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レタスの黒い斑点は食べて大丈夫?原因と対処法を解説

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レタスの黒い斑点は食べて大丈夫?原因と対処法を解説

レタスの葉に黒い斑点ができていて、腐敗してしまったのではないかと心配になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では、レタスに黒い斑点ができる原因などを詳しく解説します。

レタスにできる黒い斑点の正体は?食べられる?

ポリフェノールが原因

レタスの葉に黒い斑点ができるのは、レタスに含まれるポリフェノールの酸化が原因です。

ポリフェノールとは植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。レタスにも様々な種類のポリフェノールが含まれており、変色に大きく関係しているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは、紫色の色素で酸化すると赤→茶色→黒と変色していきます。

レタスにはポリフェノールオキシターゼなどの酵素が含まれており、酵素の働きや空気中の酸素に触れることによって酸化すると変色していってしまいます。

病気の可能性も

レタスは栽培中に病気になることで斑点ができてしまうこともあります。レタスの葉に斑点ができる病気には「斑点細菌病」があります。

斑点細菌病は「ザントモナスキャンペストリス pv. ビテイアンス」と呼ばれる細菌が原因の病気で、感染すると初期には葉に5~8mmの丸い小斑点ができます、拡大すると1~3cmの灰褐色の病斑になり、さらに症状が進むと斑点が広がり、斑点の上に黒い粒々が見られるようになります。多くは外葉に被害が出て腐敗まで進むことは少ないですが、多湿状態が続いてしまうと病斑部から腐敗していってしまうこともあります。

食べても問題ない

ポリフェノールの酸化が原因で黒い斑点ができているレタスは、食べても問題ありません。ポリフェノールには抗酸化作用があり、体に害のある成分ではありません。ただし、ポリフェノールが酸化しているということは、鮮度が落ちている状態ですので早めに食べきるようにしましょう。酸化が進むと腐敗していってしまいます。

斑点細菌病に感染しているレタスは、多くの場合出荷される前に取り除かれています。万が一斑点細菌病が原因で黒い斑点が出ていても、上述したように多くは被害は外葉のみで中まで侵食していることはあまりありません。中を確認し、腐敗のサインが見られなければ外葉を取り除いて食べることができます。

レタスの変色を防ぐ調理法

購入したときは変色していなくても、保存をしていたり調理をするときに酸化してしまい変色することもあります。腐敗しているわけではないので食べても問題ありませんが、見た目が悪くなってしまうので防ぎたいですよね。ここからはレタスに黒い斑点ができるのを防ぐ調理法を紹介します。

切り方

金属でないナイフを使う

金属製の包丁で切ると、包丁の鉄分がレタスに含まれるフェノール成分の作用を強めてしまうため、切り口が変色してしまいます。包丁を使ってレタスをカットする場合は、セラミック製の包丁など金属製以外の包丁を使って切るのがおすすめです。

繊維に沿って切る

レタスを繊維に沿って切る

レタスを切るときは、繊維に沿って切るのが良いです。繊維を断つように切ってしまうと細胞が壊れてポリフェノールを酸化させる酵素ポリフェノールオキシターゼが流出してレタスを変色させてしまいますので、繊維を壊さないように切るのが変色を防ぐポイントです。

繊維に沿って切ることで、レタスのシャキシャキとした食感が損なわれるのを防ぐこともできます。

手でちぎるのも◎

レタスを手でちぎる

金属製の包丁しかない場合は、手でちぎるのが良いでしょう。手でちぎることで断面が粗くなるので、サラダにして食べる場合、ドレッシングが絡みやすくなり美味しく食べられるメリットもあります。

切った後

塩水・酢水にさらす

カットしたレタスを水にさらす

レタスを切ったら、塩水や酢水にさらしておくのが良いです。塩水や酢水にさらしておけば、空気中の酸素に触れる時間を少なくすることができるので酸化を防ぐことができます。また、ポリフェノールは水溶性であるため、変色の原因となるポリフェノールを落とすことができます。

塩水には、浸透圧によって野菜から水分と一緒に変色の原因となるポリフェノールを出す効果があります。また緑色の色素となっているクロロフィルを安定させる働きもあります。

酢水には、酵素の働きを抑える効果があります。また、野菜の食感を良くすることができます。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。シャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。

ただし、レタスにはビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素も含まれています。塩水や酢水にさらすことで変色は防げますが、長くつけすぎてしまうとビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうので、長くつけすぎないようにしましょう。

すぐ加熱する

カットしたレタスをフライパンで炒める

炒めものにする場合などレタスを加熱して食べる場合は、カットした後にすぐに加熱するのが良いです。ポリフェノールを酸化させるポリフェノールオキシターゼは、熱に弱いため加熱をすれば変色を防ぐことができます。

すぐに食べる

生で食べる場合は、食べる直前にカットするようにしてすぐに食べるのが一番良いです。塩水や酢水につけることで酸化による変色は防ぐことができますが、上述したようにビタミンCなどの水溶性の栄養素も流出してしまうデメリットがあります。栄養価を重視するのであれば、変色する前に食べてしまうのがベストです。

食べてはいけない黒いレタスの特徴

黒カビとの見分け方は?

レタスには黒カビが生えてしまうこともあります。カビ臭さを感じたり、変色している箇所の周りが溶け出しているなどの異変がある場合は、酸化による変色ではなく黒カビの可能性が高いです。黒カビが生えている場合は残念ですが破棄しましょう。

ちなみに、レタスには黒カビだけではなく白カビが生えることもあります。レタスに白いフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビです。

カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。カビ毒は加熱すれば大丈夫ということはないので注意してください。万が一、酸化による変色か黒カビか判断がつかない場合は破棄するのが無難です。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)

全体的に変色している

レタスはポリフェノールが酸化すると黒い斑点ができるだけではなく、赤や茶色に変色することもあります。赤や茶色に変色している場合も、酸化が原因であれば腐敗しているわけではないので食べることができます。そのため、変色=腐敗というわけではないのですが、全体的に黒っぽく変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いので破棄したほうが良いです。

ヌメリ・粘りがある

レタスは腐敗が進んでくると、表面にヌメリや粘りが出てきます。黒く変色しているだけではなく、ぬめりや粘りが出てきている場合は、腐敗が進んでいることが考えられますので食べないようにしてください。

葉が溶け出している

葉が溶け出してドロっとした状態になってしまっている場合は、内側も腐敗した状態であることがほとんどなので、残念ですが破棄したほうが良いです。葉の一部が茶色っぽく変色しているぐらいであれば、ポリフェノールの酸化が原因である可能性が高いのですが、葉が溶け出してしまっているものは腐敗しているので食べないようにしましょう。

茶色い汁がでている

レタスは水分を多く含む野菜で、95%が水分といわれています。収穫されて鮮度が落ちて腐敗が進むと、中に含まれている水分が茶色くなってでてくることがあります。この場合も腐敗がかなり進んでいる状態ですので、破棄してください。

酸っぱい臭いがする・カビ臭い

レタスに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

新鮮なレタスの特徴

黒い斑点があるレタスは食べることが出来るものの、鮮度が落ちている状態です。購入する際は黒い斑点が出ているものは避けましょう。新鮮なレタスを購入することでより長く美味しく保存することが可能です。新鮮なレタスには下記のような特徴があります。スーパーなどで購入する際の参考にしてください。

  • 芯の切り口が10円玉大で白い

  • 葉の巻きがゆるくて軽い

  • 葉にハリがありみずみずしいもの

  • 葉の緑色が濃い

  • 葉がぎっしり詰まっていないもの(カットレタスの場合)

  • 切り口がみずみずしく変色していないもの(カットレタスの場合)

カットしたレタスは丸ごとレタスよりも傷みやすいので、1玉のまま購入する方がおすすめです。

レタスの正しい保存方法

常温保存NG

レタスは乾燥に弱い野菜です。購入した後、そのまま冷蔵庫などで保存すると、すぐに葉がしなびてしまいます。傷みやすいレタスは常温保存はNG。購入後は冷蔵室や冷凍室で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

購入したレタスは冷蔵保存することで1〜3週間ほど保存することができます。

芯の切り口に片栗粉を塗って丸ごと保存

レタスの芯に片栗粉を塗って冷蔵保存する

レタスの芯の切り口に片栗粉(小麦粉)を塗ることで、レタスの水分が蒸発するのを防ぐことができます。芯の切り口を数ミリ切り落としてから片栗粉などの粉類を2〜3mmほど塗ります。

片栗粉などの粉類を塗ったら、ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、冷蔵庫で保存します。

レタスの芯が下になるように置くのもポイントです。レタスが栽培されていた時となるべく同じような方向で保存することで、余計なストレスがかからず、旨みが持続します。横にしたり上下逆さにして保存すると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなってしまいます。

使う時は、外側の葉から1枚ずつ剥がして使うようにしましょう。

爪楊枝を刺して保存も◎

レタス芯に爪楊枝をさして冷蔵保存する

片栗粉(小麦粉)を塗る方法以外に、爪楊枝を芯に刺して保存するのも◎。

レタスの芯には生長点という部分があり、この成長点を傷つけることで、収穫後のレタスの成長を抑え葉の鮮度が落ちるのを防ぐことができます。レタスの芯に2〜3本ほど爪楊枝を刺してから保存すれば、2〜3日で傷んでしまうレタスも1週間ほど鮮度を保って保存することが可能になります。

上の写真のように、芯に3〜4本ほど爪楊枝を刺します。1cmほどの深さになるように中までしっかり刺すのがポイントです。芯から飛び出た部分は、ハサミでカットします。

その後は新聞紙で包んでポリ袋に入れ、芯が下になるように置いて保存するようにしましょう。

1/2個や1/4個などのカットレタスは、切り口から傷みやすくまた水分が抜けてしまうので、濡らしたキッチンペーパーをかぶせてポリ袋に入れ、芯もしくは切り口を下にして保存します。これで5日ほどは冷蔵保存することが可能です。

カットしてタッパー

カットしたレタスを保存容器に入れる

手でちぎってから冷蔵するのも◎。保存容器に濡らしたキッチンペーパーを敷き、その上に4〜5cm四方にちぎったレタスを入れ、蓋をして冷蔵庫で保存します。

カットレタスは、丸ごとレタスよりも傷みやすいので、1〜2日を目安になるべく早めに食べきるようにしましょう。

冷凍保存

レタスは冷凍保存にあまり向きません。水分が抜けて生のレタスのようなシャキシャキ感が失われてしまうためです。冷凍する場合は、スープや味噌汁、炒飯など加熱料理に使用するのがおすすめです。冷凍レタスの保存期間の目安は1ヶ月です。

生のまま冷凍

カットしたレタスを生のまま冷凍保存する

4〜5cm四方などお好みの大きさにレタスをカットします。水洗いしキッチンペーパーで水けをしっかりと取った後、冷凍用保存袋に入れ冷凍室で保存します。

この時、冷凍室の急速冷凍機能を使うのがおすすめです。機能がない場合は、金属トレイにレタスを乗せて冷凍すると◎。

冷凍したレタスは、生食ではなくスープなどの加熱料理に使用すると美味しく召し上がることができます。加熱することでカサが減り、生の2倍以上の量を食べることができる=2倍以上の栄養を摂ることが可能です。

乾燥保存

レタスは乾燥させてから保存することもできます。乾燥させた後は、密閉容器に入れて常温で1ヶ月ほど保存できます。

乾燥させたレタスは乾燥したままスープに入れたり、水で戻して和え物や炒め物にして食べるのもおすすめです。

天日干し

カットしたレタスを天日干しする

乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。芯をつけたままレタスを4等分にカットし(または1枚ずつ)水洗いしてキッチンペーパーで水けをしっかりと取ります。重ならないようにザルに並べ、3日ほど天日干しをします。

オーブンや電子レンジでは、葉が燃えてしまう可能性がありますので、必ず天日干しにて乾燥させるようにしてください。

レタスの保存方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。