グリーンボールはキャベツの一種です。本記事ではグリーンボールについて詳しく解説します。
グリーンボールは、アブラナ科アブラナ属の野菜で、キャベツの一種です。キャベツには大別して11月〜3月に出回る「冬キャベツ」と4〜6月に出回る「春キャベツ」、5月〜6月に出回る「丸玉キャベツ」7月〜10月に出回る「秋夏キャベツ」の4種類があります。
グリーンボールは丸玉に分類されるキャベツの銘柄です。現在はグリーンボールといえば丸玉キャベツを差すのが一般的で、「丸玉」ともいわれます。
グリーンボールは「ボール」と名がついている通り、小さなボールのような丸い形をしていて重さはだいたい1kg前後です。一般的に販売されているキャベツと同様に外側の葉は黄緑色~緑色で、内側の葉は淡い黄緑色をしています。
しっかりと葉が巻かれ層になっていて、葉はやや厚めですが柔らかく甘みがあるのが特徴です。
グリーンボールの令和3年度の取扱量は約466トンで、主な生産地は茨城県や長野県、兵庫県です。生産地別の生産量は下記の通りです。
茨城県(227トン)
長野県(192トン)
兵庫県(68トン)
その他にも鹿児島県や青森県北海道などでも生産されており、産地ごとに収穫時期が異なるため1年中市場に出回っていますが、特に出荷量が多くなるのは4月〜5月頃でこの頃が旬といわれています。
そもそも旬って?
一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
一般的にスーパーなどで「キャベツ」として販売されているのは11月〜3月に出回る「冬キャベツ(寒玉)」と4〜6月に出回る「春キャベツ(春玉)」で、通年販売されているのは冬キャベツです。「キャベツ」といえば多くは冬キャベツを指します。
一般的に販売されているキャベツとグリーンボールは非常に似ていますが、キャベツは楕円形をしており、グリーンボールと比較して若干重いです。
葉は肉厚で繊維質であるため固いのが特徴です。煮崩れしにくいためロールキャベツなどのスープや煮物に適しており、サラダにして生食したり炒めものにするとシャキシャキした食感を楽しむことができます。グリーンボールと同じように幅広い調理に使うことができますが、グリーンボールと比較すると固さがあるので、生食では小さなお子様や高齢者の方は食べにくさを感じる方もいます。
グリーンキャベツと比較して生産量が多く通年市場に出回りますが、旬は冬キャベツが多く出回る秋〜冬と春キャベツが出回る春といわれています。
キャベツとグリーンボールに含まれている栄養素や成分は同じです。どちらもビタミンCやβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンU(キャベジン)、カリウムなどが含まれていますが、含有量はグリーンボールのほうが多いことがわかっています。
グリーンボール1個でキャベツ2個分の栄養が摂れるともいわれ、例えばβ-カロテンはグリーンボールのほうが約2倍多く、カリウムは1.2倍多く含まれています。
グリーンボールは一般的に販売されているキャベツと同じように生食はもちろんのこと加熱をするなど幅広い調理法で美味しく食べることができます。
グリーンボールは葉が柔らかいため、サラダにするなど生食でも非常に食べやすいです。
グリーンボールに限らず野菜は生食することで、茹でたり炒めたりすることによって流出してしまう栄養素も余すことなくしっかり摂取できるので栄養面的にもおすすめの食べ方です。
コールスローなどキャベツ定番のサラダはもちろんのこと、千切りにして揚げ物に添えるものおすすめです。キャベツにはビタミンU(キャベジン)と呼ばれる栄養素が含まれており、まだ不明な部分があると言われている栄養素ですが、胃酸の分泌抑制や胃粘膜の新陳代謝の促進などの効果があると言われています。そのため千切りにして揚げ物に添えると油っぽさを軽減する効果が期待でき、実際に揚げ物には必ずといって良いほどキャベツが添えられています。
グリーンボールの葉は柔らかいですが肉厚なので、煮物にしても煮崩れしません。そのためロールキャベツなどの煮込み料理にも最適です。ロールキャベツであれば、スープごといただけるのでビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素もしっかり摂取することができます。
栄養価を下げたくない方は、蒸し煮もおすすめです。
グリーンボールは炒めても美味しく食べることができます。グリーンキャベツに含まれているビタミンKは脂溶性で油脂と相性が良く、吸収を促進してくれます。例えば、にんにくと油で炒め物にしたり、マヨネーズや胡麻で和えて食べるなど工夫して食べてみましょう。
ただし、食べすぎてしまうと、油をとりすぎてしまい、ニキビや肥満の原因になりますので、注意しましょう。
くし切りにして焦がし焼きにしても◎
上述したようにキャベツに含まれるビタミンCやビタミンU、カリウムなど、水溶性の栄養素は茹でることで水に流れ出てしまいますが、スープにすれば汁ごといただくことができるので栄養素を無駄なく摂取することができます。また、茹でることでカサが減るのでその分たっぷり食べることができるメリットもあります。
コンソメスープやトマトスープはもちろんのこと、味噌汁にしても美味しく食べることができます。
グリーンボールを使って浅漬けなどの漬物を作ることもできます。漬物にすると水分が抜けてさらに柔らかくなるので、食べやすくなりますし、カサが減るのでたっぷり食べることができます。加熱をしないので、加熱調理によって栄養素を流出させたくない人にもおすすめです。
グリーンボールに含まれている栄養素は残念ながら、文部科学省の食品データーベースなどにも記載がないため詳細は不明ですが、一般的に販売されているキャベツの栄養素とほぼ同じです。
キャベツ100gあたりに含まれる栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…1.3g
脂質…0.2g
炭水化物…5.2g
ナトリウム…5mg
カリウム…200mg
カルシウム…43mg
マグネシウム…14mg
リン…27mg
鉄…0.3g
亜鉛…0.2mg
銅…0.02mg
マンガン…0.16mg
β-カロテン…49μg
ビタミンE…0.1mg
ビタミンK…78μg
ビタミンB1…0.04g
ビタミンB2…0.03mg
ナイアシン…0.4mg
ビタミンB6…0.11mg
葉酸…78μg
パントテン酸…0.22mg
ビタミンC…41mg
食物繊維…2.8g
キャベツのカロリーは21kcalで、糖質(炭水化物から食物繊維を引いた値)は3.4gです。
上述したようにグリーンボールに含まれる栄養素は一般的に販売されているキャベツと同じで、含有量はキャベツよりも多くなります。
出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)
グルーンボールはキャベツと同じようにスーパーなどで購入することができます。値段は1玉150〜200円程です。ただし、一般的に販売されている冬キャベツや春キャベツとは異なり、必ずしも取り扱いがあるわけではありませんので、店舗に確認してみてください。
近くに取り扱いのある店舗がない場合は、Amazonなどのネット通販を利用するのがおすすめです。
美味しいグリーンボールには下記の特徴があります。
外葉の色が濃い緑色
葉にハリがある
芯の切り口が変色しておらずきれいな白色
芯が大きすぎない
ずっしりとした重みがある
一般的に販売されているキャベツと同じように、大きすぎるものは育ち過ぎていて苦味や強かったり葉が固かったりするので、重みはしっかりあっても大きくなりすぎていないものを選ぶようにしましょう。
グリーンボールの保存方法はキャベツの保存方法と同じです。今回はキャベツの画像を使ってご紹介しますので、参考にしながらグリーンボールを正しく保存しましょう。
室温が低い秋や冬の時期は、常温での保存も可能です。常温保存の場合、3〜4日ほど日持ちします。秋や冬でも、暖房を使用する場合は常温保存は避け、常温保存以外の方法で保存することをおすすめします。
グリーンボールの鮮度を保って保存するには、グリーンボールの芯を包丁の刃先を使ってくり抜きます。くり抜いた部分に濡らしたティッシュを詰め、グリーンボール全体を新聞紙で包んで冷暗所で保存します。
芯がついたままの状態だと、収穫後もグリーンボールが成長しようとし、葉の栄養や水分を吸い取ってしまいます。その結果、葉の鮮度や味が落ちてしまいます。
そのため、丸ごと1個や1/2個、1/4個の状態で保存する場合は、芯を取り除いてから保存するようにしましょう。包丁の刃先やヘタ取り専用のスプーンなどを使ってくり抜きます。芯を切り抜いたらティッシュを詰めることで、乾燥するのを防ぐことができます。
グリーンボールの芯が下になるように置くのもポイントです。グリーンボールが栽培されていた時となるべく同じような方向で保存することで、余計なストレスがかからず、旨みが持続します。横にしたり上下逆さにして保存すると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。
グリーンボールを使う時は、外葉から1枚ずつ剥がして使用します。詰めたティッシュは使うごとに交換するようにしましょう。
芯をくり抜く以外に、芯の部分に爪楊枝を刺して保存するという方法もあります。グリーンボールの芯には生長点という部分があり、この生長点を傷つけることで、収穫後のグリーンボールの成長を抑え葉の鮮度が落ちるのを防ぐことができます。
グリーンボールの芯の部分に爪楊枝を3本程度深く刺します。芯から飛び出た部分は、ハサミでカットします。その後は新聞紙やキッチンペーパーなどで包んで保存するようにしましょう。
春や夏などの季節や、秋冬でも暖房器具を使用する場合は冷蔵庫で保存しましょう。丸ごとグリーンボールは2〜3週間ほど、カットしたグリーンボールは1週間ほど日持ちします。
芯をくり抜き濡らしたティッシュを詰めて、キャベツ全体を新聞紙で包みポリ袋に入れるグリーンボールを丸ごと冷蔵する場合も、常温保存と同様に芯をくり抜いてから保存します。
包丁の刃先を使って芯をくり抜き、くり抜いた部分には濡らしたティッシュを詰めます。その後、グリーンボール全体を新聞紙で包みポリ袋に入れ軽く口を閉じます。
芯が下になるように冷蔵庫で保存します。芯の部分に詰めたティッシュは、グリーンボールを使うたびに取り替えるようにしましょう。使用していなくても、乾いてきたら取り替えるようにしてください。
この方法で冷蔵保存すれば、2〜3週間ほどは鮮度を保って保存することが可能です。長期保存したい場合は、後ほどご紹介する冷凍保存を行ってください。
カットしたグリーンボールや使いかけのグリーンボールは、カット断面を濡らしたキッチンペーパーで覆ってから保存します。
丸ごとグリーンボールと同様に芯を切り落とします。濡らしたキッチンペーパーをカット断面にかぶせます。この時、芯のくり抜いた部分もしっかりと覆うのがポイントです。キッチンペーパーを被せたらポリ袋に入れ、軽く口を閉じて冷蔵庫で保存します。切り口が下になるように置くことで乾燥を防ぎ鮮度を保ちやすくなります。
ただし、カットしたグリーンボールは丸ごとグリーンボールよりも鮮度が落ちやすく傷みやすいです。1週間を目安に早めに食べきるようにしましょう。
長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。グリーンボールを冷凍すれば、約1ヶ月ほど保存することが可能です。
生のまま冷凍したり、塩揉み、塩茹でなど、用途で分けて冷凍するようにしましょう。冷凍したグリーンボールは生のグリーンボールのような食感ではなく、しんなりとした食感になります。
千切りやざく切りなど、お好みの大きさにカットします。カットしたグリーンボールを水洗いし、キッチンペーパーを使って水けをしっかりと取ります。冷凍用保存袋にカットしたグリーンボールを密封して入れ、冷凍室へ。
なるべく平らになるように入れ、冷凍時に急速冷凍機能(ない場合は金属トレイの上に乗せて冷凍)を使うことで、短時間で冷凍することができます。
千切りにして冷凍保存したグリーンボールはコールスローサラダなどに、ざく切りのグリーンボールはスープや和え物などに使用することができます。芯ごと薄切りにして冷凍するのも◎。煮込み料理におすすめです。
塩もみしてから冷凍するのもおすすめです。解凍してサラダなどとして食べるのが◎。
ざく切りにしたグリーンボールを水洗いし、キッチンペーパーで水けを取ります。ボウルにざく切りにしたグリーンボールと塩(適量)を入れ手で揉みます。水分が出てくるので手で絞ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍室へ。なるべく平らになるように入れ、急速冷凍機能を使用するのもポイントとなります。
茹でてから冷凍すれば、調理時間を短縮することができます。
ざく切りにしたグリーンボールを水洗いし、さっと塩ゆでします。粗熱が取れたら(冷水に取るのも◎)水けをしっかり絞り、冷凍用保存袋に入れます。
解凍後に煮物やスープに使用したい場合は、かために茹でるようにしましょう。
加熱料理に使用する場合は、凍ったまま使用してOKです。サラダや和え物などに使用する場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。お急ぎの場合は熱湯をかけて解凍する方法もあります。
その他にも塩漬けや酢漬けにして保存する漬け保存や、天日干しやレンジで加熱して水分を飛ばして保存する乾燥保存などがあります。キャベツの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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