腹直筋は、鍛えることで見栄えを改善するとともに、腰痛予防などの効果があります。今回は、腹直筋を鍛えるコツ及びその方法についてご紹介します。
腹直筋とは、お腹の部分にある筋肉です。腹直筋と聞くと、なんとなく馴染みのない感じがしてしまいますが、所謂、我々が「腹筋」と呼ぶ筋肉は腹直筋を指します(厳密には、腹筋は、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の総称であると想定されます)。
筋トレを少ししたことがある人ならば、「シックスパック」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、シックスパックとは特に腹直筋が身体の表面に浮き出た状態を指します(シックスパックは人によって様々な形をしており、エイトパックだったり、フォーパックだったりします)。
自身のお腹を見てみるとわかりますが、お腹は縦に比較的長くなっており、このことから腹直筋は上部と下部に分けることができます。バランスの良い腹直筋を作るためには、両者をしっかり鍛える必要がありますが、特に重要なのが、腹直筋の下部です。腹直筋の上部は、脂肪が薄いため、エクササイズを実施すると比較的すぐに効果を実感できる部位です。一方、腹直筋の下部は、一般的には脂肪が厚いため、かなりしつこくエクササイズをすることに加えて、有酸素運動をしないとなかなか効果を実感することが難しい部位です。
腹直筋以外の腹筋に、まず腹斜筋があります。
腹斜筋は、肋骨下部から横腹にかけて走る筋肉であり、そこまで大きい筋肉ではありませんが、腹斜筋があることで腹筋の完成度は大幅に高まります。また、腹斜筋を鍛えることでくびれを作ることを期待できます。
さらに、腹直筋以外の腹筋に腹横筋があります。
腹横筋は、インナーマッスルに分類され、コルセット筋とも呼ばれます。腹横筋は、横腹の奥深くに存在する筋肉であり、鍛えることでコルセットのようにお腹を締め上げ、ウエストのシェイプアップ効果、腰痛予防を期待できます。
腹直筋を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。これにより、お腹周りをすっきりさせることが期待できますが、腹直筋だけを鍛えるということで得られる効果は限定的です。腹直筋を鍛えてお腹周りをすっきりさせたい場合には、腹直筋を鍛えるエクササイズに加えて有酸素運動や食事制限を行う必要があります。これは、シックスパックを作りたい際にも同様であり、シックスパックをしっかり出したい場合にはかなりの計画的な有酸素運動、もしくは食事制限を実施する必要があります。
腹直筋を鍛えることでお腹周りをすっきりさせるということは注意も必要です。つまり、腹直筋をつけることでウエストが太くなってしまう可能性もあるという点です。このため、ウエストを太くしたくないという方は、むしろ腹直筋を鍛えすぎないように注意する必要があります。
腹直筋は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。そもそも、腹直筋が分類される腹筋は身体の中でも大きい筋肉ではないため、例えば、大腿四頭筋や大臀筋といった身体の中で筋肉が大きい部位と比較すると、鍛えることでの代謝の改善効果は限定的です。それでも、腹直筋は、腹筋の中では最も大きい筋肉であり、これにより、鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、これによりダイエット効果を期待できます。
腹直筋は、前述した通り腹筋に分類される筋肉であり、腹筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。これにより、腹直筋を鍛えることで上半身をしっかり支えることができるようになります。腰痛が発生するメカニズムは、上半身の重さを支えることができなくなることで姿勢が悪化し、これにより、腹筋と背筋のバランスが崩れることで、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかってしまうということです。特に、背筋は日常的に使用する機会が多い筋肉であるものの、腹筋は意識的に使用しないと鍛えることが難しい部位です。以上から、腹直筋を鍛えることで腹筋と背筋のバランスを改善することを期待でき、これにより、腰痛の予防はもちろんですが、既に腰痛を抱えている方も腰痛を改善することを期待できます。
姿勢が悪い状態というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生しているということが言え、姿勢の改善を行うためには猫背の改善を行う必要があります。
猫背の大元の原因を紐解くと、骨盤の歪みが挙げられます。ここで、腹直筋には骨盤の角度を調整する働きがあります。腹直筋に十分な刺激を与えていないと、腹直筋が凝り固まり、これにより、骨盤の角度調整機能が十分な役割を果たさず、骨盤が後傾するようになります。このため、腹直筋を鍛えることで骨盤を正しい位置に戻すことを期待でき、これにより猫背を改善して姿勢改善効果を期待できます。
便を排出する結腸は上半身と下半身をつなぐインナーマッスルである腸腰筋の内側にあります。便を排出するということは、大腸のぜんどう運動が関係していますが、便秘の人の中にはこのぜんどう運動の能力が低下している場合があり、これを弛緩性便秘と呼びます。弛緩性便秘になると、便が大腸内に滞留する時間が長くなることで、便の水分が低下することで便を排出しにくくなります。腹直筋を鍛えると、身体が力む作用を促進させ、これによりぜんどう運動の働きを補助する役割があり、これにより、便秘の改善を期待できます。
ただ、腹直筋を鍛えることで改善できる便秘は一部であるため、腹直筋を鍛えても便秘が治らない場合にはそもそも弛緩性便秘でない可能性もあるため、病院の受診も視野に入れましょう。
まず、腹直筋を鍛える上で意識すべきことは腹直筋の可動域です。
腹直筋を鍛える一般的なシットアップ運動は、床に背中がついた状態から胸が膝につく状態まで身体を動かしますが、実際にはこの全ての動作の中で腹直筋に負荷がかかっているわけではありません。このようにシットアップを実施すると腰痛の原因にもなります。腹直筋は、実は可動域が非常に狭く、その可動域の中で腹筋の各種エクササイズを実施することが重要です。
さらに腹直筋を鍛える上で意識すべきことは、常に腹直筋に負荷がかかった状態を作ることです。
これは、前述したことと関連しますが、有効可動域の中でエクササイズを実施することで常に腹筋に負荷がかかった状態を実現します。例えば、シットアップも腹直筋に負荷がかかった状態で実施すれば、腰を痛めるということはほとんどなくなります。また、回数も100回も200回もできるようなエクササイズではなくなり、10〜15回程度実施すれば十分なエクササイズとなります。
そして、腹直筋を鍛える上で呼吸も大切です。
呼吸は、全てのエクササイズで共通して重要ですが、特に腹直筋のような腹筋のエクササイズでは重要です。呼吸により、腹直筋の収縮と伸展を促すことができるためであり、収縮するときは息を吐き、伸展するときは息を吸いましょう。
より上級者になれば、ドローイングと併せて実施するのも非常に効果的です。
腹直筋上部を鍛える自重トレーニングとして、クランチが挙げられます。
肘の動き、つまり、トップポジションでは肘を締めるようにし、ボトムポジションでは肘を開けるようにする。
トップポジションで腹筋の収縮を意識する。
呼吸を意識する。
腹直筋上部を鍛える自重トレーニングとして、トウタッチクランチが挙げられます。
上体をしっかり上げる。
膝をやや曲げる。
腰に痛みを感じたら無理をせず、通常のクランチを実施するか、腹筋運動の実施を中止する。
呼吸を意識する。
まず腹直筋下部を鍛える自重トレーニングに、レッグレイズがあります。
とにかく脚の動きをコントロールする。
脚を上げすぎない。
脚をギリギリまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
次に腹直筋下部を鍛える自重に、ニートゥチェストがあります。
トップポジションで腹直筋下部の収縮を感じる。
膝の軌道は直線的ではなく、やや弧を描くように設定する。
呼吸を意識する。
さらに腹直筋下部を鍛える自重トレーニングに、バイシクルクランチがあります。
負荷を高めたいならば脚の速度を大きくする。
上体を深めにツイストする。
腹直筋を常に意識する。
呼吸を意識する。
腹腹直筋上部を鍛えるダンベルトレーニングとして、まずダンベルクランチがあります。
肘の動き、つまり、トップポジションでは肘を締めるようにし、ボトムポジションでは肘を開けるようにする。
トップポジションで腹筋の収縮を意識する。
呼吸を意識する。
次に腹腹直筋上部を鍛えるダンベルトレーニングに、ダンベルトゥタッチクランチがあります。
上体をしっかり上げる。
両手にダンベルを持って実施するとより負荷が高まる。
膝をやや曲げる。
腰に痛みを感じたら無理をせず、通常のクランチを実施するか、腹筋運動の実施を中止する。
呼吸を意識する。
腹直筋下部を鍛えるダンベルトレーニングに、まずダンベルニートゥチェストがあります。
重量設定を重すぎないようにする。
上半身も動かすことで腹直筋下部の収縮を意識する。
腹直筋下部のパワー種目。
呼吸を意識する。
さらに腹直筋下部を鍛えるダンベルトレーニングには、ダンベルレッグレイズがあります。
重りの部分が大きいダンベルを使用する。
重量設定を重すぎないようにする。
とにかく脚の動きをコントロールする。
脚を上げすぎない。
脚をギリギリまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
腹直筋上部を鍛えるマシントレーニングとして、アブドミナルマシンが挙げられます。
重量設定を重すぎないようにする。
肘の動きを意識する。
アブドミナルマシンのハンドルは指全体で握らない(サムアラウンドで握らない)。
呼吸を意識する。
腹直筋上部を鍛えるマシントレーニングとして、ケーブルクランチが挙げられます。
比較的高重量を扱うことが可能。
身体の正面で物を抱え込むことを意識する。
呼吸を意識する。
腹直筋下部を鍛えるマシントレーニングとして、ハンギングニーレイズが挙げられます。
終始身体の動きをコントロールする。
膝を上げすぎない。
膝を下げすぎない。
負荷が足りない場合には、脚を真っ直ぐにしてハンギングレッグレイズを実施する。
呼吸を意識する。
腹直筋下部を鍛えるマシントレーニングとして、ハンギングレッグレイズが挙げられます。
終始身体の動きをコントロールする。
脚を上げすぎない。
脚を下げすぎない。
呼吸を意識する。
うつ伏せになった状態で、上半身だけ腕立て伏せをするように腕を張ってバランスをとり、腹直筋部が弧を描く状態になることで腹直筋のストレッチを促します。10〜20秒を3セット実施するようにしましょう。
うつ伏せになった状態で、片足を後ろからクロスするようにすることで腹直筋のストレッチを促します。このとき、上半身はできるだけ脚の動きに引きずられないように、床に胸がついた状態を維持するようにします。10〜20秒を3セット実施するようにしましょう。
膝立ちになった状態で、手を後ろに回し、手で踵からつま先を持つようにし、後ろを向くようにして腹直筋のストレッチを促します。10〜20秒を3セット実施するようにしましょう。
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