体幹を鍛えるための基本的なトレーニングであるプランクは、”正しく” 継続することで大きな効果を得られます。今回の記事では、プランクの基礎についてご紹介します。
体幹の基本エクササイズの1つとされている「プランク」という種目ですが、語源は英語の「plank」で、意味は「厚板(あついた)」です。手足で身体を支え身体をまっすぐ硬直させる姿は、まさに「厚板」と表現するのに相応しいといえます。
プランクですが、日本でここまで一般的なエクササイズになったのは、プロサッカー選手である長友佑都選手の活躍に他なりません。長友選手ですが、身長170 cm/体重68 kgと、サッカー選手としては小柄であるのにも関わらず、大柄な海外の選手に当たり負けをしなかったのは、体幹を鍛えていたためといわれています。プランクは、そんな体幹を鍛える上で、非常に効果的なエクササイズとなります。
体幹と言うとかなり漠然としていますが、簡単に表すと身体の胴体を表しており、この部分を鍛えることで力を発揮しやすい身体を作ることができます。もう少し言うならば、「筋肉を付ける下地を作る」というイメージがわかりやすいかと思います。
そのため、プランクを実施することで、身体の中で筋肉を付ける環境を整えることができ、各エクササイズをより効果的に実施することができるようになります。
まず、プランクには姿勢改善の効果が期待できます。
これは、プランクが上半身を支える腹筋および背中の筋肉を鍛える静的なエクササイズであるためです。特に、一日の大半をデスクワークをして過ごすという方は、座っている間に無意識のうちに姿勢がどんどん悪くなる傾向があるため、姿勢改善の効果を非常に感じやすいでしょう。
特にプランクを始めたばかりの方には、腰回りのシェイプアップ効果も期待できます。
これは、前述した通り、プランクが腹筋及び背中の筋肉を鍛えるエクササイズであるため、その部分が刺激されることで筋肉がつき、代謝が上がるためです。特に、単一のプランクを繰り返すのではなく、いくつかのバリエーションのプランクを実施することで効果的に腰回りのシェイプアップを行うことができます。
次に、各エクササイズのパフォーマンスの向上を見込むことができます。
腹筋と背中の筋肉である体幹は、各種エクササイズを行う上で基本の筋肉であるため、プランクを実施することで、あらゆる運動の効率を上げることが可能です。そのため、特にジムに通っている方は、エクササイズの前にウォーミングアップの一環としてプランクを取り入れるのも非常に有効です。
プランクは継続して行うエクササイズなので、特に忍耐力が身につきます。また、プランクという比較的負荷の高いトレーニングを一定期間続けることで「自分はこれだけできた!」という達成感を得ることができ、自信にも繋がります。
「プランク30日間チャレンジ」というものが存在します。このチャレンジは国内外で広く行われており、実施内容は様々ですが、主に以下の2つに大別されます。
基本的なプランクを毎日少しずつ秒数を長くして30日間続ける
最初は基本的なプランクから初めて徐々に難易度を上げながら30日間続ける
両者の間で目的は異なりますが、共通していることは「なんとしてもプランクを30日間続ける」ということであり、継続することで身体を変化させていく、という点です。
調べると様々なメニューがありますので、興味のある方はぜひ実施してみてください。前半が余裕だからとペースを上げすぎると後半が続かなくなるので、計画に沿って少しレベルアップするのが大変重要です。
基本のプランクのやり方ですが、大きく分けて4ステップに分けることができます。
まず、脚幅は腰幅程度に設定します。
脚幅は基本的には、腰幅かそれよりも狭い位に設定することが推奨されています。ここで「つま先で支えるとどうしてもできない」という方は、まずはつま先ではなく膝を付いて実施しましょう。
次に、腕の幅は肩幅程度に設定して、肘を床に付けるようにします。
ここで重要なのが実施する場所です。肘で体重を支えるため、フローリングの床などで実施するとどうしても肘が痛くなってしまいます。実施する際には、肘の下に座布団やマットなどの緩衝材を敷きましょう。
次に、上半身から下半身までを一直線に設定します。
プランクを実施する上で、これが一番重要なポイントであり、上半身から下半身を一直線に保とうとするからこそ、体幹を鍛えることができます。そのため、前述した通り「つま先だと身体を一直線にできない」という方は、無理をせずにまずは膝立ちで実施しましょう。
負荷よりも、フォームが優先です!
最後に、時間を設定して実施します。
時間ですが、まずは、30秒を目安に実施し、「30秒実施→30秒休憩」という形で3セット実施しましょう。この3セットで余裕がでてきたら、10秒ずつ負荷を上げていき、最終的には「1分30秒で3セット」を目指しましょう。
初心者の方がやりがちなプランクの正しくないフォームを解説します。
まず、基本のプランクでは、脚幅を開きすぎるのはNGです。
脚幅を大きくすることで、身体はより不安定な状態になり負荷が大きくまります。負担が増すことは悪いことではないのですが、初心者の方にはプランクを「継続する」上でハードルが高くなってしまいます。
そのため、まずは脚幅は狭めて実施するようにしましょう。
身体が曲がってしまうのは、よくあるNGフォームです。
不安定な状態で身体をまっすぐに維持することで体幹を鍛えますから、身体が曲がってしまえばエクササイズ効果が低減してしまいます。
また、身体が曲がった状態で長時間のプランクを実施すると、場合によっては、腰の痛めてしまうリスクもあるので注意が必要です。
過度にプランクを実施するのもNGです。
多くの人は秒数が長いだけ負荷が高まると考えますが、長すぎると適切なフォームを維持することが難しくなり、かえって効果が薄れてしまいます。
「適切なフォームで維持できない1分」を実施するよりは、「適切なフォームを維持できる30秒」の方が明らかにエクササイズの効果が高いため、過度な秒数設定は禁物です。
まず、上半身は腹筋を意識するとプランクの効果を高めることができます。
プランクは、体幹のトレーニングになるのですが、「体幹」というのは非常に漠然としていることから、一番分かり易い腹筋周りに意識を置くと良いでしょう。そうすることで、腹筋を鍛えることに繋がりますから、ウエスト周りのシェイプアップも期待できます。
次に、下半身は、お尻(臀部)を意識すると、プランクの効果を高めることができます。
身体が曲がる上半身と下半身の境目であるお尻を意識すると、自然と身体をまっすぐしようとする意識も働き、エクササイズ効果を向上させることができます。
また、お尻を締めるような感覚を持つことで、腹筋の下部に刺激を入れることができ、これにより前述したポイントと合わせて、腹筋全体を刺激することができます。
次に、目線は正面に設定するとプランク効果を高めることができます。顔が地面を向いていても間違いなわけではありません。
これは、目線を前にすることで、より体幹を維持するために負荷がかかることに起因しています。長い秒数になるほど、目線が正面になるということを疎かにしがちですが、目線を正面にした方が効果的なエクササイズとなります。
次に、「正しい」呼吸方法を実施することでプランクの効果を高めることができます。
プランクはスクワットや腕立て伏せと言った動的なエクササイズと比較して、エクササイズが静的であることから、いまいち呼吸法を掴みにくいという問題がありますが、基本的には息を吸うことよりも吐き出すことに意識を置くと良いでしょう。
これは、腹筋運動をイメージするとわかり安いですが、腹筋では上体を上げるときはゆっくりと息を吐き出し、上体を下げるときは息を吸います。プランクも、腹筋運動と同様に腹筋を鍛えることができるエクササイズですから、「息を吸って、ゆっくり吐く」ということを繰り返すことで腹筋を効果的に刺激することができ、特に秒数が長くなってくるとこの呼吸法が重要になっていきます。
次に、適切な設定時間でプランクを実施することでプランクの効果を高めることができます。
プランクに限らず、全てのエクササイズは適切なフォームを維持することでエクササイズ効果を高めることができ、プランクでは「短すぎず、長すぎない秒数設定」、すなわち「自分がギリギリでできる秒数」を設定する必要があります。
具体的には、前述した通り、30秒から始めて1分30秒で正確なフォームでできるようになるのがファーストステップです。そこから徐々に時間を伸ばしていくとよいでしょう。
最後に、これは実際に効果を上げるというよりも、後述させる長続きさせるためのテクニックに関連しますが、実施する時間を工夫することでプランクの効果を高めることができます。
プランクを実施すべき時間帯には諸説あり、
交感神経が活発になる午前中に実施した方が良いという説
身体が完全に眠りから覚めて活動状態にある夕方から夜に実施した方が良いという説
があります。
このため、実際に自分がやってみて、自分の中で長く続けられる時間帯を選ぶことが重要となります。
まず、プランクを長続きさせる上で重要なことが、実施する時間帯を決めるということです。
実施する時間帯が曖昧な場合、プランクの実施を何度か忘れてしまい、「もういっか...」と諦めてしまうケースが多いです。あらかじめ自分の生活リズムの中で「どのタイミングで行うか」ということをスケジューリングして習慣化しておくと長続きしやすいでしょう。
筆者のオススメの時間は、ジムに通っている方は「トレーニング前」、ジムに通っていない方は「お風呂に入る前」です。
次に、プランクを長続きさせる上で重要なことが、最初から負荷をかけ過ぎないことです。
多くの人が陥りがちなこととして、インターネットで自分の年齢におけるプランクの平均秒数を調べたり、友人から聞いた秒数で実施するということですが、自分でやってみたら負荷が大きすぎるということが多々あります。負荷が大きすぎると、キツ過ぎて次の日からやる気を失ってしまいます。
そのため、自分に適切な秒数設定から始めることが重要です。繰り返しになりますが、まずは30秒です。
プランクだけをエクササイズとして取り入れても、その効果は限定的であるということには注意しましょう。
プランクは、確かに、普段運動しない様な方にはそれだけで十分なエクササイズとなりますが、あくまでも「身体の中で筋肉を付ける環境を整えること」が目的ですから、他のエクササイズと組み合わせることが重要です。
例えば、腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどをする前に、身体のウォーミングアップを兼ねてプランクを実施するなど、他のトレーニングと組み合わせることで、効果を最大限に発揮することができます。
ダイエットに関していえば、食事管理も重要です。いくらプランクをやっても、カロリーを大量摂取していれば、減量できるはずがありません。
プランクをエクササイズに取り入れることで、姿勢改善を期待することができます。
プランクは身体をまっすぐにするために、腹筋と背筋を稼働させます。基本的に姿勢が悪いのは、身体のバランスが崩れていたり、姿勢を保つための腹筋と背筋が弱くなっていることが考えられるため、プランクは姿勢の改善に一役買うといってもよいでしょう。
ただし、すべての身体の歪みが、プランクだけで改善されるわけではありません。
腹筋と背筋の筋肉の不足により腰痛になっている場合は、プランクで腰回りの筋肉を付けることで、腰痛が改善される場合があります。
ただし、プランクによって逆に腰痛を引き起こす場合もあるので、十分に注意しましょう。
また、腰痛にはその他にも様々な原因が考えられるため、プランクだけで全ての腰痛が解決できるわけではありません。
プランクには非常に多くの種類があります。最後に、基本的なプランク以外に、10個のプランクについて紹介します。プランクの種類によって、鍛えられる身体の部位(ターゲット)が多少異なります。数字が大きくなるにつれて、難度が上がります。
ハイプランクは、腕立て伏せのトップポジションのままキープするようなプランクですが、基本的には、基本のプランクとターゲットは同じになります。唯一異なるのは、基本のプランクと比べて、身体を支えるのに腕の筋肉が必要となるため、実施すると意外と腕に刺激が入ることです。
以上より、基本的なターゲットは、背中、腹筋になりますが、慣れてない方には腕にも刺激が入るので注意しましょう。
片足プランクは、基本のプランクの状態で片足を上げて実施するプランクになります。基本のプランクと比較して、お尻への刺激が大きくなります。
基本のプランクでは、両足で身体を支えていたのが片足になるため、基本のプランクよりも負荷は高くなります。
スパイダープランクは、基本のプランクの状態から片足ずつ膝(ひざ)を肘(ひじ)の横までもってくるエクササイズのなります。この動作の特性上、腹筋の中でも腹斜筋への刺激が大きくなります。
スパイダープランクは、片足プランクの状態でかつ、足の動きも入りますから、片足プランクを十分のできるようになってから実施するのがオススメです。
ハイサイドプランクは、体の側面が上に向くような状態に設定し、腕でバランスを取るプランクになります。ターゲットは後述するサイドプランクと同様で、腹斜筋や臀部になりますが、慣れていないと、肩や腕にも刺激が入りますので注意しましょう。
ハイリバースプランクは、腕を真っ直ぐにした状態で仰向けに設定し、腕全体で体重を支えて行うプランクになります。ターゲットは、肩、腕、腹筋、背中になりますが、慣れていないと、特に肩の前部、上腕三頭筋に刺激が入ってしまうため、注意しましょう。
ロッキングプランクは、プランクの状態で身体を前後に小刻みで動かすエクササイズになります。ターゲットは、基本のプランクと同様に、背中、腹筋になります。エクササイズが小刻みで動くことから、惰性で動かすのではなく、しっかり身体をコントロールしながら実施するのがポイントです。
ドルフィンプランクですが、基本的なプランクとは異なり、わざと上半身と下半身がV字になる様に設定して行うプランクになります。ターゲットは主にお尻、腕、肩、背中となりますが、慣れていないと、肩の前部に刺激が入ってしまうため注意が必要です。
サイドプランクは、体の側面が上に向く様な状態に設定し、肘でバランスを取るプランクになります。ターゲットはハイサイドプランクと同様で、主に腹斜筋や臀部になりますが、慣れていないと肩や腕にも刺激が入ってしまうため注意が必要です。
リバースプランクは、腕をまっすぐにした状態で仰向けに設定し、肘で体重を支えて行うプランクになります。ターゲットはハイリバースプランクと同様に、肩、腕、腹筋、背中になりますが、慣れていないと特に肩の前部、上腕三頭筋に刺激が入ってしまうので注意しましょう。
サイドプランクを実施する際に、床についていない方の脚を宙に上げ、足がV字になる様に設定するプランクです。ターゲットはサイドプランクと同様で、主に腹斜筋や臀部になりますが、慣れていないと肩や腕にも刺激が入ってしまうため、注意が必要です。
片手プランクは、基本のプランクの状態で片手を上げるプランクです。基本のプランクよりも不安定になることから負荷が高く、ターゲットは背中、腹筋になりますが、慣れてないと上げている方の肩、腕にも刺激が入ってしまうため、注意が必要です。
キャタピラプランクは、動的なプランクになります。静的なプランク状態を保ったまま、腹筋動作が入るため、正しく実施するのが比較的難しいプランクになります。ターゲットは主に、腹斜筋や臀部になりますが、慣れていないと、肩や腕にも刺激が入ってしまうため、注意が必要です。
以上で紹介したプランク以外に、各プランクで、身体に重りを載せたり、脚を床ではなく少々高い所に設定するなどして、プランクは自由に負荷を調整することができます。
ツーポイントプランクは、片足プランクと片手プランクを同時に実施するプランクになります。基本的のプランクで鍛えられる部分は同じですが、基本のプランクと比較してはるかに刺激が大きく、特に肩や腕にも刺激が入ってしまうことは避けることができません。
慣れないうちは、ハイプランクの状態で実施するのがオススメであり、これでも十分な負荷となります。慣れたら、肘立ちのプランクで実施しましょう。
プランクは非常に基本的な種目ですが、体幹、特にウエスト周りを刺激するためには非常に効果的な種目であり、正しいフォームで実施することでエクササイズの効果を強く感じることができます。
まずは、短い時間から継続して実施し、最終的には他のエクササイズと組み合わせながら実施して、理想のボディを目指しましょう!
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