レネゲードロウは、ハイプランクの状態でワンハンドロウイングを実施するエクササイズです。今回は、レネゲードロウのやり方及びコツについてご紹介します。
レネゲードロウは英語で「renegade row」と表記します。「renegade」は「反逆者。背教者」を意味します。
レネゲードロウは英語圏では「commando row」ともいわれ、「特殊部隊のローイング」を指します。「ローイング」とは、重量物を下方から上方に引く動作を指します。
「renegade row」という名称の由来はおそらく「レネゲード」と呼ばれる反体制派組織が実施していたエクササイズが大元になっている可能性がありますが、真偽は明らかではありません。
レネゲートロウは、一般的に、ケトルベル(持ち手が付いてた球状の重り)もしくはダンベルを用いて実施するエクササイズです。エクササイズ強度は高く、基本的には通常のワンハンドローイング、プランクが問題なく実施できる方向けの体幹を強烈に鍛えるエクササイズです。
レネゲードロウは、広背筋、腹直筋をメインに鍛え、副次的に上腕二頭筋を鍛えることが期待できます。
広背筋は、脇の下から下背部にまで走る背中の筋肉です。よく似た部分の筋肉に大円筋がありますが、大円筋は肩甲骨の下側から上腕筋に走る非常に限定的な部分の筋肉です。
腹直筋とは、お腹の部分にある筋肉です。腹直筋と聞くと、なんとなく馴染みのない感じがしてしまいますが、所謂、我々が「腹筋」と呼ぶ筋肉は腹直筋を指します(厳密には、腹筋は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の総称であると想定されます)。
上腕二頭筋は、所謂、「力コブ」と形容される筋肉です。上腕二頭筋は、長頭と短頭から構成されており、長頭は上腕二頭筋の外側の筋肉で、肘を曲げる動作に寄与し、短頭は上腕二頭筋の内側の筋肉で、肘を曲げる動作と前腕を旋回する動作に寄与します。
レネゲードロウで鍛えることができる広背筋は、その名の通り「広く」、背中の筋肉の大部分を占めます。
そのため、ボディメイキング的な観点でいうと、広背筋を鍛えることで背中の見栄えを改善することができます。特に、広背筋を鍛えると後ろから見た際に非常に背中が大きく見え、逆三角形であるようになるため、背中を大きく見せたい方は是非とも鍛えたい筋肉です。
一方で、広背筋を鍛えすぎると、背中が非常に広くなるため、着用することができる衣服も制限される可能性が高くなります。このため、着用する衣服にこだわりがある方は、注意して広背筋を鍛えるようにしましょう。
お腹が出ている状態というのは、いくつかの原因があり、その一つが「背中の筋肉が弱い」ことが挙げられます。猫背を想像するとわかりやすいですが、猫背だと自然と背中と逆側にあるお腹は出るようになります。
つまり、姿勢が悪くなると腹筋をうまく使うことができず、お腹が出やすい状態になります。この現象は、体脂肪率が低いのにも関わらず、お腹が出ている方に多く見られます。
背中の筋肉を付けて姿勢を改善することができれば、自然と腹筋を使うことができるようになり、結果としてお腹周りの引き締め効果を期待できます。
背中の筋肉は、脚の筋肉と並んで身体の中で締める割合が大きい部位です。背中の筋肉の中でも、レネゲードロウで鍛えることができる広背筋は、背中の筋肉の中では最も大きい筋肉です。
そのため、広背筋を鍛えることで、効率的に代謝の改善を促すことが期待できます。体温が1度上昇することで代謝量は13%程度向上すると言われています。広背筋を鍛えることは、ダイエットの近道であるということがいえます。
筋トレ初心者のレネゲードロウの目安の重量は片手で3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
レネゲードロウは、片手で身体を支えながらワンハンドローイングを実施するエクササイズであり、エクササイズ強度は高いです。そのため、筋トレ初心者の場合には基本的には3〜5 kg程度を目安に、片側5〜6回、計10〜12回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
レネゲードロウに少し慣れた方のレネゲードロウの目安の重量は片手で5〜8 kg程度です(自身の体重にもよります)。
レネゲードロウは、慣れるのがなかなか難しく、慣れても重量を上げてしまうとフォームがかなり崩れやすくなります。そのため、基本的には少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では5〜8 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてレネゲードロウを左右合計10〜12回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のレネゲードロウの目安の重量は片手で40 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、レネゲードロウを40 kg以上でフル可動域で実施することができれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「可動域を完全に使った場合のレネゲードロウ」の場合であり、可動域を絞ったレネゲードロウはこれには含まれません。基本的には、やや軽い重量でも良いので、可動域をなるべく大きく設定して実施するようにしましょう。
初心者の場合、レネゲードロウを10〜12回3セットを実施します。
レネゲードロウは、片手で身体を支えながらロウイングを行うエクササイズであり、多くの回数を実施するエクササイズではありません。そのため、一般的な筋トレにおいて推奨回数とされている回数よりもやや少ない10〜12回3セットを実施できる重量設定にしましょう。
レネゲードロウに少し慣れた方の場合、レネゲードロウを10〜12回3セットを実施します。
レネゲードロウに少し慣れてきたら、回数ではなくセット数を増やします。これは、そもそも、レネゲードロウがそこまで多くの回数を実施するのに適したエクササイズではないためであることから、回数を増やして負荷を高めるというよりは、セット数を増やして負荷を高めるのがおすすめです。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばレネゲードロウと一緒に実施するならばプランク、ハイプランク、ワンハンドロウイングなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも10〜12回実施できるようにしましょう。
レネゲードロウでは、ダンベルをすぐに引けるようにすると動作がスムーズになります。具体的には、通常のプランクとは異なり、ダンベルもしくはケトルベルの持ち手が「ハの字」になるように配置します。
このようにすることで、ダンベルを真っ直ぐに動かすと自然と下腹部を通るような理想的なダンベルの軌跡を実現することができ、レネゲードロウを実施する上で動作に集中することが期待できます。
レネゲードロウでは、ダンベルを引く際にどうしても身体のバランスがとりにくくなりがちです。そのため、脚幅をやや広めに設定するのがポイントです。
通常のプランクもしくはハイプランクでは、脚幅を広くすることは基本的にはご法度とされていますが、レネゲードロウではダンベルもしくはケトルベルをしっかりと引く動作が重要となることから、脚幅をやや広めに設定してしっかりとダンベルもしくはケトルベルを引くことができるようにしましょう。
レネゲードロウは、体幹を中心に鍛えるエクササイズです。前述したように、ハイプランクの状態でワンハンドローイングを実施するようなエクササイズであることから、実施する際にはハイプランクで実施しているように上半身から下半身までを一直線にして実施する必要があります。
レネゲードロウでは、特に重量物を引くため、身体が重りの重さに耐えることができずに曲がってしまう場合があり、これを防ぐために上半身から下半身まで一直線にすることを強く意識する必要があります。
レネゲードロウに限った話ではありませんが、背中を鍛えるエクササイズのほとんどは肩甲骨の動きを意識することが極めて重要です。しかしながら、肩甲骨の動きを意識するということは簡単なテクニックではありません。
肩甲骨を動かすためには、肘を引き切ることを意識することは非常に有効です。肘をしっかり引くことは比較的多くの人が意識しているテクニックですが、「よりしっかり引くこと」を意識すると自然と肩甲骨が寄る状態を作ることができ、レネゲードロウの効率を改善することが期待できます。
レネゲードロウは、重量が上がってくると、どうしても身体の近くでダンベルを引こうとしてしまいます。この場合、広背筋にも刺激が入らないわけではないですが、むしろ、三角筋後部を鍛えるためのエクササイズになってしまいます。
広背筋に刺激を与えたい場合には、ダンベルを真っ直ぐ引くというより、「やや後方に引く」ことをイメージして実施しましょう。具体的には、「お腹の横」よりも「お尻の横」と意識した方が広背筋に刺激を与えることができます。
レネゲードロウは、ハイプランクの状態になっていることを利用して、腕立て伏せと組み合わせる方法もあります。
ただ、これはレネゲードロウが完全にできるという人向けのエクササイズです。また、レネゲードロウで鍛えることができる体幹部に対して、腕立て伏せを実施することでより負荷が高まるという訳でもないため、基本的にレネゲードロウを実施する場合には、レネゲードロウ単独で実施すれば問題ありません。
レネゲードロウに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、広背筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
レネゲードロウに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
レネゲードロウに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、レネゲードロウでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ハイプランクは、レネゲードロウの基本となる種目であるためです。
レネゲードロウは、ハイプランクが全く問題ない方向けのエクササイズであり、ウォーミングアップ種目として最適の種目の一つです。実際に実施する場合には、ハイプランクを実施した後にレネゲードロウを実施することで効率的に体幹部を鍛えることを期待できます。
ハイプランクは、まずは30秒を3セット実施します。
ハイプランクは、腕立て伏せの身体を上げた状態を維持するエクササイズであり、腕に筋肉がある方は比較的簡単に実施することができますが、それとは逆に、腕に筋肉がないと実施するのが中々難しくなります。そのため、エクササイズ強度は、人によりますが、プランクと同じくらいであり、プランクと同様に30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
大胸筋にも刺激を与える場合には、手幅をやや広めに設定する。
お尻をやや上げるイメージ。
目線は正面。
プランクは、レネゲードロウで鍛えることができる体幹部を鍛えることができる基本の種目であるためです。
プランクは、体幹部を鍛える非常に基本的なエクササイズであり、ハイプランクよりも負荷が高く、レネゲードロウのウォーミングアップ種目として最適の種目の一つです。実際に実施する場合には、プランクを実施した後にレネゲードロウを実施することで効率的に体幹部を鍛えることを期待できます。
プランクは、45〜60秒間3セット実施します。
プランクは、体幹及びトレーニングに必要な非常に基本的な筋肉をつけるために有効なエクササイズですが、トレーニング初心者や女性の方にはやや負荷の高いエクササイズです。このため、まずは30秒を3セット実施することから始め、最終的には60秒を3セット実施することを目指しましょう。
上半身から下半身までを一直線にしてキープする。
脊柱起立筋により身体が曲がらないようにすることを意識する。
上半身は三角筋を使って支えることを意識する。
ワンハンドローイングは、レネゲードロウを実施する上での基本となる種目であるためです。
ワンハンドローイングは、レネゲードロウイングでのダンベル動作をベンチ台上、もしくは立って実施するエクササイズです。そのため、レネゲードロウよりもエクササイズ強度は高くなく、レネゲードロウのウォーミングアップ種目として最適の種目の一つです。実際に実施する場合には、ワンハンドローイングを実施した後にレネゲードロウを実施することで効率的に広背筋、体幹部を鍛えることを期待できます。
ワンハンドローイングは、特に初心者の場合には12〜15回を3セット実施しましょう。
ワンハンドローイングのは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱いやすい種目です。ただし、ワンハンドローイングはフォームが重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
背中を張る。
目線は正面。
ダンベルは床と垂直。
肘をしっかり引く。
ダンベルをやや後方に引くように。
上体の角度。
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