ダンベルキックバックは、ダンベルで上腕三頭筋を収縮させることで鍛えるエクササイズです.今回は、ダンベルキックバックのやり方及びコツをご紹介します。
ダンベルキックバック(dumbbell kickback)は、「キック」という言葉が使われていますが、ダンベルを持って腕を後ろに動かすエクササイズを指します。
二の腕の部分の筋肉である上腕三頭筋を鍛えることができます。
ダンベルキックバックは単独で実施するというよりも、他の上腕三頭筋を鍛えるエクササイズと組み合わせて実施するのが推奨されます。
キックバックは上腕三頭筋を鍛えることから、上腕三頭筋の英語表記「トライセップス」を用いて「ダンベルトライセップスキックバック」または「トライセップスキックバック」と表記されることもあります。
ダンベル以外に水の入ったペットボトルを持って実施することもできますが、いずれにしても素手では行わず、かならず重りを持ちます(つまり、わざわざ「ダンベル」といわなくてもよい)。そのため、単に「キックバック」と呼ばれることもあります。
ダンベルキックバック
キックバック
ダンベルトライセップスキックバック
トライセップスキックバック
は、どれも同じエクササイズを指します。
キックバックとバックキックは極めて表記が似ていますが、全く別のエクササイズです。
キックバックは、片手もしくは両手で、肘を支点にしてダンベルを動かすことで上腕三頭筋を鍛えるエクササイズです。
一方で、バックキックは、大臀筋(お尻の筋肉)を支点にして脚を動かすことで、大臀筋およびハムストリングスを鍛えるエクササイズです。
「キックバック」だけだと誤解を招くことがあるので、「ダンベルキックバック」といわれることが多いです。
キックバックもバックキックも語源は英語です。英語では日本語とは違う使われ方をしています。
日本語の「キックバック」は英語では「triceps kickback」または「dumbbell triceps kickback」といいます。「dumbbell kickback」とするのは稀です。
英語「kickback」とすると、日本語でいうところの「バックキック」のエクササイズを指します。
英語「backkick」は、格闘技の「後ろ蹴り」の動作を指します。通常のキックのエクササイズは一般に「ハイキック」と呼ばれます。
ダンベルキックバックでは、上腕三頭筋を鍛えることができます。上腕三頭筋は、所謂、「二の腕」と言われている部位であり、上腕の後ろ側についている筋肉です。
上腕三頭筋は、外側頭、長頭、内側頭からなります。外側頭は上腕三頭筋の外側の筋肉であり、長頭は上腕三頭筋の内側の筋肉であり、これらの内側に内側頭があります。内側頭と外側頭を合わせて短頭ということもあります。
上腕三頭筋は、上腕を形成する上で最も大きい筋肉です。このため、腕を太くしたいと考える場合、多くの人は力コブである上腕二頭筋を鍛えようとしますが、上腕三頭筋を鍛える方が効率的です。
前述した通り、上腕三頭筋は上腕の中で最も大きい筋肉です。そのため、男女問わず、上腕三頭筋を鍛えることで腕の見栄えを大きく改善することが期待できます。女性の場合は、二の腕のたるみを改善することが期待でき、男性の場合は、二の腕が馬の蹄のような形になります。
ただし、実際に二の腕の見栄えを改善するためには、外側頭、長頭、内側頭をバランスよく鍛えることが重要です。これらの筋肉の発達具合を確認するために、鏡の前で肩を出して腕を後ろに組む様なポーズをして、上腕三頭筋肉を出し、どの部位が発達が遅れているかを確認することは効果的です。この発達が遅れている部位を補うようにしてトレーニングメニューを組むとなお良いです。
上腕三頭筋の筋肉は、主にプッシュ種目で使われる筋肉です。
プッシュ種目とは、「push」、すなわち「押す」種目です。その代表的な例としては、大胸筋を鍛えるベンチプレス、大胸筋及び上腕三頭筋を鍛えるプッシュアップ(腕立て伏せ)、三角筋を鍛えるショルダープレスなどが挙げられます。
その逆に、プル種目があり、プル種目とは「pull」、すなわち「引っ張る」種目です。その代表的な例としては、ラットプルダウン、ロープーリーロウ、バーベルロウイングなどの背中を鍛える種目が挙げられます。プル種目、それぞれでメインとなるターゲット部位に加えて、上腕三頭筋にも刺激が入ります。
したがって、上腕三頭筋の筋肉量が上がれば、他の筋トレでも高重量を扱うことができるようになる、ということです。
ダンベルを両手にもち、背中を張りながら床に対して平行よりもやや角度をつけた状態に設定する。
筋トレ初心者のダンベルキックバックの目安の重量は片手で3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルキックバックで鍛えることが上腕三頭筋は、大きな筋肉ではあるものの、日常的に使用する筋肉ではありません。そのため、筋トレ初心者の場合、重量を扱うのが中々難しいため、片手で3〜5 kg程度のやや軽い重量でフォームをしっかりと確認しながら実施しましょう。
ダンベルキックバックに少し慣れた方のダンベルキックバックの目安の重量は片手で5〜10 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ダンベルキックバックは、少し慣れるだけで比較的重量を扱うことができますが、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では5〜10 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルキックバックを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のダンベルキックバックの目安の重量は片手で40 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルキックバックで片手40 kg以上を正確な可動域の中で実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確な可動域」での重量であり、可動域が小さい場合にはより高重量を扱うこともできますが、エクササイズ効率は高くないため、しっかりと可動域を設定しましょう。
筋トレ初心者の場合、ダンベルキックバックは12〜15回を3セット実施します。
ダンベルキックバックは、特に初心者の場合には重量を扱い難い種目であり、エクササイズ強度は標準的な種目です。そのため、回数としては、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
ダンベルキックバックに少し慣れた方の場合、ダンベルキックバックは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ダンベルキックバックに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルキックバックと一緒に実施するならばダンベルフロントレイズ、サイドレイズ、ダンベルリアレイズなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
ダンベルキックバックは、他の上腕三頭筋を鍛えるエクササイズの後の仕上げとして、テンポよく実施するのが推奨されます。特に両手で実施する場合は、ゆっくり丁寧に実施するエクササイズではありません。
ただし、ダンベルキックバックを必ずしもゆっくり実施することが間違いなわけではありません。筋トレ初心者の方がメインのエクササイズとしてダンベルキックバックを取り入れる場合は、ゆっくりやるのもOKです。自身の用途に合わせて実施するようにしましょう。
一緒にやるべき上腕三頭筋の筋トレは記事の最後に紹介します。
ダンベルキックバックはダンベルの角度を固定せず、自身の動作に合わせてダンベルの角度を変更するのがおすすめです。
具体的には、ボトムポジション(ダンベルが最も低い位置にくる状態)ではダンベルの持ち手と前腕が垂直になるように設定し、トップポジション(ダンベルが最も高い位置にくる状態)ではダンベルと前腕がまっすぐになるように設定します。
このようにダンベルの角度を変更しながら実施することで、ボトムポジションに移行する際には後述するネガティブ動作意識による負荷を増大させることが期待でき、トップポジションでの上腕三頭筋の収縮の負荷を増大させることが期待できます。
ダンベルキックバックは時短のために両手で実施することが多いですが、もちろん片手ずつで実施しても問題ありません。初心者の方は、片手ずつで実施したほうが上腕三頭筋の動きをより意識できるので、おすすめです。
片手でキックバックを実施する場合には、バランスを取るためにベンチ台や壁などに対して片腕をかけて実施するようにしましょう。
ダンベルキックバックに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
そのため、最初は難しいですが、上腕三頭筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕三頭筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ダンベルキックバックに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルキックバックに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルキックバックでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ダンベルフレンチプレスでは、ダンベルキックバックと同様に上腕三頭筋を刺激することができ、かつ、伸展させて負荷を与えることができるためです。
ダンベルキックバックは上腕三頭筋を収縮させることで負荷を与えるのに対して、ダンベルフレンチプレスでは上腕三頭筋を伸展させることで負荷を与えるため、ダンベルフレンチプレスの方が負荷は高くなります。実際に実施する場合には、ダンベルフレンチプレスを先に実施し、仕上げの種目としてダンベルキックバックを実施することで上腕三頭筋を効率的に鍛えることが期待できます。
ダンベルフレンチプレスは、10〜12回を3セット実施します。
ダンベルフレンチプレスは、上腕三頭筋を急激に伸展させることで負荷を与えるエクササイズであり、比較的負荷の高いエクササイズです。そのため、実施する回数としては一般的なトレーニングで推奨されている回数よりもやや少ない10〜12回を3セットを実施しましょう。
重量をやや軽めで設定する。
ダンベルの動きを終始コントロールする。
下げているときに肘に違和感を感じたら無理をしない。
小指の付け根でダンベルを把持するように意識する。
脇を開きすぎない。
ケーブルプレスダウンは、ダンベルキックバックと同様に上腕三頭筋を刺激できるためです。
ケーブルプレスダウンは、低負荷から非常の高負荷で実施できる上腕三頭筋のエクササイズであり、上腕三頭筋を伸展及び収縮のどちらでも負荷を与えることが期待できます。ダンベルキックバックと比較した場合には、重量にもよりますが、基本的にはケーブルプレスダウンの方が負荷は高くなります。実際に実施する場合には、ケーブルプレスダウンを先に実施し、仕上げの種目としてダンベルキックバックを実施しましょう。
ケーブルプレスダウンは、12〜15回を3セット実施します。
ケーブルプレスダウンは、ケーブルマシンで行う上腕三頭筋を鍛えるエクササイズであり、負荷の大きさをかなり自由度を高く変更できるというメリットがあります。実施する回数としては一般的なトレーニングで推奨されている回数である12〜15回を3セットを実施しましょう。
目線を意識する。
手首を掌屈させる。
トップポジションで上腕三頭筋の伸展、ボトムポジションで上腕三頭筋の収縮を意識する。
ライイングエクステンションでは、ダンベルキックバックと同様に上腕三頭筋を刺激することができ、かつ、伸展させて負荷を与えることができるためです。
ダンベルキックバックは上腕三頭筋を収縮させることで負荷を与えるのに対して、ライイングエクステンションでは上腕三頭筋を伸展させることで負荷を与えるため、ライイングエクステンションの方が負荷は高くなります。実際に実施する場合には、ライイングエクステンションを先に実施し、仕上げの種目としてダンベルキックバックを実施することで上腕三頭筋を効率的に鍛えることが期待できます。
ライイングエクステンションは、8〜10回を3セット実施します。
ライイングエクステンションは、上腕三頭筋を急激に伸展させることで負荷を与えるエクササイズであり、かなり負荷の高いエクササイズです。そのため、実施する回数としては一般的なトレーニングで推奨されている回数よりもかなり少ない8〜10回を3セットを実施しましょう。
重量の設定を重すぎないようにする。
ボトムポジションで一瞬静止し、伸展の負荷をかける。
手首を掌屈。
戻しすぎない。
肘を開かない。
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