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ごぼうの中が黒い筋・輪っか・斑点!食べられる?原因と対処法を解説

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ごぼうの中が黒い筋・輪っか・斑点!食べられる?原因と対処法を解説

ごぼうをカットしたときに黒い筋が入っていたり黒い輪があるなど黒変している部分があることがあります。本記事ではごぼうが黒い原因や黒変を防ぐ方法などを解説します。

ごぼうが黒い原因

カットして黒くなるのはポリフェノール

ごぼうはカットしてから時間が経つと黒く変色することがあります。この場合は腐敗が原因で黒くなっているわけではないので食べることができます。

ごぼうが黒く変色するのは、ごぼうに含まれているポリフェノールの酸化が原因です。ポリフェノールは植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。ごぼうにはタンニンやコーヒー酸、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸などのポリフェノールが含まれており、ごぼうに含まれているポリフェノールオキシターゼなどの酵素の働きや空気中の酸素に触れることによって酸化し、変色します。

ごぼうの場合は、液体が酸性・中性・アルカリ性のどこに分類されるかを測る尺度pHで表すと、pH5のときが最も変色することがわかっています。ちなみに水道水のpHは7です。pHの数値が低くなると酸性、反対に高くなるとアルカリ性になります。

ポリフェノールは、苦味を感じさせ料理の味を落とす「アク(灰汁)」の一つですが、抗酸化作用があり体に害のある成分ではありません。そのため、黒く変色しているごぼうは食べることができますが、黒くなっているということはかなり酸化が進んでいる状態です。鮮度が落ちて食感や味が悪くなってしまっているので早めに食べきるようにしましょう。

黒い輪もポリフェノールが原因

ごぼうを切った時に黒い輪がある場合はポリフェノールの酸化が原因

ごぼうを切ったときに黒または茶色い輪があることがあります。この場合もポリフェノールの酸化が原因です。

そのため黒い輪が入ったごぼうも問題なく食べることができます。

ごぼうは古くなってくると、中心に空洞ができてスカスカになっていることがあります。このような状態を「スが入る」と言います。ごぼうにスが入る原因は、収穫が遅れて育ちすぎてしまうことや、収穫から時間が経ち中の水分が抜けてしまうなどの老化です。

スが入ってしまったごぼうは、腐敗しているわけではないので食べることができます。しかし鮮度が落ちて味も触感も悪くなっている状態です。細切りにして使ったり濃いめの味付けにするなど、食感の悪さや味の悪さをカバーできる調理をして食べるのがおすすめです。

表面の黒い斑点は病気またはカビ

ごぼうは他の野菜と同様に栽培中に病気にかかることはあっても、苗全体が枯れるほどの大きな被害が出ることは少なく、とても丈夫な野菜と言われています。しかし、ごぼうは連作を苦手とする野菜で、連作することでやけ症と呼ばれる連作障害が発生することがあります。やけ症にはピシウム菌による根腐病やリゾクトニア菌による黒あざ病などがあり、根の表面に暗褐色から暗黒色の染み状の斑点ができてしまいます。

また、ごぼうにはカビが生えることもあります。表面が黒く変色している場合は黒カビが生えている可能性もあります。ごぼうのように固い野菜の場合は、表面のみにカビが変えていて中まで広がっていなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、見えない部分にもカビの菌が入り込んでいる可能性があるため心配な方や高齢者、小さなお子様が食べるときは破棄したほうが無難です。カビの菌はカビ毒を発生させ、腹痛や嘔吐などの症状が出ることがあります。

皮が黒いのは泥

私達が食べているのはごぼうの根の部分です。土の中に埋まっている状態で育ち、土から掘り出して収穫しています。近年は綺麗に洗いカットされた状態で販売されていることもありますが、鮮度を保つため泥が付いた状態で販売されていることも多くあります。そのため、ごぼうの皮には泥がついていて黒くなっていることがあります。

単に泥がついて黒くなっている場合は、しっかりと洗い流せば問題なく食べることができます。

全体的に黒くなるのは腐敗

一般的に販売されているごぼうは、泥を落とすと皮は茶色っぽく、中は白っぽい色をしています。全体的に黒く変色してしまっている場合は、鮮度が落ちて腐敗が始まっている可能性が高いです。

上述したようにポリフェノールが酸化すると赤から茶色、黒と変色していき最終的には腐敗してしまいます。全体的に黒く変色してしまっている場合は、異臭がしたり柔らかくなってしまっているなど変色以外の腐敗のサインが見られることが多いです。この場合は残念ですが食べることはできないので破棄しましょう。

黒い品種はない

ごぼうには様々な品種がありますが、可食部が黒い品種はありません。栽培されている土の違いによって黒く見えることはありますが、洗って土を落とせばどの品種も皮は茶色く中身は白いです。

品種による色の違いはありませんが、長さや太さなどの違いはあります。

ごぼうが黒変するのを防ぐ方法

ポリフェノールは水にさらす

切ったときは変色していなくても、しばらくするとポリフェノールが空気中の酸素にさらされることで酸化が進み黒く変色してしまうことがあります。これは、切った後に水にさらしておくことで防ぐことができます。

酢を数滴入れた酢水につけておくのも良いです。ごぼうはpHを下げると活性酸素の働きが弱まるため水に酢を入れてpHを下げることで、ポリフェノール酸化による変色を防ぎ白く仕上げることができます。また、ごぼうに含まれているフラボノイド色素はpHを下げることで無色になる性質があるので、たたきごぼうなど白く仕上げたい料理では、酢水につけるのがおすすめです。

ただし、酢水に15分以上つけるとかたくなり、ごぼうそのものの風味も損なわれてしまいます。また、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も流出してしまうため長くつけすぎないようにしましょう。

病気による変色は防げない

購入したごぼうが、栽培中にかかってしまった病気により変色してしまうのは残念ながら防ぐことはできません。病気になってしまったごぼうは基本的に販売されることはありませんが、収穫し出荷した後に発症してしまうこともあります。この場合、店舗によっては交換などの対応をしてくれる場合があるので相談してみると良いでしょう。

自宅でごぼうを育てる場合は病気にかからないよう、連作を避けるなどの対策をすることが大切です。

カビや腐敗による変色は正しい保存方法で

黒カビが生えてしまったり腐敗による変色は、正しく保存することである程度防ぐことができます。正しく保存することはスが入るのを防ぐことにも繋がります。ごぼうを美味しく食べるためにも鮮度を保つ正しい保存方法で保存しましょう。

正しい保存方法は下記で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ごぼうの正しい保存方法

常温保存

ごぼうは暑さに弱い野菜ですが、泥つきのごぼうの場合は常温保存することも可能です。冬場なら1ヶ月、夏場なら2週間程度保存することができます。

泥つきなら常温可

泥つきのごぼうを新聞紙に包み常温保存

このように丸ごと新聞に包み、ダンボールなどに立てて冷暗所で保存します。新聞紙を包むことで乾燥から守り、かつ湿気を吸ってくれます。

土に入れて保存する方法も

土に入れて保存するとより長くもちます。ごぼうが入る大きさに土を掘り、横にして置き、土をかぶせます。縦に入れるのが理想ですが、あまり深く掘るのは大変なので横向きで保存するのが一般的です。適度に保湿しながら保存することができます。

土が乾燥しすぎていたり、水分を含みすぎていると、ごぼうの傷みが進むので注意してください。気温が上がる夏場はあまりおすすめしませんが、冬場なら2ヶ月ほど保存することが可能です。

冷蔵保存

ごぼうは冷蔵が最大2ヶ月と最も長く保存することができます。ただし、洗いごぼうは1週間ほどしか保存できないので注意しましょう。

泥つきを冷蔵で2ヶ月

泥つきごぼうを新聞紙に包みポリ袋に入れ立てて冷蔵保存

泥つきは冷蔵庫に入る長さに切り、新聞紙に包みポリ袋に入れて、軽く口を閉めて立てて保存します。ごぼうは乾燥に弱いので野菜室で保存しましょう。

洗いごぼうは冷蔵で1週間

洗いごぼうをポリ袋に入れて立てて冷蔵保存

洗いごぼうも冷蔵庫に入る長さに切って、ポリ袋に入れて立てて保存します。

洗いごぼうは水につけて2週間

洗いごぼうを水につけて冷蔵保存

洗いごぼうは水につけて保存する方法も。少し手間ですが、上記の方法よりも長く保存することができます。2日に1回は水を取り替えるようにしましょう。水に浸けておくと空気に触れないので、2週間程度は変色しません。特に切ってしまったごぼうは変色しやすいので水に浸けて保存するのがおすすめです。ポリ袋に入れるだけでより長く保存できる一方、栄養が流れ出てしまうデメリットもあります。

冷凍保存

泥つきでない場合は、ごぼうは冷凍することで長く保存することができます。冷凍したごぼうは泥臭さが消えて、柔らかくなり味が染み込みやすくなります。冷凍することで変色を防ぐこともできます。

生のまま長めに切って冷凍

ごぼうを生のままジッパー付きポリ袋に入れて冷凍保存

長めに切って生のまま冷凍することもできます。泥をしっかり洗い、キッチンペーパーで水けを取り、冷凍用ポリ袋に入れて冷凍庫へ。水に1分ほど浸けると切りやすくなります。長く水に浸けすぎると水溶性の栄養が流れ出てしまうので注意しましょう。金属トレイの上に置いて冷凍すると急速冷凍ができ、食感が悪くなりにくいです。

ささがきを生で冷凍

ささがきを生のままジッパー付きポリ袋に入れて冷凍保存

ささがきなど調理しやすいようにカットしてから生で冷凍するのも◎。和え物やサラダに使うときは前日に冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジ解凍します。加熱調理に使うときは凍ったまま使います。

硬めに下茹でしてから冷凍

ごぼうを硬めに下茹でしてジッパー付きポリ袋に入れて冷凍保存

硬めに茹でてから冷凍する方法も。少々手間ですが、下茹でしてから冷凍すると食感や風味が落ちにくいのでおすすめです。乱切りなどお好みで切ってから下茹でして、冷ましたら、キッチンペーパーで水けを取って、冷凍用ポリ袋に入れて冷凍庫へ。

きんぴらを冷凍

きんぴらにして冷凍保存

きんぴらを冷ましてから、ラップで小分けにして冷凍するのもおすすめです。解凍方法は常温で1〜2時間置くか、前日に冷蔵庫へ移動、または電子レンジで加熱します。

その他の保存方法には、天日干しやレンジなどで水分を飛ばしてから保存する乾燥保存や、味噌やオイルに漬けて保存する漬け保存などがあります。ごぼうの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

腐敗したごぼうの特徴

見た目

腐っているごぼうの見た目の特徴は、下記の通りです。

  • カビが生えている。

  • 曲がっている。

  • シワシワになっている。

ごぼうには黒カビだけではなく白カビが生えることもあります。表面に白いフワフワとしたほこりのようなものが付いている場合は白カビです。

また、カビが生えていなくても本来まっすぐとした棒状のごぼうが明らかにぐにゃりと曲がっている場合は、腐敗が進み柔らかくなってしまったことが原因で曲がっている可能性が高いです。完全に表面が乾燥してしまい、シワシワになってしまっているものも腐敗が進んでいるので食べないようにしましょう。

臭い・味

腐っているごぼうの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい臭い・味

  • 生ゴミのような臭い

  • カビ臭い

ごぼうは多少の泥臭さはあるものの、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

ごぼうに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象があるときに「腐敗」と呼ばれます。明らかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐っているごぼうの感触の特徴は下記の通りです。

  • ぬめりがある

  • 糸を引く

  • 張りがない

  • 柔らかい

ごぼうを触ったときにぬめりを感じたり、糸を引いた場合はバクテリアが活動し腐敗が進行しているサインです。新鮮なごぼうはぬめりが出たり糸を引くことはありませんので、残念ですが破棄しましょう。また、新鮮なごぼうは張りがあり、固いです。張りがなくなっていたり、簡単にぐにゃりと曲がってしまうほど柔らかいごぼうは腐敗しています。

ごぼうに豊富な栄養素

ごぼう100gあたりに含まれる主な栄養素

ごぼうはよく「栄養がない」と言われますが、それはビタミン類の含有量が他の野菜と比べて少ないためです。ミネラル類は比較的多く含まれており、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンと豊富に含まれているのが特徴です。また食物繊維も豊富に含まれています。

カリウム

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

その他、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

リン

リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。さらに、エネルギー代謝にも関わり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。

リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。

マグネシウム

マグネシウムはカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促します。摂り過ぎたカルシウムが血管壁に貯まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。そしてカルシムやリンと共に働き、丈夫な骨や歯を作ります。血液中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出して補充されますが、このときカルシウムも一緒に放出されてしまうため骨がもろくなります。

またストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。そのため疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取しましょう。マグネシウムは過剰に摂取しても腸管からの吸収は抑えられ、余分なものは速やかに排泄されるので食事で摂取している限りは過剰症の恐れはありません。

カルシウム

体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。

残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。

カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、ごぼうは不溶性食物繊維の方が多いです。

不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だと言われています。

ちなみに水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになります。

また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。