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れんこんが赤く変色!食べて大丈夫?原因と対処法を解説

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れんこんが赤く変色!食べて大丈夫?原因と対処法を解説

れんこんが赤く変色しているとカビが生えたのではと心配になってしまいますよね。本記事ではれんこんが赤く変色する原因や赤くなるのを防ぐ方法などを詳しく解説します。

れんこんが赤い原因

ポリフェノール

れんこんは切り口が赤やピンクに変色してしまうことがあります。これは、れんこんに含まれているポリフェノールが大きく関係しています。

ポリフェノールは植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造によってさまざまな種類に分類されます。れんこんにはタンニンが多く含まれていることで知られています。

タンニンはポリフェノールの一種ではありますが、構造上の名称ではなく強い結合能力をもつ一部の物質に対する名称で、アントシアニンなどが含まれるフラバノール骨格をもつ「縮合型タンニン」と、カテキンなどの芳香化合物とグルコースなどの糖がエステル結合を形成した「加水分解型タンニン」があります。れんこんに含まれているタンニンは紫色の色素であるアントシアニンが含まれる縮合型タンニンであると考えられます。

アントシアニンはポリフェノールの一種で、元々紫色をしている成分です。例えばぶどうが紫色をしているのはアントシアニンが多く含まれているためです。アントシアニンは酸化すると赤→茶色→黒と変色する性質があります。れんこんには元々ポリフェノールオキシターゼなどの酵素が含まれており、酵素の働きや空気に含まれる酸素に触れることが原因で酸化し変色してしまいます。

また、タンニンは鉄分とくっつくことで酸化鉄になる性質があります。鉄分を多く含む土壌で育っていると、土壌の鉄分とタンニンが結合し酸化鉄となり、空気に触れて酸化することで赤く変色します。れんこんの表面が赤くなっていることがありますが、これもタンニンと鉄が反応してできた酸化鉄が表面についたことが原因で、これは「赤シブ」と呼ばれます。収穫する前に葉を取り(カラ刈り)、酸素が供給され酸化による変色を防止する対策をしていますが、完全には防げないため赤くなってしまうことがあります。

食べても問題ない

上述したようにれんこんが赤くなってしまうのは、腐敗ではなくポリフェノールが原因です。ポリフェノール自体は体に害のある成分ではありません。抗酸化作用がありむしろ体に良い成分ですので、赤く変色してしまっていても問題なく食べることができます。

赤い品種も

一口に「れんこん」といっても様々な品種があり、一般的にスーパーなどで販売されているレンコンは白いですが、もともと赤い色をしている「赤蓮根」という品種もあります。

赤蓮根は徳島県で生産されている品種で、その名の通り外皮や内部がピンク色をしています。「紅蓮根」と呼ばれることもありますが、農林水産省では「友弘」という名で品種登録されています。

赤蓮根は粘土質な土を使って栽培されていて、糸を引くほどの粘りと柔らかさがあるのが特徴です。

赤く染める料理も

れんこんは、複数の穴が空いていて向こう側が見通せることから「将来の見通しが良い」と縁起を担いだり、種が多いことから子孫繁栄を象徴する食材としておせち料理に使われることの多い野菜です。おせち料理では、あえてれんこんを赤く染めて紅白にしてよりめでたさを表すこともあります。

この場合は、れんこんを酸化させたり、鉄分と結合させて赤く変色させているわけではありません。元々赤い品種のれんこんを使ったり、食紅やゆかりを使って赤く変色させています。

れんこんが赤くなるのを防ぐ方法

切ったら水または酢水にさらす

カットしたれんこんを酢水につける

上述したように、れんこんが赤く変色するのはれんこんに含まれているポリフェノールによるものです。れんこんをカットしたら水にさらしておくことで、空気に触れる時間を少なくすることができますし、ポリフェノールは水溶性であるため変色の原因となるポリフェノールを落とすことができます。

変色を防ぐという点では水でも十分効果がありますが、酢水につけるとれんこんをよりシャキシャキとした食感にすることができます。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。

サラダにするときなどシャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。煮物にする場合など柔らかい食感に仕上げたい場合は、酢水よりも水にさらすのが良いです。

一度赤くなったれんこんは戻せない?

酸化によって一度赤くなってしまったれんこんは、酢水につけることで元の白い色に戻ることがあります。これは、れんこんに含まれているフラボノイド色素が、酸性で無色になる性質があるためです。これは同じくフラボノイド色素をもつごぼうなどの野菜にも使われている方法です。

分厚く切ってしまうと中まで酢水が浸透しないため、薄く切って酢水にさらすのが良いです。

変色防止は栄養面ではデメリット

れんこんが変色してしまうと料理の見た目が悪くなってしまいますが、水や酢水につけての変色防止策はれんこんに含まれている水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうデメリットがあります。

れんこんに含まれている水溶性の栄養素には、水溶性食物繊維やビタミンC、カリウムなどがあります。

上述したように変色の原因となるポリフェノールは体に悪い成分ではないので、栄養価を下げないという点では水や酢水につけずに調理をして食べるのが望ましいといえます。

れんこんの正しい保存方法

常温保存

れんこんを新聞紙に包んで常温保存する

れんこんは室温が25℃以下になる秋や冬であれば常温での保存が可能です。れんこんを常温保存する場合の保存期間の目安は2〜3日です。

れんこんを新聞紙で包みザルなどに入れ、風通しのよい冷暗所で立てて保存します。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。畑で育った環境にできるだけ近づけてあげることで、鮮度を保って保存することができます。

室温が高くなる季節や、カットしたれんこんは常温以外の方法で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

れんこんは冷蔵庫で保存することでより長く保存することができます。

丸ごと

れんこんをキッチンペーパーに包んで冷蔵保存する

れんこんを丸ごと冷蔵保存する場合、約1週間ほど日持ちします。

乾燥と低温障害の発生を防ぐためにれんこんを新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。

カット(使いかけ)

使いかけのれんこんをラップに包んで冷蔵保存する

使いかけのカットしたれんこんは冷蔵庫で4〜5日ほど保存することができます。丸ごと保存するよりも鮮度が落ちやすいためなるべく早く使い切るのがポイントです。

カットしたれんこんを塩水につけ水けをしっかり拭き、切り口にラップをかけて全体を包みポリ袋に入れます。口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。

水に浸けて保存する方法も

カットしたれんこんを水につけて冷蔵保存する

輪切りや薄切りなど、料理に合わせてカットしてから保存することも可能です。その場合は乾燥しやすくまた変色も起きやすいので、塩水もしくは酢水に漬けて保存します。

カットしたれんこんを密閉容器に入れ、浸るくらいの水を入れて塩をふたつまみ加えて(もしくは酢を少々)ふたをし冷蔵庫で保存します。2日に1度水を取り替えるようにしましょう。

ただしこの方法では、れんこんのビタミンCやデンプンが水中に流れ出てしまうので、栄養素的には△。傷みが早いので1〜2日を目安に食べきるようにしましょう。

冷凍保存

冷蔵保存よりももっと長く保存できるのが冷凍です。冷凍保存したれんこんは約1ヶ月ほど日持ちします。

丸ごと生のまま冷凍

れんこんを丸ごと冷凍保存する

時間がない時は丸ごと冷凍も可能です。土などの汚れをしっかり落とし水けを取ります。全体をラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存します。全体が凍るまでに時間がかかるので、冷蔵庫の急速冷凍機能を使うと◎。さらに金属バットの上にれんこんをのせてから冷凍室に入れることで、より短時間で凍らせることができます。

丸ごと冷凍したれんこんを解凍する際は、水に1分ほどつけることで包丁でサクっと切れる程度のかたさまで半解凍されます。水に長くつけすぎると栄養が逃げていくので、短時間に留めましょう。

カットして生のまま冷凍

れんこんをカットして生のまま冷凍保存する

カットしてから冷凍すれば調理にすぐに使うことができて便利です。

れんこんを薄切りや厚切り、半月切り、乱切りなどお好みの大きさにカットします。用途がまだ決まっていない場合は縦半分に切るのもおすすめです。カットしたれんこんを酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2程度)に5分ほどつけ変色を防ぎます。キッチンペーパーで水けをしっかり取り、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。小分けにしてラップに包んでから冷凍用保存に入れれば、使いたい量だけさっと取り出すことができてより便利です。

カットしてから冷凍したれんこんは、凍ったまま料理に使用してOKです。サラダや煮物、炒め物、汁物など幅広く使用することができます。

カットして茹でて冷凍

れんこんをカットして茹でてから冷凍保存する

カットして茹でてから冷凍すれば、調理時間が短く済みます。

5mm〜1㎝程度の厚さに切り(乱切りでも可)、酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2杯)に5分ほどつけます。かために茹で(電子レンジでの加熱もOK)冷まし、キッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。

カットして茹でてから冷凍したれんこんは凍ったままポトフや煮物などの料理に使うことができます。電子レンジで解凍も可。

すりおろして冷凍も◎

れんこんをすりおろして冷凍保存する

れんこんをすりおろしてから冷凍するのもおすすめです。すりおろしたれんこんはお好み焼きやたこ焼きのつなぎやれんこん餅、味噌汁など様々な料理に使うことができます。

小分けにしてラップに包むのもOKですし、直接冷凍用保存袋に入れ、菜箸で切れ目を入れてから冷凍すれば、切れ目からポキっと折って必要な分だけを取り出すことができます。

すりおろししたれんこんを解凍する方法は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、電子レンジで加熱解凍をします。

その他にも、天日干しやレンジで加熱して水分を抜いて乾燥保存したり、酢漬けや醤油漬けにして漬け保存することもできます。れんこんの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

腐ったれんこんの特徴

見た目

腐ったれんこんの見た目の特徴は下記の通りです。

  • カビが生えている

  • 全体的に変色している

れんこんに白いフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している場合は黒カビが生えています。表面だけに生えていて中まで侵食していない場合は食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があります。心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。

新鮮なれんこんは淡い黄色がかった薄茶色をしています。(真っ白なものは漂白されている可能性大)変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒色や茶色に変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いので注意が必要です。

臭い・味

腐っているれんこんの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい臭い・味

  • 生ゴミのような臭い

  • カビ臭い

れんこんは土に埋まった状態で育ち、掘り起こして収穫するため多少の泥臭さはあるものの、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

れんこんに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

感触

腐っているれんこんの感触の特徴は下記の通りです。

  • やわらかい

  • ぬめりがある

新鮮なれんこんはハリがあって固いですが、腐敗が進むと柔らかくなっていきます。これは、れんこんの水分が抜けてしまったことや、上述した通りバクテリアが活動することで形が崩れはじめていることが原因であると考えられます。手で押したときに簡単にヘコむなど、柔らかくなってしまっている場合は注意が必要です。

れんこんには粘りを出す成分が元々含まれていますが、皮を剥いたり調理をしていないのにも関わらず表面にぬめりを感じる場合は、腐敗している可能性が高いです。ぬめりが出るほど腐敗が進んでいるれんこんは、変色や異臭などの腐敗のサインが見られることも多いですので、よくチェックしてから腐敗しているようであれば破棄しましょう。

れんこんに豊富な栄養素

れんこん100gに含まれる主な栄養素

ビタミンC

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。

そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。

カリウム

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

リン

リンはミネラルの中で、カルシウムの次に多く体内に存在しています。リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。また、リンは体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。

さらに、エネルギー代謝に不可欠であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分であり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。

リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく摂取する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。

ビタミンB1

ビタミンB1は豚肉に特に豊富で、れんこんにも少量ですが含まれており、野菜の中では多い方です。

糖質がエネルギーに変わるときには酵素が働きますが、その酵素の働きを促す補酵素の役割を果たすのがビタミンB1です。糖質の分解をサポートし、体を元気にします。

また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります。