。粗熱が完全に取れたら保存容器に入れて蓋をして冷蔵保存します。

茹でた芽キャベツは傷みやすいので、生のまま丸ごと、生のままカットして保存する芽キャベツよりも保存期間が短くなります。2〜3日以内を目安に使い切ることをおすすめします。

冷凍保存

芽キャベツは冷凍で保存することも可能です。冷凍で保存することにより、保存期間が長くなります(冷蔵保存と比べた場合)。芽キャベツの冷凍保存期間の目安は約1ヶ月です。

急速冷凍機能を使ったり、金属トレイの上にのせて冷凍することで短時間で凍らせることができます。

生のままの冷凍(1ヶ月)

生のままの芽キャベツを保存袋に入れる

一番手軽な冷凍方法は、生のまま丸ごと冷凍する方法です。

芽キャベツに汚れが付いていれば濡れたキッチンペーパーなどで拭き取ります。芯の底を少し切り落とし、芯に十字に切り込みを入れたら冷凍用保存袋に入れて密封し冷凍庫へ。

ただし、芽キャベツを生のまま冷凍すると、風味や味が落ちてしまうため、下茹でをしてから冷凍する方が好ましいです。生のまま冷凍した芽キャベツはアクが残ったままなので、煮込料理などに使用して、芽キャベツを煮込む際に出るアクを取り除くことで美味しく食べることが可能です。

下茹でして(1ヶ月)

芽キャベツを下茹で(ブランチング)してから冷凍する

芽キャベツを冷凍保存する際は、保存前に下茹で(ブランチング)をしてから保存するのがおすすめです。野菜はブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。生のまま冷凍するよりも、食感がスカスカになりづらいです。

芽キャベツの外葉1〜2枚を剥がし、芯の底を少し切り落としたら芯の部分に包丁で十字に切り込みを入れます。湯に対して1%の塩を加え、芽キャベツを5分前後さっと茹でます。ザルにあげて水けを切り、粗熱が取れたらキッチンペーパーでしっかりと水けを拭き取ります。冷凍用保存袋に入れ(小分けにしてラップに包んでから保存袋に入れてもOK)密封し冷凍します。保存する際は丸ごとのままでも半分に切ってから保存してもOKです。

芽キャベツは冷蔵保存や冷凍保存以外にも、天日干しやオーブンなどで加熱をして水分を飛ばしてから保存する乾燥保存や、塩漬けやオイル漬けなどの漬け保存も可能です。芽キャベツの正しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。