人参は様々な料理に幅広く使える野菜であるため、家にあると思ってなかったという場面や人参は嫌いだけど他の野菜で栄養を補いたいといった場面が多くありますよね。本記事では人参の代用になる野菜を紹介します。
人参はセリ科の植物で、セリ科の植物には独特の臭いがあります。同じくセリ科のセロリやパセリ、パクチーと比較すると臭いは比較的少ない方ではありますが、この独特の臭いが苦手な方は多いです。
人参は春播き(6月〜10月採り)の夏ニンジンと、夏撒き(10月〜3月採り)の冬ニンジン、冬撒き(4月〜6月採り)の春ニンジンがあり、季節によって産地が異なる他、ビニール栽培なども行われているため通年市場に出回っています。
また、収穫後貯蔵し、需要に合わせて供給量を調整して出荷されているため1年を通して価格の変動はあまりない野菜はありますが、天候不良などによって価格が高騰してしまうこともあります。
常備菜の定番である人参の価格高騰は家計に大ダメージを与えてしまいますよね。そんなときに人参の代用品を知っておくととても便利です。
人参は様々な料理に使える定番野菜であるため、買い置きしている家庭も多いでしょう。定番野菜こそ「家にあると思ったらなかった」ということはよくあるものです。人参なしでも作れる料理もありますが、ないと物足りなくなってしまいます。
人参には甘みがあるのが特徴です。人参100gあたりの糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は、6.5gで人参の糖類はショ糖が主体であるため、甘味が強くなっています。例えばカレーに人参を入れることで甘みをプラスすることができます。
また、人参100gあたりには40~80mgほどのグルタミン酸が含まれています。グルタミン酸とはアミノ酸の一種であり「うま味成分」の一つです。そのため、人参を料理に加えることによって甘みと旨味を効率的にプラスすることができます。
人参は好みに合わせて幅広い食感を料理にプラスすることができる野菜です。生食や炒めものではシャキシャキとした食感を楽しむことができ、煮物などじっくり火を通せば柔らかくなります。
例えば生や炒めものなどシャキシャキとした歯ごたえが残る料理であれば、咀嚼回数が増えるため満腹感を得やすくなります。
特筆すべき人参に含まれている栄養素は、β−カロテン(ビタミンA)です。人参のβ-カロテン含有量は野菜の中でトップで、根菜類では唯一、緑黄色野菜に分類されます。人参がオレンジ色をしているのもβ−カロテンの色です。
β-カロテンは、皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあり、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ事で免疫力をアップし病気にかかりにくくなります。また抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。亜鉛が補酵素に入ると、β-カロテンがレチナールへ、さらにレチナールにナイアシンが結合することで体内に作用します。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
人参の鮮やかなオレンジ色は料理に彩りを与え、見た目も良くしてくれます。お弁当も人参が入ると華やかになりますよね。料理における黄色・赤色は、見た目を良くするだけではなく食欲を増進させる効果もあります。
甘みのある野菜といえばかぼちゃを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。かぼちゃの糖質は17.1gと野菜の中でとても高くなっています。かぼちゃの糖類は、でんぷんが1番多く、しょ糖、ブドウ糖と含まれています。そのため、人参の代わりにかぼちゃを入れても料理に甘みをプラスすることができます。
また、かぼちゃにもβ−カロテンが豊富に含まれていますし、彩りとしても人参の代用として最適です。
さつまいもは100gあたり30.3gの糖質が含まれており、糖質はほとんどがでんぷんで、その他ショ糖を筆頭に、ブドウ糖、果糖の糖類が含まれています。さつまいもも甘みのある野菜なので、人参の代用品になります。
さつまいもを人参の代用品に煮物などを作ると、甘みとホクホクとした食感をプラスすることができます。
辛味があることでも知られている玉ねぎですが、炒めることで飴色になり甘みが増します。実は加熱調理における玉ねぎの役割は、甘みとコクをプラスすることなのです。カレーに玉ねぎが入っていることが多いのもこのためです。
炒めることで玉ねぎの甘味が増すのは、下記の3つの理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる。
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する。
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる。
生食するときには甘みをプラスすることはできませんが、シャキシャキとした食感を楽しむことができるのでサラダにするときの人参の代用にはなります。
とうもろこしには100gあたり13.8g含まれており、甘みがあるため、人参と同様に料理に優しい甘みをプラスすることができます。プチプチとした食感をプラスすることができるのも嬉しい点ですよね。小さなお子様でもとうもろこしであれば食べやすいでしょう。
とうもろこしには実は旨味成分となるグルタミン酸も含まれています。
しいたけは「日本の三大ダシ」の一つで、旨味成分であるグアニル酸がたっぷり含まれています。そのため、人参の代用品としてしいたけを加えることで、料理に旨味を加えることができます。
しいたけは肉厚で食べごたえもあり、スープや煮物などを作るときの人参の代用品におすすめです。
パースニップは人参と同じくセリ科の二年草です。ヨーロッパ原産の野菜で、人参に形がよく似ていますが色は白色です。人参と同じセリ科であるため、香りが似ていて甘みがありますが、味は人参よりも淡白です。
人参と同じように独特の香りがするので人参の臭いが苦手な方には不向きですが、パースニップは人参とほぼ同じ使い方ができるため人参の代用品になります。
れんこんは加熱をするとホクホクの食感になりますが、生で食べるとシャキシャキとした食感を楽しむことが出来、歯ざわりが人参ととても良く似ています。
サラダにするときはもちろんのこと、炒めものにするときの代用品にもおすすめです。
れんこんは白いですし、味も淡白なので栄養があまりないのではと思う方も多いかと思いますが、実はビタミンCやカリウムなどの栄養素を豊富に含まれています。
もやしもシャキシャキとした食感がある野菜ですので、人参と同じように料理に食感をプラスしたいときにおすすめです。もやしの味はクセもなく食べやすいので、どんな料理にも合います。
実は味がないように思えてもアスパラギン酸と呼ばれる酸味を含むうま味成分も含まれています。また、栄養がないように思えますが、ビタミンB1やB2などのビタミン類やカリウムが含まれています。
さらには通年安く手に入れられることができますので、人参が高騰しているときにもおすすめです。
大根も生だとシャキシャキとした食感を楽しむことができる野菜の一つです。特に大根の葉に近い上部の部分は、大根の部位の中で最も甘味が強く水分が多いのが特徴です。水分が多いのでみずみずしいのですが、首部なので(葉の根元なので)程よく硬くシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
甘味が強いのは大根の辛味成分の含有量が少ないためです。大根の辛味や苦味の元になっているのはイソチオシアネートとよばれる成分です。主に辛味となっているのが「アリルイソチオシアネート」というイソチオシアネートの一種です。
煮物やスープなどに使う人参の料理の代用品には中部を使うと良いでしょう。辛味成分の含有量は上部と下部の中間で、甘味と辛味のバランスがちょうどよいのが特徴です。生食にも加熱調理にも使える万能部位です。
たけのこもシャキシャキとした食感があるため、人参の代用品になります。そのうえ、グルタミン酸やアスパラギン酸といった旨味成分も含まれています。
ただし、たけのこには苦味やエグみを感じさせるアク(灰汁)となる成分が多く含まれています。たけのこのアクとなる成分はシュウ酸で、シュウ酸はカルシウムと結合して結石の原因となるなど人体に害がある成分ですので、下茹でをしてアクを抜いてから食べてください。生のままサラダに加えたりすることはできないので注意しましょう。
わけぎは主に関西以西で栽培されてるネギによく似た野菜で、根元の部分が球根状に膨らんでいるのが特徴です。ネギに似ているため、人参の代用品として思い浮かばない方も多いかと思いますがシャキシャキとした食感を楽しむことができる野菜です。
わけぎはクセが少なく香りもきつくないので食べやすく、またネギ独特の辛味が少ないです。和え物などに使われることが多い野菜ですが、炒めものにして食べることもできます。
ほうれん草もβ-カロテンが豊富な野菜で、100gあたり4,200μg含まれています。
他にもビタミンEやビタミンK、葉酸、そしてカリウムなどが豊富で、メジャーな野菜の中ではビタミン・ミネラルが豊富で、緑黄色野菜の王様とも言われています。そのため栄養面での人参の代用品にぴったりです。
ただし、ほうれん草にもたけのこと同じようにアクとなるシュウ酸が多く含まれているため、必ず下茹でをするなどアク抜きをしてから食べるようにしましょう。
小松菜100gあたりのβ-カロテンの含有量は3,100μgです。小松菜にはビタミンCも多く含まれており、他にカリウムやカルシウム、鉄などミネラルも豊富です。
ほうれん草などと比べてアクも少ないので食べやすく、調理しやすいという利点もあります。小松菜も炒めものなど幅広い用途があるため人参の栄養面での代用品としておすすめです。
セロリは人参と同じくセリ科の植物であり、100gあたりのβ−カロテンの含有量は人参と比較すると44μgと少ない量ではありますが、含まれています。また、セロリはカリウムが豊富に含まれている野菜でもあります。
セロリは人参と同じく独特の香りがある野菜であり、食物繊維を多く含むので食べにくいと感じる方も多いと思いますが、スムージーにすると他の野菜や果物と混ぜることでセロリ独特の香りがわかりづらくなり、生のままでも摂取しやすくなります。
食物繊維を壊すと血糖値が上がりやすくなるというデメリットがあるので、人参などの糖度が高い野菜のスムージーには注意が必要ですが、セロリは糖度が低いので心配する必要ありません。
春菊100gあたりのβ−カロテンの含有量は4500μgで、その他にもビタミンEやKなどのビタミン類やカリウムなどが野菜でもトップクラスの栄養を含んでいます。
苦味があるため食べにくさを感じる方も多いかと思いますが、しっかりと栄養面での人参の代用になりますし、炒めものや煮物はもちろんのこと実は生食することもでき幅広く使える万能な野菜です。
マイナーな野菜ではありますが、100gあたりのβ−カロテンの含有量は10,000μgと人参よりも多く含まれていて「王様の野菜」と言われるほど栄養価が高い野菜です。他にもビタミンCやビタミンE、ビタミンK、またミネラルであるカルシウムなども豊富に含まれています。
モロヘイヤはネバネバとした食感で、おひたしやスープにして食べられることが多いです。
パプリカはオレンジ色ではありませんが、鮮やかな赤や黄色をしているので彩りが鮮やかになります。
また、パプリカ100gあたり1100μgのβ−カロテンも含まれています。その他にもビタミン類やカリウム、食物繊維も含まれ栄養価も高いです。
人参とは異なり青臭さやクセがなく、果物のような甘みもあるため比較的食べやすいので人参が苦手な方の代用品にピッタリでしょう。加熱調理はもちろんのこと、サラダやマリネにするなど生食にもおすすめです。
一般的にスーパーなどで販売されているピーマンは緑色をしていますが、赤色をした赤ピーマンもあります。赤ピーマンは、緑色のピーマンを完熟してから収穫したものです。赤ピーマンも料理の彩りをよくしてくれます。
赤ピーマンにはβ−カロテンの他、ビタミンC やビタミンEなどのビタミン類が緑ピーマンよりも多く含まれていてしっかりと栄養をとれるのも嬉しい点です。
緑ピーマンよりも苦味が少なく甘みがあり、ピーマンが苦手な方でも食べやすいです。赤ピーマンも緑ピーマンと同じくサラダや漬物、炒め物、焼き物、揚げ物など幅広い用途があります。
トマトも料理に彩りを添える代表的な野菜ですよね。お弁当にはミニトマトを使っても良いでしょう。
また、トマトはリコピンが多く含まれていることで知られていますが、β−カロテンも含まれている野菜です。トマトのβ-カロテンの含有量は100gあたり540μgです。人参に比べると少ないですが、トマトは一度に多く食べられることから供給源となります。
トマトには甘みと酸味がありさっぱりと食べることができるため、人参の甘さが苦手な方でも食べやすいです。生食することができる他、加熱料理をすることも手軽に食べやすいのも嬉しい点です。
人参を使う料理といえばカレーやシチューですよね。カレーやシチューに入れる人参の代用には、かぼちゃやさつまいも、とうもろこしなどの甘みをプラスすることができる野菜や、ほうれん草や小松菜といった栄養面で代用になるものを入れるのが良いでしょう。
意外と味が染み込みやすい大根を入れる方も多いようです。
肉じゃがなどの煮物料理には、味が染み込みやすい大根がおすすめです。また、甘みをプラスすることができるさつまいもを使った肉じゃがも人気があるようです。
その他、煮物料理には旨味をプラスすることができるしいたけや、食感をプラスすることができるたけのこもおすすめです。
きんぴらごぼうに使う人参の代用品には、シャキシャキとした食感を楽しむことができる蓮根やたけのこ、わけぎがおすすめです。クセもなく食べやすいのでごぼうとの相性もぴったりです。
八宝菜にいれる人参の代用品には、彩りを添えることができ、かつ栄養面でも補うことができるパプリカや赤ピーマンがおすすめです。シャキシャキとした食感を楽しむことができるれんこんを入れても良いでしょう。
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