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広背筋の器具なし自重トレーニング|効率的に鍛えるコツも解説

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広背筋の器具なし自重トレーニング|効率的に鍛えるコツも解説

広背筋は、マシンなどを使わないと鍛えるのが難しいですが、工夫することで自重でも鍛えることができます。今回は、広背筋の自重トレーニングの方法についてご紹介します。

広背筋とは?

広背筋のイラスト

広背筋は、脇の下から下背部にまで走る背中の筋肉です(よく似た部分の筋肉に大円筋がありますが、大円筋は肩甲骨の下側から上腕筋に走る非常に限定的な部分の筋肉です)。

広背筋は、背中の中で最も大きい筋肉であり、肩関節の動きに寄与しています。「肩関節の動き」は非常に漠然としていますが、具体的にいうと、「ものを引く動作」等を意味しており、このため、広背筋があるからこそ、「ものを引く動作」ができるということが言えます。ただし、この動作は日常生活の中ではあまり使われず、特にトレーニングを行っているときに良く使われる動作です。このことから、広背筋を鍛えるためには、日常的な動作だけでは不十分であり、自重トレーニングやウェイトトレーニングにより意識的に鍛える必要があります。

広背筋を鍛える効果・メリット

代謝を改善

背中の筋肉は、脚の筋肉と並んで身体の中で締める割合が大きい部位です。背中の筋肉の中でも、広背筋は、その名の如く、背中の中で広い筋肉であり、背中の筋肉の中では最も大きい筋肉です。このため、広背筋を鍛えることで、効率的に代謝の改善を促すことが期待できます。例えば、体温が1度上昇することで代謝量は13%程度向上すると言われています。このため、広背筋を鍛えることで代謝を改善するということは、ダイエットの近道であるということが言えます。

姿勢改善

「姿勢が悪い」というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。

一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生していることが多く、姿勢の改善を行うためには、まず猫背の改善を行う必要があります。

猫背になってしまっているのは、背中を真っ直ぐに支える力が弱くなってしまっているためです。広背筋は、背中の非常に広い部分をカバーしており、これにより、鍛えることで背中を支える力を改善することが期待でき、姿勢改善を期待できます。

お腹周りの引き締め効果

お腹が出ている状態というのは、いくつかの原因があり、その一つとして、「背中の筋肉が弱いことでお腹が出ている」ということが挙げられます。これは、猫背になっている状態を想像すると非常にわかりやすいですが、猫背になると自然と背中と逆側にあるお腹は出るようになります。つまり、姿勢が悪くなると腹筋をうまく使うことができず、これによりお腹が出やすい状態になります。この現象は、体脂肪率が低いのにも関わらず、お腹が出ている方に多く見られるものであり、身体が痩せ型にも関わらず、お腹が出てしまっている場合には姿勢を改善するようにしましょう。また、姿勢を改善することができれば、腹筋を使うことができるようになり、結果としてお腹周りの引き締め効果を期待できます。

肩こり、首こりの改善

肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。

以上のような肩こり、首こりが発生している際には、肩や首をもみほぐす、もしくはトレーニングを行うことで血流改善をすることが有効とされているケースが多いですが、実は背中を鍛えることも有効です。特に、広背筋は背中の大部分をカバーしていることから、鍛えることでリンパの流れを改善することが期待でき、また、筋肉の大きさから血流を改善することが期待できるためです。このため、肩こりを改善したい場合には、首、肩の筋肉に加えて広背筋も鍛えるようにしましょう。

背中の見栄え改善

広背筋は、背中の筋肉の中でも、その名前の如く、「広さ」を改善するために重要な役割を果たしている筋肉です。このため、ボディメイキング的な観点でいうと、広背筋を鍛えることで背中の見栄えを改善することができます。特に、広背筋を鍛えると後ろから見た際に非常に背中が大きく見え、これにより、逆三角形であるようになるため、背中を大きく見せたい方は是非とも鍛えたい筋肉です。一方で、広背筋を鍛えすぎると、背中が非常に広くなるため、これに伴って、着用することができる衣服も制限される可能性が高くなります。このため、着用する衣服にこだわりがある方は、注意して広背筋を鍛えるようにしましょう。

広背筋の自重トレーニングで意識すべきこと・効果を上げるポイント

小指と薬指で握る

広背筋の自重トレーニングでも「重量物を持つ」という動作が発生することがあります。重量物を持つ際には、握力を使った方がより高重量を扱うことができるため、持ち手に対して指で完全に包み込むようにして握ることが多いです (サムアラウンドグリップと言います)。しかし、このようにすると、握力を使って重量物を動かすため、対象となる筋肉に刺激が入り難くなり、意識もしにくくなります。これは、特に、背中の中でも大円筋や広背筋などの「広さ」を司る部位で顕著であると言えます。このため、後述する広背筋のマインドマッスルコネクションを意識するために、基本的には小指と薬指を意識して握るようにしましょう。ただ、これは、高重量を扱うと中々難しくなってくるテクニックであるため、このためにも、小指と薬指で握ることできる重量で実施することが重要です。

手首は掌屈

トレーニングをする際の手首の状態は、基本的には「掌屈」もしくは「背屈」に分類することができます。

「掌屈」とは、手首が内側に曲がった状態を指します。

「背屈」とは、手首が外側に曲がった状態を指します。

基本的に、背中のトレーニングでは、掌屈を意識して実施します。これは、前述したように、背中のトレーニングで特に握力を使って実施してしまうことを避けるためであり、手首を掌屈することで腕の末端部ではなく、背中を使ってトレーニングを実施しやすくなることが期待できます。ただ、これは、高重量を扱うと中々難しくなってくるテクニックであるため、このためにも、手首が掌屈できる重量で実施することが重要です。

肘を引き切る

背中のトレーニングでは、基本的には肩甲骨の動きを意識することが推奨されます。一方で、肩甲骨周りの動きというのは、そもそも目視することができないため、後述するマインドマッスルコネクションの技術がかなり発達しているトレーニーではないと難しいという問題点があります。これを補うためのテクニックとして、「肘をしっかり引く」というテクニックがあります。肘を引くと、人間の骨格上、肩甲骨が自然と寄った状態を実現することが期待できるため、これにより、広背筋をより効果的に鍛えることが期待できます。肘を引くの動作は、肩甲骨の動作とは異なり、目視で確認することができるため、より簡単に意識できるテクニックです。これは、広背筋に関わらず、ほぼすべての背中のトレーニングに共通するテクニックであるため、他のエクササイズでも応用できるようにしましょう。

広背筋の動きを意識

広背筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。そのため、最初は難しいですが、広背筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での広背筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

こちらも広背筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

広背筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、広背筋が伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

広背筋を鍛える自重トレーニング

オルタネートブリングバックス

オルタネートブリングバックスは、英語表記で"alternate brig backs"、つまり、直訳すると"交互に背中の方に持ってくる"ということになり、これは、オルタネートブリングバックスの特徴を表してます。

オルタネートブリングバックスは、うつ伏せになった状態で上体をやや上げ、その上体で右上半身と左上半身を交互に、肩甲骨が寄るようにして肘を動かすエクササイズです。実施する際には目線を肘が動く方向に持っていくようにしましょう。

オルタネートブリングバックスは、片腕を15回(=合計30回)3セットで実施することを目標にしましょう。

リバーススノーエンジェル

リバーススノーエンジェルは、バックエクステンション、所謂、背筋トレーニングのトップポジションを維持した状態で腕を旋回させることで広背筋を刺激するエクササイズです。

やり方によっては、うつ伏せになった状態で腕を動かせば良いとする方法もありますが、それでは正直負荷が小さすぎるため、バッエクステンションのトップポジションの状態で実施する方が良いです。

リバースノースエンジェルは、15回3セットで実施することを目標にしましょう。

インバーテッドロウ

インバーテッドロウは、英語表記で"inverted row"、つまり、直訳すると"反対に引く"ということになり、これはインバーテッドロウの特徴を表しています。つまり、通常「-ロウ」というプル系のエクササイズは、身体を固定して重りを引くというエクササイズになるのですが、インバーテッドロウは身体を引く動作になります。

具体的には、公園の鉄棒等に対して斜め45度くらいになる状態を作り、その状態で身体を鉄棒に近づけるという動作を実施します。このとき、上腕と脇の角度、肘の角度が90度となる様に実施すると広背筋に刺激が入りやすいです。

インバーテッドロウは、15回3セットで実施することを目標にしましょう。

リバースエルボープッシュアップ

リバースエルボープッシュアップは、うつ伏せになって腹筋をやる姿勢になり、脇を閉めた状態で腕を身体の左右に肘を立てるようにして配置し、その状態で肘で床を押すことで腹筋と同様の軌道で上体を上げていくエクササイズです。

リバースエルボープッシュアップは、基本的には広背筋を使って上体を上げるのですが、負荷が高すぎる場合には腹筋で補助しながら実施しても構いません。

ただ、実施するときに、フローリングの床でそのまま実施すると肘が大変痛いので、何かしら敷物を使いましょう。

リバースエルボープッシュアップは、10回3セットで実施することを目標にしましょう。

チンニング

チンニングは、いわゆる懸垂であり、公園にある鉄棒などで実施することができます。トレーニングの負荷としてはかなり高く、チンニングをきちんとできればトレーニングレベルとしては結構高いということが言えます。

チンニングを実施する上で、動画の中でも解説がありますが、とにかく海老反りになることを意識します。海老反りで実施することで広背筋の収縮をより感じやすくなるためです。また、意外と重要なのが身体を下げ過ぎないということであり、身体を下げ過ぎると負荷が抜ける傾向があり、また、再び身体を上げることが難しくなるためです。
公園などで実施する際に、鉄棒の高さが足りないという方でも、最初のうちは足を地面につけて実施しても問題なく、これでも十分に負荷を感じることができます。

チンニングは、5〜7回3セットで実施することを目標にしましょう。